ありふれた烙印で異世界再燃   作:黒霧 氷

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どうか、あなたの物語が見つかりますように。


※Library of ruinaのネタバレを含みます。ご容赦ください。



Ep.13 あなた方が必要なんですよ〜?

 

 

怒り心頭の虎人族を置いて、僕はスティグマを構えながら地面に降り立った。着地の衝撃が何も響かないくらいには人外じみてきた僕の体は恐らく相当な化け物だと思われてるだろう。

それに、『誓約』をずっと解除していないお陰か相手からは騎士姿でしか見えないだろう。

いきなり、上空からこんな騎士が落ちてきたら相手は相当警戒しているはず。

虎人族は実際、周りの男達も驚きを隠せていなかった。女性の兵士も見えた。やはり、こういう稀有な物を見るような視線は慣れていない。

 

 

「な、なんだ貴様は……!?」

 

「夜明事務所5級フィクサー、フィリップ。

お前らの馬鹿舌と阿呆耳を引っこ抜きに来た」チャキッ

 

「……!?」

 

 

虎人族に対して『威圧』を放ちながら、虎人族達に詰め寄る。

しかし相手は、まるで金縛りに打たれた様に全く動けない。

これは僕も経験がある、格上のフィクサーはその存在感だけで相手を動けなくさせる事も出来たから。他にも色んな技術を持っていたが、その中でも―――相手の感情をコントロールするやり方は8時のサーカス(オズワルド)を彷彿とさせた。

 

 

「っ……!」

「十数える間に決めた方がいいですよ―――生きるか、それとも無惨に命を散らすか。全滅したくないでしょう?馬鹿舌から更に馬鹿を晒すのは嫌でしょうし」

 

 

そう言って迫る僕に対して、相手は究極の選択を取る。そんな時だった。

 

 

 

「あ、あははははははははは!!!!!!」

 

 

 

後ろの方にいた虎人族が急に、おかしくなったように笑い始めた。

虎人族のリーダー格のような男は、振り向いて激怒の表情を浮かべている。

 

 

「お前ぇ!何を笑っている!」

「ま、待ってくださいっ、はははは!!!!体が、勝手に、()()()()()()()()、あはははははは!!!!!!」

 

 

 

高笑いを上げながら、虎人族の男は激しく笑いながら「ごぷぅ」と潰れた様な悲鳴を上げながら―――爆散した。

強ばっていた虎人族達の表情は、まるで恐怖に染まったように青くなり筋を立てながら武器を落としてしまいそうになる者、歯をガチガチと鳴らす者、今すぐにでも逃げ出しそうになる者がいた。

 

 

「どういう……事だ!?今のは僕の能力じゃないぞ!?」

「なん、だと!?貴様らではないのか!?」

「僕の能力にあんな悪趣味なのがあれば、あんたらが気付かないうちに始末する事だって出来ますからね」

「ぬぅ……っ、だとしたら、これは!これはなんだと言うのだっ!」

 

 

 

そして、まるで病原菌の様に感染が広まっていくような形で恐怖が伝播していく虎人族が―――次々に爆散していった。

 

 

 

         「あははははははっ!!!!助け、助けっ」

 

「ひぃはははははぁ!ま、待って、置いてかな」

 

   「ぎゃはははははは!!!!!嫌だっ死にたくな」

 

 

 

笑顔が人を良くする、というのだが、

今はそうではない。笑顔が人を殺す。まるでそう言わんばかりに笑い出したものが次々と爆散していく。

こんなやり口をやる方法は、間違いなく一人しかいなかった。

あのイカれた頭の馬鹿野郎―――!

 

 

 

『おやおや、皆さん勢揃いでしたかぁ〜!

お久しぶりですねぇ!フィリップさん!』

 

 

 

「オズワルドっっっ……!!!!!!」ギリィッ……!

 

 

 

 

宿敵、赤と白の道化師の仮面を被ったヌオーヴォ生地のスーツを着たピエロのねじれ―――オズワルドが僕達の前に現れた。

ハジメ君が異変に気が付いたのか、すぐに僕の隣に降りてくると共に無駄打ちはしないとドンナーの銃撃が響く。

しかし、オズワルドには一切銃弾が入らなかった。

 

 

『チッチッチッ、まだ公演の前の説明中ですよお客様〜?ですがっ、我々はそんな乱暴なお客様でも大歓迎〜!皆様を笑顔に出来るならオズワルドだった大出血サービスですよぉ〜!』バッ!

