勇者と魔王の遊戯〜責務から逃げた勇者と魔王の旅ーしかし、その旅は世界の運命を変える始まりであった〜 作:大乃正生
ランランから、アトランタスのことを聞くことになったヴェスタリアとアルディーナ。
アレックは水槽を見ている。
「アレックちゃん♡」
「ん?」
「それ、水槽じゃないのよ?♡」
「え?」
「このガラスの向こうは、海なの♡」
「えぇ!?」
ランランの言葉に、目を輝かせガラスにへばり付いて見ている。
へばり付いて海を見ているアレックを、微笑ましく見ているランランが口を開く。
「…貴方たちが知りたいのは、アトランタスで起きていることでしょう?♡」
視線をヴェスタリアとアルディーナの方へ向けることなく話す。
「…そうだ。なにが起きている?」
アルディーナが、静かに問いかける。ヴェスタリアもまた、腕を組み話を聞いている。
「それがねぇ…♡私も分からないの♡」
「…なに?」
「知らないのか」
ランランの身も蓋もない言葉に、アルディーナは片眉を持ち上げ疑念の目を向ける。
ヴェスタリアは目を見開き驚いている。情報の集まるギルド。その中で、受付嬢であり、住民や冒険者の話を色々と聞くはずのランランが、アトランタスの異変について知らないのか、と。
「えぇ♡でも、王様が関係しているみたい♡」
「王様が?」
「アトランタスの王様と言えば、賢君で有名な…?」
ヴェスタリアが、自分の知っているアトランタスの王様の特徴を挙げる。
「そうよん♡なのに、最近になって変な勅令をたくさん出し始めたのよ♡」
「勅令?」
アルディーナが聞き返す。
王が直々に出す命令ーー勅令。
それが、最近になりたくさん出ている。それも変なもの。
「変な勅令って、なんですか?」
ヴェスタリアがランランの方を向き、勅令の内容を聞く。
「んー、水路を止めたり…水中都市への出入りを禁止したりね♡」
「…水上都市なのに、水路を止める…?」
「そうなの♡だから、私たち住民も困惑しているの♡」
「それに、西地区の観光地よりも人気のある水中都市への出入りを禁止…」
「えぇ♡」
「確かに、変なものばかりだな…」
ランランの言葉に、アルディーナが返している。
「そうでしょう?♡」
「え、水中都市に行けないの?」
下に降りて海を見ていたアレックが小走りでやって来て眉を下げ、悲しそうにしながらランランに聞いている。
「そうなのよ♡申し訳ないのだけれどね♡」
「ちぇ~」
楽しみにしていた水中都市に行けないと分かり、口を尖らせ不満そうだ。
「…ただ、ね…全く行けない訳じゃないの♡」
「え?」
「…貴方たちのように、外から来た人たちの中から、何組かが兵士に連行されるの」
今までのように、人差し指を唇に当てながら話すのではなく、真剣に話すランラン。
「今の所、全員無事に帰ってきているけれど…中で何をされてるのか…」
ランランの話を聞き、ヴェスタリアとアルディーナの視線がギルドの入口の方へと向けられるーーー。