○○○○勢マスター   作:花垣

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○○○○マスターの集い──ギデオンにて ……and.模擬戦、グレート・ジェノサイド・マックス

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──人ならざる、しかし、人である影達が集まっていた。

 

 

 

 

「なんなんですのっ⁈この集まりは⁉︎」

 

 

 

 

 一人目は肉食恐竜の骨格──を模した、否、プリントした体躯の首元からその顔を出している。

 “夜蜘蛛”の曼珠沙華死音。

 身を包むのは【Q極きぐるみシリーズ どらぐめいる】。

 

 

 

 

「まー、ドヤ顔で着てみせたから笑っちゃったけどさ?普通に居るよって事だよ」

 

 

 

 

 二人目は所々に鰭を付け、手足には爪もある半陸棲の海竜──デフォルメ気味のその喉からすっぽり顔を出している。

 “流浪金海”のチェルシー。

 身を包むのは『爪鰭竜顔出し着ぐるみ』。

 

 

 

 

「写真、写真撮ろっ?」

 

 

 

 

 三人目は黒の短髪、清潔感のある白装束を着て目を伏した天使──ぱくりと開けられたその口にいつになくキラキラした顔を嵌めて出している。

 “黒鴉”のジュリエット。

 身を包むのは『天使装束・クロ』。

 

 

 

 

「……オレはすげー奴と戦えるって聞いて来たんだが」

 

 

 

 

 四人目は熊のような獣──だが、頸部など人と分かる部分の方が多く『…………あとこれなんかオレだけ本気じゃねーみたいじゃねーか』という内心を隠した顔ももちろん晒されている。

 天地から移籍したアルター王国新進のランカー、グレート・ジェノサイド・マックス。

 身を包むは、『びーすときぐるみ(Sサイズ)』。

 

 

 

 

『ふむ……、……どなたでございましょうかね備中様?』

 

「……ジュリエットじゃないのかっ……?」

 

『いや備中様、マックス様はもうジュリエット様とは戦っておられるようでございますよ……』

 

「そ、そうだったのか、すまん」

 

 

 

 

 最後の一人は二又帽子を被った女道化師のあーんと開けた口から顔を覗かせ──二(・)人(・)で(・)喋(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)。

 “無冠の弓手”、備中ロア。

 身を包むのは、この中で唯一自らの意思を持ち、喋り、動ける、【Q(・)極(・)き(・)ぐ(・)る(・)み(・)シ(・)リ(・)ー(・)ズ(・) くらう】ことクラウ。

 

 

 

 

『……まあ何はともあれ写真撮影にございましょう。やはりマックス様が一番前で?』

 

「うんっ!」

 

「はあっ⁈」

 

「私は写りませんわー‼︎」

 

「まー、まー、……もう手遅れだよ、死音?」

 

「ジュリエットはばら撒くような奴じゃないとは、し、知っているだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

『では』

 

「「「「チーズ……!」」」」

 

 

 

 

 これは、決闘都市ギデオンで執り行われた着ぐるみマスターの集いである──!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで。

 

 

 

 

「このお団子いいじゃん!いくらでもいけそう!」

 

「そう言って貰えるのは有り難いよ」

 

 

 

 

 お菓子を食べたり、

 

 

 

 

「ぎゅーってしよっ?ぎゅーって」

 

「……応」

 

『ではマックス様もご一緒に』

 

「お、おぅ……(普通に喋ってんな……)」

 

 

 

 

 ハグし合ったり、

 

 

 

 

「これは……、……これはっ……」

 

「さーて、死音さんの判定はー?」

 

「……エレガントじゃありませんわ〜!」

 

「あーっ、残ねーん」

 

「次はこれっ、どうかな?」

 

 

 

 

 着ぐるみ用の衣装でファッションショーをしたりした、

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、やろうか」

 

 

 

 

 二時間程後。

 貸し出された闘技場にて。

 

 

 

 

「…………‼︎」

 

 

 

 

 髪を靡かせる備中とマックスが対峙していた。

 マックスを着ぐるみの集いに参加させる為、セッティングされた備中とマックスの模擬戦。

 

 

 

 

「さて、どうなるかなー」

 

「……奮闘を……!(……頑張れ……!)」

 

「今日こそ見抜いてみせますわ……!」

 

 

 公式の順位戦など、双方の対戦カードに今まで無かった一戦を、まだ天使の中にいるジュリエット、頭だけ着ぐるみを脱いだチェルシー、早々に着ぐるみを脱いだ死音が見守る。

 

 

 

 

「(……クッ、ソ……‼︎)」

 

 

 死(・)音(・)共(・)々(・)着ぐるみは脱いでいるマックスは──、──戦う者として対峙した途端ずっ、と増す備中の圧力に歯噛みした。

 

 

 

 

「(重兵衛(じゅうべえ)と同じ……‼︎……いや、上、なのか……?)」

 

 

 

 

