TS転生ラルトス♀はサーナイトになりたくない!   作:如月SQ

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本編ストーリークライマックス……!
盛り上が……りはしませんね、はい。
それでも、面白いと思えるような展開に出来たらいいなと思います。


除け者にされてもオリ主はくじけない

 サーナイトの膝枕という最高の御褒美を味わいながらのお昼寝(3時間)を終えた私達は、三度、シンオウ神殿を訪れた。

 そこで私達を待っていたのは……。

 

「…………」

 

「ウ、ウォロさん……!?」

 

「サナッ!?」

 

 土下座をしているウォロさんだった。

 

「どうかジブンの話を、何も言わずに聞いていただきたい」

 

 そう語るウォロさんの声色は真剣で、続けて口にする筈だった、立ってください、の言葉は飲み込んでしまった。

 呆気に取られている私達の沈黙を肯定と受け取ったのか、ウォロさんは膝を立たせながらゆっくりと立ち上がると、真剣な表情のまま私達を真っ直ぐ見据えた。

 

「ジブンは……いえ、ワタクシは、ショウさん! 貴女に勝負を挑ませて貰う!」

 

 ビシリ、と私に指をさして宣言するウォロさんに、サーナイトが一足先に気を取り直して、遮るように立ちはだかった。

 あっ……格好良い……自然とこういう事してくるから油断ならないよねぇ……。

 サーナイトに一瞬だけ見とれた後に一拍遅れて、私も気を取り直す。

 ウォロさん、土下座していた事といい、いきなり勝負だとか……一体何事!?

 

「……順を追って説明しましょう。ですので、そちらのサーナイト……けしかけないようにして頂けます?」

 

 ウォロさんは真っ直ぐ真剣に……けれど額に冷や汗を滲ませていた。

 敵対宣言……みたいなものの次の瞬間から、サーナイトの雰囲気が剣呑とした物に瞬時に切り替わった事を感じているのだと思う。

 私は仕方なく……そう仕方なく!

 今すぐにでもやれます、と言いたげなサーナイトの手を握った。

 

 ……うん、すべすべぷにぷに。かわいい。

 このままサーナイトが警戒し続けてたら話が進まなそうだし、仕方ないよね。

 

「サナ……」

 

「大丈夫だよ、サーナイト」

 

 困ったように此方を振り返るサーナイトにそう答えて、ウォロさんに視線を戻した。

 どうぞ、という意味を込めて頷けば、ウォロさんは安心したように一つ息を吐いた。

 

「そうですね……では初めから説明致しましょう。ワタクシの目的……そして、貴女を巻き込んだ今回の計画の全てを!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウォロさんが語った内容は、正直信じがたいものだった。

 シンオウの伝説の一匹、唯一創造神に刃向かったポケモン、別世界に追放されたと言われるギラティナ、そのポケモンの力を使って時空の裂け目を作り出し、時と空間を狂わせ、創造神を呼び込もうとした、らしい。

 しかし顕現したのは荒ぶったディアルガとパルキアだけ……仕方なく次善策として選ばれたのが、時空の裂け目から落ちてきた私だった、と。

 私に友好的な態度をとり、それとなく行動を誘導し、創造神降臨の為に必要なプレートを集めさせた……。

 そこまでは計画通りだったと、ウォロさんは一度言葉を切った。

 

「……そうして最後に、ショウさん、貴女からプレートを勝ち取れば、ワタクシは創造神に……アルセウスに会う事が出来る! そこまでがワタクシが立てた計画の全てです」

 

 私は話を聞きながら、サーナイトの手を強く、強く握り締めていた。

 話の内容を理解しながらも、何処か夢見心地で。

 ああそっかという諦めと、失望……。

 全ての黒幕がウォロさんだと知って、驚いたし悲しかったけれど、どちらかというと脱力感が強かった。

 結局は、これかと。

 なんだか、心底、頑張ってきたのがバカらしいなぁって。

 自分がほどけて消えてしまいそうだった。

 

 握り返してくれるサーナイトの手の感触と温もりだけが、私を私でいさせてくれる気がした。

 

