ようやく風邪が治った……つらい
ミラーワールド……鏡の中に存在するもう一つの世界。
現実世界とそっくりだが左右が反転しており、ミラーモンスター以外の動物は生息していない。ミラーワールドではミラーモンスター以外の動物は生きていくことができないためである。それは仮面ライダーですら例外ではなく、人間なら1分も持たず光の粒子になってしまい、たとえ仮面ライダーに変身したとしても9分55秒以上連続でミラーワールドの中にいれば消滅してしまう。そんな恐ろしい世界である。
そんなミラーワールドでは無数のミラーモンスターたちが暴れ回っていた。
ゼブラスカル。シマウマ型のミラーモンスターで「アイアン」と「ブロンズ」の二個体が存在する。両者とも両腕に角状の武器が装備されており、なおかつ体の各部位を繋ぐ筋肉がバネ状になっているため、攻撃をかわしたり衝撃を軽減したりするなど攻守ともに優れる。
頭部の鬣、あるいはトサカのようなものが細いのがアイアンであり、頭部の鬣、あるいはトサカのようなものが黒くて太いのがブロンズ。防御力に関しては名前から分かる通りアイアンの方が若干高い。
ワイルドボーダー。イノシシの特性を備えたミラーモンスター。
非常に気性が荒く、見境なしに相手に突進する性格で、体と両腕に付いている盾で激突されると200t*1もの衝撃で吹っ飛ばされる。
ゼノバイター。カミキリムシの特性を備えるミラーモンスター。
赤系統のテラバイターに比べて青を基調としたカラーリングをしており、顔もパッと見てカミキリムシだと分かるものになっている。武器は鋭い切れ味のブーメランで攻撃に防御にも有効。振り回せば鉄柱をも切り裂く。
テラバイター。カミキリムシの特性を備えるミラーモンスター。
同種であるゼノバイターと比べると体色が赤く、胸部が丸く膨らんでおり、鳴き声も高い事からメスのモンスターと思われる。背中には鉄柵をも切り裂くブーメランを装備しており、遠距離にいる多数のターゲットを一瞬で狩ることができる。また、近距離戦では手持ちの斬撃武器として使用する。非常に貪欲であり、一度狙った獲物は逃さない面倒くさい敵である。
バクラーケン。イカのような外見と能力を備えたミラーモンスター。
腕や脚部に吸盤があり、これを壁面に張り付けることで垂直な壁などを登ることが出来る。腕を触手のように伸ばして人間を捕食し、その強力な吸着性を持った触手に絡め取られたら、逃れる事は不可能である。また、頭上の口吻は獲物を食するだけでなく、煙幕を放って敵の視界を奪うことも出来る。
ソノラブーマ。セミの特性を備えたミラーモンスター。
尖った口先を食料となる人間に突き刺し、その体液を啜る。戦闘では強力な催眠超音波を放って敵の動きを封じた所へ両腕の鋭い鉤爪を用いて粉砕する戦法を得意としている。特に目立った戦績はこの世界でもない。
シアゴースト。ヤゴ型のミラーモンスター。
白い体色を持つミラーワールド内で無数に存在するミラーモンスター。。戦闘員ポジションの怪人でもあり、常に集団で行動し、一斉に獲物に襲いかかるがシアゴースト達の攻撃力はさほど高くない。常に「ブ ペブ ペブ ペ」と奇妙な鳴き声を発しているのが特徴。動き自体は緩慢だが、口からの種子を飛ばして人間に植えつけ、体内で発芽した種子は触手状に成長して、まるで冬虫夏草のように宿主を苦しめる。そしてそのまま鏡の中に引きずり込んで捕食するという非常に厄介な能力を持つ。また、粘着性の糸を吐き出して逃走や拘束に使用する。
そんな連中とたった一人で激闘という名の蹂躙を繰り広げている黒い騎士がいた。その者の名は仮面ライダーリュウガ。あまりの多さと普段の仕事による疲れが爆発しブチギレたことにより、無言状態になりながら襲いかかるミラーモンスター達をなぎ倒していた。
その様子を遠くから見守る金の装飾が施された白い蜘蛛のような仮面ライダーが、ミラーワールドのビルの上に立っていた。
〜〜〜ヘブンバーンズレッドの世界〜〜〜
謎の生命体「キャンサー」に襲われた地球は危機に瀕していたとされる。「キャンサー」と名付けられたその謎の生命体達には、これまで人類が生み出してきた叡智の結晶たる兵器など一切通じることなく終わり、撃退する術を持たない人類は屈辱なる敗退を決めることになる。
土地は放棄され、様々な国が戦禍に消えていった今では、陸地の大半は「キャンサー」の支配下であり、人類に残された時間は少なくなった。そうやって絶滅も覚悟したとき、人類は愚かにも「キャンサー」に抵抗するためひとつの新兵器が開発した。
