ダンジョンで"救護"するのは間違っているだろうか   作:救護騎士団オラリオ支部

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連邦生徒会長ってループしてる説がありますけど、その説が正しい場合、どっかしらのループでアリスをゲーム開発部に託すルートを発見したんですよね。
何をどうすればゲーム開発部に託す選択をしたんだ…、総当たりで色んな所に託してたのかな?
そしてゲーム開発部に託したらアリスが勇者になってキヴォトス滅亡のタネが消えるどころかキヴォトス救済の勇者に覚醒した時にはどんな顔してたんだ連邦生徒会長。


金と蒼の交差

 遠征を控えた拠点は、慌ただしい熱気に包まれていた。

 荷の点検、武具の調整、役割分担の最終確認。

 中心にいるのはベルたちだ。

 

 一方、その喧騒から離れ――

 ミネはフレイヤ・ファミリアの本拠へ向かう。

 

 門前で足を止めると、門番をしている団員がいつものように中へと通す。

 

 もはやミネに関しては半分フレイヤ・ファミリア扱いである。

 

 礼を告げ、敷地内へ。

 

 遠くからでも分かる。

 地を打つ衝撃音。空気を震わせる圧。

 

 足を踏み入れた瞬間、視界に飛び込んできたのは――

 

 巨躯の獣人。

 振り下ろされる大剣。

 

 そして、それを紙一重で回避する金の閃光。

 

「……え?」

 

 思わず、声が漏れた。

 

 剣を握るのは アイズ・ヴァレンシュタイン 。

 

 受けるは、オッタル 。

 

 轟音。

 地面が抉れ、風圧が吹き抜ける。

 

 アイズが次撃へ踏み込む。

 だが大剣が軌道をずらし、柄で弾き飛ばす。

 

 金髪が揺れ、アイズが数歩退く。

 

 その瞬間、彼女の視線が蒼を捉えた。

 

「……え?」

 

 今度はアイズから困惑の声が漏れた。

 

 剣を構えたまま、目を見開く。

 

「なんで、ここに……?」

 

 戦いの最中にあるまじき隙。

 

 だがオッタルは刃を振り下ろさなかった。

 

「ミネ、帰って来ていたのか」

 

 低く、落ち着いた声。

 

「はい。昨日帰って来たのでヘイズさんたちの手伝いをしようと思っていたのですが…」

 

 ミネは視線を逸らさず答える。

 

 アイズは未だ状況を飲み込めていない様子で、二人を見比べる。

 

「何故、アイズさんがここに?」

 

「……強くなりたいから」

 

 即答だった。

 

「鍛えてもらってる」

 

 短いが、迷いのない言葉。

 

「それは……大丈夫なのですか? 派閥関係で色々と問題がある気がするのですが……」

 

「……大丈夫」

 

 間があった。

 

(あ、これあんまり大丈夫じゃない)

 

 直感が告げる。

 

 ロキ派閥の第一線冒険者が、フレイヤ派閥の最強に鍛えられている。

 火種にならないはずがない。

 

 とはいえ、ミネが口を挟む立場でもない。

 

 オッタルが低く告げる。

 

「剣姫は力を求めた。 そしてフレイヤ様がそれを許された。 それだけだ」

 

 理屈は単純。

 だが都市は単純ではない。

 

 アイズが小さく息を整える。

 

「貴女にもお願いしたい。 私を、強くしてください」

 

 ミネは数秒、沈黙した。

 

 別派閥の自分がアイズを鍛えれば余計な問題が起こるかもしれない。

 

 しかしアイズの瞳は何処か必死で余裕のなさがうかがえた。

 

「……私の鍛え方は、優しくありませんよ?」

 

「いい」

 

 即答。

 

 金の瞳に揺らぎはない。

 

 オッタルが一歩退いた。

 

「見せてみろ」

 

 許可。

 

 ミネは外套を外し、静かに構える。

 

「では――本気で来てください」

 

 金が疾る。

 

 風を纏った一閃。

 

 速い。鋭い。

 並の冒険者なら見えもしない。

 

 だが――

 

 蒼は消えた。

 

 視界から、音もなく。

 

 レベル6のアイズでさえ、目で追うのがやっとの速度で死角へ回り込む。

 

(……速い)

 

 しかもそれは魔法でもスキルでもない。

 

 純粋な身体能力。

 

