「ほらほら!もっと早く打ち込むネ!」
「だっ、たら、合間に打ち込んでくんな!」
「それじゃあ稽古になんないネ!そこ!」
「ぐっ」
胴狙いの拳を防いだところに来た前蹴りを食らって体勢を軽く崩してしまう。すかさずヒメは飛び蹴りしてくるがこれは何とか———
「甘い!!」
受け止めた直後、身体を半転させて後ろ蹴り。吹き飛ばされつつも勢いを利用して後ろへと距離を離す。頭部に入らなかったのが幸いだ。
「お?良く耐えたネ」
「ヒメ、そろそろ休憩にしないか?もう2時間経ってるぞ?」
「たった2時間で音を上げるなんて、ナマケモノ以下ネ!そんなんじゃユメはやれないネ!」
「そもそも寝起きでこんなハードな鍛錬させるかよ。あとユメはいらない」
寝ててなんか破壊音がしたかと思ったらヒメが飛び込んできて、気付いたら彼女の家の道場にいた。そっから筋トレ、走り込み、瞑想、組手……休憩は水分補給だけ。
「こうでもしないとお前ずっと家に引き篭もったままネ。それに多少でもいいから武術とその心得を持っといてほしいのヨ」
「護身のため?」
「それもあるけど、鳳天会のポスト配置にユメと私との婚姻をスムーズに進めるためにってどこ行くネ!まだ鍛錬と話は終わってないヨ!」
「鍛錬して行き着く先が墓場なんて」
羽交締めにされながらふと過去にユメから聞いた話を思い出す。鳳天会トップとしての責任と彼女の家や周りからの期待。想像するよりも遥かに過酷でプレッシャーも並大抵のものじゃないだろう。
「ん?どうしたネ?」
「……今楽しい?」
「愚問ネ!楽しいに決まってるネ!」
年相応の無邪気な笑みを浮かべながらビシッと拳を突き出してくるヒメ。多分に欲望も混じってはいるがそれでも彼女なりの気遣いと好意。外部の俺ができることなんてたかがしれちゃいるが……
「ほらよ」
「お!やる気ネ!容赦しないヨ!」
少しでも彼女の気持ちが楽になるならたまには付き合うのも良いだろう。
「じゃあ、お?」
互いに構えた所でヒメのスマホが小さく鳴った。少しめんどくさそうな顔しながら見ていたヒメだが、パッと表情が明るくなった。
「ユメが仕事が終わったからこっちに「じゃあな」どこ行くネ!その気概は見せかけネ!?」
人生の危機なんだ。好意とか気概とか知らないね。
☆
「お姉ちゃん来たよ!ってあれ?お兄さんは?」
「逃げられたネ。全く」
「えー、久しぶりに会えると思ったのに」
☆
『サメ映画見ようよ』
海から飛び出し、陸で、空で、牢獄で、雪山で、火山で、温泉で大暴れするだけじゃ飽き足らず、タコと合体したり頭が増えたり幽体になったりしまいにはサメが出てこないともはや何でもありのサメ映画。
ヒメ達から逃れてエナドリ買い足した帰り道、ルカからそんな誘いを受けてサメ映画なんて珍しいなとは思いつつ特に断る理由も無いし適当なお菓子買ってやって来たわけだが。
「これはフィクションそうフィクション……」
「いい抱きっぷりじゃん、お似合いだよ」
「こうなった原因の自覚ある?」
前世程じゃないがこの世界でも割とトンチキなサメ映画が結構ある。
「こ、今年の海、あた、あたししは行かないっす」
「ヨットやボートの修理誰がするの?」
「アシストロボ貸すからルカ達が」
「遊びたいんだけど?」
「大体何であんな悪趣味なもん持って来たっすか!?」
