マリー、俺と付き合って下さい。   作:カブトムシの相棒

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遅れました。申し訳御座いません。


では、本編です。


今更の話。でも、まだ……きっと。

☆サクタロウ宅

 

 

 

 

「────粗茶ですが、どうぞ」

「ごめんね、ありがとう」

「ありがとう!サクタロウくん!」

 

 

 

アパートの外で騒いでいた二人に近付き、そのまま流れる様に自宅へと招いたサクタロウ。

あのまま騒がれても近隣に迷惑が掛かる。それを避けたかったのが一番だったが……第一として、上からの命令で先生には接触する必要があった。

 

その先生が態々会いに来たのだ、応える他、なかった。

 

 

 

「んっ!この紅茶美味しいね!」

「うん、身も心も温かくなるような風味に、後味が和菓子ともマッチしている。本当に美味しいね」

「どうも。これは……とあるトリニティのシスターから頂いた紅茶です。ソイツもそう言って頂けて嬉しいと思います」

「へートリニティの紅茶だったんだ!こんなに美味しいんだね~!」

 

 

 

ユメと先生が美味しそうに紅茶と和菓子を食す。

どれもマリーがくれたものだ。やはり、美味しいのだろう……サクタロウは、その光景を見てそう思った。

 

先生とユメが一飲みし、御礼を言い終えて……サクタロウが発語する。

 

 

 

「改めまして、初めまして先生。俺は榊サクタロウ、ゲヘナ学園に所属している者です」

「初めまして、そして宜しくね。さっきも言った通り、私はシャーレで顧問をしている先生と云う者だよ。今回は急に連絡も無しに押し掛けちゃってごめんね」

「いえ、お気に為さらないで下さい。こういうのには慣れていますので………梔子さんも、お久しぶりです。壮健そうで何よりです」

「うん!久しぶりだねサクタロウ君!ちょっと背が伸びた?」

「少しだけ伸びました。それにしても、まさか梔子さんがシャーレに配属とは……大出世ですね、おめでとう御座います」

「え~そうかな~!えへへへ!」

「先生、梔子さんが迷惑かけてると思いますが……どうか捨てないであげて下さい」

「さ、サクタロウ君!?!?」

「あはは、大丈夫だよ。いつも頑張ってくれているし、お陰様で私の仕事量も減ってはいるからね。今じゃ私の左腕さ」

 

 

 

そんな感じで、世間話をする。

まだ本題には入らない。互いに、爪を隠す……先ずはコンタクトが大事だ。

 

そうして話していって、サクタロウが……一歩踏み出す。

 

 

 

「────さて……先生、本題に入ります。先ずは俺から言っても大丈夫でしょうか?」

「うん、お願いしようかな」

「ありがとう御座います。実はなのですが……俺は、先生。貴方個人の調査に回ろうとしていました」

「と、言うと?」

「以前、俺は【風紀委員会】という組織に属していました。ですが先日、引退したんです。特に理由は無かったのですが……空崎ヒナ委員長から最後の指令として、貴方に付いての情報を何かしら寄越して欲しい、そういう命令が出て、私はシャーレの先生のあらゆる情報を掴もうとしました」

 

 

 

先生、そしてユメも分かった。サクタロウは嘘偽りなくド直球でいった。

先生の双眸が、サクタロウの片眼を捉える。失われた、裂傷痕が残る片目を見つめて、それが気になるも、先ずは彼の話を聞いて分かった。

彼は嘘を言っていない。

 

 

 

「先生自ら此処に足を運んで下さったので、手間が省けました。誤解されない様言いますと、私は敵対はしません。ただ、先生、貴方の存在意義を理解したいのです」

「存在意義……さ、サクタロウ君?」

「……もう少し詳しく聞かせてほしいな」

 

 

 

サクタロウは続ける。

 

 

 

