勇者と魔王の遊戯〜責務から逃げた勇者と魔王の旅ーしかし、その旅は世界の運命を変える始まりであった〜 作:大乃正生
ヴェスタリア、アルディーナ、アレック。三人はアトランタスへと到着した。
アトランタスの門の前に来ており、入国のための手続きをするために長い列に並んでいた。門にある入国手続き場だ。
「…ファーミラ王国よりも厳重だね」
入国審査があまりにも厳しいために、アレックが小さく呟く。
「あぁ…前は、ここまでではなかったのだが…」
「アルディ、来たことあるの?」
アレックは、上目遣いのようにしながらアルディーナに問いかける。
「あぁ、一度だけな」
「へぇ〜…ヴェスティは来たことないの?」
アルディーナの返答に興味なさそうに返し、ヴェスタリアへと向き直る。
「うん、僕は来たことないかな」
「ふぅーん、そっか」
しかし、アルディーナと同じく興味の無さそうな反応をするアレック。そんなアレックにヴェスタリアは苦笑いしてしまう。
「お、ようやく順番か」
ヴェスタリアが言ったように、アレック、アルディーナ、ヴェスタリアが雑談している間に順番が回ってきた。
「君たちは何しにこの街に?」
「観光です。あとは、冒険者としての仕事もですね」
門にいる、受付人から質問され素直に答えるヴェスタリア。
「……観光と、仕事ね……」
ヴェスタリアの答えに、受付人が記入しながら一人ずつヴェスタリアたちの顔を見ていた。
「……それじゃあ、楽しんでいって」
「ありがとう!」
受付人がアトランタスへと通してくれた。ヴェスタリアは、爽やかな笑顔でお礼を言う。
「先行くよ!」
アレックはそう言うと、走り出す。
「アイツ…」
「それだけ楽しみなんだろうな」
ヴェスタリアはアレックの様子に呆れており、アルディーナは微笑んでいる。
門を通り過ぎ、アトランタスに入る。
「わぁ……!」
アレックは目をキラキラとさせている。その目に飛び込んできたのは、キラキラとした水面と色鮮やかな花々である。
門からアトランタスに入ると、道が左右と前の三方向に分かれている。
真っ直ぐ行くと水中都市アトランタス。左右に分かれて伸びて、輪っかになっている街が水上都市アトランタスである。
水上都市に様々な花が咲いている。
「…綺麗だろう?アレック」
「あぁ!すっごく綺麗だ!」
変わらずキラキラしたまま、アルディーナの言葉に返事をする。
「まずは、ぐるっと周るか。その後、水中都市に行こう」
「分かった!!」
ヴェスタリアの提案に、アレックは興奮して声が大きくなっている。
三人は、右側に向かって歩き出す。
右側に向かって歩いて行ったヴェスタリア一行の背中を、受付人が見続けていたーー。