ありふれた烙印で異世界再燃   作:黒霧 氷

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どうか、あなたの物語が見つかりますように。




Ep.15 無駄な抵抗はよしなさぁ~い!

 

 

 

「ど、どうしてこうなった……!?」

 

 

レギン・バントンは熊人族最大のバンドン一族の次期族長――――

 

 

 

「オラァァァァ!」

「ぐぁぁぁぁぁあ!!!!!」

 

 

 

なんか語り部が聞こえた気がしたけど、僕達は大樹に向かっている最中に熊人族に襲われたのだった!(状況説明)

しかしながら、その結果はご覧の有様。ハウリア族(改造)によってあらゆるものがパンプアップした彼彼女らは最早敵無し。熊人族をちぎって(ちぎってないけど)は投げのような蹂躙の仕方で蹴散らしていった。

 

 

 

「ま、待てっ!待ってくれどういう事だっこれはぁ!?いくら何でも過剰戦力過ぎるぞっ!?」

「うるせぇ死ね!」ドゴォッ

「ぐぼぁっ!?」

 

 

 

そこら辺のハウリアAにぶん殴られて垂直に吹き飛んでいく熊人族の亜人達を見つめながら、やっぱりハジメ君の教育が間違えている方向に成長させてしまった事を改めて理解する。

それにしても酷い光景である……これを全部やってのけてしまうのが今のハウリア族なのだが。しかしこれでは、敵である熊人族の亜人が可哀想に見える。助ける気はないけど。

リーダー格の方に目を向けると吹っ飛んでいたのか、まだ無事な味方に助けられながら何やら相談していたので聞き耳を立ててみた。

 

 

 

「レギン殿!撤退を!」

「し、しかし」

「ご安心ください、殿は私をぐぉぱっ!?」

 

 

「オレの『自動追尾弾』だぜ…」カチャ…

 

 

何やらドラが付きそうな声で、ボウガンに再度矢を装填して構えていたのは必滅のパルトフェルド君。ハジメ君の英才教育は色んなところで発揮されている……そろそろ怒られそうだ。

しかしこの蹂躙劇を許可したのはハジメ君なので、彼らも彼なりに反撃したい気持ちは多い。舐め腐った相手をぶん殴る事に快感を覚えていなければの話だけれど。

 

 

「ふふふ、亜人最強種もこのザマですか……」

「ぐ……ま、待て!俺は、俺はどうなってもいい!せめて部下を、助けてくれないか!」

「レギン様!」

「だが断る」

「なにっ!?」

 

 

本当にそろそろ怒られてしまいそうな事を除き、カムはレギンという熊の亜人のリーダー格を追い込んでいく。まぁここに来て逃がすという選択肢は条件付きで出すにしてもあまり宜しくない。

 

 

「もとい、貴様達を逃がす意味がないというのが一つだが……本音は、貴様らの傲慢な態度を嬲るのが愉しくてなぁハッハッハ!」

「ぐぅっ……この外道がぁ!」

「外道?果たしてどちらが外道なのかね!」

 

 

そう言って拳を構えてレギンにトドメを刺そうとするカムを、他の熊人族をボコってるハウリア族と共にぶっ飛ばした二つの影。

それは、戦鎚を持って「いい加減にしなさぁ〜い!」と言いながら飛び出してきたシアさんと、亜人の同胞がいくら私怨があるとは言え残忍な殺され方をしそうになっている様子を見て我慢が出来なくなったギルだった。

 

 

「ぎ、ギル!?貴様……」

「勘違いするな。お前達を助けることで、ゼルに『貸し』を作ってやろうとしただけだ」

「ぬ、ぬぅっ……」

「もうっ!ホントにもうですよ!父様も皆様もいい加減にしてください!」

 

 

そうして、一人カム達に説教していくシアさんを横目にレギンに対してギルは直剣を携えながら迫ってくる。殺したりはしないのでまだ温情に感じた。

 

 

「ギル……貴様、ハウリア族と共に何をしていたのだっ!」

「俺は、オズワルドに復讐する。死んだ同胞の仇、そして何も出来なかった自分を乗り越える為にな」

「っ……貴様が、逃げた貴様が言うのか!」

「そうだ!逃げた俺が言っているのだ、あのオズワルドに立ち向かうとな!