「単刀直入に言います────あんた何者だ?キヴォトス外の人間に加え、各自治区での戦闘行為が許される絶大な権力の保守。不可解が過ぎる訳だな」

「……」

「ここ数ヶ月、あんたが【アビドス】で動いてる事は知っている。借金返済や暴徒の制圧に尽力しているのも調べが付いている。傍から見たら、困っている生徒達に己が出来る事を為している聖人だ。それは素敵な事だと思うと同時、疑念に思われても仕方ない事だ」

「ちょ、ちょっとサクタロウ君!先生は本当に…!」

「いい、ユメ」

「でっ!でも!」

 

 

 

先生がユメを止める。

無論、先生はサクタロウの意志を理解している。これは、自分がどういう存在なのかを、先生自ら聞き出そうとしている。

 

だからこそ、その意思に応えるべきなのだ。

 

 

 

「サクタロウ、私の事を調べてくれたんだね。君の眼で見た私はどう映ったのかな?」

「純粋性に余裕を持つ姿勢、人間臭さもある出来た大人だ。正直、あんたの様な大人はキヴォトスじゃ超少数だ、持つ権力も考えれば疑われる事も理に適う。そして……生身の、ヘイローの無い人間だ。命が幾つ有っても足りん土地で、何を想い、何を為す?」

「そうだね……私はね、弱いんだ。一人じゃ何も出来ない、脆弱な人間なんだ」

「……」

「私は助けられなきゃ、生きていけない。でも君たち生徒の助けに成りたい。烏滸がましいけど、それは変わらない。私は生徒達の可能性と未来を信じている……私の信念は【子供達の幸福】なんだ。それには責任が伴う」

「────だから、あんたが責任を負うって?その先がどれだけ辛く、苦しいか分からないんだぞ」

「それが……大人であり、先生である私の責務なんだよ」

 

 

 

サクタロウの左目が先生の双眸を捉える。

嘘を全く言っていない。本当に、見知らぬ生徒達を、子供を信じている者の眼だ。

 

 

 

「……大人もそうだが、子供ってのは悪意を持って平気で人を貶める。あんたは信じているって言うが、そういうガキは無数にいる。それでも、ソイツの前で、それが言えんのか。最善の行動を取れるのか」

「言って、行動に移すよ。私はそれでも、子供達を信じたい。難しくとも、きっと変われる……特に子供はね」

 

 

 

……もう、良い。よく分かった。

 

サクタロウはそう思い、ふぅ…と息を吐く。

この大人は……良い意味で狂っている。何よりも熱い決意で満ちている。

 

 

 

「先生、よく、分かりました。先程は申し訳御座いません、試すような真似をしてしまって」

「もう良いのかい?私は全く気にしていないから大丈夫だけど……」

「えぇ、もう大丈夫です。先生、貴方は非常に素敵で、素晴らしい精神性の御方だ……これから貴方と出会い触れ合う生徒達が羨ましい」

「そういって頂けると嬉しいな!でもね?サクタロウ」

「ん?はい」

「その中には、勿論君も入っている。サクタロウも、私の大事な生徒だからね」

 

 

 

その言葉は、衝撃だった。

だが一瞬で理解した。彼の信念だと、それは自分も含まれるから。

 

 

 

「……面白い方だ。生きてみるモノです」

「そうだよ、人間生きているモンだ!」

 

 

 

眩しい……まるで、マリーを見ている様だ。

こう言う大人も、居るのだな……サクタロウは心が満ちた感覚だった。

 

アビドスでどう思われてるかは分からないが、この感じだと、もう虜にされているのだろう……これは天性の人誑しだ。

 

 

 

「はぁ~!良かったぁ!急に険悪な雰囲気になったから吃驚しちゃったよ~!」

「申し訳御座いません、梔子さん。此方も仕事なので、本音を聞き出さなければ出したので」

「もしかしなくても、あの時の君が素だったりする?」

「えぇ、まぁ……どうしてそれを?」

「なら私には無理して気を張らなくても良いよ。その方が嬉しいしね」

「……精進します。私が決めた目上の方には、敬語を使うと決めていましたので……ですが、そう言って頂けると幸いです」

「うん!同じ男子同士だしさ!仲良くしたいな!」

「そうですね、私としても珍しいので……貴方とは、仲良くしたい」

 

