勇者と魔王の遊戯   作:大乃正生

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第二十話 「換金」

 

ゴブリンを複数倒して帰路に着くヴェスタリアとアルディーナ。洞窟内にいたゴブリンの数は合計で『三十体』いた。

 

三十体全ての死骸を袋に入れ、ヴェスタリアとアルディーナで分けて運んでいた。

麻袋のようなものに十五体ずつに分け運んでいるのだが、現代人が見ればあきらかに事件の臭いがする光景である。

 

「...そういえば、ヴェスティは手加減が上手いな」

 

「師匠のおかげだよ」

 

「良い腕なのだな」

 

師匠、メルルのことを褒められたヴェスタリアはかなり嬉しそうにしている。鼻高々、と言った様子のヴェスタリアをアルディーナは微笑ましく見ていた。

 

「自慢の師匠なんだな」

 

「もちろん!...なんだけど、勇者の責務を投げ出してるから、出会ったらなんて言われるか...」

 

「たしかに...殴られるくらいで済めばいいな。師匠がどんな人かは知らないが」

 

「はぁ...勇者から逃げなければ良かったかなぁ...」

 

肩をかなり落としながら歩くヴェスタリア。アルディーナはそんなヴェスタリアの肩を叩きながら横を歩いていた。

 

「大丈夫だろう。師匠なんだろう?ヴェスティ、君を信じてくれるさ」

 

「ありがとう...」

 

ヴェスタリアが弱音を吐き、アルディーナが慰める。何回もこのやり取りをしていれば、王国が見えてくる。

門番に挨拶をし、麻袋の中身を見せた後、そのまま中に入って行く。

 

門番は二人が持っていた麻袋の中身が大量のゴブリンであることに腰を抜かしそうになりながらも職務を全うし、二人を案内した。

 

二人が麻袋を抱え、ギルド内に入ると

いつもの賑やかな声が出迎えるが、二人が入ってきたことを皆が確認するとシン...と、一気に静かになる。

 

そのことを不思議に思う二人、どうしたのか聞こうとした瞬間、ギルドの奥から物凄い勢いでアンナがすっ飛んできて、二人の安否を確認していた。

 

「怪我はないですか!?」

「隠してませんか!?」

「本当のこと言ってくださいっ!」

 

などなど、矢継ぎ早に心配の声を掛け続けるアンナ。ヴェスタリアとアルディーナの二人が苦笑いしながら周りを見ると、ただ静かにしていたのではなく、大男たちが嫉妬の血涙を流しているだけであり、その光景を見た二人はドン引きしつつも、納得していた。

 

「あら♡帰ってきたわね。それが、今回の魔物の死体ね。貰うわ♡査定するから、少し待っててね♡」

 

フランも奥から出てきて、二人が持つ麻袋を受け取って、また奥へと歩いていく。その間も、アンナは心配そうにしていたが二人にだけ時間を割くこともできず、業務に戻っていった。その際も「何かあれば言ってくださいね!」と言いながら。

 

「...ありがたいが、アンナ嬢は心配性が過ぎるな。あの状態では誰かが傷付いたり、亡くなった時は...」

 

アルディーナが独り言のように呟いた言葉にヴェスタリアは神妙に頷いていた。その二人の間に割って入る様に現れた冒険者の一人。

 

「そんなことにならねぇように、ここのギルドに入ってる奴らは討伐依頼を受けねぇのさ」

 

「は?」

 

「...前に、討伐依頼に行って、死んだ奴がいる。それからさ、アンナちゃんはそれがトラウマになっちまってな」

 

その言葉に二人は納得し、このギルドにて討伐依頼のクエストが少なかったのも、アンナが嫌がるからフランが少なくしているのか、と独自の見解を出していた。

 

「ま、そんなことがなくても、オレたちゃ、ビビって討伐依頼なんて受けねぇがな!」

 

ガハハッ、と笑いながら席に戻っていく男。パッと見は歴戦の猛者の様に見えるのだが、言っていることは一般人の様であった。

 

「...まぁ、そうなるのも仕方ないよね」

 

ヴェスタリアが呟いたことに、不思議そうな視線を送るアルディーナであった。

そんなやり取りをしていた所へ、ハイテンションなフランが戻ってきた。

 

「査定、終わったわよ♡...ちょっと、奥へ来てちょうだい♡」

 

フランに呼ばれ、なんだろうか。と疑問を持ちつつ二人はギルドの奥へと歩いて行った。

 

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