よく覚えておけ、俺は虎人族の元隊長!そして今はあのオズワルドを打ち倒す事に全ての命を賭ける男……ギルだ!お前達は精々、俺がオズワルドを打ち倒す所を見ているんだな」

「ぬ、ぐぐ……!」

 

 

オズワルドを倒し、同胞の仇を取るという覚悟はギルの瞳からとても強く伝わってきた。拳を握り締めながらそう呟くギルを、遠目から誰かが見ている事に気付く。〝遠見〟で確認するとリチャードなのが分かった。

去ったと思ったら帰ってきた辺り、何か思うところでもあったのだろうか。

 

 

「まぁ、一つだけ伝えておきたい事あるので言っておきますよ」

「なんだ……」

「ゼルに対して〝貸一つ〟と伝えておいてください。その後はハジメ君の要求に答えてくださいね」

「な、あの男にもか!?」

「ハジメ君はハウリアを育てた張本人ですよ?それなら、あなたはハウリアに負けた事実とギルの事面倒見てる貸しくらいあってもいいでしょう」

「ぬ……ぐ……!」

 

 

交渉というのはこうやってするものだよ、と後ろにいたファタールに教え込む。

彼女は新入りのフィクサーのようにメモしながら、復唱して確認していた。まぁファタールは知らない事だらけだからこれから学んでいけばいいしね。

そんな中、ハジメ君が戻ってきた。

 

 

「いやぁすいません、怒られてました」

「大丈夫ですか?」

「改めてフルメ〇ル・ジャ〇ットの鍛え方は不味いと理解したよ……さてと。襲撃してくるなんて酷いじゃないか、先に気付けたけど襲ってきたのは君らであるとして……このまま僕の道を邪魔しないうちに生き恥を晒して帰るか、道を阻んで死ぬかどっちがいい?」

 

 

ハジメ君はドンナーを突きつけながら、どっちも取らないのなら殺すと言わんばかりにレギンに笑顔で銃身を突き付ける。

 

 

「どうすれば、生きて帰れる……」

「フェアベルゲンの長老方に伝えてくれるかな?全員にね……〝貸一つ〟」

「っ……!」

「アキラ君からは話は聞いたね?なら、すぐに動いた方がいいと思うな。カウントを始めた瞬間から5秒間隔で誰かの頭か胸を撃ち抜くから」

「……わ、分かった!我々はその要求を飲む!」

 

 

レギンは悔しそうに歯噛みしながら、拳を握りしめながら去っていった。

ハジメ君は付け加えるように「ハウリア族に負けたとも含めてねー……言わなかった時は、僕とアキラがフェアベルゲンを滅ぼすから」と結構シャレにならない事を言っていた。まぁ、脅し文句程度で済むのならそれはいい。

そうして、僕達は本来の目的である大樹に向かっていくのだった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

最終的に、僕達はカムさんとハウリア族、そしてギルの案内によって大樹に到着することが出来た。

中々長かった旅もここで一旦打ち止め……になるつもりだったが、一つ問題が。

 

 

「ねぇ、あれ……」

 

 

そう、大樹は枯れていたのである。

まさかの展開に呆気にとられたのはハジメ君だけではなく僕も呆気にとられた。ギルも「枯れているのは知っていたが、〝解放者〟が来る時には再生するものだと思っていた」と呟いていた。

 

 

「この大樹は、フェアベルゲン開国時には枯れており……しかし木が朽ちる事はなく霧と共にいる様から神聖視されてきました。しかし結局、それ以上に何か起こる事はなくまるで今は観光名所になっているのですがね」

 

 

カムさんがそう説明し、僕達は大樹の周囲を確認してみる。しかし周りには特に何も無く、ならば根元をと確認してみた。

そこには、石版があった。更に見覚えのあるマークが彫られている事にも気付く。

 

「これは、オスカーの…」

「ん…同じ紋様。7つもある」

「しかも、何か知らないマークが彫られてますね。鎌と……何でしょうこれ?」

 