 

 

そう言って、サクタロウの聞き出したい事は終わった。

頭に記録した。その全てを後に報告しよう……良い大人が、来たものだ。そう思ってしまう。

 

少し話しを弾ませ……サクタロウが問う。

 

 

 

「先生、梔子さん、貴方方は一体どうして俺の家に?」

「あ、そうだった!えっとね………どうして、【風紀委員会】を辞めたのかな…って、思って」

「あぁ、その事で……」

「君の噂は私の耳にも届いていてね、つい先日、風紀委員会の次期副委員長候補で破壊工作の申し子とまで言われた君が電撃引退……まだ知らない子だけど、何かあったのかなって思ってさ。私達にも少しだけ時間に余裕が出来たから、会いに行ってみよー!ってなった感じなんだ」

 

 

 

随分と軽いが、これが先生のフットワークなのだろう。

生徒の為なら即決で行動。先程の信念の発露も合わせ、彼らしい。

 

 

 

「特に減る話でもないので、言えますが……結論から言うと『もう大丈夫だ』って思ったんです」

「え…?」

「ふむ……教えてくれるかい?」

 

 

 

サクタロウは続ける。

 

 

 

「もう、俺が居なくとも風紀委員会は大丈夫だって思ったからです。先生や梔子さんが知っているかは分かりませんが、少し前まで風紀委員会は『空崎ヒナ』のワンマンチームでした。正直戦力の8割が空崎だよりと云っても過言じゃない程、他力千万の組織だったんです」

「そうだったのか……その空崎ヒナって子は、現風紀委員会の委員長だよね?まだ会った事はないんだけど、相当の実力だと聞くよ」

「梔子さん、先生に言ってないんですか?」

「え、えへへ……忘れてた!」

「ふぅ……大雑把に言えば、ゲヘナ最強です。もしかしたらキヴォトスでも一番かも知れません。そして人格もよく出来ている、優しい方ですよ」

「そうなんだね。タイミングが合えば会いに行きたいな」

 

 

 

少し話が逸れたが、サクタロウが軌道を修正し、話を戻す。

 

 

 

「それ故に、空崎に頼りっきりの体制だったのです。俺が1年の時は既にそんな状態でした。だから、俺が用いる技術を浸透させました。ちょっとした理由で俺は破壊工作と隠密捜査が得意でして、それが空崎のサポートもあり上手く馴染んでいきました」

「ワンマンチームを確りとした組織に仕上げ、盤石の硬いチームに成長させたって事か」

「へぇぇ!サクタロウ君すっごいね~!1年前にそんな事してたなんて、驚きだよー!」

「俺だけじゃ無理でしたがね。空崎の進言や行動がなければ、実現は難しかったかもしれません……ですが、やり遂げました」

 

 

 

そう言うと、先生が疑問を持つ。

それはサクタロウも分かっていた。

 

では、どうして……。

 

 

 

「────しかし、どうしてそれが風紀委員を辞めた理由に?」

「あ、た……確かに」

「お察しの通りです。実は元々、直ぐに辞める予定だったんです」

「えぇ!?」

「どうしてだい?」

「……俺には、あそこに居る資格がないんです」

 

 

 

その言葉は、先生とユメにとって……重く捉えられた。

ユメは勿論、先生はサクタロウの背景には知られざる過酷な何かがあるのを察した。

 

失われた右目。無表情の顔付き、生気を感じない雰囲気……そのどれもが、先生にとって不可思議だった。

ユメはサクタロウの昔を知らない。彼は誰かに自分を語らない、マリー以外には。

 

 

 

