漫画世界に転生した巫女はカラーページが欲しい。   作:サイリウム

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34:師匠

 

「ふふふ。……あぁ大自然と言うものはいいですねぇ。」

 

 

つい噛みしめる様に、そう零してしまう。

 

本当に久方ぶりに見る“青々とした緑”たち。木々の隙間から流れ落ちてくる日の光や、私達を支えてくれる眼下に広がった土の包み込むような温かい色。この世界が作られたものだということは理解しているが、大自然の美しさに圧倒されてしまいそうになる。

 

単に色が消えただけでこうも変わるなんて、昔の私に言っても信じてもらえそうにないよね。本当に。

 

普段は気に成らない小動物たちのさざめきや、小鳥たちの鳴き声も何だか尊いもののように感じられてしまうこの瞬間。いつもは白と黒の集合体でしかないすべてが、まるで虹のように輝いて見える。

 

あぁ本当に、素晴らしい。

 

 

 

(カラーページ、最高ォ~~~~~!!!!!)

 

 

 

はい、何と今日はカラーページ。おそらく巻頭カラーを頂いちゃった日です。

 

ほんの数時間前に2人、樹里ちゃんとみかんちゃんへの説明を終えた私達は、神社の裏山までやってきていました。何をしに来たのかと言うと、勿論修行。お二人がこちらにやってきた本来の目的を果たす為です。

 

まぁ言い方が悪かったのか、最初すごく警戒されちゃいましたけど……。今は無事に修行始められてますし、問題はありませんね! いやはや、ほんとすぐに頷いてくれて良かったです! 説明を終えた瞬間に『2巻分の加筆修正』を喰らっちゃいましたからね。急がないといけなかったんですよ。何せ前回、1巻の加筆修正の記憶が流れ込んだ次の瞬間にカラーが始まっていましたからね。

 

この前はしっかりと見ることが出来ませんでしたし……、同じ過ちは犯さない、ってやつです!

 

 

(まぁ急に記憶が流れ込んで来たせいで顔を顰めてしまい、それにビビったお二人が壊れたおもちゃのようにコクコク頷き始めたように見えましたが……。まぁいいでしょう。)

 

 

だってまぁ、扱くのは最初から決まってましたもの。

 

 

「ひ、ひぃぃぃいいいいい!!!!!」

 

「死ぬ! さくらっち、死ぬ! 死ぬってッ!!!!!」

 

「死ぬ前に回復してあげるのでがんばってくださーい。」

 

「絶対私達早まったってこれぇぇぇ!!!!!」

 

「誰か助けてぇぇぇ!!!!!!!」

 

 

森の中に響く、みかんちゃんの罵声と樹里ちゃんの悲鳴。失礼ですよねぇ、すっごく簡単にしてあげてるのに。

 

現在お二人に課している修行は、とってもシンプル。私の用意した紙人形の式神と一緒においかっけっこをするというものです。こちらが鬼役をやらせて頂き、お二人がこの森の中を逃げ回る。言葉にすればただのお遊びのように見えますが、これが結構有用でしてね?

 

今回ご用意した式神ですが、“一定の速度で追い続ける”と“密着した後自爆する”という機能を付けています。つまり追いつかれたらドカーンという奴です。まぁ速度も『お二人が十全に霊力による身体強化』を行使できれば十二分に逃げ延びれる速度ですし、爆発の威力も“ちょっと”火傷するだけ。恐怖をあおるため見た目だけ派手にしてますが、私から見ればもう可愛すぎて欠伸が出るレベルです。

 

 

(婆ちゃんが私に同じことさせようとしたらもっとヤバくなるだろうし。)

 

 

あるとしたら……。霊力操作がミクロ単位でもブレたら即死級の爆弾を全身に付けられた後、普通に音速を超えた式神を万単位で放出してそこからずっと祝詞唱えて神楽踊り続けながら逃げ惑うとか? 確実に反撃禁止は言い渡されるだろうし、これでもまだちょっとぬるいくらい。

 

勿論そんなこと二人に要求したら即座にあの世行きなんで、大分薄めて楽ちんにしてあげたのがコレってわけ。

 

ま、一言で纏めると『式神から必死に逃げれば逃げるほど、拙い霊力操作の技術が向上し、基礎スペックの向上につながる』って感じの修行ですね~。

 

 

「死ぬッ! 死んじゃうッ!」

 

「大げさですねぇ。人って思ったより頑丈なんですよ?」

 

「さっきそこの木消し飛んでたじゃんッ! あたったら死ぬ奴じゃんかぁぁぁ!!!!!」

 

