第二の人生はアスパ☆   作:レーヴィン

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数年振りの執筆のためリハビリ目的で書いたものです。本編には全く触れてないので読まなくても大丈夫です。


プロローグ

「……ん?」

 

目を覚ました、というよりは閉じてた目を開いたという感じだろうか。やけに妙な感覚が纏わりついてるのが気になりはするが。

 

「んー?」

 

続いて気づいたのは今の状況。僅かな光すら見当たらない真っ暗闇な空間だ。そして何気に手を伸ばした所で妙な感覚の正体が掴めた。身体が動いているのはしっかりと視認できている。だが身体を動かしているという感覚が感じられない。指を一本ずつ動かす、片足を上げる、頭を振る、しかし感覚は変わらない。

 

「ふーむ」

 

さてどうするか。あまりにも不可解な状況だ。だが考えるにしても材料が無い。それでも無理矢理捻り出すなら答えは一つ。

 

「死んだ?」

 

間違いなく現実的な場所じゃない。じゃあ夢かと言われればそれも違う。

 

「死んだもなんか違う」

 

そして今し方出した結論も否定する。何故かと問われれば何となく。

 

「……動くか」

 

うだうだ考えても仕方ない。とりあえず動く。それに限るだろう。

 

 

 

 

「慣れないな」

 

感覚が無いせいで前に進めているのか全く分からない。ついでに気づいたが、どうも身体全体の感覚が消失してるらしい。暑いのか寒いのか、ちゃんと呼吸しているのかすら分からない。妙な感覚はやがて不快な感覚に変わっていくがそれを解決する手段は皆無。我慢して足を動かすことしかできない。

 

 

 

 

「……なんか見えるな」

 

どうやら判断は間違ってなかったらしい。それが分かって幾らか不快感は薄れた。白い光のようなものが見えるが、まだ距離がありすぎてぼんやりとしか分からない。時間をかけ・・・たのかは分からないがそちらへと歩を進めて辿り着いたが、これまた妙、いや異様な光景が広がっていた。白い光の正体はただの照明だったのだが、問題は照らしているもの。

 

「……」

「……」

「……」

 

首が折れ曲がった者、心臓付近にナイフが突き刺さった者、全身焼け爛れた者、身体が半分に千切れかけた者等、そして一様に皆無表情。

 

「やっぱり死んだ?」

 

自分の身体を触るが、感覚が無いので全然分からない。確かめてもらおうと声を掛けてみるが無反応。折角この状況を解決できると思っていたのだが謎と不安が増えただけ。途方に暮れ始めた時だった。

 

「—————————」

 

何処からか声が聞こえてきた。

 

「向こうか?」

 

藁にもすがる思いで聞こえてきたであろう方へと足を向ける。

 

「——————君は」

 

徐々に声の主には近づいているようだ。しかし亡者達の数も多くなってきており押しのけて進むのも大分キツくなってきた。

 

「あと少うぉ!?」

 

押し除けようと手を伸ばした先には誰もおらず、そのまま前のめりに倒れてしまった。

 

「ん?あんた大丈夫か?」

 

見上げると、俺と同じくらいの歳の青年がいた。

 

「ほらこっち来い」

 

青年は俺を立ち上がらせステージらしき場所へと登らせた。

 

「ありがとう」

「気にするな」

 

改めて青年を見る。黒のスカーフに黒を基調とした軍服?のようなもの着ており、背中側の裾の辺りから2本の赤い線のようなものが垂れ下がっていた。傍にはアサルトライフルが立て掛けられている。

 

「中々珍しい格好してるだろ?」

 

見えやすいようにするためか、すこし近づいてきた。ここで気づいたがあちこちツキハギだらけ、煤と砂も大量に付着していたりとただならぬ様子だ。

 

「あまり気にしなくて良い」

 

そう言うと離れてステージ上に座り込んだ。そろそろ本題に入ろう。

 

「ここは?死後の世界?」

「一歩手前」

 

何とも判断に困る回答だった。完全に肯定してくれればまあ納得はしたのだが。

 

「けど安心しろ。あんたは死んでない」

 