「ゲヘナは治安が最悪です。風紀委員会の力は必須、しかしその力が一人に頼る脆弱な盤石……あまりにも、脆いんです」

「………」

「俺は一人の友人からほぼ強引に風紀委員に加入しました。入ったからにはそれなりの成果が絶対……だから、変革と結果です。内部から戦力の大幅アップを、俺個人としては各事件の解決を。この1年で随分と戦いました。もう、恩は返せた。そう思ったから辞めたんです」

「でも、それだと全く意味ないよ。サクタロウ君は……どうして其処まで………」

「────俺には、正義の心などないんです。目標も無ければ、向上心の欠片もない。そんな人間が強く成った風紀委員会に居ても意味がない。存在する必要がありません」

 

 

 

全て言い切った。

昔に助けた女の子と、初めて会った信頼できる大人に。

 

これで互いに言いたい事は言えた。これでお開き……そんな甘い思考が罷り通る訳が無かった。

 

 

 

「サクタロウ、それは、自分が課した責任の逃げだよ」

「なに…?」

 

 

 

先生がはっきりとした声で、そう告げる。

それは先生らしからぬ、本当にハッキリとした物言いだった。

 

これにはユメも驚愕を覚える。

 

 

 

「せ、先生…?!」

「サクタロウ、君も君なりに悩んでの行動だろう。私は君の選択は間違ってはいないと思う、それでヒナ達が納得しているのなら、良いんじゃないかなって」

「……」

「でも、そうじゃないのだろう?」

 

 

 

そう、先生は分かっていた。

ここ最近の風紀委員会は活動が活発している。その理由が、目の前の男……サクタロウの捜索なのだ。

 

 

 

「お見通しですか……えぇ、仰る通りです。何故か分かりませんが、風紀委員会の皆は俺を探しています。見聞するに、俺を連れ戻したいのでしょう」

「それはきっと正解だよ。でも、それは君の行動と思いを踏み躙り、感情論で動いている風紀委員会の子達に問題がある。でも、君はそんな事を思っていないんじゃないか?」

「……理屈では分かります。皆、優しい子達ですから。だからこそダメなんです。俺に甘えてしまっては、あの子達本来の才能を、俺が止めてしまう。破壊工作に隠密捜査、それは才能あるあの子等の成長の妨げになってしまう。それだけは看過できない……俺の技術は単独で許される技術ばかりです。それは、チームで形成される風紀委員会では多用は出来ません」

 

 

 

ここにきて、サクタロウの本音。

どうでも良い何てて建前だ。本当は……邪魔したくなかったんだ。己と云う不純を、誇り高い風紀委員会に置きたくなかった。ヒナに隠れてしまうが、イオリを始めとし、才能がある子達の妨げには成りたくなかったんだ。

 

 

 

「……実はね、少し前にこんな手紙を頂いたんだ」

「え?手紙?」

「うん。ユメ」

「はい!こちらに!」

 

 

 

突如、先生がユメに何かを促す。

ユメがバックから一つの手紙を取り出す。それは……

 

 

 

「これは……」

「風紀委員会の、1年生の子が寄越してくれた手紙だ。やっぱり君の事を書いてたんだね」

「サクタロウ君、よく、よく意味を理解して読んでね」

 

 

 

サクタロウはその手紙を開き、読む。

其処には……こう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈シャーレの先生へ〉

 

 

こんにちは、初めまして。突然申し訳御座いません。私は○○、ゲヘナ学園風紀委員会に所属する新人です。

 

今回は折り入って先生にお聞きしたい事が御座います。

 

実は先日、あたしの憧れである先輩が急に風紀委員会を辞めてしまいました。理由は分かりません、本当に、神隠しにあったかのようにフラッと居なくなってしまいました。

 

私はその先輩に助けられた事があります。ちょっと怖い人ですけど、優しい人だと私は思っています。よく1年生に戦闘技術を教授して、単独での戦闘になった時の戦い方も教えて下さる方でした。感情が読み辛いですが、皆その人に密かに憧れを抱いていました。誰もやりたがらない仕事や目に届きづらい事情にも確りと対応して、しれっと終わらせるような人でした。

 