 

 

そう言って手を伸ばすと、まるで仕込まれていたかの様に爆死していった虎人族の死体が動き出し、体が生まれ変わる。

それはピアノのサーカス団の一員かの様に生まれ変わり、それぞれがサーベルや鉄球、ダイナマイトのような物を持っているものさえ。

オズワルドの手によって『サーカス団員』に変えられた虎人族達が、爆死していない虎人族達ににじりよってきた。

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 

『いい驚きの声ですねぇお客様〜!そういう声、待ってましたっ!

そんなお客様には笑顔とサーベルのジャグリングをプレゼントですよぉ〜!』

 

 

『……ギ、ギッ!』フォンッ!

 

 

「ギャ―――」

 

 

悲鳴を上げながら、大量に投げられたサーベルで頭をかち割られる虎人族の兵士。

そして更に、そこから恐怖が伝播しに行ったのか逃げ惑う虎人族達を取り囲むように道を阻んでいくサーカス団員。

どんどんと兵士が殺されていき、虎人族のリーダー格もすぐに青筋を立てて引き下がっていく。

オズワルドの弱点を見つける為に周囲のサーカス団員を蹴散らしながら、他のサーカス団員を探している時に一人の虎人族の女兵士を見つけた。

 

 

 

「っ、や、やめろ……!」

 

 

『……グ、ググ……』カラカラカラカラ

 

 

「く、来るなぁぁあ!」

 

 

 

「〝流炎剣〟」ザンッ!

 

 

 

一気に『縮地』で駆け出し、一瞬のうちに無十の連撃をスティグマとナハトを使って引き裂いた。

虎人族の女兵士は、へたりこんだように膝をついて震えていた。

表情からは、何やら自尊心が破壊され辱めを受けたように歯を食いしばっていた。

虎人族が人一倍プライドが高いことを認識しつつ、他のサーカス団員をハジメ君と僕が仕留めていく。

この惨状に対して、オズワルドはニコニコと笑みを崩さずに受け止めていた……余裕があるのか腸煮えたぎっているのかは知らないが。

 

 

『フィリップ君も強くなりましたねぇ、私っ、感激!』

 

「感激したのなら姿でも出してくればいいと思いますよ。どうせ幻覚でしょう」

 

『お見事ぉ〜!流石フィリップ君ですねぇ、私のタネを暴かれてしまうと困りますが、同じサーカス団員の仲間として演者の御業を見事に当てたあなたにはプレゼントを〜』

 

 

 

そう言って、僕の前に二人の幻影が飛び込んできた。

それは、サルヴァドールさんとユナさんの幻影だった。

 

 

 

『二人の素晴らしい再会に祝福を―――』

 

 

 

「〝火剣〟」ダァッ!

 

 

 

瞬間的に、ナハトから飛ばした炎の斬撃が二人を切り飛ばしながら『空力』と『天歩』で飛び上がり、無駄だと思っていてもオズワルドの体を無数の剣戟で引き裂いた。

何度も、何度も。同じ手に引っかかる僕ではなかった。

 

 

『お、っととぉ〜……お気に召しませんでしたかぁ〜、これは失敬!』

「死ね」

『おぉっと、怖いですねぇ』スゥッ……

 

 

しかしそれ以上の攻撃は当たらず、まるで透明になるように消えていくオズワルド。

 

 

『安心してください!まだまだショーは始まったばかりですよぉ、プルート君の演目は終了してしまいましたが私から君に送る演目はたぁくさんありますから〜!

さぁそれでは、皆さんご一緒に!さようなら!』

 

 

その瞬間、ハジメ君が戦っていたサーカス団員の体が一斉に膨らむと共に破裂し、赤色の紙吹雪が舞った。

―――逃がしてしまった、いやそもそもこちらに対して先制攻撃をしてきただけで姿すらも表さない。

しかし『その気になればお前達など簡単に始末することが出来る』という事をまじまじと見せられてしまった。

歯を噛み締めつつ、僕は唯一残った虎女兵士のリーダー格の人物がお互いの身を案じている最中に割り込んだ。

 

 

「大丈夫ですか?」

「……大丈夫に見えるか!?」

「見えませんね。ならいいんですよ、これで大丈夫だったとしたらオズワルドにしてやられたと思っていますから」

「オズワルド……お前は何なのだ!?あの男の知り合いなら、貴様の陰謀で我らが仲間がやられたんだぞ!どう責任を取ってくれる!」

 

 

そう言ってくれる虎の亜人のリーダー格に、僕は剣を突き付けた。

 

