ぼくのごさんけどこぉ? パルデア新米トレーナーは寝坊したようです 作:ハナワのハナ
俺の名前はウラト! 今日からポケモントレーナーだ!
ちなみに13歳、進学の代わりに旅を始めたんだ。
俺の育った街では子供が13歳になると「ごさんけ?」て呼ばれる三匹のポケモンの中から一匹をもらって、
ポケモントレーナーとして旅に出るか、進学するか選ぶ決まりになってるんだ。
……ポケモンはどこだって?
ここさ(胸に親指を指す)
街のポケモン配布の日に目覚ましをかけ忘れたなんて、失敗はもう忘れた! ……でもこれから毎日7時には鳴るようにしよう。
出発早々、少し……不幸なアクシデントはあったけど、
いつまでも引きづっていられない、だってまだ旅は始まったばかりだ!
さしあたって……いつまでも過去を振り返ってばかりいないで、いい加減現実に目を向けるとしよう。どうしょうもない現実ってやつに。
ぐるり、と周りを一瞥すると、嫌でも目に入る黒の光沢。
そこにはたくさんの……マメバッタがいた。
それを確認すると同時、思わず手に持ったモンスターボールを見る。
「……そういや、モンスターボールをもらったはいいけど、中身入ってないじゃん」
……まてよ? マメバッタは逃げ足も速くて、よく草むらに隠れていて見つけづらいポケモンだ。
もしかしていまチャンスか?
一瞬、そんな考えが頭をよぎった。
……結論は、いや無理。
この現状、一匹にボールをぶつけたところで袋叩きにされるだけである。
むしろ余計な怒りを買うことだろう。
中身の無いモンスターボールを見つめる。
モンスター、ボールってなんだろう?
思わず天をあお――ってる場合じゃねぇ!!
自分の周囲を囲むマメバッタの群れ、それらが一斉にこちらへ襲いかかってきた!
「うおおぉぉ!? 俺は餌じゃないぞ!? 噛むな! 登ってくんな!?」
自身へ向かって、飛びかかってくるマメバッタ達。
慌ててそれらをはたき落としながら、じっと周囲をうかがい、相手が攻撃を仕掛けてきたことで空いた包囲網の穴を見つけた!
人間ポケモンバトルなんて付き合ってられるか!? 俺は逃げるぞ!!
「くっそぉぉおお!? 覚えて……いや! 忘れてろよぉぉ!? もうこりごりだぁ!!!」
改めて、こうして俺の旅は始まった。
まぁ……良い出発とは言えないけど、いつかこれもいい思い出になる……なんてね。
「ったぁ!? 人が感傷にひたってるてのに!?」
……やっぱり、もうこりごりかもしれない。
いつの間にか腕に登っていた一匹を引き剥がして、痛む腕を押さえながら、後続が追ってこなくなるまで走り続けたのだった。
「……怒った、もう完全に怒った! 初戦は俺の負け……だが、俺は覚えておくぞ! 今度会ったら一匹ぐらいゲットしてやるぅぅ!!」
そんな負け犬の遠吠えを残して。