万魔殿のメイド   作:狐ノ陽炎

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
冬休み入っていきなりインフルになったせいで何も進まなかったです。


19話 連邦生徒会

今日も今日とてメイド仕事が始まります。ですが今日は本来であれば休日です。上司に頼まれて休日出勤を余儀なくされているわけではありませんが、休日に学校に行くというのは平日と違う感じがします。

 

これに関してはただ私が掃除したいが為に万魔殿に行くだけなので、掃除が終わり次第そのまま帰ります。どうせ誰も来ないでしょうし、私のペースでゆっくりやりましょう。何も起きなければ昼頃には終わりますから、適当に昼ご飯食べるのも良しですね。休日の昼ご飯は家で食べるのが基本な私にとって、その部分はとても新鮮ですから。

 

万魔殿の扉を開け、中に入る。やはりというか、当たり前ですかね。時間は既に9時を過ぎた頃ですが、鍵は閉まっています。普段なら誰も居なくても挨拶するのですが、今日は休日ですからね。

 

さて、どこから取り掛かりましょうか。とはいえこの万魔殿の部屋、そこまで散らかっているとか、汚いわけでは無いんです。なのでまず床全体のモップ掛けから始めましょうか。

 

メイドは掃除も完璧に行うものです。

マコト様が万魔殿の掃除道具を私の部屋に全てまとめてくれました。当然モップもありますし、雑巾やバケツ、ほうきなど掃除に必要なものは揃っています。私が事前にこれ欲しいんでとか言わなかったんですけどしっかり揃ってますね。さすがです。

 

バケツを手に取り、水を入れる為に私の部屋を出た時。開くはずの無い万魔殿の扉が開く。平日であれば扉から何かしらの音がした瞬間、挨拶をする体制を取るんだけど、全く油断していました。

 

「……マコト様?」

 

「レ、レイラ!? 今日は休みのはずだが……」

 

いや、こっちのセリフなんですけど?

 

「いや、私は昨日残していた今月の学園予算の確認をだな」

 

あとはティーパーティーとの会談の書類もありますよね。あの会談の次の日結局何もやってなかったんですよねー。たぶん忘れてたんでしょうけど。あ、今も忘れてますかね。

 

「私は……万魔殿の掃除をしようと……」

 

それ以外の何物でもないので、これだけで伝わるでしょうか?

 

「ふむ……そうか……」

 

マコト様は少し何かを考えていた。今日が休日なのにもかかわらず、何か別の事でもあったんでしょうか……?

 

「私がいる状態で掃除は出来るのか?」

「そういう想定はしてないですね」

「だろうな」

 

何より机とか椅子とか全てどかしてやる予定だったんで。こんな言い方したら悪いんですけど普通に邪魔です。

 

「そうか、だったら今からレイラは暇になるのか」

「そうなりますね」

 

「ふむ……暇なら一つ、面白い情報がある」

 

ここは乗っかっておきましょうか。私からしても邪魔なのは間違いないんですけど、たぶんマコト様も真横で掃除されては集中できないでしょうし。

 

「今日から通常活動に戻っている風紀委員会から、こんな事を聞いた」

 

 

「今日、連邦生徒会に連邦生徒会長の事を聞きに行くらしい。暇ならついていったらどうだ?」

「聞いたんですか?盗み聞きしたんですか?」

「盗み聞きした!!!」

 

素直でよろしいです。しかし連邦生徒会ですか……。何度も行った事あるわけでは無いんですか、今年は確かに一度も……。

 

「……そうですね。暇ですから」

 

「ああ、掃除は私がやっておこう」

 

「あ、ティーパーティーとの会談の報告書も忘れないでくださいね」

 

「……ああ」

 

やっぱり忘れてましたねこの人。

 

 

 

 

「というわけで、今日はよろしくお願いします」

 

「いや、何がというわけなんだよ!?」

 

「………」

 

妙ですね、何故かとてもとても嫌そうな反応をされてしまったんですが。盗み聞きしたのは私ではありませんし、最近風紀委員会に嫌な顔されるような事しましたっけ?

 

「……あれだけ私達と戦っておいて、よくここに来れるわね?」

 

あ、そう言えばそんな事もありましたね。最近私個人で動く事がありましたから、すっかり忘れてましたよ。

 

「あれは私のせいでは無いと思いますが?」

 

メイドたる者、誰か個人を特定して攻撃するような無粋な真似はしません。なので不特定多数にする事で責任を分散させるんです。賢いでしょう?

 

「……そう言うと思ったわ」

 

少しは私の事分かってきたみたいで良かったです。

 

「連邦生徒会にはチナツが行くから、一緒に行くなら勝手にして頂戴」

 

なんかちょっとヒナ委員長に嫌われてません?私。そこまで嫌われるような事だったとは思えないんですけど……?