 

「言っときますが、命を助けて貰ってお礼も謝罪も何も無しじゃ相当頭がお花畑って判断して首を跳ねますけど」

「っ……」

「僕達があいつを知っているのは……これが理由ですよ」

 

 

そう言って見せたのは、〝解放者〟のオスカーさんが持っていた指輪をハジメ君が似せて作ったもの。そもそもこの指輪自体、オスカーの指輪を持っていないと作れないし、それがあるのが隠れ家だ。つまりこれを見つけられるのは残響楽団と解放者……こっちで言う反逆者と関わりがあるもののみ。

 

 

「そ、それは……」

「(分からないのか……?)これは、反逆者〝オスカー・オルクス〟がつけていた指輪です。そして反逆者は残響楽団という組織が追い込んだ……これでも分からないのならあなたのボスを呼んでもらいましょうか」

「っ…………すまないが、私も知らない。だから、私が長老を呼んでこよう……」

 

 

そう言って立ち上がるリーダー格を見つめながら、「ならそうしてください」と返す僕に対して特に何も言うことはなく、女兵士に対して「お前はここにいろ」と残して駆け出していった虎人族のリーダー格を見つめながら、僕は女兵士の方に向かって歩いていった。

 

 

「……なんだ」

 

 

女兵士の方は、未だにあの出来事が恐怖なのか両腕で自分の体を抱きしめながら震えていた。

しかし、僕を見つめる表情は嫌悪感さながら敵意を抱いていた。行動に対して態度が相当違う。

こいつもこいつでプライドが相当高い……と認識した。

 

 

「オズワルドは、ああいうやり口を好む」

「……何故あいつはお前を知っていた!お前達が反逆者と残響楽団の知り合いだからか!?」

「残響楽団の一人のメンバーは、僕が殺したからだ」

「な……っ……」

 

 

虎人族の女兵士は言葉を詰まらせた。

 

 

「あいつらから見れば僕は仇そのものだ。もしかしたら意図せず巻き込んでしまった事は、謝罪したい。

本当に申し訳なかった……」スッ

 

 

そう言って頭を下げるが、虎人族の女兵士は何も言わなかった。

僕は何も言わずにハジメ君の方に戻っていき、最終的に深いため息を付きながら改めてオズワルドに対して認識を改めながら待つ事になったのだった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

数十分が過ぎたのに、地面を踏み歩く音が聞こえた僕達は休憩していた体を持ち上げて臨戦態勢のまま音の方向へ向かった。

そこにいたのは、伝達に行かせた虎人族のリーダー格と知らない初老の……エルフというタイプの人間だった。

 

 

「ふむ、お前さんが問題の人間族達かね。名前は?」

「ハジメ。南雲ハジメです」

「相馬アキラです」

「ハジメとアキラか……私は、アルフレリック・ハイピストだ。フェアベルゲンの長老の座に付いている一人でな、話は聞かせてもらったが……色々と聞きたいことがあるのでな」

 

 

アルフレリックは改めて、周囲に散らばる赤色の紙吹雪や虎人族達が変化してしまったサーカス団員を見つめながら、目を瞑った後にこちらを見つめてきた。

 

 

「まず、僕達は『オルクス大迷宮』を攻略した人間です。まだ口外されていませんが、その実力は保証されてきます」

「オルクス大迷宮……あの解放者オスカーのか?」

「はい。そして僕達は……オスカーが遺した大迷宮を攻略した後にとある事を知りました。

それは、オスカーは決して神々に対する反逆者ではない事……そして真の敵が残響楽団とその後ろにいる神である事を」

「……オスカーの大迷宮を乗り越えた証を今君が首に下げている事で全てを理解しているが、それならば何故ここに?」

 

 

かなり懐疑的な顔をされたが、代わりにハジメ君が答えた。

 

 

「大樹ウーア・アルトの元へ行きたいんです」

「大樹に……何故?」

「そこに本当の大迷宮が存在する可能性があるからです」

「何を言う、七大迷宮はまさしくこのハルツィナ樹海そのものだ。亜人以外はこの場所を迷わずに進む事は出来ない、天然の迷宮だ」

「……それにしたって、魔物が弱すぎる気がしましたがね」

 

 

そう呟くハジメ君に対して、実際オズワルドという残響楽団の一員を突破したのも相まって一応アルフレリックは信じてくれた。だが、アルフレリックは「しかし」と言葉を含めてこう言った。

 

 