困らせるだけじゃ飽き足りず、混乱させにかかってきやがった。

 

「というかあんたはこの場所に覚えはないのか?」

「ないな」

 

疑問を投げかけられ周りを見渡すが、全く記憶に無い。

 

「まあいい、少し休んどけ。まだ此処からは出られないからな」

 

そう言いながら何処から取り出したのか、ペットボトルを一本投げ渡してきた。

 

 

 

 

「成程トレーナーか、うんうん悪くないぞ。推しと二人三脚なんて良いじゃないか。じゃあ向こうに行きな。あんたは?……ハンターか、良いな。俺もハンターになりたかったよ。よしあっちに、あぁちなみに武器は?太刀?俺と同じだな。次は……ほぉ鴉に?あまり詳しくはないが星を焼かせない?全員生存?難易度ルナティックじゃないか?まああんたがそう決めたのなら。あんたは?綺麗な弾幕を作って巫女さんとイチャイチャしたい?ならこっちだな、頑張れよ」

 

あれから亡者達の相手をしている合間に教えてもらった情報をざっくり纏めると、此処は転生するかしないかを決める場所らしい。そして俺は既に転生者であると言う。ここにいるということは死んだのかと問えば違うと言う。極稀にまたここに来てしまうことがあるらしい。彼の場合はちょいと事情が違うみたいだが。

 

「さてあんたは……待て待て待て!そんな曖昧な考えで転生はダメだぞ!いいか?どんな世界に行きたくて、何になりたいか、何をしたいかをハッキリ決めるんだ。そこまで考えられないなら最低でも行きたい先だけでも明確にするんだ。分かったら向こうでじっくり考えてこい。大丈夫だ、ここに時間の概念は無いから」

 

1人の亡者に力説しこっちに戻ってきた彼にボトルを一本投げ渡す。

 

「お疲れ」

「ありがとう」

 

開ける手間を省くためか、ナイフで蓋の辺りを切り捨て勢いよく飲み干していく。

 

「全く苦労すんのは自分だって言うのに」

「経験談?」

 

さっきの亡者にぼやいてるのかと思ったが、若干死んだ目で銃とナイフを見ていたからおそらく過去の自分自身にも言ってるのだろう。

 

「ああ」

「後悔してる?」

「半々」

 

 

 

 

「そろそろ時間が来たぞ」

 

亡者達の相手をする彼を見ながら適当に飲み食いして時間を潰していたが漸く時が来たようだ。

 

「お前は?」

「俺はもう少しいるよ。帰り方は上を見てみな」

 

言われた通り見上げれば、白い星の結晶のようなものが浮かんでいた。おそらくあれを目指せば良いのだろう。

 

「ありがとう。世話になった」

「いやむしろこっちが礼を言いたいぐらいだ。久しぶりにまともな話ができたしな」

 

少しだけ目に光を宿しているが、それも束の間だろう。合間に彼の転生先を聞いてみたが、正直チート貰ったって行きたくない場所だった。出てくるキャラは魅力的なのだが。本人は考えなしに願った結果だと自嘲していた。

 

「さて」

 

これ以上はどうこうできない。そう考え出発しようとした時だった。

 

「ちょっと待ってくれ」

 

何故か呼び止められた。これ以上何かあっただろうか?

 

「すまん、あんたの転生先が気になったんだ。どれどれ」

 

じっとこちらの瞳の覗き込むこと数秒。

 

「成程、中々おもしろそうな場所だな。と言ってもタイトルぐらいしか知らないんだけどな」

「……」

 

どうやら納得したらしいのだが……当の俺は転生先の記憶が全く無くどう反応したら良いか分からなかった。多分戻れば思い出すのだろうが。微妙な反応をしていたら、不意に彼も上を見上げた。

 

「……あー、ちょいとやばいかも」

「は?」

 

やばい?何が?妙な呟きに困惑していたら、いきなり腕を掴まれた。

 

「早く急いだ方が良いかもな……そら!」

 

意図も状況も分からず、声を上げる暇も無いままいきなりぶん投げられ、あっという間に結晶まで辿り着いた瞬間眩い光に意識が飲み込まれていった。

 

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