 後ろに括った長髪、肩鎧、手袋に袴、天地ではありふれた格好だ。

 ──……天地にもこんな圧力を出せる存在は居なかった。

 ……まるで厚い曇り空のように、どんより、重く、緩やかで、柔く……不吉だ。

 マックスが知る、天地決闘ランキング四位華牙(かが)重兵衛(じゅうべえ)を始めとした殺意と戦意に満ち満ちた存在達とは違う。

 確かに戦いを楽しんでる気配はするのに。

 

 

 

 

「(──……上等だっ‼︎勝って、超えてやるっ……!)」

 

 

 

 

 ──だが、だからこそ意気を締め直した。

 “無冠の弓手”何するものぞ、と。

 

 

 

 

「じゃあ始めるよーっ?」

 

 

 

 

 そして、チェルシーの合図で結界が展開すると同時に、

 

 

 

 

「《狂刃(イ)》」

 

 

 

 

 自らのエンブリオ、【獣央群刃(じゅうおうむじん) イペタム】の必殺スキルを宣言──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《よ、(ペ)》──」

 

 

 

 

 時が、引き延ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 備中の唇が歪むのが映った気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──だがそれも、ぶわりと、鉄砲水のスローモーションのように溢れ出た無数の矢の向こうに消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「《血を(タ)》……⁉︎」

 

 

 

 

 引き延ばされた時の中でマックスは目を見開き──、

 

 

 

 

 

 

 

 

「……《啜れ(ム)》ッ‼︎」

 

 

 

 

 ──必殺スキルを発動しきった。

 

 

 

 

 百本の刃が熊に似た姿の獣、イペタムの背から飛ぶ。

 それは血に飢える剣群の飛翔。

 

 

 

 

 ──……だが百の鮮血を撒き散らせるその飛翔は矢の濁流にあっさり飲み干された。

 しかし、僅かにその勢いの弱まった部分が生まれる。

 

 

 

 

「──ッ」

 

 

 

 

 そこにマックスは突っ込んだ。

 両手の剣を速さの限りに振るい、矢の濁流を掻き分けて行く。

 

 

 ……だが、百刃に殺された勢いは瞬く間に蘇り──、

 

 

 

 

 

 

 

 

『──ギャ』

 

 

 ──イペタムが主の盾となった。

 その心意気を濁流は存分に叶えた。

 ドドドドドドドドドドッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎と豪雨の如き間断無き轟音を以ってその体表に一分の隙間も無く矢が突き立つ。

 

 

「ーー‼︎」

 

 

 だが、その隙を縫ってマックスは声にならない叫びを上げ四肢を失いながら飛び出した。

 備中の立ち位置まであと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 四肢を失いながら?

 

 

 

 

 

 

 

 

「──」

 

 

 

 

 空白となった思考を頭蓋ごと鏃が射抜く。

 死亡が判定されるまでの一瞬でマックスの体表に夥しい数の矢が突き立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………完敗だ」

 

『ギャウ……』

 

 

 ……模擬戦が終わり、完膚無きまでの敗北感をマックスは噛み締めていた。

 超級職に就いてないというのが冗談としか思えない桁外れの矢量(射撃間隔)に、気付かれぬ間に四肢を奪っていた謎の技。

 ……相手の立つ高みが嫌でも分かる一戦だった。

 

 

 

 

「……才気の、片鱗……」

 

「はーっ……、やるじゃんマックス……」

 

「くぅう〜……」

 

 

「……ん?」

 

 

 ……だが観客を見るとなにやら思っていた反応と違う。

 関心し、悔しがっている。

 

 

 

 

「備中のあれを初見であそこまで行けるのはすごいよ、マックス」

 

「然り、賛辞と激励を‼︎(そうだよ、すごかったしもっとやれるよ‼︎)」

 

「そ、そうなのか?」

 

「ランカーでもあれをさばけるのは少ないよー、ジュリが奥義と必殺スキル重ねてやっとだもん。死音に至っては相性が悪過ぎてどうにもできないしさぁー?」

 

「ぐぬぬぬぬぬぬ……」

 

「お、おう……」

 

 

 図らずもなんかすごい事をやってしまったらしいとマックスは気が付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これは褒め称えないといけませんなぁ〜?」

 

「うん!『ボクもそう思うよ』」

 

「日本の騎馬戦スタイルならいい具合に担ぎ上げられるんじゃないか?」

 

『では紙吹雪など撒いてはいかがでしょうか?』

 

「……おいお前ら?」

 

「なんの話ですのっ⁉︎」

 

 

 ……そして、着ぐるみ達の悪ノリの気配を感じ取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 が、時遅く。

 

 

 

 

 

 

 

「「「わーっしょい‼︎わーっしょい!」」」

 

「……っ」

 

 

 その日ギデオンでは三人の着ぐるみに担がれ、紙吹雪をかけられながら褒め称えられる某ランカーの小さな行列が見られたと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ『クロが生まれた日』

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイテムボックスから取り出したその身体を身に着ける。

 手足を入れて、翼を仕舞う。

 

