○○○○勢マスター   作:花垣

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※……【H】付けるか迷いました‼︎ご注意ください!







『逸話級UBMには二種類いる』
『逸話級に留まる奴と──』


“たまたま”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──いかがでございましょうか?』

 

「おー」

 

 

 アルター王国・ネラバ村近郊、オーリナ館の居間にて。

 

 

「すごいな……。これで人形だったのか?生きた人間にしか見えないぞ」

 

『うふふ……、光栄にございます』

 

 

 日課を終えた私はクラウの生前──〈UBM〉だった時の姿を見せられていたが、……すごいものだった。

 やや濃い色合いの金髪、潤む緑眼、すらりとした立ち姿にすらりとした手指。

 道化衣装のディテールが上がった事もさる事ながらそれを纏うクラウが人間にしか見えない。

 それも生前はさぞ人目を惹く女道化師だった事だろうという可愛げと妖しさが覗く美人だった。

 ……今更ながらこの姿も見ずにうっかりで射倒して、着ぐるみにして着ている私って果たして人間としてどうなのだろうか……?

 

 

 

 

『……あっ』

 

 

 

 

 ……しかしそう時間を置かずしてクラウはポンッ!と音を立てて着ぐるみ──を私の腰程の高さの二頭身にした姿になってしまった。

 《ドウケショウ》を自分に使う事でクラウは変形出来るが、あまり元の【くらう】からかけ離れた姿への変形は長持ちしないらしい。

 

 

『……今日はこれでお終いでございますね』

 

「まぁ気に病むな。私もしっかり脳裏に刻んだ、きっと忘れやしないさ」

 

『──‼︎それは幸いでございます♪…………それでその、備中様』

 

 

 では何故完全に元の【くらう】の姿に戻らなかったかと言えば──、

 

 

 

 

「今更遠慮する事でもないだろう?」

 

『‼︎では、失礼致しますね‼︎あー……』

 

 

 ()()()()()()()()()()()

 ちょこちょこと椅子に座る私の元に歩み寄って来たクラウは、私の足を持ち、20年くらい前の日本のぬいぐるみめいた口を開け……、

 

 

『……ん‼︎』

 

 

 ぱくり、と食い付いた。

 ……これだけならかわいげのある光景とも見れるだろうが、この先は分からない。

 

 

『んむ、んむ……』

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 ちょこ、ちょこと少しずつ向きを変えながら私の足がクラウに食べられていく。

 

 

『ん、んむっ!』

 

 

 腰元まで口に入り、クラウの足の中に私の足が収まる頃には私の身体は正面に向いていた。

 

 

『んむ、んむ』

 

 

 今日はそのまま腰に手をやって口の中へ。

 伸び上がっていくクラウに食べられながら、私の胴はクラウの胴の中、私の腕はクラウの腕の中に収まる。

 

 

『あー、んむっ‼︎』

 

 

 最後に私の頭もクラウの口の中に入って……、ぱくん!と口が閉じられた。

 

 

 

 

『〜〜♡』

 

 

 

 

 私を食べきって頬を抑えて喜ぶクラウの中で、クラウの一部となって動かされる私も同じポーズを取っている。

 ……すごく嬉しそうなクラウの中でクラウの一部になりながらクラウの喜ぶ様子を見てると、こうしてクラウに食べられて【くらう】を着せられるのも私的にはアリになってしまうのが恐ろしい所。

 

 

 ……凄く可愛いし。

 

 

『ありがとうございます、備中様♡』

 

『まぁ構わないんだが……』

 

 

 とまぁそんな訳で全身自ら動くクラウに食べられ、着せられて私は着ぐるみに、クラウになった訳なんだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なぁクラウ。この前から私にこうやって着せて、喜んでるのって、もしかして〈UBM〉時代に()()()()()()()()()?」

 

『⁉︎』

 

 

 ……ふと、無視出来ない疑問が浮かんでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『……いえ、確かに(ワタクシ)の《ドウケショウ》なら指先一つ残さず綺麗さっぱり食べてしまえますね。生憎(ワタクシ)の正気を証明できる方も誰一人存在しないでございます』

 

 

 

 

 ……聞いてはならない事を聞いてしまったかと思う。

 

 

 

 

