ダンジョンで"救護"するのは間違っているだろうか 作:救護騎士団オラリオ支部
■最近のミネの悩み
向かい合うのは ミネ・シルヴァリエとヘイズ。
「……最近、妙なんです」
前置きなく切り出したミネに、ヘイズは眉を寄せた。
「珍しいわね。あんたがそんなこと言うなんて。具合でも悪いの?」
「いえ。精神のほうかもしれません」
わずかな沈黙。
「フレイヤ様と話していると、時折、声が混じる気がするのです」
「声?」
「はい。何故かフレイヤ様の声が重なって聞こえるのです。 すごく親しみの感じる声音で」
ヘイズの空気が変わった。
「いつから?」
「ここ最近。体調に異常はありません」
その一言で、ヘイズの目が冷える。
「……ミネ」
低く、真剣な声音。
「もう、うちに改宗しなさいよ」
もうこれウチの団員でいいでしょ。
あわよくば団長になってほしい。
叶わない願いながらもヘイズはそう願ってやまなかった。
■弟子入りの断念
ヘスティア・ファミリア入団の夜。
寝台に横たわる カサンドラ・イリオンは、胸の前で指を絡めていた。
(明日、ミネさんに弟子入りをお願いしよう)
あの背中は強く、静かで、迷いがない。
追いつけなくても、せめて隣に立てる力を。
決意を抱いたまま、眠りへ落ちる。
――夢。
蒼が空を覆う。
翼を持つ凶鳥が旋回する。
瞳は冷徹。
羽ばたきで地が裂ける。
逃げる。抗う。叫ぶ。
だが距離は縮まり、鋭い爪が迫る。
叩き落とされる。
骨が軋む。
立ち上がる。
また、墜ちる。
何度も。何度も。
最後に凶鳥は首を傾げた。
――それでも、来るのか?
問いかけるような静かな視線。
「はっ……!」
夜明け前。汗が頬を伝う。
「……やっぱりやめよう」
尊敬は変わらない。だが、生存本能はもっと強い。
カサンドラは静かに布団を被った。
蒼は、遠くから眺めるくらいがちょうどいい。
■誰もがドン引きの所業(オッタルを除く)
「無礼を承知で問う」
問いかけたのは オッタル 。
周囲には フレイヤ・ファミリア の団員たち。
視線の中心には ミネ・シルヴァリエ 。
「レベル9へ至るため、何をした」
ミネ・シルヴァリエ は淡々と答える。
「バロールを討伐しました」
バロール?
その程度でレベル9に至れるほど恩恵というのは甘くない筈…。
「単身、非武装で」
空気が凍る。
「魔法もスキルも封じて」
完全沈黙。
「正気か?」
誰かの呟きが漏れる。
階層主を縛り付き単騎撃破。
それは武勇ではなく、狂気の域。
魔法を得意とするエルフの所業か、これが?
ミネは首を傾げる。
「バロールを制限下で倒す以外にランクアップする方法が思いつかなかったので」
理屈は通っている。だが理解はできない。
思いついてもやるか普通?
団員たちの顔が青ざめる中、オッタルだけが深く頷いた。
「なるほど」
低く、満足げに。
「己を極限へ追い込み、壁を砕いたか」
その声音には敬意すらある。
「参考になりますか?」
ミネの問いに、団員全員が力強く首を横に振る。
オッタルだけが僅かに笑った。
「一考の価値はある」
怪物の理屈を理解できるのは、怪物だけ。
その事実が、何より周囲を震えさせた。
■女冒険者の宿命
アストレア・ファミリア。
高レベル女冒険者は憧れの的。
だが同時に、壁でもある。
他派閥の友人に、『アストレア・ファミリアの人って美人だらけだけど男っ気ないよね(笑)』等と言われ続けた喪女集団であった。
そこへ現れた純粋培養の少年、ベル・クラネル 。
劇薬だった。
ある日、セルティが意を決する。
「ベル、今度お茶でも――」
「待った」
横から声。
リャーナがそれは許さないと睨みを利かせる。
「その日は訓練が」
「いえ、私が先に」
イスカとマリューも話に混ざり笑顔のまま火花が散る。
普段は和やか。だがベルを巡ると空気が変わる。
20を超えた喪女達が15そこらの少年を巡って醜い争いを繰り広げていた。
しかし、その隙に。
「ベルさん、ミアハ様の所にポーションを取りに行くので手伝っていただけますか?」
空気を読まない蒼。
ミネ・シルヴァリエが事務的に告げる。
「あ、はい!」
二人は並んで去る。
意識している女性との外出にベルの顔に笑みが浮かぶ。
そして残された女冒険者たちの沈黙。
「……一番無自覚なのが最強では?」
誰かが呟く。
全員が、無言で頷いた。
恋は戦場。
そして真に恐ろしいのは、戦う意思すらない者。
蒼は今日も、無自覚に勝利するのだった。
なお、フレイヤ・ファミリアではミネの強さが知れ渡った時に満たす煤者達数人がミネに弟子入りをしましたが全員が数日でレベルを上げ後に全員弟子をやめていきました。
ミネ曰、弟子なら一切の遠慮の必要がないとのこと。
このSSが完結したら
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アリス編を書け
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過去編を書け
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フレイヤ様に拾われたミネ編を書け
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イズナ編を書け
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ツルギ編を書け
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いつまでかかっても良いから全部書け