決戦兵器「セラフ」。人類は「セラフ」を操る術を手にした者たちをかき集め、最後の希望を託してセラフ部隊を設立した。
「ふむ、くだらん……実にくだらんな」
黒いオーロラカーテンを背に、件のキャンサーを椅子代わりにした少女――櫻姫。クロスギーツと協力関係にある彼女は、かつて仮面ライダーが訪れた世界であるヘブンバーンズレッド……略して「ヘブバン」の世界に来ていた。
この世界のことを記した本を片手に優雅にミルクティーを飲んでいた櫻姫だったが、その内容を読んだ彼女は不愉快なものを見たように顔を顰めると本を闇の中へ入れ込む。
「確かにキャンサーとやらは人類にとっては強力なる敵となるだろう。だが、そんなことは我にとっては関係なきことよ。くくっ。こうして躾けてやれば我が忠実なるしもべになりうる」
たった一人の少女によって全滅させられ椅子代わりにされたキャンサーは、自分の上に座る存在にビクビクしながら決して櫻姫の機嫌を損ねないように椅子になる。
「我が怖いか? くく、可愛いやつめ」
櫻姫がぴょんとキャンサーの上から飛び降り地面の上に立つ。生存本能が逃げろと訴える中、刻まれた恐怖が逃げることを許さない。
「ふむ……さて、この世界はどうやって遊ぼうか」
顎に手を置き少しの間思考を巡らせた櫻姫は、悪巧みを思いついた悪ガキのように表情を歪め地面に手を置く。
「さぁ、さぁ……この地に眠る化け物共よ、我が支配の闇に堕ちるがよい」
小さく綺麗な手から溢れ出した闇が地面を覆っていくと、その中から2体の巨大なキャンサーが出現する。
1体目は黒い身体と鎌のような前脚を持つ四足歩行の大型キャンサー……デススラッグ。
もう1体は狐のような見た目をした紅い身体が特徴的な大型四足歩行キャンサー……レッドクリムゾン。
2体のキャンサーは出現すると同時に櫻姫に攻撃を仕掛ける。デススラッグが胸部の顔のような部位から光線を放ち、レッドクリムゾンが森林を一瞬にして火の海に変えるほどの強力な光線を口から放つ。だが、
「ほう……貴様らを蘇らせてやった恩人に攻撃とは、躾が必要かな?」
2体の大型キャンサーによる渾身の攻撃に対して腕をたった一振りしただけで弾き飛ばし、獰猛な笑みを浮かべて黒いオーロラカーテンに手を突っ込みジリオンドライバーと似た形状のドライバーを取り出し腰に付ける。
『OMEGA DRIVER』
櫻姫がオメガドライバーの本体から引き出したカードトレイに太陽の紋章が描かれたプロミネンスカードをセットし、カードトレイを再び押し込む。それにより自動的にオメガドライバーにあるカバーの半分を右側へとスライドする。
「あ〜人間どもはなんと言っておったのだったか……そうそう、変身」
『SET LOGIN』
少しふざけたように感じられる口調でそう言うと、オメガドライバーから5個のオメガキューブが出現し櫻姫の周囲を動き回る。目のようになっているオメガキューブの中心から青白いレーザーが櫻姫の肉体を包み込み黒いパワースーツへと変える。
『GENERATE』
オメガキューブの一つが櫻姫の胸部と合体し、さらに縮退炉「ヴィジョンリアクターΩ」から極めて高密度な重力による疑似ブラックホールが発生し、一度櫻姫を飲み込み完全に消滅。そこから再び疑似ブラックホールが現れその中から仮面ライダーゲイザーや仮面ライダーリガドと似た姿を持つ仮面ライダーオメガが現れた。
その見た目は仮面ライダーリガドの赤い部分を青に、金の部分を銀にした感じであり、胸部に埋め込まれた特殊変換炉「オメガアークリアクター」が紫色の光を放ちながら回転している。
「仮面ライダーオメガ……お前たちに絶望を与える存在だ」
自らをそう呼ぶ存在が、圧倒的な暴力で2体の大型キャンサーに恐怖を植え付けた。
『ENFORCEMENT OF VIOLENCE, OMEGA』
〜〜〜色々な世界のどこか〜〜〜
鏡のファーストの世界、パラダイス・ファンタジアの世界、ひろがるスカイ!プリキュアの世界、D×D世界の管理者の世界、2人はプリキュアの世界、侍戦隊シンケンジャーの世界、デジモンの世界……様々な世界に黒いオーロラカーテンが開き、その世界に関係していた怪人やモンスターが現れる。時々関係していない存在も混じっているが。
それぞれの世界の主人公や仲間達が、突然現れた存在の対象にあたることとなった。
「やれやれ、櫻姫ってやつも面倒なことをやってくれるな」
カシャリと音を立て青年が首からぶら下げた2眼のトイカメラ「BlackBirdFly」で写真を撮る。戦争ともいえる状況の中呑気に写真を撮る青年の後ろから怪人――グリラスワームが襲ってくるが、青年が体を曲げたことでよろめきながら青年の前に出てしまう。
