自暴自棄のギルドマスターは今日も辞められない ~欠陥魔道具に愛されし無能が、なぜか偉大な英傑と勘違いされる件~   作:gp真白

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第三話:在庫書類焼却作戦と、予言の紙吹雪

 

1. 最後の切り札:ギルドの機能停止

カイトは、前回の「ストップマジック」が「究極の育成装置」と化してしまったことに、深い絶望を感じていた。

 

「もういい。個別の依頼や魔道具がダメなら、ギルドそのものの機能を停止させてやる」

 

カイトが目をつけたのは、膨大な量の**「備品・魔石・食糧などの在庫発注書類」だった。これらの書類がなければ、ギルドは物資の供給が止まり、活動できなくなる。これはギルドマスターの職務怠慢**による大失態だ。 

 

「よし、これで発注が滞り、在庫はゼロ。冒険者からの信頼は地に落ちる。俺は**『ギルド運営を破綻させた戦犯』**として、世間から罵倒され、辞職できる!」

 

カイトは深夜、誰もいないギルドマスター室の隣にある倉庫に忍び込んだ。山積みの発注書類を抱え、彼は自作の**「書類消滅装置」**を取り出した。

 

2. 書類消滅装置(欠陥品)の誤作動

カイトが作成した**『書類消滅装置・ペーパーイレイザー』は、書類を微細な粒子に分解し、そのまま燃やして証拠を完全に隠滅するための装置。だが、この装置の「分解と燃焼」**を司る魔力回路は、過去一不安定だった。

カイトは書類を装置に投入し、レバーを叩いた。

 

「これで終わりだ! さらばだ、ギルドマスター!」

 

 

カチッ!

 

ボゥッ!――盛大な音と共に、分解用の魔力が暴走した。燃焼回路は完全にショートし、**「書類を燃やす」という機能は消失。代わりに、「分解された書類の粒子」に「分解のために注ぎ込まれた大量の魔力」**が凝縮されるという、予期せぬ欠陥作用が発動した。

 

書類は灰にならず、極めて微細な**『魔力を帯びた紙吹雪』**となった。

 

「な、燃えない? クソッ、また失敗か!」

 

カイトが焦っていると、暴走した装置から、その**『魔力を帯びた紙吹雪』**がまるで竜巻のように噴き出した。

 

 

3. 奇跡のワープと「予言の棚」

紙吹雪はカイトの意図に反し、窓やドアをすり抜け、ギルド本部の事務室へと移動した。

「ワープ!? しかも、なんで事務室に!?」

紙吹雪はそのまま、ギルド職員たちが使用する**「依頼達成後の報告書を保管する棚」の引き出しに、綺麗にワープして収まってしまった**。その引き出しは、カイトが過去に**「面倒だから」という理由で、「報告書を読まずにここに放り込んでおけ」と作った、いわば「未読の知恵のゴミ箱」**だった。

翌朝。出勤したエリシアは、引き出しから**「金色の光を放つ微細な紙吹雪」**があふれているのを発見した。 

 

「これは……! マスター! 何ですか、この美しい光は!」

カイトは血の気が引くのを感じながら、曖昧にごまかそうとした。

「あ、ああ……それは、その……」

バルドが引き出しに手を突っ込み、紙吹雪を掴み上げた。

「なんと清々しい魔力だ! 書類が結晶化している!」

 

4. 依頼を成功に導く「神の知恵」

その紙吹雪を掴んだバルドの脳裏に、強烈なヴィジョンが流れ込んできた。それは、**「過去の発注書類」に記載されていた情報と、「報告書を保管する棚」の魔力が融合した、『特殊な知恵』**だった。

 

「わかったぞ……! 『地下迷宮・アークの瞳』の依頼! 深層の落とし穴の先に、『特定の素材(発注書類に記載されていたもの)でできた、偽装の壁』がある! そして、この素材は『あの魔物の攻撃(過去の報告書の内容)でしか崩せない』!」 

 

バルドは戦慄した。この紙吹雪を握ると、過去の未読の知恵と未来のダンジョン情報が結びつき、依頼の最適なルートと攻略法が一瞬で理解できるのだ。

 

「マスター……! あなたは、『全ての書類を、最も効率的な魔力保存形式に変換』し、それを『必要な時に必要な知恵を引き出せる予言の棚**』**にワープさせたのですね!」

 

エリシアも興奮して叫んだ。

 

「発注書類の管理は煩雑でした。しかし、これなら書類を『紙吹雪』として圧縮し、依頼を成功させるという本来の目的だけを抽出できる!まさに究極の業務効率化です!」

 

 

結果:

• ペーパーイレイザー:「事務作業をゼロにし、依頼成功率を極限まで高める予言の紙吹雪メーカー**」**として、ギルドの至宝となる。

• カイト:**「書類という概念すら超越した、ギルド運営の神」**として、さらに崇拝される。

彼の意図した**「ギルドの機能停止」とは真逆に、ギルドは「書類ゼロで依頼が100%成功する超効率ギルド」**へと変貌した。

カイトは、自分の手元にほんの少し残った紙吹雪を握りしめ、魂が抜けたような顔をした。

 

「……なんで、俺が辞めようとすると、世界が進化するんだ……」

自暴自棄のギルドマスターの、終わりの見えない「辞職」への戦いは、今日もギルドの成功と共に継続するのだった。

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