勇者と魔王の遊戯〜責務から逃げた勇者と魔王の旅ーしかし、その旅は世界の運命を変える始まりであった〜   作:大乃正生

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第四十七話「西の地区へ」

 

西の地区の観光地を目指すヴェスタリア一行。

 

歩き続け、現在は南の地区の中腹辺りに差し掛かっていた。

 

「広いなぁ…」

 

アトランタスの広さに、少しばかり辟易とした声を出すアレック。

 

「確かに広いよな…。でも、まぁ…詳しくは分からないが…何百万、何千万と暮らしているし、観光客も毎日たくさん来てるしな」

 

アレックの言葉に、ヴェスタリアは肯定しながらも説明をする。

 

「…ん?」

 

「どうしたの、アルディ?」

 

「いや、なんでもない」

 

アルディーナは立ち止まり、水路を見ていた。アルディーナが立ち止まったことに疑問を持ったアレックが話し掛けるが、なんでもないと誤魔化す。

 

不思議に思いつつも、アレックはすぐに切り替えて周りを見渡す。

 

綺麗に並んだ街並みを見ながら歩いていると、途中にお店を見つける。

 

観光地という雰囲気ではなく、住人が行くような飲食店や買い物場だ。

 

「観光かい?」

 

ヴェスタリアたちが歩いていると、おじさんが話しかけてくる。

 

「はい!観光です!」

 

アレックが元気よく返事をすると、おじさんはにこにことしている。

 

「そうかそうか、観光か…今はちょっと、おかしな事になっているが…楽しんでいきなさい」

 

「おかしなこと?」

 

おじさんの言葉にアレックは首を傾げている。

 

ヴェスタリア、アルディーナもまた、目を細めおじさんを見ている。

 

「あぁ…なんだかなぁ…まぁ、詳しくは違う人に聞いてくれ、ワシは今から畑仕事だからな」

 

「…それは、水路が止まっているのに関係あるのか?」

 

おじさんが去ろうとした時に、アルディーナが話しかける。

 

おじさんは一瞬立ち止まったが、そのまま振り返らずに去っていく。

 

「…水路が止まっている…?」

 

「あぁ、不思議な事にな…」

 

ヴェスタリアがアルディーナへと、問いかける。アレックは首を傾げたままである。

 

「…私たちは、どうやら本当に厄介な時に来たらしいな」

 

アルディーナは、水中都市のある方向へと目を向けていた。

 

「なぁ!そんな事より、早く行こうぜ!」

 

アトランタスがおかしいとか関係なく、ただただ観光をしたいアレックは大きな声を出して歩いていく。

 

「水路が、止まっていた……水の都市なのに……」

 

アルディーナの言葉を反芻するヴェスタリア。

 

何が起きているのか分からない。しかし、アレックの観光をしたい気持ちを邪魔する事はなく、西の地区を目指す。

 

色々な話をしながらも歩みを止めなかったヴェスタリア一行。

 

三人の目に、西の地区が見えてくる。

 

色鮮やかで、歓声なども聞こえてくる。

 

「!…なぁ!あそこ!!西地区だよね!」

 

「そうだろうな」

 

走り出すアレックの後ろを、ゆったりとヴェスタリアとアルディーナが歩いていく。

 

「…注意深く周りを見ておけよ、ヴェスタリア」

 

「あぁ、分かってる。忠告ありがとな、アルディーナ」

 

三人は西の地区、観光地へと足を踏み入れた。そこで、三人を待ち受けるものとはーー。

 

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