Aグループの予選が終わり、十分の休憩が挟まれる。その間にヴェスタリアの作ったお城は、ヴェスタリア自身で解体を行なった。
「...スタッフとかがやれよ」
そのように愚痴をこぼしながらも、素早くお城を壊し元の演舞場に戻していた。
演舞場を元に戻した後、選手の控え室に戻りアルディーナと話していた。
「アルディはDグループだから...」
「あぁ、まだまだだな。BとCの予選を見て、少しでも情報を集めるとしようか」
「まぁ、アルディよりすごい選手とかはいないと思うけど...」
アルディーナはヴェスタリアの言葉を聞かずに、演舞場が見える位置に移動する。ヴェスタリアもアルディーナの横へと移動し演舞場を見る。
演舞場では、既にBグループの選手たちが入場しており準備運動を始めていた。Bグループにも様々な人がおり、歓声や怒号などが観客席から飛んでいた。
「さぁさぁ!休憩を挟んでの第二予選!!今から始まる予選はBグループだぁぁぁぁ!!!このグループにはなんと!貴族の方もいるとのこと!怪我だけはしないでくださいね!めんどくさいので!」
エミリーの言葉に、観客たちは大爆笑していた。貴族相手にする言葉ではないが、ここ闘技場では選手たちに対しての言葉は全て許される。だからこそ、エミリーも気軽に選手たちを煽ることができるのだ。
Bグループの者たちも魔法や、武術を披露している中で目立っている者が数人いた。予選を突破するのはその数人の中の二人だろうと予想される。
「...」
予選の選手たちが大声を出しながら大技を出している中で静かに、無表情で佇む美丈夫がいた。金髪で、少し長めの艶やかな髪で青い瞳、名前を〈グレース・ドレイク・ウォーカー〉と言う貴族の男性である。
「キャー!ウォーカー様〜!!」
「抱いてぇ!!」
「グレースさまぁ!」
「名前なんて馴れ馴れしいのよ!」
「うるさいわね!?」
「グレースさま、こっち向いてぇ!」
「うぉー!?なんと言う人気なんだぁ!?確かにイケメンだが、私はタイプじゃないぞー!」
グレース・ドレイク・ウォーカーのカッコよさと貴族ということで人気が高かった。
エミリーはこの人気の高さを誇るグレースに対して、タイプではないとぶった斬る。それを笑い、野次を飛ばす男たち。
そんな中グレースは魔剣を携えて佇んでいたが、ゆっくりと両腕を肩まで上げる。
すると、魔力の塊である魔球を作り出す。成人男性の頭ほどの大きさで綺麗な丸で四個作っていた。
その魔力弾が、様々な属性へと変わっていく『火、水、土、風』の四属性に変え、四個の属性魔力弾を空へと上げ、空へ上がった魔力弾の数を増やしていく。
その数は圧倒的で、演舞場を魔法の数だけで影を作り出す。そして、グレースは肩まで上げている両腕を振り下ろす。
「な、な、なんと!!魔力弾を!四属性で作るだけでなく、さらに複製していく!!なにぃ!?空に上げた魔法が!!!」
エミリーの興奮した声が響く中、グレースが両腕を振り下ろした瞬間に、火、水、土、風の四属性の魔力弾がはじけて四属性の魔法の雨が降り注ぐ。降り注ぐ魔法の雨に当たりズタボロになっていく予選選手たち。
「ぐわぁ!」
「ふざけんな!」
「ギャーー!!」
「くっ...捌ききれぬ!」
予選選手たちが叫ぶ中、黒縁の眼鏡を掛けた黒髪短髪の長身な男性〈アムス・ウォード・ハルター〉彼も貴族である。
彼は、グレースが作り出した魔力弾と全く同じ量の魔力を込めた魔力弾を作り、アムス自身に当たる可能性のある魔力弾に正確無比に当て、消していく。
「おぉー!お坊ちゃん...じゃなくて、貴族様の魔法雨を同じ貴族様が消し去っただとぉ!?このグループはこの二人になるのか!?」
「ふん、粗雑だな。グレース」
「...相変わらず地味な魔法だな、アムス」
「チッ」
グレースの言葉に舌打ちをするアムス。彼らは同じ貴族であり、幼少のころから関わりがある。所謂、幼馴染である。
閑話休題
魔法を地味だと言われたアムスは、今のままでは予選を突破できないのではないかと考えるアムス、エミリーの言葉を信じずにアムスなりの魔法を放とうと準備する。
「グレースがしたことと似たことをしてもな...」
そう呟いたアムスは両の手のひらを両側に広げ魔法を放つ。アムスの放った魔法が五角形の鏡のような魔力の板が演舞場内に複数展開される。
「なんだなんだ!?貴族様が...あぁ、様付けめんどくさい!!貴族が放った魔法だが、一体なにが起きるんだぁ!?」
エミリーが声を荒げる中、アムスは続け様に拳大の魔力弾が発射され五角形の板や床や選手に当たり跳ね返る。跳ね返る度に速度が上がっていく。
「うおぉぉ〜!なんという速さの魔力弾なんだ!!速い速い速い!誰も避けられていないぞ!!...いや、もう一人の貴族は剣で切り裂いている!」
アムスの放った魔法は速さという点だけでなく、操作力が圧倒的であった。その魔力弾の軌道は一切の無駄がなく、まるで計算され尽くしているかのようだった。
しかし、その操作力が高いと見抜いているのはヴェスタリア、アルディーナを含めてもかなり少ない人数であった。
「...相変わらず、味気のない魔法だな。アムス」
「うるさい、お前のは無駄が多いんだよ」
「私は事実を言っているだけだ。...それに、この大会では派手な方が良い、無駄が多少あった方が派手になるだろう」
「チッ」
言い争いをしているグレースとアムス。図星を突かれたアムスは舌打ちで無理矢理会話を終わらせる。
因みに、グレースに対する黄色い声援の方が多いがアムスに対しての黄色い声援もかなり多い。
「おぉっと!時間が来ました!!...と、いう事で Bグループの予選は終了〜!!そして、十分の休憩を挟んでからCグループの予選になります!!では、また十分後〜!!」
エミリーが話した後、すぐに演舞場から出て行ったのはグレースとアムスだけであり、その二人だけは無傷であった。