【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

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【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗う物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


76炎陽編 17・18:純白の暴露と照れる麒麟児、二匹のゴリラとバナナで休戦

●17

 

「おい、面貸せ」

「はぁ? 真希ちゃーん。どないしたん?」

 ふにゃっ!? うにゃっ!? っと白無垢を着せられ、きょろきょろしているせいらを視界に入れた禪院真希が、禪院直哉の腕を掴み部屋の外へと連れ出したのは、ほぼ同タイミングだった。

「親族の結婚だっていうから帰ってきたが、何してくれてんだよお前は!! せいらは既婚者だろ!!」

「何を今更、真希ちゃん知らんのぉ? 呪術師であれば、今は一妻多夫・一夫多妻も許されとるんやで?」

「いや、相手! せいらの相手を考えろ! 夏油さんだぞ! あの特級の!!」

「知っとるよ? せいらの夫になるには条件がある言うとったけど、俺はちゃーんと条件達成したんやで? えらいやろ?」

「──ま!!」

 驚愕に目を見開く真希。

「……せいらは納得してんのかよ」

「夏油かて卑怯な手ぇでせいらを囲ったっちゅー話やからな、俺も今日はせいらのお披露目……美味いもん食べて仲良くしようやって会のつもりや」

「くっ──」

「なんや? まさか普段世話焼いてる直哉兄ちゃんの味方でのうて、夏油の味方するとでも言いたそうやなぁ? ええんか? 俺に味方しとけば、真希ちゃんかて、いずれ乙骨君のお嫁さんになれるかもしれんのに──」

「はっ、はぁっ!? なんでここで憂太の名前が出てくんだよ!! ふざけんな!!」

 顔を赤くして背ける真希。

「……一妻多夫なんて、おじさんは一夫多妻の方を選ぶと思ってたけどな」

 続けてぽつりと真希が言うと、直哉からの言葉は途切れた。

「?」

 真希が視線を直哉へ戻すと、彼は顔を赤くして少しだけむっとした顔をしている。

「──しゃーないやん。……せいらだけなんやから」

「な、何がだよ……」

 つられて少し赤くなる真希。

 部屋の中から直哉が呼ばれ、二人の会話はここでお開きとなった。

 

 直哉が部屋に戻ると、父の直毘人をはじめ禪院家に名を連ねる男連中に囲まれていた。

「それで? 直哉のどこが好きなんだ?」

「なおちゃんの好きなとこぉ?」

 既に"なおちゃん"と呼んでいることを知り、男たちはにやにや笑いが止まらない。

「えっとねぇ、自分に正直ではっきり言えるところとかー。褒めてあげると顔を真っ赤にして喜ぶところとかー」

 ほぉほぉ、それでそれでと相槌も止まらない。

 にやけ顔で囲んでくる男衆を前に、せいらは白無垢姿のまま特別気にした様子もなく続けた。

「あとねぇ……困ってる人がいたら、なんやかんや言いながら助けちゃうところとか! なおちゃんって優しいよねっ!! それから〜」

 にっこりと無垢な笑顔を振り撒く。男連中は眩しそうに目を細めた。

 そんなやり取りを見て、直哉は一瞬で耳まで真っ赤になる。

「や、やめぇやお前ッ……! そんなん言うたら、みんな勘違いするやろ!!」

「ほえ?」

 きょとんとするせいら。

 にやにや笑いの男連中が直哉に、

「事実やろぉ?」

「あの直哉が照れとるわ」

「ほぉ〜〜直哉にそんな一面がのぅ」

 直哉はますます真っ赤になり、周囲の男たちは完全に面白がっていた。

 

 

●18

 

 高専の屋上でのやり取りから直ぐに、悟は私を連れて七海さんのところへやってきた。

「──で? 七海は"俺のそよか"と、どうしても結婚したいんだって?」

 開口一番の爆弾。

 リビングのソファに座った悟が、六眼を光らせながら正座した建人さんに声をかけている。

「悟、やめなさい。建人さん、悟はソファに座っているんだから正座する必要は──」

 建人さんは額に手を当て、一拍置いてから淡々と返す。

「五条さん。そよかさんは“あなたの”ではありません。そよかさんご自身が──」

「え〜? でもさぁ、そよかは俺と一緒にいられたら幸せでしょ?」

「……五条さん、話を聞いてください」

「悟、それは──」

 悟は聞く気ゼロの笑顔。

「じゃ、条件ね。まず正夫は俺。五条悟に五条そよか、七海も五条建人になる?」

「それもひとつの手ですが、一妻多夫の場合はそよかさんは五条そよか……七海そよか、状況に応じて使い分ける方が良いのではないでしょうか」

「ふーん。なるほどね」

 建人さんの返答は氷点下のトーンだが、悟はまるで聞かない。

「次は俺がそよかと一緒にいたい時は、七海が俺の任務全部受けること」

「は?」

「だから、俺のオフ時間を邪魔させないように、七海が働くの」

「働く、というか……それは業務の押しつけでは?」

 建人さんの眉間の皺が、さっきより一本増えた。

 

