どうか、あなたの物語が見つかりますように。
『私が、最強なのだ……私が一番であり、頂点である……』
リチャードは、捻れてしまった。
最早亜人の獣ではなく、愚かで醜い
何よりも、その姿は雲隠れする様に叢の枝葉を身に纏いその醜い姿を隠す様に姑息な虎の姿に成り果てていた。
「リチャード…………ッ、この、大馬鹿者がぁぁぁっ!!!!!」
ギルの怒りの方向と共に、地面を踏み抜いて加速した剣戟をリチャードに向けて放つ。
しかしまるで、木の葉が吹く風の様にその攻撃は突き抜けていく。
ギルはすぐさま体を捻り、近くのブロックを蹴り破ってこちらの足場に戻ってくるが……
「おぉっと〜、貴女方の攻撃じゃあリチャードは突破出来ませんよぉ〜!それでは、そろそろ私のサーカスを楽しんでもらいましょうかぁ〜!」
ゴウン……という音と共に、赤色に塗られた騎士のミレディ・ライセンのゴーレム体が動き出し始める。
ミレディ・ライセンのゴーレムの強さはよく分からないが、特に何も喋らずにこちらに対して大量のブロックが降り注いでくる!
「ファタール、ライセンを頼む!」ダァッ!
「承りました」
ブロックを〝反射〟の魔法で返しながら、ハジメ君達の為に突き進む道を作ってくれるファタール。
本当に頼りになる。後方の敵を任せながら僕はすぐさまリチャードに対して灼炎を纏ったスティグマをぶつかりに行く。
「フィリップさぁん!もしかしてお忘れですかぁ!リチャードさんに攻撃は―――」
『がぁぁぁっ!?』ゴォッ!
「あれまぁっ!?」
しかし、蜜蝋の剣はしっかりと彼女の体を切り裂きながら大炎上していくリチャードの肉体を更に鎧を纏った脚で蹴り破る。
しっかりと枝葉を纏った肉体を蹴り破るような衝撃が走りながら、更に彼女は奈落のようなブロック外の場所へと落とされる。
「いけませんよぉっ!」
『―――!』
しかし、簡単に終わらない。リチャードをまるで空に舞い上がらせるようにぐんっと起き上がったかの如く戻ってきた。
重力を操る能力……これは確か、オズワルド自身にはなかった。となればきっとミレディ・ライセンの神代魔法の可能性が出てきた。
となれば、この重力を操る神代魔法では落とすのも僕を突き落とす事も出来るだろう。
「〝茜示剣〟!」
『ぐぅぅぉぉっ!』
逃げ出すリチャードに対して、容赦なく翼を広げて連撃を打ち込んでいく。
この現象は僕も理解しているしリチャードはまだねじれになったばかりだ。だからこそ、今倒せるタイミングで仕留めなければならない。
ねじれは時間をかければかけるほど、その性質を強くしていくからこそ―――僕がそれを体感したからこそ!
