闘技場バトロイド
そこは、全長百八十メートルもある場所である。戦場は円形で百メートルもある大きさ、その「戦場(演舞場)」の円形を囲むように客席がある。
その客席は三階建てであり、観客は約五万人も入る。満席になる時もあるのだが、それは今日のように大きなスポンサーが付き、高額な賞金が出る時だけである。
なぜなら、そういう時には強い者たちが多く来るからである。
閑話休題
Aグループの選手たちが演舞場へ入ってくる。その中にはもちろん、ヴェスタリアもいて、演舞場の真ん中に立つ。
観客席は既にほぼ全て埋まっており、観客席の合間の通路には、この大会を見るときのお供として食べるものや、飲みものが売られていた。
「ビーラ安いですよ〜」
「一つくれ!」
「どうぞ〜」
「まだ始まんねぇのか!?」
「お前、俺の足さっきから踏んでんだよ!」
「あ”ぁ”!?」
「すいませんすいません!」
「今回は勝てよぉ!!」
「前みたいな無様な姿見せんなよ!」
「俺の分まで頑張れ〜!」
「あの人イケメン!!」
「どこ!?」
かなりの賑わいを見せ、演舞場では既に沢山の選手が入場しておりやる気を滾らせている。
演舞場に入った選手に対して、声を掛けている観客もいた。
そんな中、ヴェスタリアは観客をグルリと見渡した後演舞場を見る。自分が行うことが演舞場内でできるのか、また観客席には被害が出ないのかを見ていた。
「...かなり広いな。これなら、被害は出なさそうかな」
ヴェスタリアは冷静に判断を下し、始まったと同時に技を出せるように真ん中に移動する。ヴェスタリアに限らず、全ての選手が自分にとって立ち回りやすい場所を陣取っていた。
選手たちは皆やる気を滾らせ、試合が始まるのを今かと待っていた。その選手たちのやる気に当てられた観客たちも、先ほどまで騒いでいたのが嘘のように静かになっていた。
皆が静かになった時、場内に声が響き渡る。
「えー、皆さんが静かになるまで十分掛かりました。......なんて、冗談は置いておいて、司会進行は私!闘技場バトロイドのアイドルことエミリー・スコットでーす!」
エミリーと名乗った女の子が最後にウィンクをした瞬間、観客席から男の雄叫びが聞こえてくる。
「エミリーちゃ〜ん!」
「結婚してくれぇぇ!」
「オレだけのエミリー!」
「俺のエミリーだぞ!」
「エミリーが幸せならオーケーです!」
多種多様なセリフを男たちが叫んでいた。それに対して、エミリーは頷き満足そうにしていた。
「選手たちには説明してますし、今回の大会がどのようなものか皆さん分かっていると思います!しかし!!もう一度説明させていただきます!」
「この大会はいつも違うことをテーマにしてますよね!今回は予選でしてもらうのは『とにかく派手なこと!』」
「そして、今からはAグループの予選をします!全部で四つのグループで行います!...って、いい加減始めてほしいですよね!では、スタート〜!」
矢継ぎ早に語られたエミリーからの説明。既に知っているため、選手たちはエミリーの声には集中せず自身の繰り出す技に集中していた。観客は今回のテーマなど知っていたがエミリーの声を聞きたく静かに聞いていた。
そして、エミリーがスタートと言った瞬間に演舞場から何十羽もの真っ白な鳩が飛び立つ。
「おぉっと!開幕早々に真っ白なハトが飛び出したぁぁ!!」
演舞場内にて、得意気な顔をして両手を空に向けている男。彼が一番最初に魔法を繰り出したのである。
予選が始まったーー。