『──ですが、敢えて宣言致しましょう。(ワタクシ)、クラウは人を食い、殺す真似は断じてしておりません』

 

 

 

 

 ……しかし同時にもっと早く聞くべきだったのでは、とも思う。

 ネラバ村には食料や矢の補充で世話になっている。

 ……もしクラウの被害に遭っていたとしたらあんな呑気そうにはしていないだろうが……、……クラウの被害を()()()()()()()()()私の次に責められるのは村の人々だ。

 

 

 

 

『……それと同時に懺悔致します。確かに(ワタクシ)、クラウは『()()()()()()』という行為に他とは異なる喜びを覚えている事を』

 

 

 ……クラウの声が暗く、暗く、沈んでゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

『──しかしながら、それも備中様が(ワタクシ)の中に居る喜びには勝りません♡』

 

「わっ⁉︎」

 

 

 ばくっと口が開いて私の顔が外に出される。

 

 

『備中様が中に居ると、暖かくて、誇らしくて……、……満たされるのでございます♡』

 

「んぅ、っ……!」

 

 

 そうしてクラウの中が生き物みたいに暖かくうねって、私の身体を解してくる……っ!

 ……あぁっ……、っ!

 気持……、ち……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 視線の先に矢を放った。

 

 

 ……外した、いや、避けられたらしい。

 

 

 

 

『……不躾な方が居たのでございますね?』

 

「ああ、()だ」

 

 

 ……木陰に退いたが、去ってはいないらしい。

 矢を八本掴んで、【キショウ】に番える。

 

 

 ……まだ去らない。

 

 

 ……放つ。

 

 

『……三味線はできそうでございますか?』

 

「……しゃがむ手間は惜しまなかったらしい」

 

 

 ……私とした事が……。

 ……とりあえずカーテンを(担当官からも忘れ去られていたこの館を買い取った時、新調した)しっかり閉める。

 

 

「…………」

 

『おや?備中様?』

 

 

 ……と、同時にクラウを着て気持ちよくなりかけてた所を決闘二位に見られていたかもしれないと気付き、恥ずかしくなってクラウの顔を引っ張って口を閉じてしまう。

 

 

『…………ごめん、ちょっと、このままでいさせて…………』

 

『はい、承りましてございます』

 

 

 《ドウケマゴコロ》で適温の筈のクラウの中で、私は茹で蛸になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いーっ……」

 

 

 アルター王国決闘二位、トム・キャットの頭上には八本の矢が突き立っていた。

 真っ直ぐ放たれた筈の矢が急転回して軌道を変え、トムが隠れる木に突き立ったのだ。

 何故八本なのかと言えば、トムが八体の分身を一度に倒し切らない限り幾らでも復活するエンブリオ、【グリマルキン】のマスターだからだろう。

 つまるところ警告だ。

 『()()()』と。

 

 

「……理解してくれ、って言おうにも、……ね〜……」

 

 

 しかしそんな出歯亀じみた野暮な覗き見をせざるを得ない理由が、【クラウ】にはあるのだ……と言おうにもその理由すら機密で話せない。

 

 

 

 

「ほんとに、ね〜…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□■6xx years ago

 

 

 

 

 

 

 

 

「──()()、完了しました〜!」

 

 

 稲光轟く嵐の夜の、暗く、激しく、重い中には場違いな程の明るい声だった。

 

 

 

 

「──ええ、【人形師(パペッター)】だったので間違いないですよ?……Lv.200にも達しないゴミ屑でしたけど」

 

 

 

 

 しかし、足元の()()を見遣っての声にはなんの暖かみも無かった。

 

 

「──……ええ、メモリも、演算装置も、修復不能です。……化身による監視を考慮し、第二拠点に回収します」

 

 

 ……それは()()の亡骸を辱められた怒りによるものか。

 

 

「──通信、終わりっ」

 

 

 ……稲光が途絶えた時、人型のものは誰も居なくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□■118 years ago

 

 

 

 

 

 

 

 

「──保証致しますよ、今の私に作製出来る最高の人形になると」

 

「それは幸いな事です。伯爵も、娘様も御喜びになられます」

 

 

 

 

 ──そうして伯爵の使者様は帰っていった。

 

 

 

 

「…………ふぅ〜……」

 

 

 

 

