【本編完結】旅する物語 異世界探訪 五条悟との邂逅   作:masuda028

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【呪術廻戦/五条悟/煉獄杏寿郎】
世界を越えて、悲劇に抗う物語。

※本作は『呪術廻戦』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


09黎明編 17・18:カップリング成立の朝と暗転する結界、膝枕で交わした約束と努力した天才の勝機

●17

 

 ──なんか……あったんじゃな?

 ホテルで朝食を食べる妾の護衛四人を見つめる。

「おはよう! りこちゃん!」

「おはようなのじゃ!」

 じーっと、見つめて何があったのかを推測していた。前髪の……えぇと夏油といったか? 目が赤いの……あれはフラれたか? 可哀想に……どうせ夜通し泣いて枕を濡らしたのじゃろ。せいらはまったく動じておらんな。これはせいらにフラれて泣き明かしたということか──不憫じゃ……。

 そして白い頭のグラサンは五条だったか? そよかに朝からこっぴどく言われておるが、にやにやしておる。これは告白→OKの流れか!? カップリング成立!! そよかの彼ぴに……ふふっ、やりおったの!!

 サックサクのトーストを口に頬張りながらも、妾は一挙一動を見守っている。ふふふ。人の恋路とはかくも面白いものじゃ。

「理子さん?」

「なーに朝からにやにやしてんだよ。昨日の暑さに頭の中までボイルされちまったか?」

「何を言うておる! 妾はいたって正常じゃ! むしろ主ら! 昨夜は何かあった! 苦しゅうない! 妾に報告せよ!」

「えー? 昨日はねー」

 頬を赤らめるせいら。おぉ!?

「ずっとカードゲーム勝負をしていたのよ」

 相変わらず表情が読めぬそよか。

「そんで傑が負けて、からし入りシュークリームの山を食べることになってまだ涙目なんだよなー?」

 にやにや笑いの五条が夏油の肩に腕をのせる。なんじゃとー!? ずっこーーーッ!! 心の中で派手にひっくり返った。

 

──

 

 ──呪術高専、まもなく高専結界の中に入る。

 沖縄からの移動はスムーズだった。そよかと二人並んで座って、見えないところで手を繋いだりして。

 

「……なんでずっと俺の後ろにいるんだよ」

 呪術高専への長い階段をそよかは俺の後ろについて登っている。

「昨日からずっと術式を解いていないでしょう? もし立ちくらみでもしたら大変だわ──なんて……私が悟の前を登っていたら、スカート裾が気になって仕方がないでしょうに」

 そんなわけあるかい!

「悟の行動がよまれているな」

 そよかにつられるように傑もみんな微笑んでいた。

 

 そしてようやく結界内に入る。

「みんな、お疲れ様」

「高専ついたぞー!!」

 傑の横で、せいらが両手を振り上げて無邪気に喜び。

「これで一安心じゃな」

「ですね」

 天内と黒井さんが顔を見合わせて微笑みあった。

「悟、本当にお疲れ」

 傑の労りの言葉を受けてようやく術式を解く。

「もう二度と御免だ。ガキのお守りなんて」

「さt──」

 背中に感じた衝撃、そよかに名前を呼ばれたような気がして振り返った。そよかが意識を失い倒れ込んでくるのを咄嗟に抱き止める。襲撃された? ここは高専結界の中だぞ?

「あーぁ、随分と勘のいいお嬢ちゃんだ。

一番の好機だったのに呪術師一人を行動不能する程度にしちまいやがった。それとも俺の腕が落ちたかな……」

「あんた……どっかで会ったか?」

 襲撃者の男の顔……うっすらと見覚えがあった。

「気にすんな。俺も苦手だ。男の名前を覚えんのは」

 不敵に笑う男に向かって、呪力を放つと男の身体は空中に吹っ飛んでいく。タイミングを合わせ傑は呪霊を飛ばし、その呪霊は大きな口をあけて男を呑み込んだ。

「そよか!!」

 俺の呼びかけに応じることなく、そよかはぐったりと身体を預けたまま動かない。

「そよか!」

 せいらが走り寄ってきた。

「傑、天内優先! 先に行け!

