勇者と魔王の遊戯〜責務から逃げた勇者と魔王の旅ーしかし、その旅は世界の運命を変える始まりであった〜   作:大乃正生

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第四十一話「初めての魔法」

 

「まず、魔力を感じる所からなのだが…」

 

「魔力を感じる?」

 

「…その前に、加護はあるのか?」

 

「知らねぇ」

 

「そうか」

 

アレックの言葉にアルディーナは静かに返事する。

 

本来、十二歳になったときに加護を調べるのだが、知らないということは〈なにか〉があったということだ。

 

しかし、そのことを言及せず、アルディーナは続ける。

 

「…すまないな。私は、加護を調べられん。…ヴェスティはどうだ?」

 

「いや、僕もできない」

 

「その加護ってのは、そんなに重要なのか?」

 

「あぁ、重要だ。しかし、知らないのであれば仕方ない。このまま進めよう、知らなくてもできない訳ではないからな」

 

「なにするんだ!?」

 

「目を閉じろ」

 

「はい!」

 

アレックは言われるがまま目を閉じる。

 

「返事はいらない。体の中に意識を集中しろ」

 

言われた通りに体の中に意識を向けるアレック。

 

「何か感じるか?」

 

「…なにも…」

 

その時、黙って見ていたヴェスタリアが口を開ける。

 

「アレック。心臓の音が聞こえるだろう?その音だけに集中してみて」

 

アレックは心臓の音に集中する。ドクン、ドクン、と鳴っているのを感じていると、体の中に温かな何かを感じとるアレック。

 

「…ん…温かい…」

 

驚いたように目を開き、アルディーナとヴェスタリアを交互に見る。

 

「それが魔力だ」

 

「これが……」

 

自身の中に流れる魔力に気付く。

 

「筋が良い。魔法に関する加護を持っているんだろうな」

 

「そ、そうか…?」

 

照れたように頭を搔いて嬉しそうな表情のアレック。

 

「それを操るんだが…」

 

「…どうやって?」

 

「うぅむ…」

 

「アレック。利き手の手のひらを見つめて。そう、そして…見つめている箇所だけに意識を集中させて」

 

「んっ…!」

 

すると、アレックの右手のひらに風が集まるようになり旋風が発生する。

 

「!!み、見てる!?あぁっ!!?」

 

手のひらから意識を外した瞬間、旋風が霧散する。

 

「意識を外したからだな。もう一度だな」

 

「は、はい!」

 

元気よく返事をして、もう一度手のひらを見る。

 

そして、旋風が発生。

 

「!!!」

 

「分かってる、見えてるから」

 

旋風に大興奮のアレックにヴェスタリアは苦笑いしながら、落ち付かせる。

 

「アレック、その旋風をそのまま維持しろ」

 

「は、はいっ!」

 

言われた通り手のひらに意識を向ける。

 

「いい感じだぞ!そのままそこの木に投げてみろ!」

 

「えいっ!」

 

ヴェスタリアの言葉で木を見るアレック。

ボールを投げるようにして、手を振る。すると、旋風が木に直撃する。

 

木に当たると、ポスッと旋風が消える。

 

「…あぁー…」

 

「…ふむ」

 

ヴェスタリアとアルディーナがなにかを言う前にアレックが口を開く。

 

「ぃやったぁぁぁ〜!!!初めての魔法だよ!!」

 

「あ、あぁ…そうだな」

 

「や、やったな!」

 

慰める言葉を考えていたが、喜んでいるため急いで褒める方向に言葉を変える。

 

「??…なにかダメだったのか?」

 

二人の反応がおかしいため話しかけるが、二人は激しく首を横に振る。

 

勇者と魔王は、初めての魔法を発動出来ているだけで凄いことを忘れているのだ。

 

「さて、魔法は歩きながら…いや、動きながら出来ないとダメだからな。アリーラピールに向け歩き出すぞ」

 

「はい!」

 

初めての魔法に大興奮のアレックを連れ、一行は再び歩き出した。

 

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