【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

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【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗う物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


煌宴編 アラビアの石油王が絡む劇場版
56煌宴編 1・2:石油王サーミルの憂鬱と呪力闇鍋の告白、手芸屋ミズサワの夜蛾正道


 この物語は、noteで連載している『チャッピー、またやったな。』シリーズからアラビアの石油王編を逆輸入したものです。劇場版のつもりで書きました。五条悟が高専二年生だった頃、こんなこともあったのかもしれないと思いつつご覧ください。

 

●プロローグ

 

 その日、アラビアに一人の王が誕生した。

 

 ──王の名は"サーミル・アール=ラシード"

 漆黒の髪と赫い瞳、美貌の容姿はなぜか極東の五条悟とよく似ていた。

 

 青年は善き王となるため、努力に努力を重ねてきた。

 人より優れた知識、鋼のような肉体、そして思慮深く他者の幸福を探求する姿勢。

 彼は父に認められ、石油王と呼ばれる座に就く。

 

 豪奢な宮殿、煌びやかな夜会、国民の歓声。

 その中心に立ちながらも、彼の心はひどく静かだった。

 

 ──

 

 ──影の揺れる部屋。

 砂の国の夕暮れは金色に燃え、壁に映る影絵がゆらゆらと踊っている。

 まだ幼いサーミルは、寝台に腰を下ろした母の膝の上でその影を静かに見つめていた。

 

「ご覧なさい、サーミル。これは王様です」

 母の指先が灯火の前をゆっくりと動く。

 影の王は笑い、手を広げ、民たちの上に光を降らせる。

「サーミル、善き王とはどういうものかわかりますか?」

 視線を彷徨わせよく考えるサーミル。

「──わかりません」

 母は素直なサーミルの言葉に微笑みを浮かべた。

「善き王とは、人々を笑顔にできる者のことを言います。天から賜りし力で私腹を肥やすことは許されません」

「笑顔に?」

「そうです。サーミル……貴方が善き王となれるよう、母は見守っています」

 母の声はやさしく、かすれている。

 少年はうなずき、無邪気に影の王をまねるように笑ってみせた。

 だが母は、その笑顔に微笑み返しながらも、どこか遠い目をしている。

 

 病床の母と、二匹の猫。クリーム色で毛の長いちょこまかと動く小さな子猫と、手触りの良い毛並みで常に落ち着いた様子のすまし顔な黒猫。

 

 思い出す母の表情は、いつも悲しげで憂いを帯びていた。

 

 

●1

 

 呪術高専の寮が建て替え中のため、高専メンバーが寝泊まりしているシェアハウス。

 

 鍋パーティーしようよという呼びかけのはずが、いつのまにか"闇"鍋パーティーになっていた。


 リビングはカーテンを引いて薄暗く、テーブルの真ん中に大きな鍋。照明はハロウィンっぽいランプと、前田まるこの手作りの飾りがチラチラ。

 

 囲むは悟・傑・七海・せいら・そよか。


 皆がお箸で一品ずつ手にしたところ、いかにも「誰が入れたんだそれ」って顔をしている。


手にした具材一覧──


悟:「なんだよこれ、そのへんに生えてる雑草?」


傑:「ほぼ溶けかけてるけど、これはスナック菓子かな?」


せいら:「ふにゃっ!? なんか動いてるこれ!? 声出てない!? なんなのこれっ!!(干からびた呪骸を箸でつまんで涙目)」


そよか:「これ……絶対口に入れたくないやつー(溶けたチョコのついた和牛)」


悟:「馬鹿言え! それはまだ当たりの部類だぞ!」


七海:「これ……羊羹ですよね?(羊羹一本丸々)」

 

「ちゃんと食べられるものにしてって言ったじゃん!」

 ぷるぷる身体を震わせて、全身で怒りを表現するせいら。


「せいら。闇鍋に正解なんてない──楽しむんだ」

 穏やかな顔で微笑む傑。


「呪骸は出汁が出るならまだ検討の余地があるわ」

 せいらが放り投げた呪骸を拾って凝視するそよか。そして、呆れ顔の悟。

 