「いやさ、私もあんな内容だと思わなくて」
「嘘っす!絶対分かって持ってきたっす!」
俺にしがみつきながら涙目で声をあげるメガスに対して、白々しく軽く笑みを浮かべるルカ。実際パッケージ見た時点から猛烈に嫌な予感はしていた。メガスも見るのはやめようと必死で止めてたけど折角誘ってくれたわけだし、パッケージ詐欺で大したもんじゃないだろうと無理矢理納得させた。
内容は遺伝子改造されたクラゲが暴走して同じく遺伝子改造されたサメを取り込んで脱走。その後ビーチで惨劇がというものだが……トンチキなんて表現が霞む程のエログロ映画だったのだ。しかもCGも役者の演技もサメクラゲの造形も見事なまでの高水準。それが一層凄惨さを際立たせていた。最初の研究所の時点で中々のものだったが、中盤でついにメガスが参ってしまった。
流石に視聴は中断してメガスを宥めるが一向に安定しない。どうしたものかと思ってルカに視線を送ったら、
「一緒に寝ればいいんじゃない?もう夜も遅いしさ」
この回答である。そもそも元凶はお前なんだからお前が何とかすべきだろうと思ったが、メガスの制止も聞かずに思い込みと映画に対する僅かばかりの好奇心に負けてしまった俺にも非はあると気づいて何も言えなかった。
「……今夜は一緒にいてほしいっす」
「じゃあ寝よっか」
震える声で懇願するメガスにさっさと部屋に入って行くルカ。非は確かにあるが同時にどこか釈然としない気持ちを抱えたまま一夜を過ごすハメになってしまった。
☆
「ルカは何であんな映画選んだっすか?」
「あんたの恋の応援のつもりだったんだけど、ちょっとあれは失敗だったわ」
「ちょっとどころじゃないっすよ!」
「ゴメンゴメン。でもさ、彼に寄り添って寝てるあなたの顔、完全に乙女の顔してたわよ。写真も撮って」
「なに勝手に撮ってるすか!?早く消すっす!ああそれとあの映画も処分して」
「あれ彼のリュックに入れといた」
「ほんとに何してるっすか!?」
☆
「お前、ほんっとに学習能力無えなぁ?」
「言い返す言葉が無い」
「できた」
メガス達に別れを告げてついでにヒトカラして帰ったら夜這い忍者と一つ目マフラーに拘束された。以上。
カゲにガッチリと椅子ごと拘束された俺の前には、アジの唐揚げ、サバの塩焼き、ヒラメのムニエル、カレイの煮付け、鮭のバター焼き、マスの塩漬け、カツオのたたき、イワシの……トマト煮か?、綺麗に剥かれたシャコ、イカとタコの刺身……見事に海産物しかない。
「これ、どうしたんだ?」
「最近釣りと素潜りにハマってるんだけど、今日は気合い入りすぎちゃって」
「カツオだけは買ったやつだけどな」
新たにアサリの吸い物とシジミの味噌汁が追加。キッチンの方を見るとカニが茹でられてる。これ食べきれるか?
「あーん」
「ほらよ」
「……え?」
どの順番で食べようかと思ったらコマチがサバを、カゲがシャコを持ってきた。
「……自分で食べるからムグっ!?」
「遠慮すんなってほら!」
「ゲッホ!ゲッ」
思いっきり突っ込まれた挙句、口まで塞がれた。大体噛まずに飲み込めるわけがない。喉に引っかかったまま吐き出すこともできないままもがいていると慌ててコマチがシャコを引っ張り出してくれた。
「カゲ!やりすぎ!」
「わ、わりぃ」
こいつのおちょくった態度や所業は今に始まった事じゃないが、流石に今回は許さん!