 ……【マリオ・クラウ】の組み上げが続く工房で息を吐く。

 ……『今の私に作製出来る最高の人形になる』なんて大見得切っちゃって……。

 ……いや、【マリオ・クラウ】を作れるのは大陸中で僕しか居ないという自負がある。

 ……ある。

 ……けれど……。

 

 

 

 

「…………僕が培った技術じゃないんだよなぁ……」

 

 

 

 

 ……【マリオ・クラウ】の原型はご先祖様達が()()()技術だ。

 

 

 ベースとなったのはとある人形のがらんどうの胴体内部、手触りでしか分からない暗号にされて刻まれた『図面』。

 かの【覇王(キング・オブ・キングス)】の時代。

 戦場跡にてご先祖様が見つけた()()()()()()

 ……盗もうと工房に忍び込んだらしいライバルの【人形師】が()()()()に惨殺され、持ち去られた事で()()()ものだと分かり、逃げたご先祖が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()伝説の人形。

 

 

 ……()()()()暗号を解読し、図面を広げ、構造を作り上げ、材質を書き記して行った時、電撃のように奔った『気付き』の喜びを忘れない‼︎

 ()()()()()()()()()()()()()‼︎

 

 

 いや、あの魔導生物学が形造る生体部品と、魔導機械学が形作る機械部品で組み上げられるのは()()()()()()()()()‼︎

 ()()()()()()()‼︎

 

 

 

 

 ……更にふと、脳裏を静かに走った閃きを忘れない。

 

 

 僕達の、遥か昔のご先祖がどこかで拾い、ご先祖の誰かがそれを見て人形職人を志すきっかけとなった()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 ……七日七晩徹夜して、ぐちゃぐちゃになりながらの喜びはもはや計り知れないものだった。

 ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 伝説の人形とバッタの人形、二つの技術を組み合わせればできるかもしれない、()()()()()()()()……‼︎

 

 

 

 

 

 そうしてとにかく夢中で組み上げた。

 病気の娘さんに送る人形を求めてた伯爵の依頼に飛び付き、僕史上最高の人形を作る日々。

 あの技術の千分の一、万分の一にも及ばないながらも、組み上げれば組み上げる程に新たな地平が開けて行く喜びの毎日。

 

 

 

 

 ……だけど【マリオ・クラウ】と名付けた人形が完成に近付くにつれ、落ち着く思考が冷水となる言葉を生み出した。

 

 

 

 

『それ、僕が培った技術じゃなくね?』と。

 

 

 

 

「そ〜なんだよな〜…………」

 

 

 ……ここまでの日々で気付いてる。

 あの人形は人類が栄華を極めた先々期文明に連なる技術だと。

 正確には伝説の……人型の人形は、悲しい程の凄まじい執念を持った誰かが作ったもので、バッタの人形はその技術を引き継いだどこかが壊れた誰かが作ったもの。

 

 

 ……どちらにせよ僕が今までの人形作りで培った技術なんて含んでるはずもない。

 

 

「それを最高の人形だなんて……」

 

 

 ……ずうずうしくはないだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「……わっ⁉︎」

 

 

 どこかが緩んでたのか、【クラウ】がカタン、と鳴った。

 

 

「…………」

 

 

 なんとなくそれが、まだ未完成の【クラウ】に笑われたように思えて。

 

 

 

 

「……わはは、っ」

 

 

 

 

 ……どうやら僕はずいぶんと思い上がっていたらしい。

 

 

 もちろん、他人が作ったものをそのまま写し取り、自分が作ったものだと喧伝してあまつさえ金を貰ったりするのは、かえって何の努力も覚悟も無いと自分を示す恥晒しな行ないだろう。

 

 

 ……けど、そもそも自分なんてものを確立させるのが大変だ。

 他人に習い、他人を写し、他人に憧れ、他人の轍を行く、そうして今までこの世界に居た誰かの背に乗って、乗って、乗っても上手く行くとは限らないのが人生だ。

 現に僕は父さん母さんに無事【人形師】になるまで育てて貰って、実物情報問わず様々な人形とその技術を目にして、数々の人形を作って、腕のいい【人形師】やら【高位人形師(ハイ・パペッター)】やらと褒め称えられても、ご先祖様がここまで受け継いで来た先々期文明の誰かの技術を千分の一も、万分の一も再現できてないじゃないか?