「君達の実力も分かった、大迷宮に挑む気持ちも本物らしい。しかし、君達をすぐにここから通したいとは思わない。一旦、フェアベルゲンに来た方が身の為だと思うよ」

「……何故ですか?」

「聞いていないのか?大樹の周囲は霧が濃くてな、我々亜人族を持ってしても周囲が見えず場所を把握できない。そこで君達がはぐれてしまえば元も子もないだろう。霧が晴れる日がある、それが十日程待たねばならんのだ。いくら強くても、ここにずっと居たいとは思わないだろう?」

 

 

そんな話聞いてないんですけど、的な目線をハジメ君がカムさんに当てると、堪忍したのかカムさんはそれを伝えるのを忘れていたと口ずさんでハウリア族は連帯責任でユエさんの〝嵐帝〟で吹き飛ばされていた。哀れなり……

しかしアルフレリックの言い分は確かだ。実際聞き出したい事も多いだろうし、僕達はアルフレリックの誘いに乗ることにした。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

そうして一時間、歩いて霧のトンネルを抜け……最終的に到着したフェアベルゲンの国は、相当な大きさだった。

いや、実際このハルツィナ樹海の中にこのような亜人の国を作るのは大変だ。簡単に出来るものではない。

しかしそこに国が、そこで生きている人がいるというのは大きな文明の一つを垣間見得させ、僕も感心して見惚れてしまった。

ここに一つの国があるというのは、非現実的だが『異世界』というものを改めて理解した。

しかし、そんな感激な光景も魔が差したように途切れさせられる。

フェアベルゲンの国の入口を抜け、街の中に入る寸前に熊や狐、他の亜人達が前を塞ぐ。

 

 

「アルフレリック、貴様どういう事だ!何故人間を招き入れたっ、後ろの兎人族、更に忌み子もだ!返答によっては長老会議にて貴様に処分を下すことになるぞ!」

 

 

そう言って怒号を撒き散らす熊人族の長老らは怒りを震わせながら、他の長老達と共に僕達を睨み付けてくる。

ハウリア族の人達は怯えている様子で僕達に視線を送るが、まぁこれに関しては言わせておけばいいと無視した。肝心のアルフレリックは何処吹く風の様に右から左へと流す形で答えた。

 

「何、口伝に従ったまで。お前達も理解しているだろう、長老の座に付いているのなら事情は理解しているはずだが?」

「そんなもの眉唾物だ!その口伝自体一度も遂行されなかったのではないか!」

「それが今、初めて遂行されたのだ。彼らと彼女らこそが資格者であるという事を理解できぬのか?」

「アルフレリックッ……!」ギリィッ……!

 

 

帝国が亜人族を奴隷にしているからか、きっと彼らも彼らなりの人間に対しての憎しみがある。

だがルールはルール、感情に振り回されてはルールなど必要ない。それを理解していないのか、熊の亜人は更にアルフレリックの隣にいる虎の亜人二名に向けて言い放った。

 

 

「貴様も、聞いたぞ……おめおめ『残響楽団』とやらに襲われ逃げ帰ってきたそうだなっ!」

「ジン!貴様、なんて物言いを……!」

「戯言が!ギル、そしてリチャード、貴様もだ!」

「っ……!」

「貴様らが『残響楽団』に兵士を呆気なくやられ、更に忌まわしき人間族に負けた事はゼルも許しておらん!」

 

 

悔しそうにギルという虎の亜人のリーダー格は歯噛みしながら、リチャードという虎人族の女兵士も同じくと言った形だった。

全く、言いたい放題だなぁと思いつつもグチグチと言ってくる長老達に対して傍観していると、まるで視界に入れられてない事も切れたのか熊の亜人族の長老が前に出てきた。

 

 

「貴様らが資格者だと言うのなら、この場で試してやろうっ!」

 

 

そうして僕に向かって駆け出していく熊の亜人を僕は一切瞬きせずに前に駆け出すと、まさか駆け出してくると思わなかったのが無理矢理移動中の最中に体を捻って蹴りを打ち込んでくる。しかし、『ディアモンド』の盾にぶつかった瞬間にその余裕の表情は苦悶の表情に変わり、痛そうに足をすぐに話した隙を逃さず思い切りディアモンドの盾の縁で腹に一撃を打ち込みながら更にハジメ君の方向に吹き飛ばすと、ハジメ君は何も言わずに発勁の構えで熊人族の腹に『豪力』が込められた一撃を打ち込む。そうして、他の長老達の方向に吹き飛んでいった熊の亜人の長老は動かなくなってしまった。

