ありふれた烙印で異世界再燃   作:黒霧 氷

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どうか、あなたの物語が見つかりますよう……に……?


※本編とかけ離れてるくらいギャグみたいな空間です。キャラ崩壊もします。
ご容赦ください。また、Library of ruinaのネタバレを含みます。





幕間 親バカと新たなファン

 

 

純白の空間に、二人の存在がいた。

一人は初老の皺のある顔からは思えないくらい、穏やかな表情を浮かべるツヴァイヘンダーを背負った紳士のような男。

『サルヴァドール』。

もう一人は背中にチェロでも仕込んでそうなケースに、両腕が義体で出来た冷たそうな女性。

『ユナ』。

彼彼女には役目があった、そして楽しみもあった。

それは、自分達が手塩に掛けて育ててきたフィリップの応援である。

彼彼女達は、本から解放された後にお互いその後のフィクサー業で命を落としてしまった。しかし、何故かこの空間にいた。

理由はともかく、二人は特に何かの苦労をすることなく観たい世界の観測ができる。

そんな中、二人の一番の楽しみは……自分達とは違い転生して『地球』という星に降り立ち、更にそこから『トータス』という世界に転移してしまった相馬アキラことフィリップの成長を見届ける事だった。

 

 

「フィリップも、動きが良くなったな。あれからずっと努力を繰り返している」

 

 

そう言いながら、私事の様に嬉しそうに喜ぶサルヴァドール。

何よりサルヴァドールは、この謎の世界から一度だけ抜け出して彼に会いに行ったことがある。死にかけの彼に自分の剣技を託して連れ戻されるという結果にはなったが、サルヴァドールとしては『自分が教えた剣で強くなり続けるフィリップ』の姿がとても、我が息子のように思っていた。

つまり親バカ。

 

 

「けど、やっぱり甘いって。サルヴァドールとイメージで戦ってるみたいだけどそこのボケてきたおじいさんに手を差し伸べちゃうくらいには甘さは抜け切れてないし」

 

 

そんなサルヴァドールとは違って、ユナはかなり冷たい言い方でフィリップの甘さを指摘する。

サルヴァドールは「しかしなぁ」と口答えする。サルヴァドールの言い分は分かる、ユナの厳しい指摘も理にかなっている。

しかし、お互い譲らない。

フィリップの事は二人もよく思っている。本人達はフィリップが所属してきた最初こそ、出来損ないのフィクサーですぐに辞めるだろうと思っていた。

しかし彼のあまりもの諦めの悪さや懸命に努力し続ける姿にはゆっくりと心が解されていた。

ユナはともかく、サルヴァドールは愛弟子を見つけたようにフィリップを褒める。特に彼が淹れる紅茶に関しては忖度なしに褒める。

何よりも実際に美味しいのが、サルヴァドールの喜びを格上げする。

フィクサーの審査に紅茶の審査があればフィリップは間違いなく1級、今は『特色』の色を与えられていてもおかしくはないと豪語するほど。

 

 

「それに、私の幻覚に騙されるのも本当に弱いです。何ですかあれは、私と一ミリも似てないんだけど」

 

 

いらいらしながら、フィリップが苛まれたあのプルートが魔法で出した分身について文句を散らすユナ。

実際あの幻影は本人の性格を考慮していない。それはもちろん幻覚であるのだから考慮出来るわけが無いし戦術ではあるのだが……ユナはそういう事が言いたいのではなく。

 

 

「しかも私が好きならアイツに協力しろって、私あんな事言いますか?いや、言わない。フィリップもそもそも少し乗り気になっている所がイラッときますよ」

「ユナ君……流石に言い過ぎでは」

「なんですか、老いぼれの指図なんて受けたくないんですか」

「いやぁそう言っている訳ではなくてね……」

 

 

そう、案外フィリップを気に入っていたユナはあの幻影の自分らしさのなさとフィリップがそれに騙されそうになっている様子に看過できなくなり、普通にこの世界を抜け出した。

