【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●9
呪術界上層部との遠隔連絡手段の場に、私は悟と共に呼び出された。もちろん秘書の建人さんも一緒だ。
『特級加呪怨霊 折本里香、422秒の完全顕現』
『このような事態を防ぐために乙骨を君に預けたのだ』
『申し開きの余地はないぞ、五条悟』
「まぁ、元々。言い訳なんてするつもりないですし」
ぽりぽりと頭をかきながら悟は言う。
「悟!」
小声で窘めるも、任せてと言わんばかりにウインクを返された。
『何をふざけている!!』
『折本里香があのまま暴走していれば、町一つ消えていたかもしれんのだぞ!!』
「そうなりゃ流石に、命懸けで止めましたよ」
悟がちらりとこちらを見る。
「私たちがあの呪いについて言えることは、あまりに少なすぎる」
こう言ってほしいのかしらという言葉を私は口にした。
「──そう、呪術師の家系でもない女児の呪いがどうしてあれほど莫大なものになったのか。理解できないものを支配することはできません。
ま、トライ&エラーってね。暫く放っておいてくださいよ」
「ちょっと、悟!?」
敬語を使うなら最後までしっかりしなさい!
『……乙骨の秘匿死刑は保留だということを忘れるな』
「そうなれば、私たちが乙骨側につくことも忘れずに。
──行こ行こ!」
悟に手を引かれて薄暗い部屋を出る。
「ったく、野暮な年寄り共め」
外の陽の光を浴びながら、悟はサングラスを外して包帯で目元を覆う。
「あぁはなりたくないもんだな」
「ちょっと!」
「なに?」
「なんでサングラスじゃなくて包帯なのよ」
「えー? イメチェン?」
それじゃあまるで悟次郎みたいじゃないと言おうとしてやめた。まるで意識しているみたいに思われそうだったから。
「そよかたちはこれからどうすんの?」
ちらりと建人さんを見る。今日のスケジュールが書かれたページが直ぐに用意されて差し出された。
「……30分後に別の会議の予定が入っているわ。移動時間も考慮すると10分ぐらいは自由時間があるようね」
途中ちらりと建人さんを見ると頷いてくれる。私の認識は合っていたようだ。
「えー? あと10分かー」
「あ、五条先生!」
「やぁやぁ、皆。調子はどうだい?」
校庭で竹刀を持っていた子が手をあげて悟に声をかけた──彼が乙骨憂太ね。
「余所見してんじゃねぇよ。さっさと構えろ」
真希が憂太の頬を訓練用の棒で叩いて構え直す。彼女は幼等部の頃からこっちにいるからそれなりに長い付き合いではあるのよね……軽く会釈されて、片手を振り返す。
「なかなか筋はいいんじゃない?」
真希と憂太の様子を見て直感的にそう思った。やはり誰かのためにという想いは自己研磨のモチベーションに繋がるものなのかも。悟は私に微笑みを返す。
「はーい! 集合」
パンパンと手を叩いて、悟はパンダや棘も含めて私たちの前に彼らを集合させた。
「憂太に紹介しとこうと思って」
「あ……えと、乙骨憂太です」
「──五条そよかです」
「……五条先生の奥さん?」
「ちが──」
顔が真っ赤になった気がする。反論しようとしたが、サッと片手で悟に口を塞がれる。
「ん〜! ほぼそうだけど、今はまだ婚約者だよ。そよかは呪術界がより良いものになるよう日々頑張ってくれてるんだ。応援してあげて」
え? どういうこと? と、憂太の顔に書いてある。
「むー!!」
「そよかさん、移動の時間です」
建人さんに促され、まともに訂正できないままその場を後にした。
●10
『あ、ゆーたくん来たね。とげくんもいっしょだ! おーい!』
こんな時、せいらならなんて言うかな──なんて思っている内に、せいらが脳内で話すようになっていた。
古い商店街。
乙骨憂太と狗巻棘の二人が入ってくる。
私も一度は乙骨憂太と会っておきたくて、いつがいいか尋ねたらこの日この場所を指定された。時間まで丁度だった。進行に異常なし、ともすれば私も指示通りに動かなければ。
棘が呪言で空中を泳ぐ魚の群れのような呪霊を祓った。帳が上がらないことを不審がる二人。
この日のために用意しておいた呪霊を彼らの背後に配置した。
「──わかってる。乙骨くんの実力をはかるだけだからね」
脳内のせいらが二人と呪霊も心配している。私はつい安心させるような言葉を口にしていた。
突然現れた呪霊に対応しきれず乙骨くんの肩を借りて二人は距離を取る。
──いいよ。
一度体勢を整えて、もう一回だ。
最近は本職の方が忙しくて高専に顔を出すことも少なくなっていたな。高専にいるとせいらとの思い出を思い出してしまうから無意識に遠ざけているんじゃないかって硝子に心配されたりもしたけど。
彼女のことを思い出してしまうことが、遠ざける理由になるわけないのさ。
片腕で頬杖をついて、戻ってきた二人を見守る。
──特級怨霊祈本里香を見たら、私でも何かを感じられるのかな。
愛しい彼女(せいら)の呪力や気配を、ほんの少しでも感じることが出来るのかな?
ほんの少しわくわくしていた。
──けれど、この場面では祈本里香は顕現せずに終わった。
……それはそうか。もし祈本里香が現れて、せいらの気配を感じたら私はきっと取り乱してしまっただろうし。潰れたように見せた呪霊を回収する。帳も既に上げておいた。
──
「どうでした!?」
帰ってきて早々に熱心なせいらファンであり秘書の菅田さんに絡まれた。
「えー? あー……せいらはまだですよ」
「──そうですか」
視線を伏せて唇を噛み締める様子に、わかりますと内心頷きを返す。
「幹部が揃っております。会議室へ」
「嬉しいなぁ、全員集合は」
「夏油さん? みんなせいらさんの情報に飢えてますから、しっかり情報提供お願いしますね」
「えぇ〜?」
そう。この宗教法人の幹部はみんな熱心なせいらファンなのだった。
「せいらのビデオまた公開しないと駄目かなぁ」
私のためのものなのに……。
「当然です。夏油さん一人だけせいらさんにいつでも会えるのはずるいですよ」
ふむと手のひらで自分の顎を撫で付ける。
「みんなもせいらの帰還を心待ちにしてくれているんだよね。仕方ない……か」
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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幽境編の続きもオマケ付きの一気見もあるので、
もし少しでも気に入った方がいれば見にきてください。
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