知らないマークをハジメ君に聞いても「さぁ?」と返されたので、多分関わりがある人なんだろうと思いつつも石版を見つめてみる。

すると、早速発見があったのかユエさんが石版の裏側を見て何かを見つけたのかコレ見て、とハジメ君を呼んでいたので僕も見てみる。

そこには、小さな窪みがあった。しかしただ一つではなく先程の七つの紋様も下にある……一番下の近くにも、あの鎌を指す鎌のマーク用の指輪の当たるところもあった。

まずは、オルクス大迷宮にあったオスカーの指輪に表の紋様と重なった窪みに嵌めてみる。すると石版が淡く輝き出し、光が溢れ出した。それはいずれ文字を浮かび上がらせていった。

気になった僕達と周りで見ていたハウリア族とギル達も、気になったのかそれを見つめる。

 

 

―――四つの証

 

―――再生の力

 

―――紡がれた絆の道標

 

―――全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう。

 

 

「これは……」

「ん……4つの証は、他の迷宮の証?」

「紡がれた絆の道標は?」

「亜人族の事……かも」

「ですね。再生の力は……」

「私かも」

 

そう言ってユエさんが持っている〝自動再生〟を意識してユエさんが軽く指を切って石版に当ててみる。しかし特に何が起きる訳でもなくうんともすんとも言わない。

 

 

「むぅ……違うみたい」

「となると結論は出ましたね」

「分かったの?」

「この大樹を再生させる……まぁ例えるなら〝再生魔法〟みたいな神代の魔法が必要って事です」

「はぁ〜……道は遠いなぁ、今すぐ攻略は無理かぁ」

 

 

そう言って項垂れるハジメ君は、ハウリア族に振り向居て「今聞いたね?僕達は先に他の大迷宮を攻略を目指すことにするよ」と話し始める。

ハジメ君も随分面倒見が良くなってきたなぁと思いながら、あの鎌のマークを調べていくが……結局何かは分からなかった。

何かを忘れている気がするのだが……それに、ここが迷宮の可能性があるとすれば二人で手を組んでいる残響楽団のメンバーがいる筈。僕とプルートさんを除いて後7人。アルガリアさんも可能性はなくはないので、一旦―――

 

 

「……まさか?」

 

 

アルガリアさんの名前を思い出し、僕は〝宝物庫〟から自分の書いていた手帳を取り出して『都市』と付箋に書かれた頁まで手帳を開く。

そこには、やはり似たようなマークがあった。

〝青い残響〟と似たマーク。アルガリアさんはこの世界に来ていた可能性がある。マークが似ているだけかもしれない……しかしだ。

ここに彫られているのはどういう事だ?それにプルートはアルガリアさんの事は人として覚えていてもエヒトと共にいて行動していた訳じゃないのか、何も言わなかった。

……これに関してはオズワルドから聞いてみる他ない。知りたいことが多すぎる。

ハジメ君のハウリア族の話はまだ続くそうなので、僕はギルの方に行った。

 

 

「ギルさん、これからどうする……と言っても行先は決まってそうだけど?」

「ああ、アキラが考えている通りだが……俺は〝ライセン大迷宮〟を探してそちらに向かう」

「やっぱりか」

 

 

しかし、それに関して「なっ」と言って驚いたのは付いてきていたリチャードさんだった。

 

 

「ギル様!本気ですか!?」

「本気だ。安心しろ、流石に一人で行くような馬鹿な真似はしない……アキラ達を待つとするよ」

「それはいい判断です。迷宮は一度抜けた事がありますからね、万が一は僕達に頼って動けるようにしておいた方がいいです」

「そうだな……リチャードはどうする?」

「私は!この男に勝てていませんっ、絶対に勝ってから向かいます!」

「そうか……その気迫があるのなら、最後までついて行くといい。

アキラ。リチャードを任せたぞ」

 

 

そう言って一人歩き去っていくギルさんを見つめながら、僕は改めてリチャードさんに話しかけに行く。

 

 

「勝ち負けに拘るより、頼りになるギルの方に行かないんですね」

「あの人は、確かに頼りになる……しかし!あの時の私は、現を抜かしていただけだ……今度こそは!私自身の力で打ち勝って見せる!そしてお前にもだアキラ!」

「お好きにどうぞ」

 

 

僕は呆れながらも、最早受け入れたように人に指を指してこちらに対して宣戦布告してくるリチャードに空返事で対応する。何時までその対応が続くのかは、別に興味はなかった。

