○○○○勢マスター 作:花垣
また、赤バー……。
ランキングにも、入った……。
……ありがとうございますっ!
大陸南西。
七大国家の一つに数えられるレジェンダリア。
其処は神秘の国だ。
自然魔力の高さが様々な現象を引き起こし、マジックアイテムの作成にまで恩恵を与える。
花々や木々は色とりどりに繁り、エレメンタルや精霊が空中を舞う。
地球では
「あっ!ウサギさんだー!」
「わー‼︎」
それは街中でも変わらない。
故にいかにもマスコットな着ぐるみのウサギが愛嬌を振り撒くのも、然程浮いたものではなかった。
「おーこの街にもいるんだあのウサギさん」
「
男二人組のマスターが雑談しながらそれを眺めている。
「てかあれ
「バッカそれ禁句だろ⁈」
そしてその話題は『着ぐるみのマスコット』という共有の幻想を味わう者達にとっての禁句へと移る。
「いやだって気になんだろーよ?あんないかにも女子供に好かれそうな格好、中に変態が入ってない方がおかしーだろ?」
「そんなん子どもが気付かない訳ねーだろ⁈敏感なんだよ、子どもってのは!」
「そうか?ロリショタ仮面とかその辺噛んでるって
「あの人が変態性を隠しもしないのは少年以上からだよ!あれで子供の前には出ねーよ‼︎」
「じゃあそれ隠すのに着ぐるみ使ってんかもしれねーじゃねーか」
「だから子供は繊細なんだよ……!」
……だがその禁句はレジェンダリアの者達にとっては掘り返しに掘り返され、未だ何の証拠も答えも出ずにまた掘り返される話である。
ふっくらとした体型と笑い顔に隠されて、体型体格人相人物老若男女、いやそもそもマスターかティアンか、或いは装備品かエンブリオかモンスターかも件のウサギは明らかになっていない。
ジョブでの鑑定や看破が通じず、後をつけてもいつの間にか撒かれ、エンブリオの解析は上手い事条件を回避されてしまう為、分かっているのは『恐らくエンブリオか、エンブリオの影響を受けた装備を着ている何者か』という曖昧過ぎる事だけだ。
そしてその『何者か』が誰かについても、『有名人のお忍び』『政府の密偵』『HENTAIの偽装』『運営』『ほんとにただ子供が好きなだけの人』などなど百家争鳴の有り様であった。
「……てかあいつら遅せーな」
「……だな。なんかあったか……?」
……だが二人組にとっての関心は、未だ待ち合わせに現れない仲間の事へと向かう。
そもそも彼らは
テレパシーの一つも……、
『──おい‼︎スマン‼︎ヤベェ‼︎』
と、テレパシーカフスに声が届き──。
──
「「は、──ああぁっ……⁈」」
『──GyaKEEEEEEE‼︎』
そうして間を置かずここまで突っ込んで来たのは純竜級──否、上位純竜級のモンスター、【ハイ・ブラッドリリィ・フラワードラゴン】。
様々な亜種・生態を持つ地竜種、【
「ち、〈血百合〉……」
殊更高い凶暴性と残虐性でレジェンダリアに悪名を馳せるモンスター種の一つだ。
「‼︎ヤバいぞ!子供達が‼︎」
「!そうだ‼︎」
それも『
『……Gye⁈』
「へ、?」
──
「え?」
すかさず飛び込んで来るのは、先程まで愛嬌を振りまいていた着ぐるみのウサギ。
『Gye!e、⁉︎』
【ハイ・ブラッドリリィ・フラワードラゴン】も当然反応しようとするが、首にかかっていたフラフープが締まり、宙に浮く絞首刑の首縄の如き形に変形した
『──GiGyeEEEEE‼︎』
それでも抵抗を止めず、身体からHP・MP・SPを吸収する《ブラッドオーラ・ドレイン》と【出血】を付与する花刃たる《ハートカット・ペタル》を合わせた必殺の《血花弁乱舞》を発動、
『G、a?』
できなかった。
ゴキリ、と音が鳴り、命脈を絶たれた違和感にようやく竜が気付き、気付けば長い首の上、頭の後ろに着ぐるみのウサギが立っており、
「「…………」」
