勇者と魔王の遊戯〜責務から逃げた勇者と魔王の旅ーしかし、その旅は世界の運命を変える始まりであった〜   作:大乃正生

51 / 55
第五十話「アトランタスの異変」

 

ランランから、アトランタスのことを聞くことになったヴェスタリアとアルディーナ。

アレックは水槽を見ている。

 

「アレックちゃん♡」

 

「ん?」

 

「それ、水槽じゃないのよ?♡」

 

「え?」

 

「このガラスの向こうは、海なの♡」

 

「えぇ!?」

 

ランランの言葉に、目を輝かせガラスにへばり付いて見ている。

へばり付いて海を見ているアレックを、微笑ましく見ているランランが口を開く。

 

「…貴方たちが知りたいのは、アトランタスで起きていることでしょう?♡」

 

視線をヴェスタリアとアルディーナの方へ向けることなく話す。

 

「…そうだ。なにが起きている?」

 

アルディーナが、静かに問いかける。ヴェスタリアもまた、腕を組み話を聞いている。

 

「それがねぇ…♡私も分からないの♡」

 

「…なに?」

 

「知らないのか」

 

ランランの身も蓋もない言葉に、アルディーナは片眉を持ち上げ疑念の目を向ける。

ヴェスタリアは目を見開き驚いている。情報の集まるギルド。その中で、受付嬢であり、住民や冒険者の話を色々と聞くはずのランランが、アトランタスの異変について知らないのか、と。

 

「えぇ♡でも、王様が関係しているみたい♡」

 

「王様が?」

 

「アトランタスの王様と言えば、賢君で有名な…?」

 

ヴェスタリアが、自分の知っているアトランタスの王様の特徴を挙げる。

 

「そうよん♡なのに、最近になって変な勅令をたくさん出し始めたのよ♡」

 

「勅令?」

 

アルディーナが聞き返す。

 

王が直々に出す命令ーー勅令。

それが、最近になりたくさん出ている。それも変なもの。

 

「変な勅令って、なんですか?」

 

ヴェスタリアがランランの方を向き、勅令の内容を聞く。

 

「んー、水路を止めたり…水中都市への出入りを禁止したりね♡」

 

「…水上都市なのに、水路を止める…?」

 

「そうなの♡だから、私たち住民も困惑しているの♡」

 

「それに、西地区の観光地よりも人気のある水中都市への出入りを禁止…」

 

「えぇ♡」

 

「確かに、変なものばかりだな…」

 

ランランの言葉に、アルディーナが返している。

 

「そうでしょう?♡」

 

「え、水中都市に行けないの?」

 

下に降りて海を見ていたアレックが小走りでやって来て眉を下げ、悲しそうにしながらランランに聞いている。

 

「そうなのよ♡申し訳ないのだけれどね♡」

 

「ちぇ~」

 

楽しみにしていた水中都市に行けないと分かり、口を尖らせ不満そうだ。

 

「…ただ、ね…全く行けない訳じゃないの♡」

 

「え?」

 

「…貴方たちのように、外から来た人たちの中から、何組かが兵士に連行されるの」

 

今までのように、人差し指を唇に当てながら話すのではなく、真剣に話すランラン。

 

「今の所、全員無事に帰ってきているけれど…中で何をされてるのか…」

 

ランランの話を聞き、ヴェスタリアとアルディーナの視線がギルドの入口の方へと向けられるーーー。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。