そして激励が如く言葉を残して連れ戻されたが、本人は満足していた。

何よりも言いたいことは言えたユナにとって正直フィリップに関しては大丈夫かな……と思っていたが今回ので心配が増えてしまい、結局見守る事にした。多分また抜け出す。

 

 

「にしても、なんでトータスに残響楽団がいるんでしょうかね」

「それは私にも分からないが、エヒトとやらの思惑がただの遊戯目的なら相当なタチの悪さと……まるで子供の様なやり口に反吐が出るよ。

それに……あのカルメンという女にはいつか私の夜明の剣をぶち込むつもりだがね」ニコ……

「ああ、あの女……何か言っていたようですから邪魔しましたよ」

 

 

そして、お互いはその情報を取り合って握手した。何かの同盟が結成された気がする。

それはともかく、二人はフィリップの事を応援している。その気持ちは本当であり、そしてこれからも変わらない。

そんなこの場所に、一人のお客さんというより入居者がやってきた。

 

 

 

「失礼します」スッ

 

 

「!?君は!」

「『昨日の約束』……!?なんでここに」

 

 

二人は驚いて構えたが、「もう契約の力はありませんよ。軽い魔法なら使えますが危害は加えれません」と付け足して勝手に用意した椅子に座る。

二人は一旦、臨戦態勢を解いたが警戒は解かずに『昨日の約束』ことプルートに問い詰める。

 

 

「あんた、よくも私の幻影を使ってあんな事してくれたわね!」

「ああ、あの時介入したのはあなたでしたか……いやはや、難しいものですね」

「難しいどうこうより、なんで君がここに?」

「彼に脳を焼かれました」

 

 

その一言に、ブチギレていたユナとサルヴァドールがお互いに目を合わせる。その間にプルートはフィリップの姿を見つめながら思うことがあるように天を見上げる。

 

 

「まさか、彼に心動かされる日が来るとは」

 

 

プルートにとって、泣く子の頃のフィリップは特に彼のお眼鏡に適う人間ではなかった。

あまり喋ろうともせず、何かをする事があるのか分かる気もない彼に対して気にかけることは少ない。他のメンバーに気をかけていたターニャでさえ彼にはあまり話しかけなかった。

ターニャ曰く「一人にやりたい奴もいる」との事だが、そういう事なのだろうとプルートはその時は理解した。

そして、プルートが『エヒト』に魂を拾われ、彼に心酔していた時に出会ったフィリップと、過去のフィリップを思い浮かべる。

変わりすぎているというか、もうほぼ別人だった。

あの頃の暗い彼は何処へ行ったのやら、寧ろなんであんなに元気なの?????と疑問符を浮かべるくらいには相当な困惑を感じていた。顔には出さなかったが。

とにかく、勇気ある真っ直ぐな瞳とどんな状況でも絶望しかけても立ち上がる彼の姿には一種の恐怖を抱いた程には。

しかし、サルヴァドールから彼の強い意志と強い技を託しユナから羽ばたき、世界に飛び上がる事を教えてもらったフィリップの強さとその決意にプルートは完全に脳が燃えたぎる一撃(めちゃくちゃにされた。脳破壊とも言う)された。

こんな逸材が、ただの5級フィクサーであった事の驚きと相当な遅咲きの花である事を理解して。

 

 

「フィリップ君、私の魔法を使ってくれているようですね」

「は!?あんた、魔法渡したの!?」

「ええ、全部。契約書にサインさせましたから」

「あんた変な事書いてないよね?」

「さぁそれは、どうでしょう」

「お前ぇ!」

 

 

からかうように笑みを浮かべる(顔はねじれの時と変わらないので笑ってるのか真顔なのか分からないが)プルートと真意を知りたいユナがプルートの胸倉を掴んで揺さぶってくるが骨のコリコリとした音しか聞こえてこない。

