万魔殿のメイド   作:狐ノ陽炎

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お気に入り、コメントありがとうございます。
作者の手が滑ってネタバレする可能性があるので返信は出来ませんが余すことなく見てます。ありがとうございます。


2. 外交
16話 トリニティ総合学園


「キッキッキッキッ……」

 

 

「なんかやけに上機嫌ですね。今日のマコト先輩」

「何かいい事でもあったんでしょうか……?」

 

今日の午後にはトリニティ側の生徒会である『ティーパーティー』との会談が控えている。明日以降も特に目立った"マコト様が喜びそうな事"は思いつかない。

 

「ねーねーマコト先輩?」

 

「キッキッキッ!どうしたイブキ?」

 

「マコト先輩、うれしいことあったの?」

 

やはりこういうのは最年少の特権といいますか。私達が簡単に聞けないことをいともたやすく……!イブキちゃん、さすがです。

 

「キキッ!よくぞ聞いてくれたイブキよ!!」

 

 

「今週から戦術訓練を風紀委員会がやっている。そして明日、その風紀委員会は一日だけ休日を設けている」

 

あー、私が強制的に書き換えたあの計画書の事ですか。結局あの計画書、私の修正通りに風紀委員会でも通ったらしいですよ。やっぱり皆さん休暇が欲しかったんでしょうか?

 

「つまり明日は我々万魔殿の独壇場というわけだ!!!」

 

ですがマコト様?少し勘違いをしておられるようで。

 

「……マコト先輩、風紀委員会の休日は"今日"ですよ」

 

「な……な、何ィ!!!?

 

そうですよね?今日ですよね?大事な会談の日に休日仕込んだの私ですし。

 

「だ、だがこの書類には明日と……!」

 

「それ、マコト先輩が事前に提出してた"マコト先輩の計画書"ですよ。風紀委員でも破棄されましたから破棄していいって言いましたよね?」

 

…………。

理由はよく分かりませんが全否定どころか見向きもされなかったやつですよね。私も一度目を通しましたけど、特におかしい点は無かったんですよねあの計画書。食わず嫌いしたんでしょうか?

確かにあの天雨アコとかいう人、結構私情挟んでるみたいですし理解出来なくもないですが。

 

「今日か……。しかし今日は午後から『会談』が控えている……」

「しかも午前中特にやる事無くてイブキと遊んでましたよね」

 

「大人しく諦めてください」

 

 

「それにマコトちゃん?そろそろ準備したほうがいいわよ」

 

今回の会談場所はトリニティ総合学園という事もあり、万魔殿から出向かなければならない。なんでも前回の会談場所がゲヘナ学園だったから今回はトリニティ側で、という事になったらしい。

 

時間的にはまだ問題は無いが、万が一にでも遅れるという事はあってはならない。

 

「そ、そうか……。まだ早い気もするが、準備を始めようか」

 

今回の会談に出向くのはマコト様、サツキ様、あと私、鷺辺レイラの三人。とそれを護衛する議員10名ほど。トリニティ総合学園までは車で向かうらしく、ちょっと楽しみにしている私がいる。私の準備は……あとは心だけでしょうか?何故なら今日持参していく書類は全てまとめて持っていける準備が出来ているからですね。あとはみなさんの準備が整うのを待ちましょうか。

 

 

午後、ゲヘナ学園校門・・・

 

「よし、各自準備は出来たな?」

 

「ええ、大丈夫よ」

 

「はい、忘れ物等はございません。確認も完了しています」

 

私の想像通りというか、真面目な会談ですからね。いつになくキリッとしたお顔をしているマコト様。

 

「……念の為聞くが、催眠術の道具は置いてきたな?」

「当たり前でしょ?そのぐらい私でも分かるわよ」

 

本ッ当に催眠術さえ絡まなければとても賢い人なんですよ?サツキ様って。なんかマコト様と同じ特性持ってますよねこの人。

 

「よし、後の学校の事は頼むぞ。イロハ、イブキ!」

 

「はぁ……まあ、私達しか居ませんからね。イブキ、虎丸で巡回に行きましょう」

 

「頼まれました!! はい!イロハ先輩~!」

 

とても可愛く敬礼してくれました。これでマコト様も元気いっぱいですね。

 

「向かうぞ!トリニティ総合学園へ!!」

 

「はい!」

 

 

 

トリニティ総合学園。

ゲヘナ学園と並ぶ三大マンモス校の一つで、荒っぽい雰囲気のゲヘナとはほぼ対照的、所謂お嬢様学校。私も一度トリニティ総合学園に行った事ありますが、外見だけで見れば戦争や抗争とは縁のない所といいますか……。実際はどうかは分かりませんけどね。

