〜〜〜魔法少女リリカルなのはの世界〜〜〜
魔境と言いたくなるほど小さな場所でさまざまな事件が起こった鳴海市にある小さな公園。そこに張られた結界の中で2組の仮面ライダーが戦闘を行っていた。
蛇をモチーフとした青い複眼に白銀の鎧を身に着けた仮面ライダーサガ。運命の鎧とされる別名があり、最初期型として登場した王の鎧である。剣と鞭が一つになった白い縦笛のような武器「ジャコーダー」を構えている。
「はぁ!!」
「よっ! ほっ!」
そんなサガの相手をしているのは、全体的にバーコードっぽい見た目が強調されるシアンブルーの仮面ライダーディエンド。ディエンドライバーを用いて伸ばして攻撃してくるサガのジャコーダーを撃ち続けて近づけさせないようにしていた。
「はぁ……もう面倒くさいなぁ」
遠くから攻撃するばかりで一向に近づいてこないサガに苛立ちを隠すこともなくディエンドは舌打ちをし、小型のカードケースからカードを3枚取り出す。
【KAMENRIDE】
ライドリーダーにカードを装填し読み込ませると、前方に向けてディエンドライバーを発射する。
【ACCEL】
【SPECTRE】
【BRAVE】
ディエンドライバーから発射されたカラフルな光がディエンドの周囲で動き回り、そして光がそれぞれの仮面ライダーの形を形成する。
その光から現れたのは……赤く堅牢な装甲を持った仮面ライダーアクセル、青と黒を基調とした色合いのパーカーを着たした2本の角を持つ仮面ライダースペクター、そして騎士甲冑を思わせる西洋の見た目に炎と氷の剣を持った騎士――仮面ライダーブレイブだった。
「なにっ!? 銃から人がっ!?」
「行っておいで……私の兵隊さん達」
突然の登場に驚くサガの所に3人の仮面ライダーが向かっていくのを一瞥したあと、カードケースから取り出したインビジブルのカードを使いその場から消える。
「くっ……負けるわけにはいかない!!」
鞭状態にしているジャコーダーを振るいブレイブ達を近づけさせないようにしているが、流石に3人も相手するとなれば捌きれず接近を許してしまう。
スペクターが振り降ろしたロッドモードのガンガンハンドによる打撃、さらに続けざまブレイブの持つガシャコンソードによる連続斬撃を喰らい、そしてバイク形態になったアクセルがサガに突進。そこからタイヤで回転し後輪をぶつけてサガを吹き飛ばす。
地面を何度もバウンドしながらなんとか起き上がったサガは、サガークにウェイクアップフエッスルを差し込んで「ウェイクアップ」のコールを公園の中で奏でる。
「これで終わらせる……!!」
上空に皇帝の紋章を出現させジャコーダービュートで標的を刺し貫こうとするが、その前に接近してきたブレイブに斬りつけられる。さらにはアクセルトライアルへと変身したアクセルが音速を越えた速度で超絶連打のごとく打撃を行い、そのダメージ量によりサガは膝を付いてしまう。
「ちっ……!」
舌打ちをし大きくジャンプして後退する。だがそれを読んでいたかのようにスペクターがロッドモードのガンガンハンドを振りかざしサガの背中を殴りつける。
「がはっ……!?」
背中に強い衝撃を与えられ息ができなくなったサガはとうとう変身していられる体力もなくなり、纏っていた運命の鎧を外してしまう。それにより人の姿に戻ったサガ――少年は地面に倒れ吐血する。
3人はトドメを刺そうと近づくが、そしてものすごい速さで急接近してくる存在に足を止めた。
「やめて!! それ以上なにもしないで!!」
現れたのは長い金髪をポニーテールにした美少女――フェイト・テスタロッサ。そして遅れてやってきた茶髪をフェイトと同じようにポニーテールにした美少女――高町なのは。その2人が少年を庇うように3人の前に立ち塞がった。
「これ以上戦うつもりなら私たちが相手になる!」
「絶対に負けないから……!!」
強く折れない決意を心に刻みバルディッシュとレイジングハートを握りしめる。両者一向に動かずに睨み合いが続くが、突如として3人の仮面ライダーがカラフルな光りに包まれるとその場から消えていなくなる。
仮面ライダーが消えたことでなのは達にあった緊張感が薄くなる。だがそれでも周囲に警戒したまま少年の元へ駆け寄る。