「……?お前何してっ!?」
大きく拘束が緩んで油断してるカゲを引っ掴むと鮮やかな赤い輝きを放つ鍋へと歩を進めて行く。
「まさか俺様を茹でる気か!?」
「こんのっ!抵抗すんな!」
「ちょっと!2人とも危ない!」
また巻きついて抵抗するカゲ、それに全力で抗いながら解いていく俺、あっちにこっちにフラフラしていたら足がもつれて転んでしまった。その時、何かに手が当たった。
「あっ!」
コマチの声に顔を上げると宙を舞うカニと鍋、そしてこちらに降りかかる熱湯。避けるのは到底間に合わない。諦めて思い切り歯を食いしばって……
「危ねぇ!」
叫びながらカゲは俺の上で大きく広がって熱湯を受け止めた。
「おい!?」
そのまま隣に落ちたカゲを慌てて拾い上げると丁度目が合った。
「おいおい、この程度で俺様がどうこうなるわけねえだろ?忘れたか?」
それを示すようにダブルピースをかますカゲにどっと緊張が抜けていく。
「どうした?」
「……無事で良かったって」
「い、いつ見ても素直なお前、気持ちわりぃな」
自分の身体を抱きしめて震えるような素振りをするカゲを尻目に立ち上がると腕を掴まれた。
「……コマチ?」
「正座。カゲも」
「何で俺様「正座」はい」
この後、カゲ共々こっぴどく怒られた。
☆
「カゲ、さっきはありがとう。それとゴメン」
「気にすんな。俺の方こそゴメンな」
(喧嘩して仲直りして喧嘩して仲直りして……でも見てて飽きないんだよね)
☆
『いやぁーー!お姉ちゃん!助けてーーー!!!』
『離して!あの子は!あの子だけは!』
『もうダメだ!……諦めるしかない』
『お姉ちゃん!お姉ちゃん!』
必死で助けを求める少女を捕らえた異形の怪物は後ろの壁に形成された卵で満たされた膜の中に少女を押し込むと、残りの生存者達に向き直った。
『離して!離してよ!』
1人が無理矢理姉を担ぎ上げて走り出すと他の者も信号弾で足止めしつつ後に続いて行く。
やがて姿が見えなくなると異形は触手を器用に使いながら後を追い始めた。
『早く、早く出ないと』
少女は膜を破ろうと必死に足掻くが、膜は厚くただいたずらに粘液が纏わりつくだけ。何かないかと後ろを振り返った少女は恐怖に目を見開いた。
『い、いや』
視線の先には卵から孵った子供達が少女を見据えていた。やがて一匹が少女の足に触手を伸ばしたのを皮切りに一斉に襲いかかった。
『いや!みんな!お姉ちゃむぐ!?』
手に足に胴に首に巻きついて自由を奪い、更に口と目も塞ぐと何匹かが少女に覆い被さった。少女は抵抗するが僅かに身体を揺らすことしかできない。そうこうしてるうちに少女の服が見る見るうちに溶け始め———
「……君は……こういうのが趣味なのか?」
「ちょっと待ってくれ」
———た所でミサキは困惑しながら映画を一時停止した。
「その……趣味嗜好にまで大きく口を出す気は無いが……流石にこれは……君を迎え入れる時になんて説明したらいいんだ?」
「言わなきゃいいだけだろうが」
リュックの中整理してたら何故かあのエログロサメ映画が入ってた。当然入れた覚えは微塵も無い。多分ルカだとは思うが何にしろこんなもんいらんしZ3000に処分頼もうとしたらいつの間にか不法侵入してたミサキと鉢合わせ。慌てて背に隠すという愚行をミサキが見逃すはずもなく、必死でただの映画だと説明してもお前を籠絡するために送ったいかがわしい代物に違いないと聞く耳を持っちゃくれない。いよいよ身の危険を感じ始めた所で仕方なく鑑賞して潔白を証明する事になってしまった。
「疑いは晴れたって事でいいか?」
「あ、ああ」
晴れるや否や急いでディスクを取り出してパッケージにしまった。いつまでも写しとくのは流石に恥ずかしすぎる。
「……もしかして欲求を上手く解消できていないのか?それで拗らせてこんなものを」
「友達にいつの間にかリュックに入れられてたんだ。だから服は脱がなくていいぞ」
服に手を掛けようとするのを先んじて阻止する。顔を赤くしてるくせにほんとに油断ならない。
「それで何しに来たんだ?」
「先日大雨だったから、風邪引いてないか見に来たんだ。その様子なら大丈夫みたいだな」