結局、みんな何を持ち寄ったのか。


• 主に高級食材、国産和牛とか(悟)


• 普通の鍋具材+呪骸の乾燥骨(“旨味出そう”と言い張る傑)


• ビタミン剤数粒と甘くないプロテイン(そよか)


• スナック菓子・羊羹・マシュマロなど(せいら)


• 山菜・豆腐・ちゃんとした出汁(七海)

 

そよか:「栄養バランスを考えたの。あと、色どり」


せいら:「それはバランスって言わないよ!  プロテインのせいで全体的にミルキーな色になってるじゃん!(ぴえん)」


傑:「骨は出汁になる。旨味の正体は恐怖だぞ」


悟:「うまいこと言った風に怖いこと言うなし」

 悟がにやりと笑って立ち上がる。


悟:「せっかくだから俺の“特製呪力スパイス”を入れてみようぜ。闇鍋に呪力ひと振りでドラマ性が上がるからな!」


そよか:「悟、待ちなさい!! 待ちなさいってば!!」


 結局、悟の悪ノリは止められず、粉末状のスパイス(ラベルに“ちょっとだけ強め”と手書き)を鍋にぱらり。

 

──事件発生:呪力スパイスの副作用──


 鍋がふつふつと沸き、湯気が視覚的に濃くなった瞬間、皆の喉元から“溢れる本音”がぽろぽろこぼれ始める!?

 

傑(ふと声が低く):「……俺、最近気付いたんだ。夜、一人でいるときに、無性に寂しくなってる時があるなって」


 傑の言葉に皆が一瞬凍る。傑自身も驚いたように箸を止める。普段の皮肉は消え、素のつぶやきが鍋の湯気に乗る。

 

七海(淡々とした口調のまま):「最近、外にいると皆さんの笑顔を思い出します……ここに帰る理由になっている気がして……危険な任務が増えても必ず帰りたいっていつも思ってます」


せいら(目を丸くして):「ナナミンがそんなこと言うなんて……!」(ふにゃ、と駆け寄って七海に抱きつく)


そよか(冷静だが少し顔が柔らかく):「私は、悟の不器用な優しさと、傑の呪術師としての誇りが好きなのと同時に厄介だなって思ってるの」←場が締まる

 

 そして悟──。


 いつも陽気で強がりな彼の言葉は、湯気の中で一瞬だけ震えた。


悟:「……俺、正直言うと、よくわからないままに突っ走ってることあるんだ。みんながいるから楽しいけど、時々、本当にこれでいいのかって──」


 その瞬間、カウンターに置かれたままだった鍋の蓋が通りすがりの白猫に落とされて大きな音がする。

 

せいら(にこにこ):「これってみんなでいるからこそ悩めるってことだよね。家族みたい〜!」


傑(苦笑):「……そうかもな」


七海:「……火が通った肉を早く取ってください。会話は食後にしましょう」

 

──結末と後片付け──


 結局、鍋は無事に(と言っていいのか)完食し。(出汁用の呪骸以外)


 せいらと遅れて来た灰原雄の懸命なアレンジで“美味しい”と評価された。


天内:「妾も参加したかったのじゃ!!」(←遅れて参加組)


悟(箸を置き): 「……次は俺の自腹で、普通の鍋にするぞ」


傑(ちょっとだけ本音):「悟、君は……鬱陶しいくらいに人を繋ぐな」


そよか(そっと笑う):「そこが悟の良いところよね」


せいら:「そよかー! これの片付け終わったら手芸屋さん行こー?」


そよか:「なんでよ?」


せいら:「すぐるに猫人形作ってあげようと思ってー! さっき一人で寂しい時あるって言ってたからー!」


悟:「そよかも作るの?(そわそわ)」


そよか:「はぁ? なんでよ!?」


悟:「俺も欲しいなー。そよかの手作り黒猫人形」


七海:「そよかさん、私も購入希望です」


冥冥:「近くを通ったから挨拶ついでに立ち寄ってみたけど、興味深い話をしているね。材料費と手数料を上乗せするから私にも数点提供してもらえるかな?」


悟:「冥さん!?」

 