 あぁ、ダメだ。悟は的確に建人さんの地雷を踏んでいく……一体どうしたら? 私は以前せいらと会話した内容を思い出した。

「うにゃー? さとるとななみんタイプの違う二人に好かれて困るぅ?」

 きゅるんとせいらは小首を傾げる。

「そうといえばそうだけど、認めたくない──」

 頭を抱えて机に突っ伏している私を見て、せいらはケラケラ笑っていた。

「そよかは悩みすぎなんだよー。好かれてるっていうのはいいことなんだよ?」

「なんでよ」

「それにー、さとるとななみんのタイプが違うってそよかは思ってるみたいだけどー、二人とも同じタイプだからね?」

「!?」

「え? わかんない? 」

 びっくりしつつも頷く。

「さとるもななみんもー。"ゴリラ"だから」

「は?」

 悟と建人さんの顔をしたゴリラが、私の脳内で胸を叩き"ドラミング"を始める。

「ちょ、ちょっと待ってゴリラ? ゴリラってあの?」

「そうそう。黒くてムキムキのゴリラ。さとるは最強やんちゃゴリラでー。ななみんは委員長系かしこいゴリラ」

 ぶふぉと吹き出して笑ってしまった。

「好きになったメスのためなら頑張っちゃうわけよー」

 ずびしとせいらが私を指差す。

「な、なによそれ……」

「いや、だからさー。二人が言い合いを始めたら困ったーってなるんじゃなくて、またゴリラがなんか言い合ってるわーって思った方が気が楽でしょって話。だからね!」

 こしょこしょとせいらが耳打ちする。

 

「それから──そよかは毎日、俺に3回以上キス すること」

「……五条さん」

 ぴし、と空気が凍る。

「あなたは私を怒らせたいんですか?」

 二人が会話をしている場所に私は戻ってきた。もぐもぐ……

「ん? そよか?」

 両手に抱えたバナナのふさからバナナを一本手に取って皮を剥く。悟の前に差し出すと、

「あぁ、ありがとう」

 同じようにバナナの皮を剥いて建人さんの前にも差し出した。

「ありがとうございます……」

「キス3回以上は悟にするなら建人さんにもするけど?」

「なんでだよ!」

「だって悟とだけ結婚するわけじゃないもの! それに、悟にしか対応できない任務を、建人さんに任せるのは駄目よ」

「……そりゃわかってるけどさぁ──」

 悟がバナナを咥えたまま不服そうに私を見る。

「キスは俺だけでよくない?」

「なんでよ」

「なんでって……! だって俺だよ?」

「理由になってないわ」

 ぶすっと返すと、悟はむぅっと頬を膨らませた。

 建人さんは静かにバナナを手にしながら、

「五条さん。あなたの条件は“独占”に偏りすぎです。そよかさんを中心に考えていない」

「いや、俺はそよかが幸せを──」

「言葉と行動が一致していません」

 ずしん、と見えない重みが悟に落ちる。悟の眉がわずかに下がり、子供みたいに視線を逸らした。

「……じゃあ、七海はどうすんの?」

 小さくぼそっと。完全にしょげた声。建人さんは少しだけ目を細める。

「私は──そよかさんが望む形に従います。私を選ばないと言うなら、それも受け入れる……ですが、あなたのように“条件”で縛る気はない」

 悟は黙り込んだ。

「悟?」

 私は悟の隣に腰を下ろし、肩をつつく。

「ねぇ、悟。私はね。二人とも好き」

「…………」

「だからどちらか一人だけを特別扱いする形じゃ、私がしぼんじゃうの。力も、生活も、想いも違うんだから、お互いに譲れるところは譲って、無理なところは無理って言ってほしい」

 悟がこちらを見る。六眼の光が、ほんの少し弱くなる。

「そよか……俺のこと嫌い?」

「好きだって言ってるじゃない」

「じゃあ……離れたくない」

「離れないわよ」

「七海は?」

 悟がちらっと横目で睨む。建人さんは落ち着いた声で答えた。

「私は“そよかさんが望む限り”離れません」

 悟の顔がくしゃっと歪んだ。

「……負けたくねぇ」

「勝ち負けの話じゃないの」

 私は悟の手を取って、ゆっくり握る。

「二人とも、私の“味方”でいてくれるならいいわ。ううん。味方でなくてもいい。ただ幸せで笑っていてほしい。悟が勝ちたいなら、勝手に私のことで七海さんに張り合わないこと」

 悟が「う……」と唸った。建人さんが静かに補足する。

「そよかさんを振り回すのではなく、守る方に回ってください。あなたが本気を出せば、それは容易でしょう」

 悟はぽりぽりと頭を掻いたあと──

「……わかったよ。そよかの夫は俺だけど」

「え?」

「七海も夫でいいよ」

「いや、言い方をどうにかしてください」

 建人さんが即座に訂正を入れる。

「じゃあさ! とりあえず三人一緒に暮らすか!」

「それでいいのかしら……」

「わざわざ居住場所を分けるのは得策とはいえませんね」

 思わず笑ってしまう。でも、胸の奥がふっと軽くなった。みんなで穏やかに微笑み合う時間が、これからも続くといいなと思っていた。




ここまでご覧いただきありがとうございました。

●メインはpixivで活動しています。
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