「俺よりも三神教の仕事は?」
「粗方片付けた。だから当分は君に時間を割けそうだ」
気まずい雰囲気の中で何を仕掛けて来るか考えるのに気が滅入ったから本題に移ったが、余計な事を聞いてしまったような気がする。
「む、何だその顔は?」
「こういう時にテルが何か起こしそうだなって」
「否定できないな……はぁ」
咄嗟にテルを出して危機回避。そろそろ疲れてきたしそれに……
「どこ行くんだ?」
「腹空いた。なんか作る」
「なら私も手伝おう、ふふ」
上機嫌でリュックの中から食材を取り出して行く。俺との料理がまた将来に一歩近づいたとか思ってんだろうな。
「……リュックなんて持ってたか?」
「ああ、最近登山に挑戦しているんだ」
龍の柄が施されていながら派手さを感じさせない物を選ぶ辺りはミサキらしいと言える。
「ほら、早く持って行ってくれ」
食材を持って行く途中でふとサメ映画が視界に入った。
「………………」
「どうしたんだ?」
「……いや」
☆
「リン〜、これ観ようよ」
「ジェリーシャーク?テル様、これは?」
「ミサキのリュックに入ってたんだよね。面白そうだし何よりミサキがサメ映画。気になると思わない?」
「まあ確かに気になりますけど……でも勝手にいいんでしょうか?」
「気にしない気にしない!早くお菓子とジュース!あと雅央も!」
「はあ、分かりました」
☆
「ひ、酷い目に遭ったの。何もあそこまでする必要ないじゃん……ふぇっくし!」
雨に打たれ雷に怯えて強烈な日差しを浴び続けて……我ながらよく生きてたと思う。引き出しから風邪薬と頭痛薬を取り出してPCを開く。彼は……寝室?もしかして……寝てるの!あーやっぱりあなたの寝顔は最高なの!!苦難の日々だったけどこれのためと思えば耐え凌いだ甲斐があったの!……待って、今ナンシーって!もうちょい音量を上げて……やっぱりあたしを呼んでるの!夢にまであたしが出てくるなんてあなたも相当恋焦がれてるんだね、嬉しいの!
……あれ?顔色が悪くなったの。何で?……あ、分かったの。あいつらでしょ?夢の中にまで出てきてあたし達を邪魔して彼を苦しめるなんて……絶対に許さないの。
それじゃあ早速、まずはあのバカップルからなの。役場のシステムにアクセスしてっと。どれどれ〜……あれ?無いの。ということは……オアシスシティにあったの!ふーん、彼女さん上流出身なんだ?しかもかなりの土地を持ってるの。男の方は給仕と。……2人の捜索願いが出てるの。男が連れ去ったってなってるけど……ああ成程、彼女さん嫁ぐ予定だったんだ?つまり2人で愛の逃避行って事なの。あたしも彼とロマンス溢れる愛の逃避行を繰り広げてみたいの〜♡。……いけないいけない考えるのは後なの。居場所を特定してっと……よし!2人とも家に連絡しといてあげたの。彼女さんは家族に謝って新しい恋を楽しむといいの。男の方はどうなるか知らないけど。
次は汚い手で彼を掴んだオッサン。年収は3000万、社内外からの評判は上々、最近じゃ一大プロジェクトのリーダーに抜擢……ふーん、中々のエリートなの。家族は彼女さんと息子1人か。その息子も起業して成功してるの。彼女さんはこれまた良いとこのお嬢さん。息子の方も結婚してて今度出産予定。仕事もプライベートも順風満帆。まさに絵に描いたような幸せに満ちた人生を築いてるの。
……でもさ、これは何なのかな〜?彼女さんいるのに一回りも年下の女の子を別荘に連れ込んで事に及んでるのってさ、到底人として褒められたものじゃないよね?しかも1人や2人じゃ……うわ、孕んでる子もいるの。しかもしかも結婚の約束まで!息子の方もいっぱい女の子に手を出して……彼女さん達ほんとに気の毒なの。健気に帰りを待ってたら外で女の子達を食い荒らしてる野獣と化してるんだから。それでよく彼を掴めたもんなの。数日後には結婚記念日か。結婚記念日は彼女さん達の家族も来て必ず盛大なパーティーを開くと。パーティーなら人が多い方が楽しいよね?………………はい!女の子達にも招待状を送っといたの!息子の方もね!盛り上がる事間違い無しなの!