 ──せいら、そよかを頼む!」

「はいっ」

 せいらがすぐさまそよかを背負い、傑と共にその場から離脱する。その背中を見送りながら、胸の奥に妙なざわめきが残っていた。そよかの顔色は悪くなかった。傷も、見えなかった。無事、無事だ。今はそう考えよう。

 傑の呪霊に呑み込まれても、顔色ひとつ変えず男は呪霊を切り裂いて姿を現した。

 

 

●18

 

「──悟? 本当に眠らないつもり?」

 沖縄での夜、浴衣に着替えたそよかが声をかけてきた。

「俺が寝たら術式が解けるだろ……せめてお前らだけでも少しは休めよ」

「そうね。でも、あなたも少しは横になったら?」

 ベッドの上に座り、自分の太もものあたりをぽんぽんとたたいてみせる。

「……」

 ごろりとそよかの膝に頭をのせると、反転術式を展開しはじめる。ショートしかけてる頭が、ひんやりと冷やされるような心地良さを感じた。

「目を閉じて横になっていれば多少は身体も休まるわ。寝息に変わるようなら鼻を摘んで起こしてあげる」

 俺の顔を覗き込み、いたずらっぽく微笑むそよか。

「どうせなら……」

 ごにょごにょと言い淀む。

「何よ?」

 耳を近付けてきたそよかの耳元で、

「キスして起こせばいいだろ」

「十年早い!」

 べしりと額を叩かれる。

「十年!? 五年かせめて二年ぐらいにならないか?」

「……考えておくわ」

 しばらくの静寂。

「──悟、どんなことにも理由があるのよ」

「うん? あぁ……」

「どうして理子さんの懸賞金に時間制限があるのか、本来なら同化の直前まで機会を窺ってもおかしくはないでしょ?」

「そうだな。確かに……」

「ありのままに受け入れるのではなく、どうしてそうなのかをよく考えて──」

 そよかに優しく頭を撫でられる。

 懐かしい感覚だった。

 

 

 男はさっき手にしていた刀とは違う刀を手にしている。そして身体に巻き付いている妙な形の呪霊。

「懸賞金目当ての追手……じゃあねぇな。あんたが親玉か」

「ほぅ? 飼い殺された能力ばかりのぼんぼんにしては、ちったぁ頭がまわるようだな」

 男はにやりと笑って、得意げにネタバラシを始めた。そよかの言っていたなぜそうなるのかが、ここではっきりとわかる。ともすれば、俺が油断したり何かの理由で術式が切れることを予想して、そよかはずっと俺の背後にいたわけだ。

「なんだその──苦虫でも噛み潰したような顔は。

安心しろ、すぐに終わらせてやるよ──」

 男は大胆に切り込んできた。容易に近づけさせるか! 呪力で男を押し返す。

 考えろ、考えろ、この男の思考を──何を狙ってる。何を知っていて、何が出来るのかを!

 

 

 じりじりと暑い夏の日。俺は外で遊びたかったけど、そよかに連れられて家の図書室で勉強することになった。

「悟、起きなさい」

 開始数分、眠りについた俺の頭を本で叩く。

「勉強なんてしたって無駄じゃん。俺、最強なんだし」

「馬鹿ね。ホント馬鹿」

 大きなため息をついてそよかは言う。

「はぁ!?」

「ただの天才と、努力した天才ならどっちが勝つと思うの?」

「なんだよそれ、ただの天才と努力した天才だって?」

「同じ天才なら、少しでも何か多く行動した方、知恵を深めた方、ほんの少しの経験ですら勝敗を分けるのよ。

最強だからと胡座をかいていたら、いつかその油断で命を落とすわよ──」

 

 

 激しい戦闘が続いた。俺は目の前の男に勝たなければならない。勝たなければ、みんなが危険に晒される。

 

 焦燥。そよかは常に冷静でいろと言っていた。

 その事すら、その時の俺は忘れてしまっていた。

 

 周囲の建物を『蒼』で薙ぎ払うと、男の気配も呪霊の気配も見失った。森に隠れているのか、大量の飛行呪霊が羽音を立てて森から俺の周囲に飛来してくる。




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