「太牙っ!! 起きてよ太牙!!」
「大丈夫だよフェイトちゃん。気絶してるだけみたい」
頭から血を流す少年を見て顔を青ざめながら必死に揺さぶり起こそうとするフェイト。逆に冷静に少年を見てただ気絶しているだけだと判断するなのは。
二人はすぐに公園から離脱し安全に治療してくれる人――ヴォルケンリッターの一人にして湖の騎士と呼ばれたシャマルの元へ向かった。その様子を影から見ていたディエンドは変身を解くと少女――海馬奈々の姿に戻る。
「……やれやれ。これじゃあどっちが悪者なのか分かったものじゃないね。お宝はなさそうだし司も居ないみたいし……この世界にはもう用はないかなぁ。」
興が冷めたというように肩をすくめた奈々は、自分の背後に灰色のオーロラカーテンを出現させるとその奥に消えていった。
〜〜〜ホロライブの世界〜〜〜
道長がバイトしている店の店長が女の子にセクハラをするという犯罪を起こしたことで店そのものが潰れた結果、理不尽に解雇されてしまった道長は暇となった時間を潰すためホロライブシティを歩いていた。
『そうさ、僕は夜を歌うよstellar☆stellar』
それはホロライブシティ中で流れている曲。「ホロライブ界の彗星」と呼ばれしアイドルである星街すいせいの曲である。道長はアイドルといったものにそこまで興味があるわけではないためなんとなく名前を知ってる程度でしかなく、この曲がすいせいの歌う曲であることも知らない。
「……ん?」
そんなことよりも道長の気を引いたのは、偶然目に止まった1枚の紙に書かれている情報だった。
【あの超有名アイドル! ときのそらがまさかの行方不明!! 真相は男女のもつれによる失踪か!?】
手にとって読んでみれば、それはなんともくだらない記事だった。むしろ読む時間が無駄だったとさえ思った。
「どうしてこう、この手の輩は相手のことを一切考えないこと書くんだろうな……」
「それがお相手さんの仕事ですからねぇ」
「あぁ、そうだ……あ?」
道長が独り言として呟いたはずの言葉は、なぜか背後から答えが返ってくることに疑問を抱き後ろを振り向く。するとニコニコしながら狐耳をぴょこぴょこさせる白上フブキが立っていた。
「………………」
一度記事のほうに顔を向け、そしてもう一度後ろを振り向く。やはりそこには変わらずニコニコしながら狐耳をぴょこぴょこさせる白上フブキが立っている。
「……なんでいる」
「そりゃあ後を追っかけてきたんですから居るのは当たり前ですよね」
「当たり前じゃねぇよ普通に怖えわ」
眉間にシワを寄せ苛立ちを隠すことなく睨みつける。だがそんな視線などお構い無しにフブキは笑顔を崩すことなく道長の手元にある記事を読み始める。
男女の距離を考えないその行動に一瞬だけだが道長の心臓はドキッと跳ね上がる。それをなんとか押さえつけ、記事を元の本棚に戻す。その際に後ろから「あー! まだ読んでましたのに!」という声が聞こえたが無視することにした。
関わらないように早々にその場から立ち去ろうと歩き始めるが、フブキも同行するようについてくる。少し歩く速度を上げれば同じように速度を上げてくる。
そんな事が何度も続くうちに道長はキレた。
「なんなんだお前は!!」
立ち止まり振り返ってこめかみに青筋を浮かべた道長が思いっきり怒鳴りつけると、狐耳をピーンとしながら驚いたフブキが飛び上がる。
「うわぁ!? 急に大声上げないでくださいよぉ」
「あ、わりぃ……じゃなくて!! さっきからなんなんだお前! 新手のストーカーか?」
「し、失礼な!」
狐耳をしにょ〜と垂れ落ち込んだ表情で曇った彼女を見て道長は少しは落ち着いたのか――
「そうか、ならもうついてくるな」
フブキの表情など関係なく道長は歩き始めた。
あまりにもひどいスルーの仕方。流石のフブキもカチンと――来ていなかった。むしろまだ後ろをついてきていた。道長は怒ることをもう諦めた。
何か自分に用事でもあるんだろうと考えた道長は場所を変えるために適当に目についた喫茶店に入った。そこで適当に珈琲と軽い朝食を注文し、すぐに届いた珈琲を一口飲む。
「で、結局なんの用なんだ」
「用とは……?」
珈琲を飲みながら訪ねる道長は、首を傾げるフブキにイラッとする。
