ハイスクールD×D ― 禁断の契約   作:ハーレム人気者

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第1話再会?

朝。

まだ日が昇りきらない淡い光が差し込むなか、ヴァルトは静かに言った。

 

「……しばらくここを出る。留守を任せるぞ、二人とも」

 

「はい」

「うん」

 

雛森とアスナが、それぞれ落ち着いた声で返事をする。

だが、ふとアスナが小首をかしげた。

 

「でも……アリサや桃香には言わなくていいの?」

 

その疑問に雛森も「確かに」とうなずく。

ヴァルトは小さく笑って答えた。

 

「アリサは疲れてるみたいだったし、桃香に関しては……うるさいからな」

 

「確かに、騒ぐね。桃香は」

アスナが思わず吹き出す。

 

「もう、二人とも……」

雛森は軽くため息をつきながらも、口元に笑みを浮かべた。

「後で怒られても知りませんよ?」

 

「そのときはそのときだ」

ヴァルトは肩をすくめるように言って笑った。

 

だが次の瞬間、表情を引き締める。

その声に、部屋の空気がわずかに張り詰めた。

 

「……準備が整ったら、頼むぞ」

 

「もちろん」

アスナはにっこりと笑顔を見せる。

そして、ふとリアスの方に視線を向けた。

 

「リアス。ヴァルト君のこと、お願いね」

 

リアスは真剣な顔でうなずく。

「えぇ、任せて」

 

「よし。行くぞ、リアス」

「はい……!」

 

リアスの声には少しだけ緊張が滲んでいた。

二人が部屋を出て行く。

その背中を見送った雛森が、ぽつりと呟いた。

 

「……寂しくなりますね」

 

「うん。確かに」

アスナは窓の外を見つめながら小さく笑う。

「でも……ここを守ることも、大事だから」

 

その声には、どこか切なさと、強い決意が混じっていた。

淡い光が二人の横顔を照らし、静かな朝が流れていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで──最初はどちらに向かいます?」

リアスが隣を歩きながら尋ねる。

 

「まず、そうだな……」

ヴァルトは顎に手を当て、少しだけ考え込む素振りを見せた。

そして、ふと何かを思い出したように言う。

 

「協力者に会いに行く」

 

「協力者……?」

リアスが首をかしげる。

 

「あぁ」

短く、しかし確信に満ちた声だった。

 

──そして。

 

二人が辿り着いたのは、森の奥に佇む大きな屋敷だった。

白い壁と広い庭。

まるで時が止まったかのように静まり返っている。

 

「ここに?」

リアスが不思議そうに問いかける。

 

「あぁ。ここにいる」

ヴァルトは確信を持ってそう答え、躊躇なく玄関のチャイムを押した。

 

すると、奥から穏やかな声が響いた。

 

「大丈夫です。開いてますよ」

 

その声を聞いた瞬間──リアスの胸がわずかに締めつけられた。

懐かしい。

どこかで、何度も聞いた声。

 

(……まさか)

頭の中で否定する。

そんなはずない。

姉は今、魔界で兄と共に暮らしている。

幸せそうな笑顔を最後に、もう何年も会っていない。

 

「おい、なにしてる。早く入るぞ」

ヴァルトの少し怒った声で、現実に引き戻される。

 

「は、はい!」

リアスは慌てて彼の後を追った。

 

屋敷の中に入ると、奥から歩み寄る影があった。

 

「お久しぶりです、ヴァルト様。そして──リアスも」

 

その声に、リアスは息をのんだ。

視線の先にいたのは、銀髪のメイド服の女性。

 

「グ、グレイフィア……? ど、どうしてあなたがここに!?」

 

驚きの声が漏れる。

グレイフィアは少しだけ微笑み、視線をヴァルトへと向けた。

 

「あれ? まだリアスには話していないのですか?」

 

ヴァルトは腕を組み、静かに答える。

「……あぁ、まだだ」

 

グレイフィアは一歩近づき、ヴァルトの耳元にだけ届く声で囁いた。

 

「……変わらないですね。意地悪な人」

 

ヴァルトは鼻で笑い、

「ふん」

とだけ短く返した。

 

二人のやり取りを見ていたリアスは、胸の奥がざわめくのを感じた。

(……二人、知り合いなの? しかも、なんか雰囲気が……いい感じ?)

 

わけもなく、胸が痛んだ。

それが何の感情なのか、リアス自身にもわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──簡単な話だ」

 

ヴァルトが静かに口を開いた。

「俺はこの町の管理者になった。だがな、上に報告書をあげなければならない」

 

そこで言葉を区切り、続きを言おうとした瞬間──

 

「そこで、私の出番ってわけよ」

横から割って入る声。グレイフィアが胸を張って得意げに言った。

 

「……おい、俺のセリフだぞ」

ヴァルトが半眼で睨む。

 

「ふふっ、なんのことでしょうか?」

グレイフィアが口元に手を当て、笑いながらとぼける。

 

リアスは頭の上に「???」を浮かべたような表情だった。

二人のやり取りがまるで通じ合っているようで、余計に混乱する。

 

「そ、それで……どうしてあなたなの?」

たまらずリアスが声を上げた。

 

グレイフィアはリアスの方へ視線を向け、穏やかに問い返す。

「じゃあ、報告書って──誰にあげるのかしら? リアス」

 

「そ、それは……上司とか、かな?」

リアスが少し戸惑いながら答える。

 

「えぇ、そうね」

グレイフィアが頷き、すぐに続けた。

「じゃあ、彼──ヴァルトの上司は誰かしら?」

 

「え……?」

リアスは思わず固まった。

(そういえば……ヴァルトに“上司”なんているの?)

 

グレイフィアはそんなリアスの様子を見て、やさしく微笑んだ。

「えぇ。あなたの考えてる通りよ。ヴァルトには上司はいないの」

 

「だったら?」

リアスが眉をひそめる。

 

「確かに、直接の上司はいないわ。でもね──魔界の“上の人たち”には、定期的に報告をあげる必要があるの」

グレイフィアの声は落ち着いていて、どこか説得力を持っていた。

 

「町ひとつ管理するって言っても、結構大変なのよ。

例えば“はぐれ”が出たら? 事件が起きたら? それを確認しておくためにも、報告書が必要になるの」

 

「なるほど……」

リアスは少しずつ理解し始めた様子で頷く。

 

「そして、その報告を受け取るのが──魔王サーゼクスなのよ」

 

「そ、そうなの!?」

リアスが思わず声を上げた。

 

グレイフィアは微笑みながら、リアスの反応を楽しむようにうなずいた。

「そうよ。そして、私はそのサーゼクスの妻として、報告の確認を任されているの」

 

「……なるほどな」

ヴァルトが腕を組み、続ける。

「だが問題は、俺はこの町のことをほとんど知らなかった。

だから──先にグレイフィアに来てもらって、この町の情報をまとめてもらっていたんだ」

 

「それに、報告するなら“近い存在”のほうがやりやすいからな」

 

そう言ってヴァルトがグレイフィアを見ると、彼女も静かに微笑み返す。

二人の間に、短いけれど確かな信頼の空気が流れた。

 

リアスはそれを見て、ようやく完全に納得したように息をついた。

「……確かに。理にかなってるわね」

 

だがその胸の奥では──

“少しだけ、チクッとした感情”がまだ残っていた。

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