 

 背中のファスナーを閉めたら……、頭を被る。

 すっぽりと。

 

 

 そうして覗く鏡は、伏せられた黒いまつ毛の目に黒い短髪、白い衣装に白い翼のかわいらしい天使を映し出していた。

 

 

 

 

『わぁ──、あっ』

 

 

 

 

 外に届く声も変わって。

 

 

 

 

『んんっ、……ボクはクロ。天使のクロだよ』

 

 

 

 

 その日ジュリエットは着ぐるみ天使の『クロ』になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『初めまして、だね。ボクはクロ。天使なんだ』

 

『お初にお目にかかりますでございます、ワタクシ道化師のクラウと申します』

 

『(わあっ、わぁっ‼︎)──よろしくね、クラウ』

 

 

 ──そもそも、ジュリエットがこうして全身を包み、変声機能で声さえ変わってしまう着ぐるみをオーダーメイドしたのはこのクラウが居たからだ。

 何度もオーリナ館を訪れ、クラウとふれあう内、一つの欲求が生まれたのだ。

 『私もクラウみたいな着ぐるみになってみたい……!』と。

 

 

 それは備中とは関係無しに自律しているクラウのように、着ぐるみとして、『ジュリエット』からは独立した存在にしたかった。

 だから作り出すキャラクターは『ジュリエット』とは正反対にした。

 白い長髪に黒い翼のジュリエットに対し、黒い短髪に白い翼。

 黒い衣装のジュリエットに対し、白い衣装。

 オッドアイが目立つジュリエットに対し、伏せて隠された目。

 本名の『樹里(じゅり)』が由来のジュリエットに対し、『黒崎(くろさき)』を由来にして──名前はクロ。

 

 

 喋る着ぐるみとなる為に、変声機能を付与してもらい、クロのキャラクターを作り込み、なりきる為の練習もした。

 

 

 

 

『はい、こちらこそよろしくでございます、クロ様。……それではハグと参りましょうか?』

 

『えっ。……いいの?』

 

『もちろんでございますよ、ハグしたそうなご様子でございましたし。さ』

 

『じゃ、じゃあ……。……んっ(……わぁ〜っ‼︎)』

 

 

 その甲斐あって、クロはクロとして振る舞い、着ぐるみとしてクラウと触れ合えている。

 ──クロの裡で着ぐるみになったジュリエットはキラキラと喜び、【フレーズヴェルグ】を入れたクロの翼はぴこぴこ動く。

 

 

 

 

『……ありがとう、とっても幸せだよ』

 

『こちらこそ、とても心地良い抱擁でございました』

 

 

 

 

 クロという天使は幸せの中に生まれ落ちたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









|死音
 天運か、必然によって『関連作品初の顔出し着ぐるみの特典武具ドロップ』『関連作品初の女性への着ぐるみ特典武具のドロップ』を切り開いた偉大なるお方。


 ……戦争編では【どらぐめいる】、着なかったなぁ……。
 ……クロレコ3巻カバー下で示唆された変形、しなかったなぁ……。


 ……。
 ……備中の弓は何かインチキしてると思って機会があるたびじっと観察してるが全く証拠を見つけられない。
 当然である。


|ジュリエット
 クラウがかわいすぎて自分も着ぐるみになる事にした。
 今回の着ぐるみの集いを主催した。
 かわいい。

|クロ
 ジュリエットがオーダーメイドした天使の着ぐるみ。
 ボクっ子。
 中の人であるジュリエットは某【アルマゲスト】の人の如くノート一冊分の設定を(ノリノリで)書き上げた。
 そしてクロの中ではジュリエットがめっちゃかわいくキラキラしてる。
 初回は大人しかったし、そもそも控えめな性格である設定だが、ジュリエットがなりきりに慣れると中二病な設定が端々に浮かんでくる。
 口を開けてジュリエットの顔を出す顔出し着ぐるみモードもある。

|チェルシー
 着ぐるみはキオーラで買った既製品。
 普通に楽しんで、ノッて、悪ノリしている。

|マックス
 着ぐるみ……?はクロウ・レコードの扉絵で着てたやつ。
 他の面々と並ぶとボリューム不足。
 正直あれは本当に着ぐるみなのか……。

|備中
 着ぐるみはご存じクラウ。
 じんわり顔出し状態を見せてきている。

 順調にヤバくなって来ている。
 矢の濁流はSTR・AGI・DEXの全てを使い日々の鍛錬で極められ続ける……、……ただの速射による結果。
 ……なのでSP・MPの消費なく矢が尽きるまであれを続けられる。
 物理的な阻止能力の低い死音や手数や攻撃範囲が足りないライザーなど、順位で上回るランカーにも対処できない者はいる。
 その上で静謐の弓射や【キショウ】の必殺スキルも飛んで来る。
 マックスが初見で若干さばけたのは本当にすごい事。

|クラウ
 古代伝説級に進化している。
 よく気遣いのできる着ぐるみ。

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