「用事があるから俺の後ろをついてきてたんじゃねぇのかよ」
「あっ!」
すっかり忘れていたとばかりにフブキは声を上げる。
「以前白上のこと助けてくれましたよね? そのお礼を言おうと思いまして」
「……何の話だ?」
フブキの言う感謝の言葉。それは道長にとって訳がわからないことであった。
「ほ、ほら! 前に紫色の牛さんっぽいのになってましたよね!?」
「お前あん時の猫「狐じゃい!!」……狐だったのかよ」
机をバンッと叩き身を乗り出してまで言葉を訂正してくるフブキに、道長は頭を掻きながら訂正する。この世界では仮面ライダーは悪の存在ということになっている。そのため他人に正体がバレるのは道長にとってかなり不利な状況を生むことになる……なのだが道長は特に気にした様子もなく届いた朝食を食べ始めた。
「それにしてもこの珈琲美味いな」
「あ、確かにそうですね。この喫茶店ってつい最近営業を始めたばっかりみたいなんですが、誰でも飲める珈琲を売りにしているようでわりと人気みたいですよ? 隠れた名店っていうのはこうことを言うんでしょうねぇ」
実際メニュー表には様々な豆を使った珈琲が載っており、味の濃さやミルクや砂糖の入れる入れないも選べる。しかも珈琲だけではなくカフェ・オ・レや紅茶といったものも載っているみたいだった。
ゆっくりとカップを傾け珈琲を口に含むフブキを見て、なんとなくメニュー表に目を通す。適当に選んだ珈琲だったが今度からはちゃんと選んで飲んでみたほうがいいのかもしれない……そう心のなかで呟いた。
「それに!! 人気なのはなにも珈琲だけじゃないんですよ!! ここの喫茶店のマスターをしている人は私たちとそう歳は変わらないんです!! 少々ぶっきらぼうな対応がありますがそこがまたいいとの声がネットで上がっていましてですね」
「あーはいはい、もうわかった。わかったから言わなくていい」
「むぅ……まだ語り足りないですかまぁいいでしょう」
この街を象徴するホロライブの一人と喫茶店で珈琲を飲んでるなんて、わりと凄いことしてるなぁ今……なんとなくそう思いながらもだからなんだ、と興味をなくす。
そんなとき近くで建物が爆破する。興奮して語っていたため立ち上がっていたフブキが、爆破の衝撃によりバランスを崩し道長の方に倒れ込んてくる。
咄嗟に手を伸ばしフブキを抱えるとすぐに地面に下ろし、カウンターに2人分の料金を置きながら外に出る。慌てて「あ、ちょっとー!?」とフブキも後を追いかけた。その様子を見ていた喫茶店のマスターはまるで血のように赤い瞳を外へ向け、苛ついたようにため息を吐いた。
「……なんだ、アイツ」
外に出た道長が目にした光景……それは巨大なティラノサウルスの頭部から人間大の手足と脊椎状の尻尾が生えているという割とグロテスクな姿をした謎の怪物が暴れ回っているところだった。手足には血管のような模様があり、かなりインパクトが強すぎる。
その怪物の名前は――
「あ、アレは……ビッグ・ティーレックス・ドーパント!?」
「知ってるのか……?」
「知ってるも何もうぉおわ!?」
フブキが説明しようと口を開いた時、ビッグ・ティーレックス・ドーパントが大きく建物を蹴り上げた。その瓦礫の山がフブキたちの方に向かってきてることに気づいた道長は咄嗟にフブキを押し倒して自分を盾にした。
「おい、大丈夫か?」
瓦礫の山に埋もれながらもフブキを守るために盾になった道長。埋もれる瞬間仮面ライダーバッファに変身したのだ。バッファのオレンジ色の複眼がフブキを見据える。
「あ、はい……白上は大丈夫ですけど……」
ガラガラと音を立てながらフブキに当たらないように自分の上に積み重なった瓦礫の山をどかす。ゾンビブレイカーを起動させチェンソーを回転させると瓦礫を弾き飛ばした。
「邪魔にならねぇ場所に隠れてろ」
「え、でも、きみは……」
「あのクソティラノをぶった斬ってくる」
言うが早いかバッファはフブキの返事を待たずに走り出した。ビッグ・ティーレックス・ドーパントはバッファの方には一切注意を向けておらずむしゃむしゃと瓦礫を喰らっている。その様子は人間が変身した怪人の一体だとはとても思えなかった。
「オゥらぁぁぁ!!」
