ぼくのごさんけどこぉ? パルデア新米トレーナーは寝坊したようです   作:ハナワのハナ

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新米トレーナー、出鼻へし折れる

ここは〜〜タウン、多くのトレーナー志望の少年少女が育ち、旅立った伝統ある街だ。

 

だが……あれ? いつも煩わしく感じるほどに賑やかなその街から、不自然に静かな場所があった。

そこの空気は暗く淀んでおり、まるで一帯ゴーストポケモンが支配したような有様だ。

 

そして、その中心には一人の少年がいた。

いや……打ちひしがれていた。

 

何があったかは語るまい。

ただ一つ言えるのは彼は眠気に支配され、勝負に負け、そしてそんな愚かな自分を乗り越えられない、敗北者だということだ。

 

勝負の世界は甘くない。

それを彼は旅立ちの日にその身で学ぶことが出来たのだ。

これ以上に得がたいものもな――「そんなわけがあるかぁぁ!!?」

 

彼は吠えた。それは負け犬のようにみっともなく、周囲の若干冷めた視線とは裏腹に生温かい、それでも彼にとっては切実な心の叫びだった。

 

「そんなに楽しみだったのに、夜更かしなんてするから……」

 

ご尤もである。

彼の失態を指摘する彼女は、自分の幼馴染が開幕早々やらかしたことへの呆れ笑いを浮かべていた。

 

「うっしゃい! 綺麗事抜かすな! 楽しみだったから眠れなかっただけだよ!? それが……それがなんでこんなことに……」

 

「もう答え出てるじゃん……」

 

正に自業自得。

こうして、彼こと寝坊少年ウラトは旅立った……。

その背に哀愁と寂しさを漂わせながら。

 

「このまま出発だと流石に可哀想だし、モンスターボールをいくつか貸してあげる」

 

瞬間、ウラトは振り返った。

先程とは違い、その目には雫でぼやけた光が宿っていた。

顔には自分を見捨てないでくれた幼馴染への期待と感謝が浮かんでいた。

 

「ただし、次の街に着いた頃には使った分のお金と、残ったボールを返すこと! いいね?」

 

どうやら彼女は寝坊野郎とは違い、しっかりしているようだ。

……同じ場所で育ったのにどうしてこうも違うのか。

世の中、不思議なこともあるものだ。

 

「あ゙りがどゔ……! この借りは必ず……!!」

 

「あーあ、泣くぐらいならちゃんとしなさいよ……もう」

 

ウラトは顔を涙でくしゃくしゃにしながら感謝を述べ、彼女はまたそんな彼に呆れ、ほんの少し微笑んだ。

 

そこに泣いてる者はいた。

だが、もう暗い顔をした者はいなかった。

 

こうして、ウラトは旅立った。

新しい門出、未知への旅、長年過ごした街……そして家族との別れ。

決して綺麗な始まりでは無く、その隣を歩く者もいなかったが。

 

彼は不安や寂しさはこれっぽっちも無いと胸を張る。

それは年相応の強がりでもあるが、未だ幼い自分に負けまいとする一決心だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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