鳩が飛び出して、スタートしたAグループの予選。「出遅れた...!」と悔しそうな顔をしながらも、鳩に続くように召喚魔法を打つ人が多いが、鳩よりも目立ったものを召喚できている人がいなかった。
「ハト以上に目立った魔法がないぞぉぉ!!??このまま、ハトの召喚士が予選を突破かぁ!?」
エミリー・スコットの声が闘技場に響き渡る。エミリーが興奮したように話し、エミリーの両耳の上側で纏めている団子が揺れていた。
そんな中、ヴェスタリアは、召喚士たちを見ながらいつ自分の魔法を放つかを伺っていた。鳩を飛ばした人に続くように召喚魔法を放つ者もいたが、もちろん他にも様々な魔法を放つ者もいる。
「見よ!我の究極魔法!!」
「ハァァァァァァァッッ!!」
「チェェストォォォォ!」
「地獄の炎で焼き尽くす!」
「私が全てを凍てつかせます...!」
と、様々な魔法を放っていた。究極と言いながら、単なる火球弾を放っているだけであったり、地獄の炎と言いながら小指程度の火しか出せていなかった。
「なんだなんだぁ!?全くもってダメだなぁ!!?予選を突破できるのは二人だけなのに、ハト野郎だけになるぞぉ!?」
エミリーがさらに選手たちを煽り倒す。
そんな中でヴェスタリアは、魔法を放とうと姿勢を整えていた。両手を地面につけて、地面に魔力を流し込むヴェスタリア。
「な、なんだ...っ!」
「地獄の炎が消えたッッ」
「うわぁっ!?」
「じ、地震かぁ!?」
「助けてぇぇ!!」
すると、地面が隆起し始め、他の参加者たちが地面の揺れに耐えられず尻もちをついたり、コケたりしていた。
パキパキ、ミシミシ、と演舞場全てが悲鳴を上げ始める。観客たちも戸惑いの声を漏らしていた。
「何が、起きてるんだ...?」
ヴェスタリアが両手を地面につけていた場所から城が構築されていく。全長百メートルある演舞場の中で、直径五十メートルほどのお城を作り上げる。
「おおぉぉぉ!!?壁が真っ白で、屋根が青色の神々しさを感じる...うわっ!?あぶないなぁ!!」
エミリーが、ヴェスタリアの作ったお城について説明している時に、演舞場の端っこから顔の大きさほど岩がエミリーに飛んでいき、エミリーの顔ギリギリ真横を通り過ぎていた。
「神々しいだと...?ふざけるなよ...!」
破片が飛んだ場所付近にいた男が、呟くように話していた。そこへ
「どこ狙ってんだァァ!!下手くそ!!!...ってか、誰が放った魔法だ!?」
エミリーが怒りを露わにして、怒鳴るのだがそれ以上に観客たちが怒っていた。
しかし、そんなことを言っている間にヴェスタリアの城はドンドンと大きくなり、高さに関して、闘技場を越していた。
「すごい...な、なんなんだこの魔法はぁぁ!!??」
エミリーの声に共鳴するかのように、観客たちも物凄く大きな声援を送っていた。ヴェスタリアは、その城の頂上に立ち、全体を見下ろしていた。
「...こんくらいやれば、予選は通るかな。それに、城の形状も完璧かな。...観客たちの方に伸びていってないし、欠片も飛んでないし」
ヴェスタリアの圧倒的な魔法を見て、心が折れる者がいる中で諦めずにアピールを行う者たちが沢山いた。そして、召喚士たちもまだ諦めずに召喚を続けていた。
猿や犬などを召喚するが鳩の後では効果が薄い。なので、観客たちも召喚魔法の魔法陣が見えても期待をしなくなっていた。
その中で、一際小さく子どものような見た目の女の子が、見た目に反して大きな魔法陣を作り出す。それだけで、注目を集めるのだがその魔法陣の中からは〈ゴブリン〉が出てくる。
観客席からは、悲鳴が飛び出るのだが召喚した女の子に対してゴブリンは忠誠を誓っており、一目でゴブリンの召喚士だと分かる。
「よぉ〜し、ゴブちゃんたち!みんな頑張って!!」
そう声を出すゴブリンを召喚した女の子は〈エレナ・カワード〉という活発な雰囲気な子。エレナの一言にて、ゴブリンはテキパキと動き組体操のようなことを行っていた。
「こ、これは...確かに派手...なのですか...?ま、まぁ...見方を変えれば、ゴブリンは確かに、騎士団のような統率が取れてますね...!」
先ほどまでの強気口調がどこにいったのか、戸惑うエミリー。そのとき、鐘の音が鳴り響き、終わりの合図となった。
「しゅ〜りょ〜!!ということで!選手の方々は裏に帰ってください!観客たちはそのままお待ちください!誰が本戦に進むかはお楽しみに!!...と言っても、誰が進むかは明白ですね!」
最後に、誰が進むか分かりきっていると笑いながら話すエミリー。それに対して笑う観客たち。
落ち込んだ様子で帰って行く選手たち、そんな中でヴェスタリア・ヴァリエンテとエレナ・カワードは余裕綽々と言った様子で帰って行った。
次は予選Bグループーー。