 むしろこの上なく僕がにじみ出ているとも言えるだろう。

 

 

 さて、そんな他人の背中に乗って来た僕はこれから何をする?

 

 

 

 

「お前を最高の人形に仕上げなきゃな」

 

 

 

 

 ──目の前の【クラウ】を、僕と、僕に受け継がれて来たもの全てをもって、最高の仕上がりにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

□■117 years ago

 

 

 

 

 

 

 

 ──そうして、

 

 

『──ごきげんよう、ワタクシ道化のクラウと申します』

 

「わあー‼︎クラウって名前()()()()()()()()()⁉︎」

 

 

 始まりの朝を迎える。

 

 

 

 

 

 

 

 

□■57 years ago

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……つまり?【水晶之調律者(クリスタル・チューナー)】と?【黒水晶之捕食者(モリオン・プレデター)】の技術を元にした人形が?〈UBM〉になったと?」

 

「そうなるな」

 

 

 管理AI四号ジャバウォックの簡潔極まる返事に管理AI十三号チェシャは立ちくらみを起こしそうになった。

 

 

 

 

「…………それってさー……、どう考えてもヤバい組み合わせだよね〜……?」

 

「ああ、成長が楽しみだな。……最も現時点では館に留まって動かないのだがな。近くの村でも襲えば容易く伝説級になれるだろうだけに、暴走していない完成度が惜しいな」

 

 

 

 

 ……【水晶之調律者】。

 ……チェシャ達が滅ぼした先々期文明の残存者達。

 ……チェシャ達“異大陸船”の管理AI達を激しく憎悪している。

 

 

 ……【黒水晶之捕食者】。

 ……先々期文明の技術を引き継いだ技術者が製作し、喰って、喰って喰って……、……世界を滅ぼしうる〈イレギュラー〉、〈UBM〉【黒蝕蝗皇 モリオン・プレデター】と化した。

 ……始末したのは他ならぬチェシャと管理AI十号バンダースナッチである。

 

 

 ……【水晶】は煌玉人と呼ばれる存在の量産型、人と同等以上の人工知能を備えるが、()()A()I()()()()()()()()()特筆すべき兵装は搭載していなかった。

 ……【黒水晶】は管理AIが出張らなければならない怪物だったが、唯一知能だけはそれこそ虫並みのものだった。

 ……この二つが合わさると、どうなるか。

 

 

 

 

「……で、なんだっけー……?その能力ー……?」

 

「ああ、『同化』だな。空気清浄とインテリアとしてジャグリングを行わせる為の機能が変質したらしい。現時点でもジョブレベルが500までのティアンならその()()を維持したまま同化できるな」

 

「…………」

 

 

 ……現時点(逸話級)でそれなら、成長し、〈UBM〉のランクが上がればどうなってしまうのか。

 ……いや、件の館は比較的王都に近い。

 あっさり討伐される可能性もある。

 

 

 ……ある、が……。

 

 

「……ねー、【キル・キル・バ】って足の裏は毛が生えてないよね〜?」

 

「その筈だな。()()()()猫科の生物に近い、足の裏は肉球の筈だ」

 

「……【モノクローム】って絶対動けないー?」

 

()が無いからな。地殻変動か何かで光が射さなければ動けないだろう」

 

 

 ……もし、同化能力が強まったとして。

 真っ先にその矛先を向けるのは『地面』なのではないか。

 地中は人目に、そして管理AIの目にもつきにくい。

 ……〈UBM〉が〈UBM〉を倒すとその分強化される。

 チェシャの脳裏にはアルター王国内の地に足付けて縄張りを築いていたり、地から動けない強豪〈UBM〉が浮かんでいた。

 

 

「……その【クラウ】が自ら動くようになるとしたら、きっかけはなんだと思うー?」

 

()()()、だろうな。『捕食』という行為が【モリオン・プレデター】由来の因子を活性化させる可能性は否めん。そしてそれがリソース効率の良い人間(ティアン)であれば、積極的に同じ餌(人間)を求めに動き出す可能性も高まるだろう」

 

 

 ──ならばそれ(人喰い)だけは絶対阻止せねば。

 ()()()()()()()()()()()()()()()U()B()M()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。

 

 