「君を解放してやる!リチャード!」
『黙れぇええええええええっっっ!!!!』
その瞬間、まるで世界が塗り替えられた様に変わった。
そこはフェアベルゲンだった。
しかし何か違う。自分達が見た時とは、いくらか知らない建物も増えていた……おそらく過去のフェアベルゲンなのは、間違いない。
この現象は見たことない。だが間違いなくリチャードを助ける方法はここにあるに違いない。
例えどれだけの罠であろうとも……僕がやることは変わらない。
それが世界の敵になるのなら、僕は容赦なく打ち倒そう。
そして彼女が助けを求めるのなら―――リチャードが、手を伸ばすのなら。
僕はその手を掴もう。
――――――――――――――――――――――――
リチャードは、付近にいなかった。
どうやら僕が現れた場所は、中央広場。確か橋の先にある噴水だったはずだ……そう思うと、ホルアドの街に似ている雰囲気を感じた。
しかし和気藹々している空気は変わらず、世界は賑わっていた。僕には全く気付かれていないという事は……過去の世界だからだろうか。
「……よく分からないな」
しかし、思い当たる節があった。
かつて僕がプルートと戦った時の、あの時の世界と似ている。
「おい!」
「……?」
怒りの感情が籠ったような声が響き、声の方を確かめる為にそちらの方へ向かっていく。
そこには、三人ほどの人影があった。はっきりと認識していくと、そこには幼いリチャードさんらしき人物とギルさんと……あの時見たゼルだった。
「ギル。次期族長候補のお前なら、しっかりと理解していると思うが―――兵士を育てるのも一人の族長の定めだ。
お前がしっかりこなせ」
「はっ!」
「彼女はリチャード。特別なスキルを持っている……詩を詠む事で身体能力の強化を行える。
魔力が使えない我々は、身体能力を強くしより敵に魔法を使わせないように戦わなくてはならない。それを念頭に入れて動け」
「はっ!」
そう言い残して去っていくゼルの姿を、ギルは見つめながら完全に姿が消えた後にリチャードを見つめる。
「私はギル。虎人族、族長率いる部隊の第一隊長だ。
改めて聞こう。君の名前は?」
「リチャードです。よろしくお願い致します」
そう言って、リチャードとギルの初めての出会いが……終わった。
次に僕が見かけたのは、訓練場の様な木の案山子があるような場所だった。
リチャードはそこで、虎人族の特徴的な腕部を肥大化させた攻撃を案山子に対して攻撃していた。
「田子の浦に うち出でてみれば 白妙の……決字百首〝田子富士〟!」ズァッ!
鉤爪から放たれる、連撃の数々が木の案山子を破壊していく。
リチャードのあの攻撃は、綺麗で繊細されていた。
敵を間違いなく、確実に打ち倒す様な強いものを感じていた。
彼女が木の案山子を破壊した後、リチャードは息を整えながら鉤爪を元の姿に戻して足を止めた。
地面を歩くような音が聞こえ、リチャードが後ろを振り向くと……そこにいたのはギルだった。
「ギル様!」
「励んでいるな」
ギルは微笑みながら、リチャードを見つめる。
その視線はまるで一人の親の様に、家族愛を与えるような。
「リチャード、部隊を組む気はないのか?」
「はい。私は一人でも問題ありません!」
「そうか……何かあったら、いの一番に私に相談するように」
「はい!」
そう言いながら訓練を再開するリチャードを見つめていると、かつての僕の姿が目に浮かぶ。
リチャードと、過去の
「(何を見せられているんだ、僕は……)」
この光景を見て、僕に何を感じれるかと言われると怪しい。
ねじれるには理由がある。心が折れれば、僕のように悲しみを抱き何かに縋るようにしなくては生きていられない。
逆に、あそこまでの強い意志があるのならねじれる事はなくエゴを発現してもおかしくない。
だが彼女はねじれた。つまり心身に何かの大きな問題が生じてそうなった。
何が、何が……彼女に強い刺激を与えたのか。
そう考えている合間に、景色が変わっていた。
「お前、ギル様に指南してもらっているって聞いたぞ」
そこにいたのは、別の虎人族。
背景は前回と同じ、訓練場だった。
間違いなくリチャードが気に入ってないようで態度から現れていた。リチャードは気に食わないように、怒りの表情を浮かべていた。
「それが何だ?」
「お前、ろくに私達に合わせる事が無い癖によくもギル様に教えを乞うて貰っているな!?」
「それがどうしたと言うのだ!!」
「ふざけているのか!?お前みたいな存在がギル様の部隊の規律を乱すんだよ!分からないのか―――」
そう言って怒りを表に出す別の亜人を、リチャードは睨み付けながら寧ろ胸倉を掴んだ。
「ふざけているのはお前達だ!」
「なっ!?」
「ギル様にそんな事で迷惑を掛けていいと思っているのか!?お前達の行動こそ規律を乱してるんだよ!下らない理由で呼び出しやがって!」
「な、なんだよ―――」
「お前達がそんな下らない理由で統率を乱してるんのが分からないのか!?ギル様は、我々に家族のように暖かく接してくれている!それに泥を塗る様な事をしやがって!ふざけるなっ、ふざけるなぁぁあ!!!!」
そう言いながら、肥大化させた鉤爪で斬りかかったリチャードの姿は―――自分自身を侮辱されたようだった。
親である様な存在に、自分が迷惑を掛けているはずではない―――そう思い込む為に?