「……じゃあ、なんでこういう形にしたんですか? 私からプレートを奪うなら今まで何度でもチャンスはあったでしょうし、そうやって正々堂々挑む理由もわかりません」

 

 淡々と、ふと気になった事だけ問い掛けてみれば、ウォロさんは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

 そうして語った内容は、簡単に言えば……「サーナイトに勝てる気がしない」というものだった。

 ……なんて説得力のある話なんだ。

 

「ですが目的の達成を目の前にして諦めるというのも、ワタクシ選べませんでした。ですので……商人らしく貴女と取引をしたい!」

 

「取引……?」

 

 首を傾げる私に、ウォロさんは小さく頷いた。

 

「まず、ワタクシはこの先もショウさんを元の時代に戻す為に協力します。これは勝敗に関係なく、貴女が勝負を受けた時点でお約束させていただきます。ワタクシが勝てばプレートは全て頂きますが、それ以外は何一つ貴女から奪いません。負けた時は貴女が望むものをなんでも、可能な限り果たしてあげましょう」

 

 ……なんだろう、すごい違和感がある。

 かなり悪辣な、他者がどうなろうと知ったことかと言わんばかりの、とんでもない計画をたてて、自分の身勝手な欲を満たそうとしていた人とは思えない……相当下手に出てて、いっそ怖いくらいだった。

 

「……なんでも?」

 

「二言はありません! ですが条件を一つだけ、設けさせていただきたい!」

 

 そこでウォロさんは一度言葉を切って、私……ではなくサーナイトへと顔を向けた。

 

「そちらのポケモンサーナイトを、勝負に使わないでいただきたい……!」

 

 それは、心の底からの懇願のように思えた。

 いつものようにピンと立てた指は震えているし、額には冷や汗が滲んでいた。

 そして同時に、すとんと腑に落ちた。

 ウォロさんの、その態度に納得がいった。

 今も、私が手を握っていなければウォロさんに殴りかかっていそうなサーナイトが、私には感じられないけど恐らく本気の殺意を向けているサーナイトが、ウォロさんは怖くて仕方ないんだ。

 だからウォロさんはプライドを捨てて、みっともなく土下座もして、それでも諦めたくなくて……最後の勝負に挑もうとしているのだろう。

 

「……わかりました。良いですよ」

 

 なら、それはそれで良い。

 むしろ、サーナイトが認められているみたいで、なんだか誇らしかった。

 ウォロさんの態度には納得がいく。

 サーナイトになってから、その力は加速度的に高まっているのを感じるし、伝説のポケモンを歯牙にもかけない戦いぶりは、客観的に見ればそりゃあ異常だし、まともに相手なんかしたくないだろう。

 納得してしまったから……私はウォロさんの言葉に頷いていた。

 

「サナッ!?」

 

 何を言ってるの!?と驚いた顔で振り返るサーナイトへと、手をにぎにぎしながら笑みを返した。

 

「大丈夫、ちょっとポケモンバトルをするだけ。それに、皆強くなったし、私だって強くなったんだよ? サーナイトがいなくても余裕だよ!」

 

「サナ……」

 

 じっ、とサーナイトの片方しかない瞳を見つめて、笑みを浮かべた。

 大丈夫だと、私だって、私達だってやれるんだと言い張って。

 サーナイトにばかり頼っているのも……あまり良くないもんね。

 むしろ、ここで皆と一緒に証明してみせる。

 ここらでいっちょ、サーナイトの相棒として相応しいってところを、ね。

 

 そしてあわよくば……。

 

「……ふぅ、それはありがたい。改めて申し上げましょう、約束を反古にする気は毛頭ありません。そうしたらワタクシがそちらのポケモンに何をされるかわかったものじゃない……」

 

 額の冷や汗を拭いながら、ウォロさんはそこで初めて真剣な表情を崩し、ニヤリと、厭らしく笑った。

 

「なので、安心して負けてくださいな」

 

 ……ああ、うん。

 なんというか、そっか。

 それがウォロさんの素かな?

