ハイスクールD×D ― 禁断の契約   作:ハーレム人気者

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第2.5話パニック?

飛鳥は完全にパニックになっていた。

 

(ど、どうしよう……やばいって、これ!)

心臓の鼓動が早すぎて、呼吸さえ乱れている。

 

一方その頃――リアスは、別の方向で暴走していた。

 

「ま、まさか……本当の狙いはヴァルト様……?」

リアスの脳裏に、あり得ない妄想が広がる。

 

(そうよ……ずっと私の行動を監視して……私がヴァルト様と合流したところで、ヴァルト様を――!)

 

もちろん、完全な勘違いである。

しかし“監視していた”という点に限れば、半分正解なのがまた恐ろしいところだ。

 

「……なら、まずいわね」

リアスは表情を引き締めた。

「いくらヴァルト様でも、人数不明の相手と戦うのは危険……。ここで、少しでも戦力を削っておかないと」

 

ぐっと拳を握り、魔力を高め始めるリアス。

 

木陰の飛鳥は青ざめた。

(や、やばい……完全にやる気出してる! え、待って、あれチャージしてない!? え、まずいよね!?)

 

額に汗をにじませながら、飛鳥はついに覚悟を決めた。

 

(よし……もうこうなったら――出るしかない!!)

 

リアスが声を上げる。

「いいわ。もう一度だけ忠告するわ。今出てくるなら、話だけでも聞いてあげる!」

その声には、緊張と警戒が混ざっていた。

 

だが、その時――別の方向から。

 

「え~? お姉さん、どうしたの?」

 

突然の無邪気な声に、リアスはびくっと肩を震わせた。

「ふ、普通の……子供?」

 

木の影から現れたのは、一人の少女。

明るい声で首を傾げている。

 

「なんかさっきから、何か言ってたみたいだけど……どうしたの?」

 

「えっ!? な、なんでもないわよ!」

焦りまくったリアスは、慌てて笑顔を作る。

 

(聞こえてなかった? ならセーフよね……!)

心の中で誰かに確認を取るリアス。

 

「そ、そうなんだぁ」

少女――いや、飛鳥があどけない笑みを浮かべる。

 

(よ、よかったぁぁ……あれ絶対、攻撃しようとしてたよ!)

心の中で全力で安堵する飛鳥。

 

――しかし、重大なミスにまだ気づいていない。

 

そう、その少女こそ飛鳥。

焦って飛び出したせいで、変装も何もせず素顔のまま現れてしまったのだ。

 

そして今もなお、その“失敗”に気づかない飛鳥であった。

 

 

 

「えっ、えっ~と……お名前を聞いても?」

まだ少しパニック気味のリアスが、恐る恐る尋ねた。

 

「私? 飛鳥。よろしくね!」

にこっと笑顔で答える飛鳥。

 

――飛鳥よ、またお前は失敗を犯してしまった。

なぜ本名で答える。そこは偽名だろう。

心の中で誰もが総ツッコミを入れた。

 

「そ、そう。私はリアス・グレモリーよ。リアスでいいわ」

 

「そうなんだ~。リアスちゃんって外人の人?日本語うまいね」

「え? あ、そうね。勉強したから」

曖昧に笑うリアス。

 

「ところで飛鳥は、どうしてここに?」

 

「えっ!?」

一瞬で固まる飛鳥。

 

(ど、どうしよう……本当のことなんて言えるわけないし!)

 

「そ、そうだ……友達と遊んでて、その帰りなの!」

無理やりひねり出した嘘にしても雑すぎる。

 

「そ、そうなのね」

 

「え~と、リアスちゃんは?」と逆に聞き返す飛鳥。

 

「私? 実は道に迷ってしまって……」

素直に打ち明けるリアス。

 

「ど、どこに向かう途中だったの?」

「近くのスーパーに」

 

(……え? スーパー?)

 

飛鳥の脳内地図が高速回転する。

(あれ? 主様の屋敷からそのスーパーまでは一本道のはず……)

 

(も、もしかしてこの子……バカなの?)