そう思考した瞬間、背景は塗り変わった。
長老の会議室の様な場所で、そこには怒り心頭のゼルと何も言わずに黙ったままのリチャードと平謝りのギルがいた。
「ギル!お前の部隊はどうなっているんだ!」
「申し訳ありません!私の教育不足です!」
「ここまで騒ぎが大きくなったのは初めてだ。戦闘的なのは構わないが、仲間内で騒ぎを起こす様な奴を今度は部隊に置いておけんぞ!」
「はっ!承知しております!」
「ふん。後は反省させておくように」
「はっ!」
ゼルは長老の席から立ち上がり、呆れたように帰っていった。
「リチャード、何かあった時には報告するように言ったじゃないか」
「……」
「俺も心配した。まさかそんなに大切に思ってくれるとは思わなかったんだ」
「……当たり前ですよ!ギル様は、ギル様は第二の親に近しい人です!私にとっては、理想の強い人なのです!下らない理由で、練習もせずプライドばかりにこだわる奴らは勝手に言わせておけばいいものの……」
「そうか…」
リチャードこめかみに指を当てながら、ふぅと息を吐いた。
話が通じない感じが、リチャードから感じていたのだろう。しかし育てたのはギル自身。詰まるところ……
「リチャード……私にそこまで縋るのは、君の親が育て方を間違えたからかね?」
「え―――」
しかし、ここで予想外の切り込みが入った。
「私は、確かに君の代わり親の様に育ててきた。だが本当の親でもないのにあんな事件を起こすまで強い思いがある。親に迷惑が掛かる事も知っていた筈だ」
「……あんなもの、親でも何でもあるか!」
「り、リチャード……?」
「私をろくに戦士に育てなかった癖に、私を認めなかった癖に、私がスキルを手に入れた時や、ギル様の部隊に入った時には掌を返したように甘くしやがって!私は都合のいい駒じゃない!私は、私は……!」
「リチャード、落ち着け!」
リチャードから零れたのは、親から何も期待されずろくな教育もされなかった事。そして親として子供を認めなかった事、そして自分自身を都合のいい駒の様に思われていること。
その様な真実を吐露し、リチャードは怒りに呑まれながら頭を掻き毟る所をギルによって止められる。
「……そうか、家庭の環境が良くないからこそ。私に頼ったのだな」
「……はい」
「なら、存分に親と思うがいい。ただしお前が騒ぎを起こせば、親として俺がお前を育てれなくなる事を忘れるな」
「あ…………はい、承知しました」
そう言いながら、リチャードに対して反省を促したギルを見つめる。
自分の教育が及ばなかった、責任を感じる表情を浮かべていた。
リチャードはその表情を見つめることで、反省をするのかと思えば……しかしその姿は、余計に彼女の内なる自分を認めない者への怒りを加速させていただけだった。
そうして、また世界が塗り替えられる。
今度は時間が経ち、あの時ギルのリチャードが会った大広間には雪が振り落ちる様な季節になっていた。
あれから何ヶ月が進んだのかはよく分からないし、僕としてはこの時点で何かが変わったかは分からなかった。
しかし大きな広間からは、ギルが率いる部隊が見えた。
そしてギルが笑顔を浮かべながら、他の部隊のメンバーを褒め尽くしていた。
「お前達、よく駆け上がってこれたな!私も喜ばしい!」
「ありがとうございます!ギル様のお陰ですよ!」
「はっはっは!お前達がこれまで頑張ってきたからだろう、これからも励む様に!今日は私が奢ってやる!」
「ありがとうございます!」
ギルは他のメンバーと共に、そのまま別の場所へと歩んで行ったが……その光景を見ていたのは、リチャードただ一人。
それを見て何を思ったのかは―――分からない。
しかし彼女に宿るのは、反骨心。寧ろもっと頑張らねばと精進する気持ちを抱いているような気がした。
だが、また時間が進む。それも小刻みに、瞬間的に。
時が経ち、才能ある者はどんどんとギルの部隊の仲間入りを果たしていく。才能はあれど戦士としての才はなかったものは、別の道へと昇華させていった。
しかしリチャードは……何も変わらなかった。
燻っているように何も、彼女には何も起こらなかった。
