【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅 作:masuda028
世界を越えて、悲劇に抗う物語。
※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。
◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。
●11
砂丘の遥か下、一台の黒いバギーが凄まじいスピードで二人に接近してきた。
「ん?」
バギーは砂煙を上げながら急停止し、黒いターバンの男たちが二人降り立つ。彼らは、そよか目がけて一直線に走り寄ってきた。
「おいおい、随分露骨にそよかを狙ってくるじゃねぇか。そんなんじゃモテないぜ!」
悟は片手で"術式反転・赫"を起動しかけるが、ここは敵地。敵の実力を測るために、あえて術式は使わず、体術で対応することにした。
「チッ、面倒くせぇな。俺のデートの邪魔すんなよ!」
悟は瞬時に黒ターバン二人の動きを見切り、体術だけで制圧にかかる。砂漠に倒れた黒ターバンが砂を握り込み、悟に砂を撒く。
「残念、効かないぜ」
無下限呪術によって防がれた。
その隙に、もう一台、別方向から静かに接近していたドローンタクシーが、砂丘の影から姿を現れる。
ドローンタクシーの音声:「そよか様、安全な場所へお連れします」
黒ターバンの動きは陽動だった。サーミルの狙いは、悟が本気で"そよかを守る"際に、どの程度の呪力と技術を使うかを試すことだ。
「悟! 本命はあっちよ!」
そよかは激しく暴れるラクダのコブを抱きしめながら、近付いてくるドローンを指差す
「はぁ!? 二段構えかよ! なめんな!」
悟は体術で黒ターバンを打ち倒した後、ドローンタクシーへ向けて、あえて呪力は込めずに、強烈な砂を巻き上げる。
(この程度で"最強"のデータを渡すかよ。サーミル、テメェの監視は承知の上だ!)
ドローンタクシーは砂煙に視界を遮られ、急いで離脱。誘拐(?)は失敗に終わった。
砂漠に改めて二人きり。ラクダを降りて砂丘に二人並んで座っている。黒ターバンは気絶、ドローンは遥か彼方。悟は怒りと嫉妬で顔を歪ませ、
「サーミル! 俺のそよかに手ぇ出すなんて、いい度胸してるじゃねぇか……! 絶対に、ぶっ潰す!!」
そよかが悟の顔についた砂を、優しく手とハンカチで払う。
「まったく……無茶をして!」
「……俺がキレなかったら、そよかはまた雰囲気に流されるだろ?」
「そ、そんなこと!」
悟はそよかをいきなり抱きしめ、唇同士をそっと静かに重ねた。そよかの頬が火がついたように赤くなる。
「……さっさと帰るぞ。もう二度とお前を一人にしない」
悟が先に立ち上がり、そよかに手を差し伸べる。
──悟に似たラクダが、再び大きなくしゃみをした。
そよかの手をとるために無下限呪術をきっていたので、悟の後頭部にラクダの飛沫がたくさんかかった。
「さ、悟……」
笑いを堪えて肩を震わせるそよか。
「はぁ……そよかを笑わせるのに、これぐらいのアクシデントは想定の範囲内だ。遠慮なく笑えよ」
●12
男三人にあてがわれた部屋で、作戦会議のため念のため七海は帳を下ろした。
「せいらさんは?」
「よく寝ているよ。サーミルには同情しているところもあるようだけど、本質には気付いているようだから私たちだけで最終調整といこう。冥さん、それで構いませんか?」
「構わないよ。そうしよう。朝から激しい運動でかなり消耗させたようじゃないか。若いね」
「ご、誤解を招くような言い方しないで貰えませんか? 私は──」
「夏油さん……時間は有限ですので」
「…………」
七海: 五条さんから連絡がありました。砂漠でサーミル氏の差し金と思われる襲撃があったとのことです。
冥冥: 彼もいよいよ本気になった証拠だね。五条悟という「商品」の価値を測りかねて、直接データを取りに来たといったところかな。彼のコレクター癖は、単なる趣味の範疇を超えているね。
傑:私も昨夜、少し邸内を調べさせてもらった。……七海、君の見解と照らし合わせたい。
七海: 承知しました。まず、この邸宅には二重の「呪いのフィルター」がかかっています。
一つは、「富と美学の強制」。豪華絢爛さ自体が強力な心理的呪いとして作用し、訪れた者の理性と倫理観を緩めます。
冥冥: それが、せいらを無力化し、そよかの警戒心も揺るがした原因だね。
七海: ええ。そしてもう一つは、より根源的です。邸内の随所に、夜蛾先生の呪骸と似た原理の"愛着の痕跡を宿した呪物"が埋め込まれていました。これらは、サーミル氏の亡くなった母親の"強い愛情と喪失感"を核にしています。
傑: "愛着の呪い"……やはりそうか。私が確認したのは、邸宅中央にある巨大なコレクションルームの地下。そこには、非常に古い、そして強力な"呪いの源"が安置されていた。
七海: それが、サーミル氏の母親が愛したとされる"猫"に関連するものでしょう。彼は、その呪いの力を利用し、"愛着"という感情をコントロールしようとしている。
冥冥: コントロールね。せいらやそよかが作った猫人形は、彼にとって"愛着の再現可能モデル"だ。彼女たちの"愛を創造する能力"そのものが、彼のコレクションに加えたい"商品"なんだろう。そして、彼はそれを量産したい。
七海: その通りです。そして、最も危険なのは、彼の周囲に呪術師の気配が全くないことです。彼の財力と呪いの力があまりにも大きすぎるため、通常の呪術師は彼に近づくことさえできない。
傑: 敵が五条悟の呪力データを欲している今、今夜の宴席は単なる社交場にはならないだろうな。おそらく、私たちの中から"愛着の能力を持つ者"か、"五条悟の呪力"を物理的に奪うための術式的な罠が仕掛けられるはずだ。
七海: 昨晩女性陣を一部屋に集めたのは正解でしたね。夏油さん、夜間の調査で警備の穴は見つかりましたか?
傑: あぁ、この邸宅には悟の"六眼"でも容易に探れない、"愛着の呪い"で満たされた特殊な結界領域が存在する。そこが、おそらく彼にとっての"絶対安全地帯"だろう。
冥冥: なるほど。では、私たちの作戦は決まったね。今夜、私たちは"商品"の価値と、"愛着の呪い"の根源を、同時に暴いて祓う必要がある。
──正式な依頼ではないのが残念だよ。
七海: ──それでは準備を開始しましょう。間もなく宴の時間です。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
●メインはpixivで活動しています。
煌宴編の続きがあるので、
もし少しでも気に入った方がいれば見にきてください。
https://www.pixiv.net/users/2225877