 

そんな失礼なことを心の中で呟きながらも、飛鳥はすぐに笑顔を作る。

 

「そ、そうなんだ! なら私が案内しようか?」

 

「い、いいのかしら?」

「うん、大丈夫だよ!」

 

明るく答える飛鳥。

内心では――

 

(これでリアスを護衛できるし……あっ! もしかして私って天才!? きゃー、そしたら主様に褒められてご褒美が……♡)

 

――そんな妄想をしていた。

だが残念ながら現実は非情である。

 

彼女はすでに二つのミスを犯していた。

ひとつ、素顔を見せたこと。

ふたつ、本名を名乗ったこと。

 

それにまだ気づいていない。

 

「そ、そう? ならお願いするわ」

リアスが微笑む。

 

(あぁ、いい子ね……でも、さっき喜んでたのは何かしら?)

 

――そしてリアスの脳内妄想が、また暴走を始める。

 

(もしかしてこの子……一人っ子なのかしら。寂しいから、私と一緒にいたいのね)

(それに“友達と遊んでた”って言ってたけど、あれは嘘で……本当はひとりで森で遊んでたんだわ……かわいそうに……!)

 

(いいわ。私でよかったら……友達になってあげる)

 

完全に勘違いしているリアス。

だが、その勘違いの一部だけ、地味に正解なのがまた面倒な話であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事にスーパーにたどり着いたリアスと飛鳥。

 

帰り道、リアスが尋ねた。

「えっ? いいの、屋敷までついてきてくれるの?」

「もちろん! それに、荷物いっぱいあるし!」

明るく答える飛鳥。

 

――飛鳥の中では、すでにご褒美確定モードである。

(主様に褒められる……! ご褒美……! きゃあああ♡)

 

しかし悲しいかな。

彼女は重大なミスを犯していた。

極秘任務中なのに、護衛対象の目の前で主の屋敷に向かっていること。

 

一方のリアスはというと――

 

(やっぱり……そうだったのね)

(この子、きっと一人っ子で、寂しかったのよ……)

(だから、こんなにも一緒にいたがるのね……)

 

――全力で勘違いしていた。

 

 

---

 

「そういえばリアス、遅いな」

屋敷で主人公が呟く。

「確かに……」とグレイフィアも小さく頷く。

 

「もう少ししたら、近くまで見てくるわ」

そう言った矢先――

 

ガチャリ。

玄関の扉が開いた。

 

「あっ、戻ってきたみたいね」

「ただいま戻りました!」

リアスの元気な声が響く。

 

「そ、それと……お、お邪魔しますっ」

遠慮がちに続いた声。

 

――飛鳥だった。

 

「まあ……もう友達ができたの?」と驚くグレイフィア。

リアスは胸を張って、

「ええ、そうよ!」と誇らしげに答えた。

 

「遅かったな」

主人公の低い声。

「す、すみません!」リアスが慌てて謝る。

 

「あ、紹介しますね! 今日出会った飛鳥です!」

「おいで、飛鳥」

 

リアスに呼ばれ、飛鳥がそろそろと顔を出す。

 

――そしてその瞬間。

 

「……あぁ」

「ぬ、主様……?」

 

二人の視線がぶつかる。

空気が一瞬で凍った。

 

(な、なぜお前がここに……!)

(ご、ごめんなさい主様、でも護衛任務でっ……!)

 

無言のアイコンタクトが交わされる。

 

グレイフィアが、その不穏な空気を察してすぐに動いた。

「久しぶりね、飛鳥」

 

「えっ!? あっ、そ、そうですね! ハハハハ……」

半笑いで答える飛鳥。

(合わせて、と目で訴えるグレイフィア)

(う、うん……了解っ!)

 

リアスはキョトンとした顔で二人を見ていた。

(……あれ? 三人とも知り合いなの?)

 

気まずい沈黙。

 

その空気を切り裂いたのはグレイフィアだった。

「と、とりあえず……ご飯にしましょう! リアス、それに飛鳥も手を洗ってきてちょうだい」

 

「は、はい!」

「わ、わかったわ!」

 

バタバタと廊下に消える二人。

 

――静寂。

 

その場に残された主人公は、ただひとこと。

 

「……頭が痛い」

 

ゆっくりと、額を押さえた。

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