 

 

 

 

「では、今日はよろしくお願いします」

 

「……。はい、こちらこそ」

 

火宮チナツちゃんですか。確か元々救急医学部だったと思うんですが、いつからか風紀委員会に居たんですよね。あ、私と仲悪いわけではないんですよ?今は知りませんけど。

 

「えっと……今、どっちですか?」

「どっちとは?」

「"万魔殿のメイド"なのか"鷺辺レイラちゃん"なのか」

 

確かに。今日は休日ですからね。

 

「今はただの暇人だから、"鷺辺レイラ"かなー」

 

そりゃー万魔殿とか、風紀委員会に居る時は"万魔殿のメイド"だけどね。

 

「良かった……」

 

心底ほっとしてるけど……そんなに意識しなくても良かったんだけど?"万魔殿のメイド"の事なんだと思ってるのやら……。

 

で、さっきも言った通りチナツちゃんとは仲が悪いわけじゃない。むしろ良い方かな?"鷺辺レイラ"とか"万魔殿のメイド"とはを良く理解してくれている良き同級生と言うべきかな?友達なのかは……怪しいけど。私は友達だと思ってるんだけどね。チナツちゃんがどう思ってるのか分からないから。

 

「風紀委員会って休み無いの?」

 

「ありますけど、今日は戦術訓練期間中に休んだ日の振り替えみたいなものなんです」

 

あー、私が設定したあの休みの日ですか。こうなるのが嫌だったから間に休みの日入れてなかったのかな?でも休みにならないかもしれない休日より確定で休日の方がありがたみがありません?

 

とまあ適当な雑談を繰り返しながら歩く事何十分。連邦生徒会の高層ビルに着いていました。いえ、何十分かどうかは分かりませんね。時間見てないんで、実際はそれ以上かも。

 

で、連邦生徒会のビルなんですけど、入ってすぐレセプションルームがあると思います。そこで連邦生徒会長の代行さんに聞くんですよね。確か名前は……七神リンさん……でしたっけ?昨年()()()()()()()()()()()なので失礼の無いように致しませんとね。

 

「あれ……?」

 

なんかやけに人が多いですね。もしかして今日が休日だって事皆さん忘れてたりします?それとも休日だって思ってるの万魔殿の方達だけとか……?

 

「ミレニアムのセミナーの……早瀬ユウカさんに、トリニティ正義実現委員会の羽川ハスミさん……。

 それにあの方は確かトリニティ自警団の……」

 

「守月スズミさん」

 

「……皆さんも連邦生徒会長の事で用事があるんでしょうか?」

 

スズミさんも昨年、一度だけお世話になった方の一人です。と言っても"私から"では無かったのですが。

 

「すみません、皆さんも連邦生徒会長の事で待っているんですか?」

 

恐らくそういう理由しかないと思う中、念のためなのかチナツちゃんがそこに居る誰かに聞いた。

 

「貴方は確かゲヘナ風紀委員会の……ええ、そうですよ」

 

あら、つい先日ティーパーティーとの会談の時に私達を案内してくださった正義実現委員会の方ではありませんか。背高いですよねこの人。

 

「ゲヘナからも来たのね。……え?メイドさん?ゲヘナにメイドなんて居たかしら……?」

 

「レイラさんじゃないですか!まさかこんな所で再会するとは」

 

「スズミさん、お知り合いですか?私はつい先日見かけたばかりなのですが」

 

「昨年少しだけ縁がありまして」

 

 

「正義実現委員会の中でも話題になっていました。『ゲヘナの万魔殿にメイドさんがいる』と」

 

別にそこまで話題になる事をした覚えは無いのですが……。とはいえ名乗らないのも変ですから、一応()()()()で名乗っておきましょうか

 

「"万魔殿のメイド"の、鷺辺レイラと申します。以後お見知りおきを」

 

ミレニアムもトリニティも、連邦生徒会も、一度空気の流れが止まる。"万魔殿のメイド"と聞いて、皆さんどう思ったでしょうか?想像をするだけなら簡単ですが、今ここで()()()()()()()()()()()()()()という選択もありですね。

 

 

その時、偶然でした。

 

「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」

 

連邦生徒会長は果たして行方不明なのだろうか、それともただただ姿を現さないだけなのか。ミレニアムがどの程度の情報を持っているかはさておいて、こちら側(ゲヘナ)としては行方が分からなくなったと聞いている。

 

「……うん?隣の大人の方は?」

 

大人。

確かにこのキヴォトスにも大人はいる。私達みたいな人型では一応あるものの、その姿はどちらかっていうと猫とか犬とかの動物。基本的に、私達みたいな『大人』というのはまず見ない。今までも見てこなかった。

 

「首席行政官、お待ちしておりました」

 

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の現状について納得のいく回答を要求されています」

 

でもそこには、()()()()()()()()()()()姿()()()()()()が居た。それを見た、見ただけ。

でも見た瞬間、私の視界と聴覚は消え去るように無くなった。出来るなら忘れておきたかった。あの時の忌々しい記憶を思い出す引き換えに………。

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