ハジメ君の方は、ハウリア族をこの樹海で鍛えさせるように命じたようだ。そしてシアさんはハジメ君のパーティーに付いてくるようだ。最初あんなに淡白な対応をしていたハジメ君も、しょうがないかぁと言った表情でシアさんを連れていくことを歓迎していた。

というのも、ハウリア族をフルメ〇ル・ジャケ〇ト風に鍛え上げていた時にシアさんとユエさんが勝負をしていたらしく、その時に賭けていたそうだ。

ユエさんがその約束を踏み倒そうとしていたがそれは見なかった事にしておく。ユエさんは本当にハジメ君の事が好きそうで絡んでいる所を見ると胸の憑き物が流される様にほっこりする。

それくらい、二人がお似合いという気持ちはあるのだが……シアさんが入る事でどうなるかは分からない。

僕の方?僕の方はまぁ……ギスギスしてる?いや、ファタールとは険悪ではないし。

やっぱり、ギルにリチャードさんを持って行ってもらった方が良かったかもなぁと思いつつハジメ君と共に目的地の〝ライセン大峡谷〟の近くにある街へ向かっていくのだった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

ハジメ君が〝シュタイフ〟で、僕はファタールをおぶって走って少し経った頃。何とか僕達は付近の街が見えた来たので、お互いに人が視認できる範囲で降りて街の門まで向かった。

そして、門の前にいる冒険者のような門番に「そこの君達、止まれ。ステータスプレートを開示してくれるか?それと、街に来た目的を」と尋ねられる。

僕はステータスプレートに隠蔽効果があるのを知っていたので、それを見せることにした。ファタールは『隠蔽』の魔法でリチャードさんと入ってた。

 

 

「どうぞ」スッ

「うん、君は大丈夫だ。その君は……うわ」

 

 

そして、門番の冒険者はハジメ君のステータスプレートを見た時にドン引きしたような声を上げる。

僕が覗いてみると、ハジメ君は一切隠蔽せずにステータスを公開していた。

あや……もう少し、手心というか……と思いつつもハジメ君に懐疑な視線を送ると、ハジメ君がこんな時の為に念話で会話を送ってきた。

 

 

「(どうかしたの?)」

「(ステータスプレートの隠蔽機能忘れてたの?)」

「(……あ)」

「(そういうとこだよねハジメ君)」

「(あ、あはは……何とか誤魔化すから許して?)」

 

 

との事なので、ハジメ君より先に僕は許可を貰ったので街の中に入っていく。

この街はブルックという、オルクス大迷宮付近の街のホルアドと比べて活発さは違うが、これくらいの緩やかな活発具合ならここに住むのも良さそうと頭の片隅で考える。

まぁ、ある程度の期間住むだけなら。

 

 

「魂の主様」

「あ、やっと会えた」

 

そして、ブルックの街をかなり歩いてギルド近くの場所でファタールとリチャードさんが待っていた。

ファタールさんはいつも通り、背をピンと伸ばした状態を維持したまま直立不動を留めていた。

そんな中、リチャードさんは始めて見る人間の街中に好奇の目線を配りながら、威嚇しそうにもなるような表情で周りを見渡していた。

まぁ、亜人族からしたら人間の街中なんて帝国ぐらいしかなさそうだし仕方ないの……かな。

 

 

「リチャードさんは初めてなんだっけ?」

「当たり前だろ!人間の街中に好き好んで入る訳がない!」

「まぁ確かにね。けど、どうだった?」

「う………………ふ、普通」

「嘘ですね」

「なんだと!?」

「本当は、それなりに感心しています」カチャ……

 

 

メガネを整えるような、モノクルを直しながらそう語るファタールの言葉に図星だったのか怒りか呆れか分からないようなため息を吐きながら「……そうだとも」と真実を話したリチャードさんに微笑みをふりかける。

 

 

「人間も悪くないですよ」

「……いや、まだ信じられない」

「なら、信じてもらうまで頑張りますよ。ここ最近悪いイメージばかりですから」

 

 

そう言いながら、僕は後からやってきたハジメ君達と合流してギルドの中に入っていく。

ギルドの中に入っていくと、最初に与えられたのは「綺麗」という印象だった。

ギルドというのは、フィクサー協会のフィクサー審査会場を彷彿としていた。あそこはフィクサー協会の場所によっては汚かったり整っていたりとまちまちだったが、ここは活発は控えめだからそこまで整っていないと思った。

