MC:灯火 アシ:黒猫
レッツ転生!
MC:灯火
「皆さんこんまお!転生魔王の転生ラジオ、『リグレットナイト』のお時間です
進行いたしますは元◇◇の魔王、灯火と」
アシ:黒猫
「こんまお!アシスタントの黒猫でお送りします!
あ、◇◇が聞き取れないのは仕様だね、まだ内緒ってことで勘弁してくださーい」
MC:灯火
「異世界から現代への逆輸入転生が増えてきた昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか、私は元気に配信やってます。
今宵もまた現代に転生した“元・異世界人”たちが集う夜。
剣を置いた勇者も、王冠を脱いだ魔王も、今はただの後悔(リグレット)を抱えた一人の人間です」
アシ:黒猫
「この番組は、異世界から現代へ転生してきた方々をゲストにお迎えして、“前世での未練”や“今だから言える本音”“現世でならいえるあの時の謝罪”を伺っていく番組となっていまーす。
ということで本日のゲストさーん!!」
ゲスト:ダニエル
「皆さんこんまおー、転生騎士のダニエルです。どうぞダニーと呼んでください」
MC:灯火
「遠路はるばるいらっしゃいませ、今宵のゲストは元は王国騎士、今は警備員をやっているダニーでーす!」
ゲスト:ダニエル
「いや、ラジオなんて初めてで緊張しますね」
アシ:黒猫
「大丈夫、今は剣じゃなく台本を持ってリラックスしてねー」
MC:灯火
「じゃあダニー、早速転生前の未練や後悔、聞かせてくれるかい?」
ゲスト:ダニエル
「私の未練はあの夜、王を置いて死んだ事。それと転生時に取得したスキルが問題でして…」
MC:灯火
「騎士もいっぱい転生してる現代社会、前半はよく聞く話だけれど」
アシ:黒猫
「そのスキルが問題って?何かへんな称号とかついてきたの?」
ゲスト:ダニエル
「転生した人間が前世のスキルを持ってるのはよくあることだと思うんですが…これが私のスキル一覧です」
MC:灯火
「拝見させてもらいますよっと…おーおー基本的な騎士や護衛に必須なスキルがずらずらと並んでそして
一際異彩を放つ『 裏 切 り の 呼 び 声 』!!」
アシ:黒猫
「いやなんでそうなったの?!王を守る騎士だよね!存在しちゃいけないスキルなんですけど!?」
ゲスト:ダニエル
「えぇ、私も王を守る為に尽力してきたと自負しておりますが転生した時にこのスキルがついてきてしまって…
私の行いが回りまわって王の危機を招いたのではと思うと悔やんでも悔やみきれず」
MC:灯火
「よし、情報を整理しようダニー。まずは前世の最期のことを教えてくれるかい?」
アシ:黒猫
「何か取得のきっかけがあるかもだからね、振り返ってみよう!」
ゲスト:ダニエル
「王都を反逆者たちが襲撃した夜、私達騎士はその身を盾に王を守り抜きました。
それでも負った傷は深く一人、また一人と騎士達が力尽きていく中、王は声をかけてくださったんです。
最期、剣さえ持てなくなった騎士の手を握り一人一人にまっすぐに“よくやった”と。
あの光景が今も目に焼き付いています。たとえ生まれ変わろうと私はあなたの盾でありたい、そう思うほどに」
アシ:黒猫
「それで今も誰かを守る警備員をやってるんだね。でも今のところ裏切り要素ないね?」
ゲスト:ダニエル
「ここからが私の死んだ時のことなんですが、騎士の最期に声をかけて回る王を見て側近の一人が私にこう持ち掛けてきたんですよ
王を殺せば魔法薬でお前の命は助けてやる、と」
アシ:黒猫
「反逆の黒幕いたぁ!騎士に裏切れなんてげっすい奴!」
MC:灯火
「裏切り要素出ちゃったねぇ!!なーんて、王を置いて死んだことが未練であるダニーがそこで裏切るわけないですよね?」
ゲスト:ダニエル
「もちろんですとも、死にかけの体に鞭打って黄泉の道連れにしてやりました。
まぁおかげで王から直接よくやった、という言葉をもらう前に死んでしまったわけですが」
アシ:黒猫
「うーん、最期の瞬間まで主君を守る騎士だったと。この経緯なら心配はいらないかな
多分知らない人も多いと思うからサクッといっちゃって灯火」
MC:灯火
「うむうむ。実は転生時に追加されるスキルって条件がいくつかあってこれはそっちでの取得ですね」
ゲスト:ダニエル
「条件、というと?」
MC:灯火
「一般的にはその人の行いに相応しいスキルが身につくっていう認識なんですが……
例えばギロチンで処刑をしてたやつは切断属性、裏切り上等の奴には詐術みたいな感じで」
ゲスト:ダニエル
「では私のスキルの場合は……?」
MC:灯火
「そのスキルがあれば死ななかったのに、っていうタイプ。
凍死した奴が炎熱属性、溺死した奴が水中呼吸のスキルを取得した例があるから間違いないです」
アシ:黒猫
「裏切っちゃえば生きてられたのにねっていう皮肉みたいな取得だよ、一安心だね!」
ゲスト:ダニエル
「なんで知られてないんですかそんな大事なこと!?」
アシ:黒猫
「この取得方法、単純に事例が少ないんだ」
ゲスト:ダニエル
「まさかそんな事が…」
アシ:黒猫
「まぁまぁ、事実が判明したところで、何か前世で出来なかった謝罪とかある?