だが、そんな事はバッファには関係ない。自分に背を向けているビッグ・ティーレックス・ドーパントのお尻めがけてゾンビブレイカーを思いっきり叩きつけた。
「グギャァァアア!?」
声になりない悲鳴を上げながらビッグ・ティーレックス・ドーパントが痛みに震えてのたうち回る。迫りくる尻尾を上手く回避しながらバッファはゾンビブレイカーを叩きつける。
ゾンビブレイカーを何度も叩きつけることで磁場生成の力で身体に集められたスクラップを削り落としていく。そのたびにビッグ・ティーレックス・ドーパントが悲鳴を上げているが気にせずに攻撃を続ける。
「ちっ……無駄に図体デカいしかってぇし、とっととくたばれ!!」
デッドリーポンプを刃先まで上げて必殺待機状態にする。ゾンビブレイカーのpoi-zom圧力の向上によりテリブルチェーンの回転数が大幅にアップし、刃先に毒々しいオーラを纏わせビッグ・ティーレックス・ドーパントに斬りつけた。
ビッグ・ティーレックス・ドーパントは怒りのままに咆哮をあげる。その時に発生した衝撃波によりバッファが吹き飛ばされ壁に激突する。
「あっ……!!」
それを遠くで見ていたフブキが反応し声を上げてしまう。
「グゥるる……」
ビッグ・ティーレックス・ドーパントの鋭い視線がフブキに向けられる。ドスンドスンと大きな足音を立てながらその口を開きフブキを喰らおうとする。
「い、いや……」
恐怖で立つことができずにいるフブキは必死に後ろに下がろうとするが、自分の後ろにあるのは壁だけ。もはや逃げることはできない。ビッグ・ティーレックス・ドーパントがフブキに喰らいついた……はずだった。
「……え?」
「ったく……だから安全そうな場所に隠れてろって言っただろうが……!!」
ビッグ・ティーレックス・ドーパントの噛みつきを受けながらもバッファが庇うようにフブキの前に立っていた。鋭い牙がバッファの肩に食い込み血が流れている。
【POISON CHARGE】
デッドリーポンプのカバーを上部までスライドしてポイズンチャージをし必殺技待機音に移行させる。それによりゾンビブレイカーの鎖鋸【テリブルチェーン】に毒々しいオーラを纏わせる。猛毒のオーラを纏わせたゾンビブレイカーをビッグ・ティーレックス・ドーパントの口内に突き刺し、ビッグ・ティーレックス・ドーパントが驚いて離れた隙を見てデッドリーポンプを戻す。
【TACTICAL BREAK】
飛び上がりながらインプットリガーを押しゾンビブレイカーの鎖鋸【テリブルチェーン】を高速回転させることにより巨大な岩石をも容易く両断する破壊力を発揮させ、ビッグ・ティーレックス・ドーパントの脳天向けてゾンビブレイカーを突き刺した。
「はぁ、はぁ……ったく」
雄たけびを上げながら地面に倒れたビッグ・ティーレックス・ドーパントからゾンビブレイカーを抜き、バッファはフブキのもとに向かう。その身体から怒りのオーラを纏わせて。
「お前なぁ!! もうちっと安全な場所に隠れてろよ!? 危ねえだろうが!!」
「ひゃう!?」
ゴツンという音を響かせてフブキの脳天にゲンコツを落とす。涙目になりながらフブキは地面に腰を落とし頭を押さえた。
「いったぁ……!? 今殴りましたね!? 白上の頭をながりましたね!? これでもアイドルですよ!?」
「知るかそんなこと」
「ひどくないですか!?」
「妥当だと思うが?」
「ぐぬぬ」
倒れているビッグ・ティーレックス・ドーパントを警戒していると突如としてその姿がチリチリと砂のように変化して散っていった。バッファが向かってみるとそこには何も描かれていない黒いメモリと恐竜の人形が落ちていた。
「……なんだったんだ? 誰かが変身していた、というわけじゃなかったのか」
「あー、まだ頭が痛い……それにしても不思議ですね。普通ドーパントになるにはコネクトっていうメモリを指すためのやつがあるはずなんですが」
「まぁ、そのうちわかるだろ」
バッファの変身を解いた道長はメモリをポケットに入れ歩き出す。その様子を見てフブキもついていこうと立ち上がろうとするが腰が上がらない。置いていこうとした道長はため息を吐きながらフブキの元に戻りお姫様抱っこをして歩いていった。
顔を真っ赤にしたフブキの講義をガン無視して。