 

 

「やめないか、ユナ。彼も一応とはいえ、同じ場所に所属していた仲間だ。思う所があっての行為だ、許してあげると思ったのかこのエセ骸骨」

「サルヴァドール……元1級の口調とは思えないですね」

「元1級?そんなものフィリップ君と比べたら遠い遠いものさ、彼はもう特級……いや、新しいランクを作れる程には強くなる。寧ろ君の目は節穴だったようだがね」

 

 

ピシッ……とプルートの付けるモノクルにヒビが入った気がしたが、そんな事はなくただ単にモノクルのレンズにヒビが入っただけだった。どっちも同じだろ。

 

 

「サルヴァドール、口を慎んだ方がいい。君と私では圧倒的な差がある」

「それはどうかね。今なら彼に託した剣術を君に味合わせる事が出来ると思うのだが」

「老いぼれの剣技を昇華させているのはフィリップであって、あなたではないでしょう。そういう所が実に老いぼれだ」

「………………やる気かね?」ゴゴゴゴゴ

「勝てるとお思いのようですね。その鼻っ先から追っても構いませんが……?」ゴゴゴゴゴ

 

 

お互いに背後から鷲と餓者髑髏が見えている事にユナはため息を付きながら画面を見直す。

 

 

「え」

「どうし……な、なにぃっ!?」

 

 

そしてプルートの余裕っぷりが証明されるかの如く、画面にはプルートが遺した分身体の『ファタール』がフィリップに手を差し伸ばして助けている様子が見えた。

プルートは「彼が上手く使ってくれているようで何よりですね」と大人の余裕(こいつ幼稚なのに大人というのはいささか変ではあるが)を醸しながら優雅に光景を眺めてきた。

 

 

「ぷ、プルート!何あの女!」

「あれは私が遺した分身体ですね。しかし容姿は自由に設定出来たハズですが、まさか女の子を作るとは……彼もまだまだ若いですね」フッ

「あんたねぇ!何てものを渡してるのよ!」ガッ

「何か問題でも?彼が何もしなければいいではないですが」

「そうだけど!そうだけどさ! 」

 

 

ユナにとって、フィリップが他の女の子に気にかけてることは少しイラッと……いや結構イラッとくる。

そりゃあユナからすれば、もしかしたらこの事務所をやめない理由ってもしかしてまだ私の事が好きで諦めきれないから?と思っていた。過去に告白された経緯を考えるともしかしたら……と死んだユナは思っていたがそれが結局分かることはなく都市で死してしまった。しかし、ここまで自分がフィリップの事を彷彿とするのは私がフィリップの事好きみたいじゃんと自分の好意には否定しがちである。

でも自分以外の女と関わってるとこれである。なんだお前。

 

 

「それに、彼女は今でさえ寡黙で彼好みではありませんが旅を続ければ感情や新たにフィリップの好きな所に気が付くでしょう、いずれは―――くく」

「こんのっいけ好かない骨野郎ねお前12区でバラバラにしてやろうか!?」

「ユナ君!ユナ君キャラ崩壊している!」

「うっせぇなぁこの弟子溺愛ジジイが!」

「酷くないか!?」

 

 

プルートは呆れながら、彼の旅路を見つめる。

彼に可能性と、世界を救うという大きな目的を見出した彼の目立てが間違いではないように。

そして……きっとまたここに新たな残響楽団の一員が増えるのだろうと薄々気付きながら、フィリップの背中を追うことにした。

 

 

「あ、フィリップ知らない男と仲良くしてる!」

「新しいお友達という奴か……遂にフィリップに友達が」ホロリ

 

 

「……ただの親バカだな」

 

 

プルートの一人の嘆きはバカ2人には聞こえなかった。

 

 

 

 







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フィリップ君のヒロイン、誰にするか?

  • 八重樫雫
  • 園部優花
  • その他原作組女子
  • 都市の女性組
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