この作品を完結させた後に「夢にまで見たフィジカルギフテッド!?」の再執筆を開始したいと思います。
投稿頻度は遅いと思いますが、何卒よろしくお願いします。
震え立つ膝を叩き、文字通りに自分自身を鼓舞するように、震え立たせる。
使い慣れてない術式に使い慣れていない体。まるで自分が五条悟の中に入ったような、たとえるなら受肉した体を操作するような感覚。
「勘違いしてるみたいだから言っとくけど、そっちが
「クソガキが」
そんな呑気な事を考える暇はなく、目の前にいるのは呪いの王であり、世界の命運をかけた戦いがこれから始まるのだ。
蒼を、あるいは赫を⋯⋯どちらから放つか悩んでいた瞬間、目の前を遮る白い物体が現れ──、
「うあぁっ! は、はぁ、はぁ。またか」
飛び上がるように布団を蹴り出し、勢いのままにその場にて胡座をかく。
毎日、毎日、悪夢としか言えない夢を見る。
五条悟となった自分が両面宿儺と戦い、敗れる夢を。
「はぁ⋯⋯と、怯えてる場合じゃないか。行かないと」
短い緋色の髪を揺らしながら、ゆっくりと立ち上がってクローゼットへと向かう。黒で構成された質素な作りの制服を手に取り、同じく質素なタンクトップを脱ぎ捨ててから袖を通す。
ボタン1つで止められているそれは雑ながらも早着替えの際には役に立ち、この職業としては理にかなっているなと感心する所がある。
「今日も試しますかなっと」
玄関のドアノブに手を伸ばし、ゆっくりと捻り、外からなだれ込む光を全身で味わいながら外へとかけ出す。
ピンク色に近い鮮やかな緋色のマフラーを首に締め、何かを心に浮かべながら前へ出る。
今日もまた、意味もなく東京駅へと向かうのだった。
※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ふと、毎日のように見る悪夢について考える事がある。
転生したこの身が持っている模倣術式⋯⋯それは模倣の域を出る事は決してない。
あるいは将来的にチート的な力を発する事ができるのかもしれないが、そうなる日々は遠いだろう。
とにかく、いつも見る悪夢は五条悟の体に入った自分が両面宿儺と戦い、放たれた斬撃によって敗れるという物だ。
重要なのは"五条悟の体に入った"と言う所であり、それが憂憂の術式によるものか、模倣術式によるものかなどの細かな部分が分かっていないという事だ。
そして問題は別にもあり、毎日試しているものの、この肉体は、
正確に言えば東京にのみ足を運ぶ事ができないのだ。
こうして新幹線を乗る事によって東京駅についた今、目の前に広がるは黒く巨大な壁だ。
通行を遮る帳のような隔たりはどうやら柊陽彩だけを拒んでいるらしい。
証拠に、一般人や低級呪霊などは素通りしているし、第一に五条悟といった特級術師が壁自体を認識していないのだ。
恐らくは転生を代償に神が与えた、それこそ天与呪縛のような物だと認識している。
しかし、東京へと行けれぬのならば転生⋯⋯原作知識を持っている意味がない。
故にこの帳には期間が設けられているのだと思う。
ある一定の強さになるまで、あるいはある一定の⋯⋯原作の特定のエピソードがスタートするまでは通れないなどといった特殊な条件が。
ともかく、原作知識持ちの大きなアドバンテージである"呪霊の先制殲滅"が行えない今、やれる事は京都内で呪霊をひたすら狩る事だけだろう。
それを自覚していながら、諦め切れない自分がいるというのに。