「……分かったー、お邪魔したねー」

 

 

 内部時間で〈Infinite Dendrogram〉サービス開始より半世紀余り前、チェシャは一つの悲壮な決意を固めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ワタクシ、思うのでございます。“たまたま”ではないかと』

 

『たまたま?』

 

 

 女道化師の着ぐるみが中の人の仮眠の為、毛布を被ってベッドに転がる。

 

 

『こうして、備中様専用の“人食い人形”をやれてるのは様々な偶然が重なった“たまたま”なのではないかと、そう思うのでございます』

 

『……確かに、私が南東に向かうだけでも変わっただろうな。……でもその言い方だと私がお前に人を食わせてるみたいじゃないか?』

 

『勿論このワタクシ、備中様がそんな事お命じになるくらいなら自ら射殺す勇ましい方だと存じておりますよぉ♡』

 

『……いや、それ、褒めてるのか?』

 

 

 ……着ぐるみは()()()()()()()()、睦み合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………この……、様子…………、……なら……、心配…………、…………は…………、…………要ら……、……な……、…………そうね…………』

 

「まったくだよ」

 

 

 その様子を同僚の協力の元傍聴する猫が居たという。

 

 

 プライバシー。

 それは〈デンドロ〉のマスターと最も縁遠い言葉の一つである。

 

 

 

 

 

 

 

 








『留まらない奴だ』




|クラウのいきさつとそしつ
 正式名称は【マリオ・クラウ】。
 だが館に引き渡され起動してからは「クラウ」としか呼ばれていないのでクラウ本人もそれを知らない。

 ……〈UBM〉化する前になんらかの要因で破壊され拾われた【黒水晶之捕食者】の残骸と、三強時代に破壊された【水晶之調律者】の残骸から完全記憶能力を持つ【人形師】が記し出した図面を元に、その子孫のとある天才【人形師】が製作した。
 人間の女道化師そのものに見える、美術品としても当代一の人形だった。
 〈UBM〉化する前から簡単な人工知能と【黒水晶】の摂食機能を参考にした空気中の病原菌や汚れを吸着・分解して清浄な空気にする機能とジャグリングのボールや玉乗りの大玉とシステム的に一体化する事で【大道芸人(ジャグリング・パフォーマー)】のような物理的にありえない大道芸ができる機能を備えていた。
 フラグマン製ほど人工知能の目的設定に於ける完成度は高くなかったので所有者を待ち続ける事を『所有者の行動に従う』ルーチンと結び付ける事ができず自我を持ったとみなされ〈UBM〉化したが、人工知能のルーチンそのものには破綻が無かったので【マグナム・コロッサス】や【ドリム・ローグ】のように暴走はしなかった。

 討伐されるまで、ついに誰も殺傷しなかった。

 【黒水晶】と図面は秘蔵されていた事、クラウが露骨に【水晶】!バッタ!な外見ではなかった事により管理AIへの発覚が遅れた。

 ……初代フラグマン執念の姉妹‼︎と三代目フラグマン最強の傑作‼︎が名も無き天才の手で千分の一くらいに希釈された道化合体して素質がヤバい。
 ……暴走しなかったのは『血の味』を知らなかったからでもある。
 なにか噛み合わせが違えば〈イレギュラー〉化して『恐怖‼︎アルター王国は〈UBM〉になった!』みたいな事になってた。
 そうでなくても『そもそも作られない』『【大賢者】や【水晶】に気付かれフラグマン陣営入り』『あっさり破壊・討伐される』『領地返上時にアルター王家のものに』『管理AIに見つかり景品化』……など様々なルートが考えられる存在。




|クラウ
 『ワタクシ備中様専用の道化着ぐるみでございます♡』

 ……色んな“たまたま”の果て、着ぐるみライフ(……これって中の人に限らず着ぐるみ自身にも適用される言葉なのだろうか)を満喫している色ボケ着ぐるみ。

 食べちゃいたいほど備中が大好き。
 着ぐるみなので備中を食べちゃっても、備中に自分が着せられて、備中が着ぐるみ姿になって幸せになっちゃうだけなので安全である。
 ……《ドウケショウ》を備中に使わなければ。
 『……私が中に居るのが幸せなのに、なんで口開けて外に私の顔を出したんだ?』という疑問には
 『……『備中様がワタクシの中にいる』というのを示したくございまして、つい……♡』
 『……覗き見除けば私達しか居なかったぞ……?』
 『……何と言いますか、世界に……♡』
 『……そうか』
 ……とまぁそんな感じに答えた。