マスター二人が何をする事もできず、……頸椎骨折と脊髄断裂によるモンスターの絶命により光の塵が舞った。
……ギリギリ、何があったかは分かる、早業だった。
「「…………」」
スタン、と軽やかに地上に降り立ち、パシリ、と待機状態に戻ったフラフープを掴み、
『……内緒だよっ?』と言うように人差し指を顔の前で立てる。
「「あっ、はい……」」
大人しく了承するマスター二人に、『うんうん!』と頷いたウサギは『じゃあね‼︎』と言うように手を振って、タタタと物陰に消えた。
「マスターさん、ウサギさんは?」
「──おお、っ」
しばし呆然としていたマスターは子供の声で再起動する。
「ウサギさんがたすけてくれたんだー!」
「すぐどっかいっちゃったんだけど……」
「どこにいったかしってる?」
「……いやぁ、お兄さん達もウサギさんがどこに行ったかは分からないなー。でもモンスターも倒されたからもう安心だぞっ!」
「そうなんだー、ありがとー!」
……そういえば、
「……一つ気付いたわ。あのウサギさん、強え……」
そしてマスター達は一つの結論に辿り着く。
……ロクな情報の無い着ぐるみウサギだが、情報に通ずる者であれば一つの事実を知っている。
あのウサギは、強い。
分かる限りでも個人戦闘型の準〈超級〉クラス。
「…………詮索は、止めとくか」
「……だろ?」
着ぐるみで隠されたその裡に何がどれだけ隠されているか、知る者はいない。
……何がきっかけでそれがブチまけられるか、どれだけの暴力が発揮されるか、誰も分からない。
……下手に首を突っ込めばどんな報復があるか分からない。
故にこのマスター達も結論付けた、『詮索はしない』、と。
「……はぁ……」
|イルイ
身バレしたい、……いやっ、したくないっ!……いや、バレても、いいんだよ……っ?……あーでもそう簡単にバレたくもないっ‼︎
みたいなHENTAI的欲求を抱える20代女性。
……せっかく踏み込んでくれそうだった人が、怖がって詮索をやめる何度目かの落胆を味わっている。
着ぐるみでも大分強い。
純竜級でも一捻り。
【
当然のように持ってる特典武具。
ツタでできたフラフープに似た形の伝説級拘束具。
輪がはまったものが一定以上動くのを許さないが、最初に投げるなどしてある程度加速をつけないといけないので地味に扱いが難しい。
元はとある妖精部族が侵入者を吊るして
一定以上の速度で動いたものにその速度を上乗せしてツタが巻き付き、そこに固定した上で主に首を絞めて殺す。
更に実る果実からは柑橘類の香りのじっくりゆーっくり身体などが溶ける酸の霧も放出してくる……、……ただしこちらは弱過ぎるし特典武具には近寄るとオレンジのいい香りがするくらいにしか反映されなかった。
主だった妖精部族を全滅させたが、所用で訪れたウサギにカラクリを見抜かれ、初手の最小限の動きでの発勁で大元の木に大ダメージを受け、酸の霧は効果を発揮できず、超速で迫るツタも技巧が無い故に全てさばかれ、千切られ、討伐された。
【
新体操のリボンに似たこれも特典武具。
防御向けの効果を持つ。
|二人の目撃者マスター
両方男、20代。
HENTAIではない。
片方はヒゲ面、割と子供好き、弱い者を保護して運べる赤ちゃんを運ぶコウノトリの逸話をモチーフにしたTYPEギア・飛行機の翼の生えたバン(車)みたいなエンブリオ【
もう片方はキシリア・ザビみたいなマスクしてそう、くらいのイメージしか無い。
|血百合竜
アラゴルンさんの正式名称くらい名前を長くし過ぎた。
遠距離にも届き、鎧の隙間からも花弁が入る《血花弁乱舞》が厄介。
ENDは低めであるものの、手練れの個体は《ブラッドオーラ・ドレイン》にごくごく初歩の《竜王気》に似た攻防効果も重ねてくる。
【フラワー・ドラゴン】は他にも温厚なものから凶暴なものまで大小様々な種類が生息している。