勇者と魔王の遊戯   作:大乃正生

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第十八話 「討伐の依頼」

 

駄々をこねるアルディーナを引きずり、次の依頼へ。引きずる道中「なんだかデジャヴだな...」とヴェスタリアは思っていた。

 

今回の討伐依頼は、ゴブリンの討伐。

二人にとっては簡単でも、戦いに慣れていない者が行うと命を落としてしまう可能性がある。フランは二人の強さを知っているがアンナは知らない。だからこそ、アンナは心配していた。

その心配を他所に、二人は気負う様子を見せずゴブリンを探していた。

 

「ゴブリンを探さないと、アルディもやる気を出してよ」

 

「うむ、やろうか」

 

「...最初っからそうやってやる気出してよ...」

 

ジト目でアルディーナを睨むヴェスタリア。しかし、そんな目線など気付いていないかのように周りを見回している。

 

「いやぁ、ゴブリンの目撃があったのはこの辺りなのだが...アイツらは隠れたり、気配を消すのが上手いからな」

 

「......はぁ〜......確かに隠れるのも気配消すのも上手いけど、見つけるのは簡単だろ?」

 

「うむ。魔法を使えば簡単だ、それに魔法を使わずとも見つけるのは容易い。しかし、それじゃあ面白くないだろう?だから、視覚だけで探したいのさ」

 

そう言って、遊び感覚で辺りを見渡すアルディーナ。それに苦笑いしながら合わせてキョロキョロし始めるヴェスタリア。

ゴブリンに限らず、殆どの冒険者は戦いを避ける傾向にある。ただ、戦わないといけない状況は冒険者ならば必ず訪れる。

 

その為、駆け出しの冒険者はゴブリンとの戦闘を最初に行う。言うならば、ゴブリンは冒険者の登竜門のようなモノ。人型ではあるが、知能が低く、一体のみならば複数でチームを組むことで倒すことが可能である。

 

しかし、知能が低く、駆け出しの冒険者の経験値とされるモンスターのゴブリンと言っても絶対勝てる訳ではない。パワーだけを見れば成人男性の何倍もある上に特殊個体は魔法を使ったり、知能が高い個体もいる。ただし、見た目での違いは分からず見誤って殺されてしまうこともある。

 

「...ゴブリン発見。ヴェスティ、いけるか?」

 

「もちろん」

 

木々の先にゴブリンがいることを発見したアルディーナ。その目に油断はなく、先ほどまでのおちゃらけた様子はない。ヴェスタリアもしっかりと構え、油断はない。

 

ゴブリンの数は三体。

先ほど言った通り、ゴブリンが一体に対して複数の人数でパーティを組み倒す。それに対して現在はゴブリンが三体に対し、パーティはヴェスタリアとアルディーナの二人だけ。ただ、その二人は勇者と魔王である。

 

「私がいこう...『地獄の業火よ、我の元に集い、我の目前を地獄に変えよ。』」

 

アルディーナが一言言い、手のひらに魔力を集めて火に変える。それを真ん中のゴブリンに当てる。当たった瞬間、残りの二体に火が伸びて三体とも絶命する。

 

「『インフェルノ・プレクサス』...」

 

「...え?オーバーキル??」

 

アルディーナが放った魔法は三体のゴブリンの欠片も残さず灰にした。それを見たヴェスタリアはドン引きしながら見ていた。

 

「オーバーキルじゃないさ。特殊個体だったら危ないだろう」

 

「いや、まぁ、そうなんだけど...」

 

苦笑いしながら答えるヴェスタリア。「次は報酬の為に形は残さないと」とアルディーナに文句を言っていた。それを聞いたアルディーナは静かに頷いていた。

 

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