面倒見が良くて、カッコいい人でした。だから急に辞めてしまって、ショックでした。

 

私達が彼に頼り過ぎだったです。確証はないですが、きっとそうなんです。悔しくて、悔しくって、直ぐに会って謝罪をしたい気持ちです。

 

でも、やっぱり戻って来てほしい自分が居ます。傲慢で烏滸がましいのは承知の上です。

 

寂しいんです……皆ピリピリしてて未だに緊張状態が続いています。

1年は勿論、2年や3年もピリついてて怖いです。その本心が寂しいんだって、伝わってしまうのがやるせないです。

 

私としては、直ぐにでも先輩に謝りたいんです。

頼ってばっかの後輩だから、申し訳なくって。

 

先生さえ良ければ、先輩に謝る方法を教えて頂けませんか?これは私と、他の後輩の気持ちです。お返事はいつでも大丈夫です。どうか、お願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────……あいつ」

 

 

 

読み終わって、数秒の間が続く。

 

思っても無かった、後輩の本音。それはマリーによって生まれた感情が軋めくには十分だった。

 

 

 

「今日来る時に届いてね、読んでみれば、タイムリーに君だったよ」

「………サクタロウ君、君は自分が思ってるよりも、ずっとずっと────大切に思われている子だよ」

 

 

 

ユメがそう告げる。優しい声で、光かと思う程の笑顔で。

 

先生も黙って肯定する。

 

 

 

「……後輩に、1年生に此処まで言わせてしまうとは……確かに責任感が無いですね。先輩失格です」

「そんな事は無いよ。こうして想われてる以上、君はこの子達にとって【誇らしい先輩】だった筈さ」

「自分を下げるのはサクタロウ君の悪い癖だよ?前にも直してって言ったのに……」

「すみません、性分なんです………先生、梔子さん」

 

 

 

サクタロウは手紙を持ったまま、席を立って一礼する。

 

 

 

「ありがとう御座います。気付かせてくれて……俺もまだ、未熟だと痛感しました」

「いや、私は何もしていないよ。サクタロウが今まで積み上げた信頼と、自分で気付けた在り方だ」

「そうだよ!自身持ってサクタロウ君!」

「……はい」

「ふふっ……それで、どうするんだい?」

 

 

 

先生が問う。

 

答えは……決まっている。

 

 

 

「────これから、準備ができ次第行ってみます……【風紀委員会】に」

「わぁ!ほんとに!!」

「そうこなくっちゃね」

 

 

 

決めた……もう、責任から逃げないと。

 

 

 

「……少し、席を外しても良いですか?話したい人が……居るんです」

「勿論」

「うん!ここで待ってるね!」

 

 

 

先生とユメの言葉は、確かに、確かに……サクタロウの心に響いた。

故に、最後に、あの子の……声を聴きたい。

 

臆病な己に、前を歩かせてほしい。

 

サクタロウは許可を得て、居間から玄関口まで行く。

 

そして、モモトークを開き……電話を掛ける。

 

 

 

”プルルルル……プルルルル……プル────”

 

 

 

『────はい、もしもし。サクタロウさん?』

「……マリー、いきなりすまん。少しだけ時間…大丈夫か?」

 

 

 

電話を掛けた人物、それは……マリーだった。

 

 

 

『はいっ!全然大丈夫ですよ。丁度授業が終わった所でしたので』

「そうか……ありがとう……」

 

 

 

マリーは快く、承諾してくれた。

本当に優しい子だ、自分なんかには勿体の無い……素敵な子。

 

サクタロウは一息置いて……告げる。

 

 

 

「マリー、実は何だが………俺────今から【風紀委員会】に戻ろうと、思ってる」

『っ!!……ほ、本当、ですか?』

「あぁ、本当だ。さっき色々あって、決断した。もう逃げないって決めたんだ。でも、快く受け入れてくれるとは思えない。去り方が最悪だったから、分かるんだ……でも、我儘だが、戻りたいんだ。そう思ってしまった……すまん、情けなくって」