 

「ふぅ……そちらこそ、計画達成目前で、私みたいな小娘に阻まれても泣いたりしないでくださいよ? いい歳した大人がみっともないですから」

 

 全ての黒幕、ってのが納得出来ちゃうな。

 全部、納得出来た。

 ウォロさんの悪巧みも、それに連なる私への献身も、妙に下手に出る態度も、サーナイトを怖がる心情も……。

 

 そして私を、私達を()()()()って事が……!

 

 ピキリ、ウォロさんの額に青筋が浮かぶ。

 

「い、意外と言いますねショウさん……ならばもう、これ以上言葉は不要!」

 

「…………サナ」

 

「サーナイトは審判をお願い。大丈夫、私達は負けないよ! 安心して見てて!」

 

 サーナイトは最後に小さくため息をついて、私の手をギュッと握ってから……。

 

チュッ

 

 頬にキスを落として、渋々、離れていった。

 背後から見えた、照れて赤く染まった頬が愛おしかった。

 

「よっしゃぁ! ぶっとばしたりますよウォロさん! 覚悟してください!」

 

 内心の昂りを昇華させるように、声をあげ、ボールを構えた。

 ボールの中にいる子も、やる気を示すかのように既に紫電を撒き散らしていた。

 応じるようにボールを構えたウォロさんが、少しひいたような気がしたけど……気のせい気のせい!

 

「行け、レントラー! お願い!」

 

「ガォオオオオオオオオオオオオン!」

 

「い、行きなさいミカルゲ!」

 

おんみょ~ん……

 

 ウォロさんが繰り出してきたのは、石から飛び出してるような不定形のポケモン……あまり見覚えのない珍しいポケモンだけども、確か見たまんまゴーストタイプの筈。

 タイプの有利不利はそこまでない……レントラーなら、何の問題もない!

 

 そしてバトルが始まる……前に、一つだけ、確認しておきたかった。

 ウォロさんへと、一つだけ。

 

「……ウォロさん。私への親切は、献身は、全部計画の為だったんですか……?」

 

 私の言葉にウォロさんは僅かに驚いたように目を見開いて、僅かに目を伏せた。

 そしてそのまま自分の服を掴んだと思えば、その服を、イチョウ商会の服を一息に脱ぎ捨ててしまった。

 そこから現れたのは白を基調とした、何処か神聖さを感じる衣服だった。

 

「当然! 全てはワタクシがアルセウスに会う為の手段! その為ならばどのような事でも致しましょう! 何も知らぬ小娘の全てを利用し尽くす事でさえ!」

 

 更に続けられる言葉に、私は完全に意識が切り替わった事を感じた。

 真意はわからない、私は所詮小娘だから。

 でも取り敢えず、これだけはわかる。

 

「ワタクシが勝った暁にはディアルガとパルキア、ついでにそちらのサーナイトも借り受けるとしましょう! アルセウスに会う時に戦力は多いに越したことはありませんからね!」

 

「はぁ?」

 

 こいつは敵。

 だからぶっ飛ばす。

 それと……。

 

「レントラー……全員ぶっ飛ばすよ!」

 

「がう!」

 

 サーナイトに色目を使うのは許さない。

 

力業!

 

()()()()()()()()()!」

 

「ガァアアアアウ!」

 

 眩しいくらいに可視化した電気を帯びたレントラーが、ミカルゲへと目にもとまらぬ速さで突進していった。

 

「ミ――」

 

「お――」

 

ズドンッ!

 

バリバリバリバリ!

 

 轟音、飛び散る稲光、そして、倒れ伏すミカルゲに呆然とした様子のウォロさん。

 そんな彼にニヤリ、とした笑みを返してやれば、彼は悔しそうに次のボールを手に取った。

 

「ふん……いい気にならない事です。さあ、行きなさい、ガブリアス!」

 

 何を出されても負ける気がしない。

 その全てを、ぶち抜いてやる!

 私達の力で!

 

「まだまだいけるよね、レントラー! お願い!」

 

「ガァアアアウ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはそれとして、その髪型何なんですかウォロさん!?

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