リスナーの中に謝罪相手がいるかもしれないから言っとこうよ」
ゲスト:ダニエル
「我が王へ、掛けられる言葉すら待たずに死んでしまった騎士失格な私をお許しください。
……裏切ってしまったわけじゃなくて、本当に良かった」
MC:灯火
「忠義とは、誰かのために生きること。でも時に、それが自分を許せなくすることもあります。
今夜のダニエルさんの言葉は、確かに私たちの胸に響きました。
っと、早速魔法のお便りが届きました。なになに?」
アシ:黒猫
「『絶対許さん。許して欲しかったら今度、酒でも飲みながらゆっくりと話をしよう。あの時かけられなかった言葉も含めて言いたいことが山ほどあるんだ』だってさ
よかったねダニー!ちゃんと声、届いたみたいだよ」
ゲスト:ダニエル
「ははっ、嘘みたいに簡単に届いちゃいましたね」
MC:灯火
「何も不思議なことはないですよ、なんせこの番組はそういうところ
誰かの後悔を、誰かの未練を、我々と共にあの人へ届けよう、そんな魔法がかかった夜です」
ゲスト:ダニエル
「それが灯火さんのスキルですか?」
MC:灯火
「◇◇の魔王としてのスキルの一つですね。おめでとう、ダニー。
君の後悔は、君の謝罪は確かに相手に伝わった」
ゲスト:ダニエル
「少しだけ肩の荷が下りた気がします」
MC:灯火
「是非とも今後の王とのサシ飲みで残りの荷を下ろしてください、応援してます」
アシ:黒猫
「“最後まで共に生きられなかった”その悔いを抱えて、再会の約束を結ぶ。
それもまた――救いの形なのかもしれません。
それでは今日のゲストのダニーさんでした、お疲れ様です!」
ゲスト:ダニエル
「はい、ありがとうございました、お疲れ様です」
MC:灯火
「誰にだってやり直せない夜があるけれど、語ることで少しだけ心が軽くなる。今夜もあなたの“リグレット”が、静かに癒えますように。
それじゃ今日の謝罪も終わったところで異世界情報つまみ食いのコーナー行きますよー」
アシ:黒猫
「ドンドンパフパフー!」
MC:灯火
「このコーナーでは魔王についてちょっと語っていきましょうー」
アシ:黒猫
「異世界といえば外せない、勇者と対を成す存在の魔王さん!」
MC:灯火
「勇者といえば召喚されたり生まれた時からだったり精霊から祝福されたり、なんていろんなパターンで勇者認定されますよね
実は魔王にも似たようなところがあって種族としての魔王だったり滅びる手前で全てを託された化物だったり、果てには「うっかり」勇者を倒しちゃったなんて言うちょっと笑える魔王認定もあります」
アシ:黒猫
「うっかりで倒しちゃいけない相手ぇ!!」
MC:灯火
「大雑把にいうと生まれた時から世界に魔王だって刻まれてる『先天魔王』
滅びゆく種族が最後の一人に全てを託してアルティメットワンを生み出す等、後天的な『後天魔王』
うっかり勇者に勝ったり、逆に勇者が最終目標として倒す相手に認定される『相対魔王』などなど」
アシ:黒猫
「先天的に魔王か、後天的に魔王になるか、対になる勇者が関わって魔王ってことにされるかの三種類なんだね」
MC:灯火
「他にも例外はありますがこのくらいざっくりでも大体当てはまるので十分でしょう
ちなみに私は後天魔王です」
アシ:黒猫
「いよっ◇◇の魔王!」
MC:灯火
「それリスナーには聞こえてませんよ。では、深夜のつまみ食いはこのくらいで
それでは皆さん、どうか穏やかな夜を。リグレットナイト、また次の転生でお会いしましょう」
アシ:黒猫
「次回の『リグレットナイト』は、“かつて滅亡を選んだAI”が語る、“人間への謝罪”。
タイトルは――『Ωの涙』。お楽しみに」