勇者と魔王の遊戯   作:大乃正生

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転生したことが確定し
勇者の権能を持っていることが判明
そして、家庭教師を雇うことにーー。


修行
第三話 「出会いと修行」


 

勇者の権能を持っていると判明したヴェスタリア。

 

母であるリリーの強い勧めにより、家庭教師を雇い鍛えてもらうことに。今日はその初日で、どんな人が来るのかーー。

ヴェスタリアは不安と期待の入り混じった感情で先生となる人を待っていた。

 

(一体、どんな人なんだろう......達人みたいな老人かな......騎士団の団長とか!?......は、ないか......勇者候補だと言ってもわざわざこんな片田舎には来ないだろうし......)

 

ワクワク、と胸を高鳴らせ楽しみにしていた時『コンコンコン』と扉をノックする音が聞こえてくる。

その音を聞き、ついに来た!

と、待ちきれない様子で父、イーサンの後を追いかけて玄関に行く。

 

「はーい、今、開けますね!」

 

明るい声を出し、外の者へ声を掛け、扉を開く。楽しみにしていたヴェスタリアにはその動きがゆっくりに感じられた。

ヴェスタリアにとっては扉が開くのが長く感じられた。

ゆっくりと開かれた扉の先から最初に目に飛び込んできたのは『真っ赤な髪』――。

 

次に、巨体。

一体なんなんだ、と近付くと、扉の前に立っていた者が声を上げる。

 

「...待たせてすまない。今日から”勇者候補”になったヴェスタリア・ヴァリエンテの指導役として派遣された”メルル”と言う。」

 

『メルル』と名乗った人物を見たヴェスタリアは、目を見開く。

まず、最初に驚いたのはその巨体。

父親のイーサンも一八○cmはあるはずなのに、更に大きい。目測で一九○cmはあるのではないか、というほど。

 

次に、頭。

犬の耳のようなものが頭に付いている。

つまり、”獣人”と呼ばれる存在。

瞳も肉食獣の様に鋭く、瞳孔が縦長。

ザ・ファンタジーな存在。

 

(で、デッケェ......しかも、犬耳...?漫画とかに出てくる”獣人”的な種族なのかな...?)

 

「なっ...獣人!?」

 

「......」

 

獣人である事に驚く父親。

そんな父親に対して、無反応なメルル。

ヴェスタリアは2人の反応を見て

漫画とかで見るように、獣人族は嫌われていたりするのではないかーー嫌われているとしても、父親までも嫌っているのか。と、残念な気持ちになるがーー。

 

「おぉ!!初めて見た!ヴェスティ!!獣人族だぞ!」

 

「えっ......?と、父さん?」

 

「いや〜、まさか生きている内に獣人族と会えるとはなぁ〜!」

 

(お、思い違い......)

 

なんと、ただ単に驚いていただけであった。そんな強烈な歓迎のようなものを受けてどんな反応になっているのかーー

ヴェスタリアは気になり、メルルの方を見るがーー

 

「...」

 

無反応。

 

「...驚いた。獣人族を見てその様な反応をする奴と会ったのは初めてだ」

 

ではなかった。

ほんの少しだけ目を開き、父親の方を見ていたメルル。

しかし、この場にその事に気付く者はいない為、無反応に見えてしまっているだけであった。

 

(か、感情が表情で読めない......犬耳だから感情表現が大きいと思ったけど違うのか...)

 

「...それじゃあ、息子を鍛えてください!」

 

「はい、勇者として相応しくなる様に鍛え上げます」

 

(話がいつの間にかまとまってた!?)

 

ヴェスタリアがメルルの顔をジロジロと見ている間に、父・イーサンとメルルは簡単な話し合いを終わらせ、修行の話し合いに移行していた。

 

一体どんな修行が始まるのか。

ドキドキ、ワクワクと言った感情を持ちながらも、「痛いのは嫌だな」と、少しばかり甘えた気持ちを持ちつつ、少し離れた場所で話し合いが終わるのを待っていた。

 

十分ほど経ったころ呼ばれる声が聞こえ、ヴェスタリアは二人のもとへ向かった。

話し合いが終わったのだ。いよいよ修行の始まりだと意気込み、話し出すのを待つヴェスタリア。

 

「...では、お前が”魔法”か”剣術”か。どちらの方がより高い適性を持っているのかを見る。勇者候補は総じて、どちらも高い適性を見せるが...それでも、偏りは存在するからな」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

“魔法”と聞き、いよいよファンタジーの始まりだと大興奮する。

自分も魔法が使えるのか!と。

村で魔法が使える者はいるにはいるが、使っている魔法は生活の役に立つものばかりで、ファンタジー感が薄く、残念な気持ちになっていたヴェスタリアにとっては、大興奮必須なのである。

 

「......魔法と言っても、大きく分けて2種類ある」

 

「...2種類?」

 

そう言って、紙とペンを取り出し

人の絵を描き、分かりやすく図にしてくれている。

 

「あぁ、まずーー

『体外魔法』と『体内魔法』という名前に分けられる。...体外魔法とは、自身の『魔力』を使わずに自然に存在する魔力を使って扱う魔法。体内魔法は逆、自身の体内にある魔力を使う」

 

「体外魔法...体内魔法...」

 

「...体外魔法は、特訓さえすれば誰でも扱える。が、体内魔法は生まれ持った才能が必要になる。...まぁ、お前はその才能を持ってるだろうがな」

 

そう言われたヴェスタリアは目を輝かせ、体内魔法ではどんな事ができるのか、体外魔法では何ができるのかを矢継ぎ早に質問をしながら、メルルの周りをウロチョロしていた。

最初は落ち着け、と言っていたメルルだが

急に俯き、無言になったメルルにどうしたのかと思い、顔を下から覗き込んだ瞬間――

 

「......少し、騒がしいぞ」

 

という、一言と共に頭に強い衝撃が走り気を失ってしまったヴェスタリア。

 

修行一日目。

果たしてヴェスタリアとメルルは、うまくやっていけるのだろうか。

 

 




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