そうしてまた世界が塗り変わり、リチャードが特訓を終えた間の時に変わった。
リチャードは休憩している最中に、他の二人の兵士の訓練中にとある話を聞いた。
「なぁ、知ってるか?ギル様の部隊の落ちこぼれ」
「知ってるぜ。リチャードだろ?」
それを兵士達の見えない場所で聞き取るリチャード。しかし表情は怒りではなく呆れ。
そんな事をほざいた所で何になるのだ、と言っているかの様に最早興味を無くして去るタイミングだった。
「あいつ、何時まで残らせてもらえるんだろうな」
しかし、その発言にリチャードの動きは止まる。
「そりゃあ、ゼル様のご気分次第だろうな」
「それならもう切ってる筈だろ?無理言って残してもらってるんだろ。だってあいつ、規律乱しまくりだし……ろくな任務与えてもらってないだろ。ギル様と一緒に任務に行かされる位で、個人での成績なんて出した事ないじゃねぇか」
「昔は強かったって聞くけど、結局ギル様の実力には劣るし俺達とろくな連携もしないし切り捨てられるのも時間の問題だったって事だよな」
そして、改めて思い知る。
リチャードの今の立場と、現状を。
「そもそも、あいつってなんでこの部隊にいるんだ?」
「確か話では……前に所属していた部隊で問題起こして追い出されて、天下のゼル様の部隊に入る事が出来たけど結局他の部隊でも問題起こしてギル様のところで再教育になったんだろ」
「ああ、そうだったわ!にしても、自分で気が付かねぇのかな。あれだけ問題起こしてずっとここにいれるのギル様のお陰だって。
あいつ俺達と関係なくてもしゃしゃり出てくるじゃん」
「うぜぇよなぁ。他の奴らとか、気にかけてもらってイラついてたのに『お前らの行動がギル様に迷惑をかけてる』って発破かけたらしいぜ」
「うわぁ、俺ならやらねぇぞそれ……ゼル様に知られたら普通辞めさせられるだろ」
「――――――」
リチャードは、理解した。
自分が今まで身勝手に振る舞えていたのはギルのお陰であるコトと、そして今まで努力してきていたのはギルの首を絞めていた事に。
恩人に恩を返す所か、その首に手を掛けて殺そうとしていた。
「ギル様も不幸だよなぁ、あんな奴を最後まで庇うなんて……あの人奥さんと子供いるだろ」
「そうだぞ。あんな女頭硬くて好きになれそうにないしな!」
「あんな奴を助けて家族養えくなったら、あいつどう責任取るんだ?もう何処も行けないだろ」
「全くだよ!ははははは!!!!!」
「っ……………………!」ギリィッ……!
そうして、今度は時間が進む。
真夜中の訓練場でギルが直剣を素振りしながら、月光の光だけを頼りに陰に隠れた案山子を斬りつけている。
しかしそこに、リチャードが現れた。
「……ギル様」
「む……リチャードか。こんな真夜中では明日の仕事に支障が出るぞ。寝た方がいい」
すぐにリチャードの気配を察知して、ギルは剣を納めてリチャードに勧告する。
しかしリチャードは顔を俯かせたまま去ることはなかった。
「私の為に、仕事の天秤を掛けている事は本当ですか?」
「はて。何の事だかな」
「とぼけないでください!聞きました、奥さんと子供がいるんですよね!?どうしてそこまでして私を助けるのですか!」
「……そうか、そこまで知っているのか」
リチャードの言葉に対して、ギルは堪忍したかの様にとぼけた振りをやめて話し始めた。
「私が、私が可哀想に見えますか!」
「リチャード、私は」
「私が可哀想だから助けているんですか、同情ですか!?」
「そうではない!お前の事を本気で心配しているからこそ、お前が変わってくれると信じて―――」
「それなら!……いっそ、諦めろと言ってくれた方が!よかった!」
「っ……」
「何故言ってくれなかったのですか!私は、ギル様が私を親のように思えと言ってくれたから、全身全霊を以てギル様を助けたかった!迷惑を掛けてあなたを失うくらいなら、いっそやめろとあなたに言ってくれれば良かった!」
「リチャード……」
「結局……あなたもそうなんですか……」
「私は、違う……」
「いや、違わない!私を利用していい上司を演じていたいんでしょ!いいですよ、その様に使われても……けど!
