転生ラジオ・リグレットナイト   作:雪見の白兎

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第四夜・風は、彼を置いて吹いた

灯火 黒猫:

「「レッツ転生!」」

 

灯火:

「皆さんこんまお!転生魔王の転生ラジオ、『リグレットナイト』のお時間です

進行いたしますは元◇◇の魔王、灯火と」

 

黒猫:

「こんまお!アシスタントの黒猫でお送りします!

あ、◇◇が聞き取れないのは仕様だね、まだ内緒ってことで勘弁してくださーい」

 

灯火:

「今宵もまた現代に転生した“元・異世界人”たちが集う夜。

剣を置いた勇者も、王冠を脱いだ魔王も、今はただの後悔(リグレット)を抱えた一人の人間です」

 

黒猫:

「この番組は、異世界から現代へ転生してきた方々をゲストにお迎えして、“前世での未練”や“今だから言える本音”“現世でならいえるあの時の謝罪”を伺っていく番組となっていまーす」

 

灯火:

「今夜のゲストは――“風の精霊”」

 

黒猫:

「今日のゲストは神秘的だね。

風の音がやけに切ないのは気のせいかな?」

 

灯火:

「今夜は、“愛した人間を運命という言葉で見捨てた”という、

少し痛い夜風の話を、聞かせてもらいましょう」

 

黒猫:

「……まさに風が泣いてる、ってやつ?」

 

灯火:

「それでは今夜のゲスト――シエラさんです」

 

シエラ(穏やかで透き通る声):

「こんまおー。今は人の世界で、“風の観測”をしています」

 

灯火:

「シエラさんは、前の世界で“ひとりの人間”を愛されたとか」

 

黒猫:

「今回も恋愛が関わってくるんだね」

 

灯火:

「感情が大きく揺れ動くとき、後悔もまた現れますから」

 

シエラ:

「はい。名はアレン。風の詩を紡ぐ旅の詩人でした。

彼の言葉は、私よりも風を知っていた」

 

黒猫:

「精霊が“人間の言葉”に惹かれるってすごくロマンチックだね」

 

灯火:

「けれど、あなたは彼を置いていった?」

 

シエラ:

「人と精霊は、同じ時間を歩けません。

私はそれを“運命”だと信じ込んで――彼を風の中に、置いてきました」

 

灯火:

「悠久を生きる精霊を定命の存在との悲劇ですね」

 

黒猫:

「信じた、っていうより……信じたフリ、じゃない?」

 

シエラ:

「……ええ。“別れの痛み”を運命のせいにしたかっただけなんです」

 

 

シエラ:

「――アレンへ。

あの日の風は、まだ私の中にいます。

 

私は“運命だから”とあなたの手を離した。けれど本当は、“あなたを失う自分”が怖かっただけ。

あれは、あなたを救う言葉ではなく、私自身を正当化する呪文だった。

 

あなたは私のいない空の下でも詩を紡ぎ、風が吹くたびに微笑んでくれたと聞いた。

 

風はすべてを流すと言うけれど――

あなたの声だけは、いまだに消えない。

ねえアレン、あなたは今、どんな空を見ていますか?」

 

黒猫:

「……やばい。これは“風の音”が泣いてるやつ」

 

灯火:

「風が通り過ぎても、想いは残るものです。

シエラさん、もし彼に風が届くなら――何を伝えますか?」

 

シエラ:

「“もう一度、あなたの時間に吹きたかった。今も――あなたの最後の詩の続きを待っている”。

ごめんなさい、運命なんて、ただの逃げ道でした。永遠を持つ私が、“今”を恐れたのです」

 

黒猫:

「……切なすぎる。運命って、便利な言葉だけど、時々残酷だね。

それにしても永遠って、羨ましいと思ってたけど……案外、孤独なのかも」

 

シエラ:

「終わりがあるから、風はやさしく吹けるのだと思います」

 

灯火:

「運命という言葉の下で、誰かを手放した夜。

それを正義と呼ぶか、臆病と呼ぶか――答えは、風が知っています」

 

黒猫:

「今日の風、ちょっと胸に刺さるね。でも明日また吹く風は、少しだけ違うはず」

 

灯火:

「そうですね。後悔の風がいつか優しい追い風になりますように。

今日も魔法のお便り、ちゃんと届いてますよ」

 

黒猫:

「『少しばかり風が明後日に向いただけ、今がその明後日なのでしょう、最後の詩の続きは、今もこの胸にあります』」

 

シエラ:

「あぁ……アレン、あなたはまだ私の風を、待ってくれていた……」

 

灯火:

「誰にだってやり直せない夜があるけれど、語ることで少しだけ心が軽くなる。今夜もあなたの“リグレット”が、静かに癒えますように。

それじゃ今日の謝罪も終わったところで異世界情報つまみ食いのコーナー行きますよー」

 

黒猫:

「ドンドンパフパフー」

 

灯火:

「今回は勇者に関わるとろくなことがない、後天魔王の派生形『相対魔王』についてです」

 

黒猫:

「うっかり勇者を倒したり、勇者に絶対倒すべき相手って思われたら魔王認定される奴だね」

 

灯火:

「『勇者の敵は魔王である』っていう概念を逆手に取られた魔王ですね

負けず嫌いな勇者に関わって『ぜってぇお前だけには負けねぇー!』とか終生のライバル宣言で魔王にされた人もいましたよ」

 

黒猫:

「判定がガバくない?」

 

灯火:

「この魔王に関しては勇者に関わった時点で負けです。

周囲の人は勇者のライバルなら魔王でも仕方ねぇなぁって生暖かく見守ってたそうで

それだけは救いかも知れません」

 

黒猫:

「魔王だぁ!討伐しろ―!ってなってもおかしくない世界もあるもんね」

 

灯火:

「まさにその通り。では、今夜のつまみ食いはこのくらいで

それでは皆さん、どうか穏やかな夜を。リグレットナイト、また次の転生でお会いしましょう」

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