周囲がざわついたが、気絶しているだけだったのですぐに運ばれていった。

 

 

「いきなり手を出しておいて、まさか文句言ったりしませんよね?」

 

 

そうハジメ君が呟くと、苦虫を噛み潰したような表情でこちらを見つめてくる長老達は何も言わなくなってしまった。

しかし、アルフレリックの方は騒ぎに対してどう判断付けようかを考えていた。流石長老と言った形だった。

 

 

「すまない、ハジメ君とアキラ君。しかし長老達にもし万が一があった場合は……」

「……どうするんですか?」

「樹海までの案内は、難しくなるだろう」

「樹海の案内は、彼らにしてもらうから問題ないんですけど」

「しかし、君達は資格者なのだろう?ハウリア族を連れて資格者の場所に行くのは……」

 

 

ご最も過ぎる解答が聞こえてきて、ハウリア族の人々は悔しい表情を浮かべた。アルフレリックとしても、ハウリア族では資格者の大迷宮に近付く事自体が愚か……命を散らす行為だと感じているだろう。見下していると言うより、無謀な事に対しての戒めの様に心配してくれているのかもしれないが。

 

 

「大丈夫。僕はハウリア族の安全を迷宮に辿り着くまで守るって約束したんだから……守らないのは男として少しダサいかな」

 

 

ハジメ君のその発言に、シアさんはハジメ君を見つめながら胸に手を当てていた。

その様子を見ながら、ハジメ君も罪な男だなと感じていた時……

 

 

「貴様らっ!よくも、よくもジンをやってくれたな!」

 

 

槍を構えながら、僕達に敵意を当ててくる者が現れた。

それは先程の熊の亜人の仲間と思われる熊の亜人達だった。

 

 

「なんですか?」

「貴様達の攻撃で、ジンは二度と兵士としてやってはいけない体になったんだぞっ!どう責任を取るつもりだっ!」

「そのジンさんが攻めてきたんですよ?責められる筋合いがないですね」

 

 

ハジメ君は容赦なく、熊の亜人達の怒りを投げ捨てる様に発言に対して何も思わないのか謝りもしない。まぁ、至極真っ当な反論なので熊の亜人達は怒りを向けてくるが、この際にと他の長老達は「こんな危険因子の何処が『資格者』だっ」と長年の人間族への怒りをぶつけてくる。

 

 

「ハジメ君、アキラ君……こうなってしまっては、国としては何も出来ん。私個人もだが……彼らの怒りは収まるどころか国民を巻きこみかねない」

「まぁ、そうなると思っていましたよ」

「では、今後ハウリア族には一切関与しない……そして僕達の大樹に向かう事も止めないという事でいいんですね?」

「……その様にしておこう。君達に片腕を持っていかれてしまえば私も顔が立たないからな」フゥ

 

 

そして、アルフレリックにファタールの『契約』の説明を通す事で何とか契約してもらった。

やはりこういう時のファタールの契約の能力はすざましく、違反内容を聞いた時は「そんな天職があるのだな……」とアルフレリックも驚いていた。

そうして、契約も終わり「達者でな」と言葉を残して送ってくれるアルフレリックと虎の亜人達を見て去ろうとした時。

 

 

「待て!―――ギル、そしてリチャード」

 

 

今まで怒りを剥き出しにして僕達に睨みつけていた虎の長老こと、ゼルがギルとリチャードを止めに入った。

 

 

「ゼル、様……」

「ギル、『残響楽団』に負けた挙句おめおめと人間に助けられ逃げ帰ったとは何事だ!リチャード、貴様もだ!」

「ぜ、ゼル様……わ、私は!」

「くどい!貴様らの言い訳など聞いた事かっ!人間に助けられ、そして戦いで負ける我が種族など必要ない!

貴様らは国外追放だ!」

「な――っ!」

 

 

唐突に宣言された国外追放に対し、ギルやリチャードは何かを言いたそうにしていた。

特にリチャードは納得していないような様子で歯噛みしていたが、ゼルは忌まわしいように「今すぐ我らが前から失せろ」と言い残して背中を向けて元の場所へ戻っていく。

その背中を見つめながら、僕達はアルフレリック達に一礼して……虎の亜人のギルとリチャードと共にフェアベルゲンから追放されることになった。

 

 

 







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フィリップ君のヒロイン、誰にするか?

  • 八重樫雫
  • 園部優花
  • その他原作組女子
  • 都市の女性組
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