 圧縮された筋力。

 極限まで無駄を削いだ踏み込み。

 最短距離の軌道。

 

 ――衝撃。

 

 腹部へ叩き込まれた一撃。

 

 アイズの身体が宙を舞い、地面を転がる。

 

 息が抜け、視界が揺れる。

 

 だが。

 

 傷がない。

 

 裂傷も、打撲も。

 それどころか、先程までオッタルとの鍛錬で負っていた痣すら消えている。

 

「……え?」

 

 腕を見下ろし、腹部に触れる。

 

 痛みは一瞬あった。

 だが今は、熱が引くように消えている。

 

 ミネは静かに立っていた。

 

「私が行う打撃には回復効果があります」

 

 淡々と告げる。

 

「怪我を気にせず、遠慮なくかかって来て下さい」

 

 空気が変わる。

 

 オッタルの瞳がわずかに細まる。

 

「……ミネならばお前をより強く鍛えられるだろう。 俺も辿った道だ。 保証しよう」

 

 アイズはゆっくりと立ち上がる。

 

 身体が軽い。

 

 疲労も、削れたはずの体力も、わずかに戻っている感覚すらある。

 

「……もう一回」

 

 即座に構える。

 

 今度は迷いがない。

 

 風が爆ぜる。

 

 連撃。

 

 剣閃が蒼を包囲する。

 

 だが蒼は正面から受けない。

 

 受け流し、潜り、滑る。

 

 拳が肩口に沈む。

 

 ――衝撃。

 

 だが今度は踏み留まる。

 

 流す。

 

 体幹を止めず、衝撃を逃がす。

 

 それでも次の瞬間、脇腹へ打撃。

 

 強烈な圧。

 

 吹き飛ぶ。

 

 地面を削りながら止まる。

 

 だが。

 

 やはり傷はない。

 

 むしろ、身体の奥に溜まっていた重さが抜ける。

 

「……すごい」

 

 素直な言葉。

 

 ミネは首を横に振る。

 

「違います」

 

 一歩、距離を詰める。

 

「あなたの身体が応えているだけです」

 

 蒼い瞳が真っ直ぐ射抜く。

 

「疲れは体を鈍らせます。 ここで言う疲れは一時的な疲労ではなく日々の戦いの中で蓄積された身体的ダメージです」

 

 静かな宣告。

 

「先の一撃であなたの疲れを癒しました。それがあなた本来のポテンシャルです」

 

 その言葉に一瞬だけ沈黙が落ちる。

 

 オッタルが低く笑った。

 

「やって見せろ、アイズ・ヴァレンシュタイン」

 

 アイズの瞳に火が灯る。

 

「……全部、受ける」

 

 風が唸る。

 

 再び踏み込む。

 

 今度はさらに速い。

 

 だが蒼はさらに深い。

 

 最小動作で懐に入り、拳を叩き込む。

 

 ――衝撃。

 

 吹き飛ぶ。

 

 立ち上がる。

 

 また衝撃。

 

 また立つ。

 

 何度でも。

 

 そのたびに、身体は軽くなる。

 

 可動域が広がる。

 

 無駄が削ぎ落ちる。

 

 やがて。

 

 アイズの一閃が、初めて蒼の服を掠めた。

 

 ミネの口元が僅かに上がる。

 

「……いいですね」

 

 次の瞬間。

 

 拳が鳩尾に沈む。

 

 膝をつく。

 

 だが、笑っている。

 

 息は荒い。

 汗が流れる。

 

 それでも瞳は死んでいない。

 

「……もっと」

 

 呟く。

 

 蒼は頷く。

 

「では、限界まで」

 

 派閥の火種など、今は遠い。

 

 金と蒼。

 

 破壊と再生。

 

 その反復の中で、剣姫は確実に一段、深みに足を踏み入れていた。

 

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 ロキ・ファミリアの本拠、黄昏でレフィーヤはここ数日、悶々とした日々を過ごしていた。

 

 前回の遠征で姉のような幼馴染に再会したと思ったら以後、全く連絡を寄こさない。

 

 戦争遊戯でミネの所属ファミリアが判明した後も全く音沙汰がない。

 

(大切に思ってくれるなら顔くらい出してくれたっていいじゃないですか!)