それでギル様が傷付いていたら……意味がないではないですか!
私は、結局!あなたに迷惑を掛けているとも知らず、自分が強い存在であると信じていた愚かな亜人でしょうに!」
リチャードは、涙を流しながらそう吐き捨てた。
己はまるで、強い獣だと盲信していただけの親の脛を齧る獣である事を。
認めてしまった。
「私の力が必要ないのなら、私が邪魔であるなら―――」
「リチャード!」
「っ!?」
「いい加減にしろ!何故その様な自嘲したような事を言う!この世でお前は一人しかいないんだぞ!
そんな自分を最後まで信じてやれるのはお前自身だ!」
「もう私を!……私を、信じてくれる人は、あなた以外……いません」
「………………」
「私は、ずっと前から私の強さを信じています!私ならきっと乗り越えられると!私のスキルならどんな敵でも倒せると!
だからこそ……だからこそ、信じてくれませんか……!私を、私を見ていてくれませんか!」
最早縋るものは、ギルしかいないと。
今信じ抜けるのはギルの言葉しかないというリチャード。
しかしギルは……何も言わずにこの世界はまた別のものに塗り替えられ―――ハルツィナ樹海に潜むたった一匹の草木に包まれた虎が現れる。
僕はその姿を知っていた。そしてその姿の正体も知っている。
そしてここから―――本当の本番だ。
「リチャード」
『―――どうして、お前なんだ』
叢の中から、顔を出すリチャード。
醜い獣まで落ちてしまった彼女を助け出せるのは、僕しかいない。
僕があの時、ねじれから立ち上がれたように。
彼女を助ける方法は僕の経験にかかっている。
「僕で申し訳ないのですがね……だからこそ、僕にしかやれない方法で救ってみせますよ」
『……抜かせ!』ダァッ!
リチャードはハルツィナ樹海から逃げ出すように移動していく。
そう言いながら、僕は―――翔明の騎士として。
極情を焦がすその翼を大きく広げながら、彼女へと向かった。
ねじれ/木叢の月虎
私は虎だ。勇ましい虎だ。
どんな敵に対しても、勇猛果敢に立ち向かえる事が出来る虎なのだ。
そう信じ続けて、私は何十何百と獲物を狩る練習をしてきた。
しかし上手くいかない。
何故なのか。虎であればもっと上手くいくはずなのに。
しかし私の体には枝葉が、体に広がっている。
勇猛果敢である虎が、何故こんなものを身に纏うのか。
私は隠れていたいのか?そう考えた。
しかし私は、違うと考えた。
私は隠れたいのではなく……私自身をこの草叢に身を隠さなければと考えたのだ。
私を守れるのは、私が信じてるものだけだから。
勇猛果敢な虎でも恐れるものはある。己では立ち向かえないような存在に対しても立ち向かいに行く虎であるというのに。
私は、自分自身を覆う為にこの叢に身に纏う。
私が信じていたものを私の前から覆い隠すように、
私が大切にしていたものの事実から目を背けるように、
私は―――いの一番に逃げ出せる準備をする様な、虎なのだから。
フィリップ君のヒロイン、誰にするか?
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八重樫雫
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園部優花
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その他原作組女子
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都市の女性組