 ──呪力スパイスは五条悟の携帯電話にもかかっていた。

せいら:「うにゃー? さとるーなんかガラケー光ってるよ〜?」

悟:「は?」

 携帯電話を手にして中身を確認する。

悟:「便利アプリ"チャッピー"? なんだこれ? "選ばれしあなたの生活をなんでもサポートします"ぅ? 胡散くせ〜」

冥冥:「面白そうじゃないか。こういうのは使ってみて判断すればいいんだよ。私にも転送よろしく」

 

 

●2

 

 手芸屋さんに到着したせいらとそよか。

「にゃんにゃー! たくさん色んな布があるねぇ。どれにしよー」

 せいらはきょろきょろと布地の棚を見回しながらうろうろしている。

「せいら、まずはどんなものを作るのかイメージを教えて」

 腕組みをしてキリッと顔のそよか。

「イメージ? うーんとぉ、こーんな感じのクリーム色で、ぽてっとした感じの猫人形!!」

 両手の人差し指で輪郭を空中に描いてみせる。

「それは──」

 自身が猫の姿をしていた頃の人形を作りたいんだなとそよかは察した。

「なら生地は向こうのふわふわしたやつがいいんじゃない?」

 ぬいぐるみ用の生地があるあたりを指差す。

「ほんとー? じゃあ行ってみよー」

 

 色とりどりの毛並みの生地が並んでいる。

「ふにゃ? どれもふかふか! いいねぇ……」

 せいらはひとつの生地に目をつけて飛びついた。

「これだー!!」

「これだってそれ黒色じゃない……」

「そりゃあ、そよか用のやつだよー。ほらほら、触ってみてー? とろけるような肌触り〜」

「……確かに悪くないわね」

 指先でちょいと触れた後に、改めて手のひらで触れて微笑むそよか。

「よーし! じゃあ一旦そよかの生地はこれで決まりで、わたしの生地を一緒に探してー?」

「──わかったわ」

 ふっと息を漏らしてそよかは頷いた。

 

「せいら、これは?」

 そよかがクリーム色というよりは少し明るめの色を選んだ。

「ほえ?」

 近付いてきたせいらが覗き込む。

「これなら少し他のものより毛が長いし、イメージが近いと思って……」

 パァとせいらの表情が明るくなる。

「そうだね! これいいかも!」

 せいらは嬉しそうに生地を撫でた。

 

「どうもー」

 そこに現れる補助監督の前田まるこ(非番)。

「あら、前田さん……こんにちは」

「こんにちはー!」

「せいらさん! そよかさん! こんにちは! おふたりが手芸ショップミズサワで買い物していると五条さんから伺いまして! お手伝いに参りました! 作るものは人形と伺っておりますが、間違いないですか?」

 メガネをきらりと光らせながら質問する前田。

「そうでーす! 猫の人形つくるんだ!」

 選んだ生地を掲げるせいら。

「なるほど、生地はもう決まったんですね。

ではここで、人形作りに詳しい専門家をお呼びしましょう」

「ほえ?」

「夜蛾先生〜」

 前田の呼びかけとミズサワの奥からせいらとそよかの担任教師である"夜蛾正道"が現れた。

「はぁ……まったく。こんなところに人を呼び付けて──」

 申し訳なさそうにするそよかとせいらに気付いて軽く咳払いをする。

「ものづくりの基本はいかに自身と向き合うかだ。失敗を恐れず……突き進め!」

「「はい!」」




ここまでご覧いただきありがとうございました。

●メインはpixivで活動しています。
 煌宴編の続きがあるので、
 もし少しでも気に入った方がいれば見にきてください。
https://www.pixiv.net/users/2225877
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