杖ジジイはどんな奴かな〜……若い頃に会社立ち上げてそれからずっと結婚もせずワンマン経営。事業は結構幅広くやってて水郷古鎮の発展にもそれなりに関わってる。道理に反した行為は何が何でも見逃さない、休日は炊き出しとかのボランティア。中々よくできた人格者なの。おかげで部下からの信頼も厚いし、一時期は大手すら凌ぐ程の勢いで注目されてたみたいだけど……今じゃどの事業も不振続きで部下に払う給料すら危うい状態。しかもその強い正義感と道徳心のおかげで外部には敵がたくさん。何でもかんでも正せば良いって事じゃないの。
……最も彼を苦しめた時点で人格者だろうが悪党だろうが関係無いけど。
さてさて、もう十分頑張ったんだからゆっくり余生を過ごすといいの。会社はあたしが畳んどいてあげるから。経営資金は適当なボランティア団体に流しとくの。……お?セキュリティがガチガチなファイルが……いろんな再建プロジェクトが立案されてるの。でもこれもいらないよね?多分USBとかにも保存してるだろうから……………………よし、細工完了。これで復元もコピーもできないの。こっちにも厳重なファイルが……新しい事業計画書と取引スケジュールか。えーと……有効活用してくれそうな所に送っといてあげたの。うーん、あと一手欲しいの。何か……何これ?強襲制圧機体?……効率的かつ人員の損耗を抑えるためのロボットを警察から依頼されてたんだ。数日前に完成して今日がデモンストレーション……場所はここか。
おお〜、いっぱい集まってるの。壇上にはあのクソジジイとロボットは2体……うえ、何これ?1体は二足だけどもう1体は多脚?気持ち悪……多脚って機動性は抜群だけど……二足の方は装備はショットガンに電磁シールド。背中には予備のショットガンと……槍?ただの槍じゃないよね?ちょっと分かんないの。多脚の方は両腕ともミニガン!?確保は視野に無いって事なの!?えっと、ほ、他は……あれなんだろ?背中に薄い皿みたいな……弾倉?……依頼に装備の指定は無いからあのクソジジイの発明か何処かでひっそりと指示があったか。何にしてもあれも分かんないの。
……ロボットからケーブルが伸びてるの。先にはPCと大型の発電機。直に繋いでるって事はまだ……待ってPC?…………閃いたの!ここをこうして、こうして……全くセキュリティがなってないの。まああたしとしては楽だけど。よし、プログラムをいじっておいたの。さてどうなるかな〜……びっくりしてるの。そりゃそうだよね、勝手に動いて装備展開してんだから……警官達に攻撃し始めた!上手くいったの!あ、心配しなくて良いの。あんたは狙わないようにしといたから。巻き込まれたなら知らないけど。あ!槍を構えたの!投擲して……あれ?映らなくなった?他のカメラは……ダメなの。一瞬電撃みたいなのが見えたから電磁兵器———
「ナンシー!ここに居たっすか!」
「うえぇ!?」
見つかった!早く逃げなきゃ!
PCを切って慌てて隠し通路に飛び込もうとしたけど、アシストロボが放ったネットに捕まってしまった。
「いや!もう避雷針はいやなの!!お願い見逃して!」
「一発落ちるまで解放しないっすよ」
「実質死刑宣告なの!見逃してくれたらほんっっっとは嫌だけど何枚か彼の寝顔写真を」
「盗撮写真なんていらないっす。見苦しいから早く行くっすよ」
「おかしいの!あたしはただ彼と愛を育んでただけなのに!」
「どっからどう見てもただのレイプっす!ほら!早く来るっす!」
「いやーーー!!!」
☆
「スミカゲ?メガスは?」
「クララ?戻ったんだ?メガスならナンシーを屋上に連れてったよ」
「はぁ、全く」
久しぶりに夢に出てきたなあいつ……Z3000?最近ずっと居るな。心配しなくていい、夢見が悪いのはいつものことだから。
……そうだ、ちょっと頼みがある。このドラレコと手錠と鍵、処分しといてくれないか?できれば早く……ありがとう、いつもごめんな。