 

「なんで……」

 

 再会した時は、あんなに嬉しかったのに。

 

 生きていた。

 ちゃんと、笑っていた。

 

 なのに、それから何もない。

 

 訪ねても来ない。

 手紙もない。

 言伝もない。

 

「私は……なんなんですか」

 

 ぎゅっと拳を握る。

 

 幼い頃はずっと一緒だった。

 

 泣き虫だった自分の前を、蒼い背中が歩いていた。

 転べば手を差し伸べてくれた。

 怖い魔物の話を聞けば、隣で眠ってくれた。

 

 それなのに。

 

 今、あの人の隣に居るのは――

 ベル・クラネルだ。

 

 胸の奥が、きゅっと軋む。

 

「……別に」

 

 自分に言い聞かせるように呟く。

 

 ベルが悪いわけじゃない。

 

 確かに水浴びを覗かれたが、それはベルが騙された結果だったし、きちんと話せば好感の持てる少年だった。

 

 真っ直ぐで、必死で、放っておけない性格だ。

 

 分かっている。

 

 それでも。

 

「なんで、私じゃないんですか……」

 

 ぽつりと零れた本音は、誰にも届かない。

 

 あぁ、何を考えてもネガティブな思考になってしまう。

 

 気分転換にシャワーでも浴びようかとレフィーヤは立ち上がった。

 

 このまま部屋にいても、同じことをぐるぐると考えてしまうだけだ。

 

 ――ベルの隣。

 ――蒼い背中。

 ――届かない距離。

 

「……もう、やだ」

 

 小さく呟き、浴室へ向かい、衣服を脱ぎ、熱い湯を浴びる。

 

 頭から流れる水音が、思考を一瞬だけ空白にしてくれる。

 

「はぁ……」

 

 深く息を吐く。

 

 目を閉じると、自然と思い出す。

 

 幼い日の記憶。

 

 手を引かれて歩いた森。

 転んだ自分に差し伸べられた手。

 夜、怖くて眠れなかった時、隣にいてくれた温もり。

 

 あの蒼い瞳は、いつだって自分を見ていた。

 

 ――今は?

 

 脳裏に浮かぶのは、白い髪の少年。

 

 ベル・クラネル。

 

 真っ直ぐで、不器用で、でも必死に前へ進もうとする姿。

 

 ミネが放っておけないのも分かる。

 

「分かるから、嫌なんです……」

 

 湯を止め、壁に額を預ける。

 

 嫉妬だと分かっている。

 

 子供じみていると分かっている。

 

 それでも。

 

「私だって、隣にいたいのに……」

 

 ぽつりと零れた本音は、湯気の中に溶けて消える。

 

 ――強くなりたい。

 

 その想いだけは、はっきりしていた。

 

 ミネの隣に立てるくらい。

 ベルの隣に並んでも、引けを取らないくらい。

 

 胸の奥で、何かが固まる。

 

 シャワーを終え、身体を拭き、髪をまとめる。

 

 鏡に映る自分と目が合う。

 

「……うじうじしてる顔、やめなさい」

 

 自分に言い聞かせる。

 

 感情に振り回されている暇なんてない。

 

 部屋へ戻る途中、玄関の方が何やら騒がしいのに気が付く。

 

 廊下を抜け、玄関ホールを覗いた瞬間――レフィーヤは足を止めた。

 

 玄関ホールの空気は、いつになく張り詰めていた。

 

 中央に立つのはアイズ・ヴァレンシュタイン。

 

 その正面に、腕を組んだ主神――

 ロキ。

 

 そして静かに状況を見つめる団長、

 フィン・ディムナ。

 

 そして蒼髪のエルフ、ミネ・シルヴァリエ。

 

「はぁぁぁぁぁぁあ!!!!?」

 

 玄関ホールに、場違いな絶叫が響き渡った。

 

 全員の視線が一斉に振り向く。

 

「な、な、ななななななな……!」

 

 指が震えながら、中央を指す。

 

「なんでここにいるんですかぁぁぁぁ!!?」




ダンまちクロス以外にもブルアカキャラが輝く作品って結構考えてるんですよね。

エンジェリック・レイヤーinユズ
ネギまinアリス
なのはinアリス
インフィニット・ストラトスinアリス

…いや、アリス多いな。
というかアリスの汎用性が高すぎる。

このSSが完結したら

  • アリス編を書け
  • 過去編を書け
  • フレイヤ様に拾われたミネ編を書け
  • イズナ編を書け
  • ツルギ編を書け
  • いつまでかかっても良いから全部書け
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