『そんな事ありません。サクタロウさんに何があったかは分かりませんが、決断した事は本当に凄い事です。大きな不安もあるでしょうに……よく、話して下さいました』

 

 

 

マリーは、サクタロウが今、欲しい言葉をくれる。

その事実が、更にサクタロウを落ち着かせる。

 

 

 

「ありがとう。それで、何だが……」

『はい、何でもお申し付け下さい』

「っとだな………い、一個だけお願いがあって………い、色々、あるから、その………」

 

 

 

マリーは待つ。彼の言いたい事を、ただ、何も云わずに辛抱強く待つ。

 

マリーは、何があったかは分かっていない。

でも彼が決意した、嘘ではなく、本心として決断したこの選択を、本当にカッコいいって思ってしまう。

 

だから、今、頑張っているサクタロウの事を待つ。

それが、自分が出来る事なのだから。

 

そうして10秒が経って……サクタロウが告げる。

 

 

 

 

 

 

 

「────が……頑張って…って……言ってくれ、ない…だろうか……?」

『っ…!!…~~~!!勿論です……!』

 

 

 

マリーは、彼の声色と云い方に、どうしようもなく可愛いと云った感情が芽生えてしまった。

あぁ、何て……カッコよくって、泥臭くって、可愛いのだろう……さらに、惚れてしまう。

 

何なら結構照れ臭そうにいっているのがエグイ。マリー的ポイントは愛情プラス100000点を超えた。

 

 

 

『サクタロウさん!頑張って下さい!!絶対に大丈夫です!貴方ならきっと、いえ……100%上手くいけます!自分に自信を持って、ネガティブに考えず、誠心誠意を見せて下さい!傍には居れませんが……微弱ですが、私が付いていますからね!』

「────ありがとう、マリー……頑張ってみるよ」

 

 

 

じゃあ、また……そう言ってサクタロウは電話を切った。

活力が湧いた、やる気もでた。浮き出てしまった不安も消えた……後は、やるだけだ。

 

マリーの効果は本当に凄い。人を導くのは、ああいう清純で優しい子が一番だ。

 

そう思いながら振り返ったら………二人が、何か見ていた。

 

 

 

「……おい」

「え、なになに?もしかしてサクタロウ君……」

「────彼女かい?」

「……だったら、なんだよ」

「きゃーー!!!!」

「煩いですよ梔子さん……先生も、なんだ、その眼は」

「いやぁ~青春だなーって。口調も変わってくれたし、信頼関係は気付けたし!良い事も聞けちゃったー!」

「この野郎……」

「サクタロウ君に、彼女さんっっ!!きゃー!!!ホシノちゃんやシロコちゃん達にも教えなきゃ―!」

「は?ちょ、待っ……」

「サクタロウ」

「なんだ……」

「────避妊は確りね?

「あんた教師だよな?いや教師らしいが……はぁ」

 

 

 

最後に少しくだってしまったが、これが、この二人の感じ、なのだろう……悪くはなかった。

 

今日は、先生に会えた。忘れない内に先生の情報も報告できる……丁度いいだろう。

 

そうして、サクタロウは────風紀委員会に赴く。

 

 

 

 

………それは、彼が思っていた以上に────大変な話だった。

 

 

 

 

 

次回

 

風紀委員会、ブチギレ。サクタロウ、死す。




やめて!決心が付いたサクタロウが、極限状態でブチギレた風紀委員に会ってしまったら、マリーや先生、ユメの想いが意味なくなっちゃうわ!

お願い、死なないでサクタロウ!

あんたが此処で倒れちゃったら、マリーの事はどうするの?

ライフは無限(不死身)!!
ここを耐えれば(???)、きっと風紀委員達も分かってくれるんだから!

次回「サクタロウ死す」ブルーアーカイブ!



風紀委員会の面々とかが出てくる予定です。上記に反してまぁまぁなギャグ回な感じなので、気楽にお待ちくださいませ!


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