 

あぁこの木ですか? 確かに結構な太さのある頑丈そうな木ではあるのですが……。実はコレ式神化してまして、こちらで自由に姿かたちを変えられるようにしている木なんです。やっぱ怖くないと必死にやらないだろうと思いまして、ビビらせるために式神の自爆実演をこちらでやってみたんですよね。

 

ホントは軽いやけど程度で済むんですが、爆発の規模だけは大きくしてるのでお二人からすれば一瞬で大木を消し飛ばす超強力な式神に見えているのでしょう。

 

 

「そもそも大げさではありませんか、みかんさん。お二人の内容はかなり易しくしているのですよ? だって私なんか初手でメガトン級換算の爆弾みたいなの首に括りつけられましたし。いやぁ、アレは痛かったですよねぇ。」

 

「人間じゃないぃぃぃ!!!!!」

 

「……叫ぶくらい元気が有り余っている様ですし、一回爆散しておきますか。式神もう一枚追加でーす!」

 

「ぼ、墓穴ほったぁぁあぁあああ!!!!!!!」

 

 

うんうん、みかんさんは反応が大きくて弄りがいがありますねぇ。真面目に逃げ続けてる樹里ちゃんとはえらい違いです。

 

……あ、ちなみにメガトン級云々はガチですね。最近は実戦形式の修行が増えて来たのですが、婆ちゃんの通常攻撃としてそういう式神は数百単位で飛んできます。まぁ妖怪、その上の大妖怪相手にするならそれぐらい防げないとやってけないので文句はないのですが、もうちょっと手加減はしてほしいですよねぇ。

 

ま、そんな婆ちゃんに比べたら私って凄い人道的な師匠ですからね。感謝しておいた方がいいですよ!

 

 

(……む、色が消えて来ましたね。まぁ今回は長めに持った方なのでしょうが……。やっぱり名残惜しいなぁ。)

 

「あぎゃぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「っと。はいワンアウト~。回復してあげますから立ち止まらず逃げ続けてくださいね~?」

 

「ッ! 鬼! 悪魔! さくらッ!!!」

 

「全部実在しますし、いずれぶつかるかもしれませんから修行がんばりましょうね~。」

 

 

徐々に消えゆき白黒へと戻っていく世界を惜しみながら、表情には出さずお二人の修行を進めていきます。

 

樹里ちゃんの方は文句言ってもしょうがないという風にちょっとずつ霊力操作のスキル上げをしているようですし、みかんちゃんの方も文句はいうものの腐らず頑張ってくれています。ある程度経験を積みながら、適宜こちらで修正と技術提供を行っていく。この世界の神である作者がどこまでの強さをお二人に求めているのかは解りませんが、当分はこんな感じでいいでしょう。

 

 

(ですがそろそろ次、今後のことも細かく決め始めた方が良さそうですよね。)

 

 

先程のカラーページ。時間的に巻頭カラー4pほどだと推測できるので、現時点で編集部からの評価はそこまで悪くないはず。つまり『人気ないから3巻で打ち切りね』のルートは避けられたはずです。しかしながらここで胡坐をかけばすぐに人気が落ちて打ち切りエンドが見えてくるのは必定。絶えず面白さを追求しなければならないでしょう。

 

つまり直近で起こすべきは『弓鳥』とのリベンジマッチであり、そこから怪異五人衆とのバトルをより魅力的にぶち込まなければ。

 

 

(……となると、私という強者が邪魔になりますね。黒幕っぽい動きをしているとはいえ、この町の守護者であり二人の師であることは読者様も知るところ。……適当に理由を付けて外出でもしましょうかね?)

 

 

私が不在の時に弓鳥が出現。そのまま二人とリベンジマッチ……。

 

うん、まぁありきたりですが外さない王道展開という感じでいけるでしょう。さっき流れ込んできた2巻収録部分の“新しい記憶”も大分整って来てますし、“絵”で見せるというのも今の作者なら出来るはず。ふふふ、毎秒回復術式を大量に送り込んだかいがありますね。これからも永遠に送り続けるので、永遠に漫画書き続けてくださいね? 無論、“綺麗”に。

 

 

「ぐッ!」

 

「あら、樹里さんもアウトですか。既にご理解為さっているかもしれませんが、無意識のうちに霊力操作が出来ないと実戦では通用しませんからね? 絶えず血管に霊力を乗せて全身を走らせることをイメージしましょう。あ、みかんさんもですよ~。」

 





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