しかし実際は、左手が飲食店を兼業したギルドだった。

飲食店は清潔感が大事、そりゃあ綺麗な訳である。

そうしたギルドの中には、普通に食事中の冒険者もいて僕達の事を見てくる。

しかし……ファタールに向けられる視線とリチャードさんに向けられる視線。

しかし意外にも好奇の目線な事もあり、誰か話しかける事はなく普通に通り過ぎる事が出来た。これはハジメ君も一緒だった。

そうしてギルドのカウンター側であろう場所に向かうと、カウンターには大変恰幅がいい笑顔を浮かべた……俗に地球で言うオバチャンと言った感じの受付の人がいた。

ハジメ君も美人の受付の人を期待していたのかもしれないが、僕は第一声を一石の様に投じる為に話しかけた。

 

「すいません」

「おや、両手にとびっきりな花を持っているのにこんなオバチャンで悪かったね」

「……いえ、そんな事言ってないんですが」

「あっはははは!女の勘、舐めちゃいけないよ。まぁあんま余所見ばっかりしてると愛想尽かされるからね、気を付けな」

「はい……(なんで僕が説教されてるんだろう)」

「んじゃあ、小言もここまでにして。ようこそ、冒険者支部のブルックの街に。ご要件は何かしら?」

「素材の買取を頼んでいいですか?」

「素材の買取だね。ステータスプレートは出せるかい?」

「どうぞ」

 

隠蔽しているので特に何も隠すことなく、僕はステータスプレートを渡して見せて「へぇ、魔剣士さんかい」と驚かれた。魔剣士は珍しい天職らしい。

 

「あんたら冒険者じゃないのかい?」

「ええ、まぁ」

「なんだい、冒険者と確認出来れば素材は一割増しで売れるんだよ」

 

その情報を聞いた瞬間、僕は一気に受付に乗り出して「その情報全て細かく教えてくれますか是非!」と呟いた。

オバチャンの受付の方はすごく困惑していたので、僕はメガネを整えながら「すいません」と落ち着けるを取り戻した。1捨て2ページドローです。何を言ってるんだ僕は。

その後、オバチャンから詳しく色々な事を教えてくれた。ギルドと連携している店や宿は1割から2割程度は割り引いてくれたり、移動馬車は高ランクなら無料になることなど。

冒険者登録というのはフィクサー登録ぐらい便利な事しか書いてなくて驚きが隠せない。目を輝かさなら「今手持ちがないので、買取で出来た金額の料金から引いてくれますか?」と答えると「可愛い花二人連れてるのに一文無しかい?全く、最近の子は不自由ばっかだねぇ」と少しだけ割り増してもらった。こういうのって本来は良くないのだが、ここに長くいる分だけ甘くなったしまうのだろう。

その後、フィクサーの階級のようなランク制度を教えて貰いながら素材の買取をしてもらった。

ハジメ君側が四十八万七千ルタ。そして僕は二十五万四千五百ルタ。大樹に向かっている最中にそれなりに買っておいたがギルの鍛錬メインでやっていた僕は少しだけ心もとない金額だった。まぁ、全然問題はないと思うが……

 

 

「ありがとうございます。そういえば、この街の地図ってありますか?」

「地図かい?ああ、ちょっと待っといてね」

 

 

そう言ってオバチャンの受付の方が、内容がほぼいい所の出版事務所が出しているレベルのパンフレットばりの地図を渡してきた。この街の名所をこれでもかと優しい文字と言葉で記しており、とても分かりやすい。

 

 

「これ、本当にいいんですか?」

「構わないよ。あたしが趣味で書いてるだけさ、書士の天職を持っていてもね、余らせるだけなのさ。ギルドの書類仕事が楽になるのは有難いけど使い所も狭いのさ。こういうので冒険者の助けになるんならそれくらい落書きみたいなもんさ」

 

 

そう言って微笑むオバチャンの受付の人に、胸打たれつつも「ありがとうございました」と感謝の礼を残し同じ処理をしてもらったハジメ君と共にギルドを抜けていったのだった。

 

その後、ある意味でまさかのを感じさせてくれた宿に泊まったりしたのだが……情報量が多いのでここでは綴らないことにした。

 







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フィリップ君のヒロイン、誰にするか?

  • 八重樫雫
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  • 都市の女性組
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