 ……幸せならいいんだろうさ、多分。

 《ドウケショウ》を応用した変形で生前の人間そっくりな姿や、大きさを縮めたぬいぐるみ大な姿にもなれる。
 近いうちに()()()特典武具【はいぱーきぐるみシリーズ くらう】になる。

|ロア
 クラウにめちゃくちゃ絆されて来ている。
 クラウの中の人が自分なのはどうなんだろう……と思うが、クラウそのものは好きになって来ている。




 それはそれとして、軌道を曲げて木の裏に八本同時に矢を当てられるアルター王国でも上位の弓の名手。
 非超級職。
 もしトム・キャットと戦闘になっても射殺せる。

|【キショウ】
 モチーフは弓の名人を志した『紀昌』。
 エルダーアームズになった。
 喋れないのでマスターにイチャつく特典武具な着ぐるみをどう思ってるかは分からない。

|猫
 かつて【黒水晶】に対処した身として、【クラウ】をめちゃくちゃ危険視してた。
 多分デンドロ以前のここ半世紀の内に明らかになった事としては五指に入るくらい警戒していた。
 ……クラウが色ボケ着ぐるみになって、ほっと胸を撫で下ろした。
 ……が『クラウがヤンデレ化する』という新たな可能性に気が付く。
 頑張れ。

|【水晶】
 人目に触れそうだったのを急いで回収しに行った為、姉妹の亡骸を拾った【人形師】を妬んで残骸を盗もうと工房に忍び込んでいた別の【人形師】を人違いで惨殺している。
 ……まぁ人違いと分かっていようが目撃者は殺しただろうが。

|とある【人形師】
 【マリオ・クラウ】の製作者。
 118〜120年前頃にアルター王国で活動していたティアン。
 天才。
 天才らしくも振る舞えるが、多分素の姿はもじゃ髪orボサ髪メガネ。
 クラウの〈UBM〉化に伴い管理AIの介入があった事などから、現在の知名度は知る人ぞ知る、程度。
 もし大絶賛した【水晶】と出会っていれば何かが変わった……かもしれないし、変わらなかったかもしれない。

|とある【人形師】の先祖の【人形師】
 クラウを作った↑の【人形師】の先祖。
 ある戦場跡で【水晶】の残骸を拾い、その構造を解析して暗号とした図面に残した。
 人形の作り手としては凡庸だった(それでもLv.300くらいは行ってた)が、ジョブ関係無しに完全記憶能力を持っており、更に素材分析能力・機構類推能力・そしてそれらを図面に描き起こす製図能力がずば抜けていた。
 ドライフに居たらめっちゃ重宝されてたタイプ。
 警戒心も高く、三強時代を生き抜いてその血脈を繋いだ。
 
|オーリナ館
 とりわけ資産価値も無かったので再発見したマスターに買い取られ、かつてこの館で療養していた娘の名を名付けられた。

|【人形師】
 人形を作るジョブ。
 …………だよね?
 ……作者は【傀儡師(マリオネッター)】とごっちゃになってたくらいなので、原作情報の誤解やド忘れによるオリ設定ではない間違いが生じる恐れがあります、ご注意ください。
 ある程度以上の可動域及び可動機構を有し、概ね人間大かそれ以下の大きさで、作り手にもよるが自ら動く事を大きく志向しない、作り手のジョブの方向性にもよるが積極的に戦闘に寄与しない像を作る、……ゴーレムの類との違いを定義づけるとこんな感じ?
 SP3で出て来た家事用ゴーレムとか、マテルさんとか閣下の事なんかを考えると中々面倒くさい……。

|【キル・キル・バ】
 AEに出て来るサーベルタイガーに似た姿の〈UBM〉。
 ……だけど足の裏がどうなってるかは確か描写されてなかった……と思うので(そもそもサーベルタイガーに肉球はあったのか……)、『足裏が肉球』なのはとりあえずオリ設定です。
 本来足裏が肉球だろうがたいした問題ではないが、『接地面から同化される』というヤバい可能性が有った。

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