勇者と魔王の遊戯〜責務から逃げた勇者と魔王の旅ーしかし、その旅は世界の運命を変える始まりであった〜   作:大乃正生

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第四十九話「アトランタスのギルド」

 

ギルドに行くことになった、ヴェスタリア一行。

 

アレックはまだ観光をしたい様子だ。

だが、ヴェスタリアの「ギルドに行って、その後、また観光しよう」という言葉に渋々承諾し付いていく。

 

西の地区の観光地は、南の住宅地に比べれば何倍もの人がいる。

 

しかし、それでも人は少ない。

 

そのことを、アルディーナとヴェスタリアは気付いていたが、何も言わずに歩いていく。

 

しばらく歩き、ギルドに到着する。

 

ギルドは、西の観光地と北のビジネス街の境目辺りの海際に建っている。

 

アトランタスのギルドは、ファーミラ王国と似た作りの建物だが、水路が周りにあり観光地らしさがあった。

 

「ここが、アトランタスのギルド…デケェ…」

 

アレックは、目をキラキラとさせている。

 

「あぁ、アレックが冒険者として登録するところだ。入るぞ」

 

中に入ると、ファーミラのギルドと全然違うのが分かる。

 

ギルド内にも水路が通っているのだ。それだけではなく、ロビーから見える中で下層へと続く階段と二階、三階とあるのが分かる。

 

「…やっぱり、デカい」

 

外観と変わらず、中も広い。

 

「まずは受付だ。行こう、アレック」

 

「あ、あぁ!」

 

ギルドの内装や、大きめの水路に目を奪われていたアレックはヴェスタリアの声に慌てて後をついていく。

 

「デカいんだな、ギルドって」

 

「いや、場所によるな。ファーミラ王国のギルドはこんなに大きくなかったしね」

 

「そうなんだ…」

 

他愛ない話をしながら、受付へと歩いていく。

 

「…新しい登録ですか?」

 

受付に着き、受付嬢に話しかけられる。

 

「え、えっと…」

 

「この子の登録を頼みます」

 

「よろしくお願いします!」

 

元気よく話すアレックに、受付嬢は微笑む。

 

「はい、かしこまりました。では、こちらに記入をお願いします」

 

「は、はい!……あ、あの…オレ、字を書けなくて…」

 

「代わりに書こうか?」

 

「大丈夫ですよ。字が書けない方が冒険者には沢山いますので。奥で話を聞きますね。同じパーティでも聞かれたくないこともあるでしょうし」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「では、お連れの方はお待ちください」

 

「分かりました、お願いします」

 

受付嬢とアレックは、ギルドの奥へと歩いていく。

 

一方、アルディーナはギルド内を歩き回っていた。

 

「ふむ、ギルド内の水路には魚がいるのか…」

 

情報を集めているのではなく、ただただ見て回っていた。

 

「…この魚は、食えるのか…?」

 

「それは観賞用♡。食べないわよ♡」

 

「…そうなのか」

 

ガチムチのオカマに案内してもらっていた。

 

閑話休題

 

奥からアレックたちが帰ってくる。

 

「お待たせしました」

 

「いや、大丈夫だ。これが、登録料金だ」

 

「…はい、確かに。…それと、この子のこと、しっかり守ってくださいね、子どもなのですから」

 

「もちろん」

 

「お姉さん!」

 

奥でどんな話をしていたのか、かなり仲良くなっている。

 

「今日は依頼は受ける予定はないから…失礼しますね」

 

「えぇ、依頼を受ける際はこちらまで」

 

受付嬢の声を背中で聞きながら、歩いていく。

入ったときのロビーへ戻ってくる。

 

その時、アレックが大きな声を出す。

 

「…ん?…えぇ!?ギルドの中に水槽がある!?」

 

アレックの言う通り、ロビーから見える下層へと続く階段の奥はガラス張りになっており水が張られ魚が泳いでいるのが分かる。

 

最初入ったときは気付かなかったのだ。

 

ガラス張りの所へと歩いていく。

 

「わぁ…キレイ…」

 

水槽に見惚れるアレック。その横に、ヴェスタリアが立つ。

 

「うん、綺麗だ」

 

ヴェスタリアも水槽を眺めていると、後ろから声が掛かる。

 

「綺麗でしょ♡」

 

「はいぃ!?」

 

「あら、どうしたの?♡」

 

「い、いえ…」

 

「ヴェスティぃぃ…!?な、なんだこの人…!」

 

「あら、失礼したわね。私はここ、アトランタスの受付嬢の一人、ランランよ♡」

 

「嬢…?」

 

ランランの言葉に、アレックは首を傾げている。

 

「おい、アレック…!」

 

「あら、いいのよ♡」

 

ヴェスタリアがアレックをたしなめるがランランは許す。ランランの後ろからアルディーナが現れる。

 

「アトランタスで起きていることを、聞けると思ってな。ファーミラ王国でも、似た感じの奴でフランってのがいただろう。アイツと同じタイプだろ」

 

「あ、アルディ…お前な…」

 

アルディーナの言葉に、「なんてことを言うんだ」となるヴェスタリア。あまりにも、見た目などで決めつけている。

 

「あら、フランのこと知ってるの?♡」

 

「え?」

 

「私とフランは、姉妹よ♡」

 

「えぇ!?」

 

確かに、喋り方などは似ている上に体格も似ている。しかし、顔が全然違うのだ。

 

「…はぁ、まぁいいや…アトランタスのこと、教えてください。ランランさん」

 

「やだ♡」

 

「え?」

 

「さん、だなんて…ちゃんって言って♡」

 

「どっちでもいいよ!」

 

ヴェスタリアの声が届いたのか、ランランは話す気になってくれた。

 

「それで、なにが知りたいの?♡」

 

ヴェスタリアとアルディーナが質問をし始めるーー。

 

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