「まったく。人が写真を撮っている時に襲ってくるなんてマナーがなってないな……変身」
いつの間にか腰に巻かれていたネオディケイドライバーに「カメンライドディケイド」のカードを装填。
【KAMENRIDE DECADE!】
青年の体が全身を覆うアーマー「ディヴァインスーツ」に覆われ、ネオディケイドライバーから出現したバーコードの様な「ライドプレート」が緑色の複眼「ディメンションヴィジョン」に突き刺さる。この時ディメンションヴィジョンが一瞬発光すると同時に、灰色だった装甲「ディヴァインアーマー」がマゼンタ色に変わる。
「俺が相手になってやる。かかってこい」
青年――門矢士は仮面ライダーネオディケイドに変身すると、グリラスワームに向かって指を2回曲げて挑発する。グリラスワームはキレたように雄たけびを上げながらネオディケイドに突っ込み蹴り飛ばされた。
〜〜〜魔法少女まどかマギカの世界〜〜〜
クロスギーツが乗っ取り開催したデザイアグランプリの会場の一つとなっていたこの世界でも、櫻姫が開いた黒いオーロラカーテンから無数の怪人達が世界を壊すために動き出していた。
「もう! なんなの!? この数は!!」
ブラウスとスカートにベレー帽やコルセットを組み合わせたクラシカルな形状をした黄色の花がモチーフとなった魔法少女マミが、16~19世紀頃の西欧で使われていた古風なライフルドマスケットを魔法で生成し無限に湧き出てくる怪人達を撃ち抜いていく。
「知るかよそんなの!!」
その近くで神父服がモチーフであろう衣装にノースリーブの上着は前側が開いた形状の魔法少女服を着た少女が長い赤髪を黒いリボンでポニーテールを揺らしながら、アクロバットで軽快な動きで高性能な仕込み槍と高い技術を駆使して襲ってくる怪人を薙ぎ倒していく。
無駄のない動きと連携で襲いかかる怪人達を倒していくが、銃弾で貫かれ槍で刺された怪人達は泥となって地面に落ち、すぐに元の姿へ再生していく。そうした無限に等しいループのような戦闘を繰り返した二人の呼吸は激しくなり、少しずつ体力が削られていく。
「ごめん二人とも!!」
「なんとか助けに来たよ!!」
絶望とも言える戦力差でも諦めずに戦い続けた二人のもとに、ピンクと青色の魔法少女が駆けつける。ピンク色の魔法少女――鹿目まどかが可愛らしいフリルの付いた魔法少女服を着込み手に持った弓で光の矢を放ち怪人達を射抜き、マントを着用した剣士のような凛々しい魔法少女衣装に左側が長い斜めラインのスカートと肩出しスタイルが特徴的な青い魔法少女――美樹さやかが手に持ったナックルガードの付いた片刃のサーベルを使い目にも止まらぬ速度で怪人達に接近し、斬撃や打撃を繰り出していく。また複数の剣を召喚し投擲攻撃に用いるなど、どこぞの正義の味方気取りの少年のような戦法を行い怪人達に突き刺していく。
「いやぁ、なんだか敵が多いね〜。それに、今まであたし達が戦ってきた魔女とはなんだか違うみたいだし」
「油断しちゃ駄目よ! どんだけ倒しても復活してくるみたいだから!」
「えぇ~!? そんなのどうやって戦えばいいの……?」
2人が合流し4人になった魔法少女達が手を取り合い戦う。その様子を少し離れた位置にある崖の上から見ていたとある人物がため息を吐きながら崖から飛び降りる。
【ドライバーオン プリーズ】
少年が右手にはめてあるドライバーオンウィザードリングをかざす事で「ドライバーオン」の魔法が発動しベルト――ウィザードライバーが出現。そこからバックルにある手をかたどった部位ハンドオーサーを操作して左向きに変える。
【シャバドゥビ タッチ ヘンシン! シャバドゥビ タッチ ヘンシン!】
左手にはめたフレイムウィザードリングをかざす。
【フレイム プリーズ ヒーヒー ヒーヒーヒー!】
フレイムウィザードリングを自分の真下に向け赤い魔法陣を出現させる。少年の体が魔法陣を通過すると、長い黒のロングコート「ウィザードローブ」に複眼がないマスク「ベゼルフレイム」という魔法使いを思わせる姿になる。
「まったく……ここからは魔法使いのショータイムだ」
4人の前に着地するとウィザードローブを巨大化させながら翻し、さやかを狙った火球を防ぐ。後ろでさやかが頬を赤く染めなからお礼を言っているが、その声が聞こえていないのか仮面ライダーウィザードは怪人の群れに突っ込んでいった。さやかはキレて追いかけ、3人は肩をすくめながら苦笑いを浮かべた。