 

「サツキはもう知っているだろうが、もう一度話しておく」

 

車に乗り込み、しばらく沈黙していたマコト様だったが、車を運転している議員が『あと10分程度で着く』と言った、その時だった。

 

「今回はレイラもいるからな」

 

どうやらとても重要な話らしい。

 

「いいか?くれぐれも()()()()()()()()()()()()()()

 

「……誘い、というのは?」

 

()()()にその気は無いが、我々ゲヘナ学園の者に対し下に見るような発言を度々してくる」

 

「そうね……。前回経験したから私も分かるけど、あれは表情に出すだけでもあまり良くないわね」

 

お嬢様学校という、気質の問題だろうか。

 

「レイラの事だから心配はしていない。だが念の為だ」

 

 

「……本当の誘いも紛れてたりしますか?」

 

「あぁ、だがその時は空気がガラッと変わる。レイラなら気付くはずだ」

 

随分と私の事を信頼してくれますね。だからこそ連れてきたんでしょうけど。

 

「だが今回は私からも色々と仕掛けていくつもりだ」

 

そういえば色々聞きたい事があるとか……先週の定例会議で仰ってましたね。

 

「皆、今一度気を引き締めろ。車から降りれば戦いは始まるからな」

 

「はい」

 

「了解よ」

 

マコト様って案外モチベーター向いてません?

 

 

 

 

 

「ようこそトリニティ総合学園へ。歓迎致します」

 

てっきりトリニティ総合学園の正門前とかで下ろされると思ってたんですけどね。正門入って、専用の建物といいますか……どう表現すればいいかな?しかし設備はゲヘナ学園よりも遥かに豪華ですね。だからこれは……会議場というより集合場と表した方がいいのでしょうかね?あの、とても綺麗で、金使ってますよね。

 

……というのを表に出さずに思ったわけですが。

 

万魔殿を出迎えたのはゲヘナ学園の制服に近い色をした制服を着た方々。どういう組織なのか部活なのか分かりませんが、とても強そうな方たちですね、はい。

 

「どうぞこちらへ。会議室まで案内致します」

 

()()()誰とも視線を合わせずについていく。

やはり感じられるのは私達に対する"殺気"や"嫌悪"など。

こういうのって食わず嫌いとまでは言いませんよね?

でも似てますよね。

 

「メイドさんだ……」

「メイドさんがいる……」

 

ええ、良く聞こえますよ。

 

 

「はい、こちらでかけてお待ちください」

 

案内されたのは先程も言っていた会議室。だけど会議室にしてはどう考えても必要ない高価な物が揃っている。誰かの一室と間違えてませんか?って言えるくらいには。

 

それにやけに広い。私達がたったの3人だというのに、向こうは100人がかりで相手にするつもりですか?申し訳ありません。それでも私が勝たせていただきます。

 

……という冗談はさておき。

その会議室に並ぶこれまた高価な椅子にマコト様とサツキ様が座った。私も座るように促されたが、メイドだからと丁重に断っておいた。あくまでメイドというのは皆様方の補佐ですから。同じ席に腰掛けるわけにはいきません。

 

数分後、まるでここまでの流れが"しきたり"であるかのように、ティーパーティーの方々が私達が居る場所の反対側から入ってきた。

 

「万魔殿の皆様方。今日はお越しくださりありがとうございます」

 

予習と復習は大事ですからね。この方がティーパーティーの代表者の一人であり、フィリウス分派の首長『桐藤ナギサ様』。

 

「あはは!ナギちゃん堅いよ?相手はゲヘナなんだから、もうちょっと気楽に行こうよ!」

 

ええ、よく分かる嘘のような誘い、ありがとうございます。同じく代表者の一人であり、パテル分派の首長『聖園ミカ様』。

 

………と、本来ならもう一人、同じく代表者でサンクトゥス分派の首長『百合園セイア様』がおられるはずですが。今回は居ないんですかね?

 

「……そちらの方は?前回の会談ではいらっしゃらなかったようですが」

 

わざと一度間を開け、ナギサ様の質問に答える。

 

「"万魔殿のメイド"、鷺辺レイラと申します。以後お見知りおきを」

 

"万魔殿のメイドの微笑み"、いつも通りでございます。

 

「へぇ~!ゲヘナにもメイドさんって居るんだー」

 

どこか感情の籠っていない表情豊かな顔をしてますねこの方。

 

「ミカさん。重要な会議ですから、もう少し」

「余計な前置きと雑談はいい、さっさと本題に入れ」

 

ええ、私も同意見でしたよマコト様。

 

「分かりました。それでは始めましょう」

 

要はこの戦争に勝てばいいんですよ。いいんですよね?

 

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