どうか、あなたの物語が見つかりますよ
うに。
※本編とかけ離れるくらいギャグみたいな空間です。キャラ崩壊もします。
ご容赦ください。また、Library of ruinaのネタバレを含みます。
ここは白い空間。そこに三人の人物がこの白い空間に投影されている映像を見つめながら紅茶を飲んでいた。
「フィリップ君も着々と強くなっていったな……」
まずは一人目。
彼はサルヴァドール……今画面で〝スティグマ〟を持って素振りを行っている少年こと相馬アキラの後方親顔をしている。
実際、相馬アキラの転生前の姿であるフィリップの剣の師匠であるので後方親面するのは何も間違いでない訳がねぇだろただの異常者です。
しかしアキラの成長を節々と感じており、彼の目からもフィリップの剣術は着々と段階を上がってきていることを理解しつつあった。
「そうですねー…また厄介な女に目を付けられてますけど」
二人目、ユナ。
フィリップの初恋の女性であり、そしてアキラを応援する夜明事務所の紅一点である。
両腕が義手であり、背中のヴァイオリンケースからは半自動で敵を攻撃するブレードが射出するぞ!
危ねぇもん持ってくんな殺すぞ。
そして、観測している割にはズカズカと現世に降りて介入してくるくらいにはフィリップの後方親面をしている。
更に女子組に嫉妬する(無自覚)始末。
しかし自分自身がやべー女のせいか、やべー女の判別は可能に。
「ファタールも順調そうに働いてくれていますね」
三人目に、昨日の約束ことプルート。
フィリップとは知り合いかつ味方でもあったもので、この世界では彼と敵対し見事に倒されてしまった。
そして彼の強さや覚悟、言葉の真意と罪を背負う決意に脳を焼かれてしまった哀れなねじれでもある。
彼が最後に遺したファタールから彼の成長を見守っている。
「しかし、そう考えると……彼はついにオスカー達が抱えていた案件である〝八時のサーカス〟すらも打ち倒してしまうとはな。
これは本当に、そろそろ都市疾病から都市悪夢、いやもう都市の星に任命されてもおかしくはないな」
「なんで敵の前提なんですかね。そこは5級フィクサーから3級、2級フィクサーでしょ」
「ですが、彼の強さを表すならフィクサーのランクよりも都市の脅威度レベルの方が分かりやすいかと。実際、彼はねじれでもあったのですから」
「まぁそれはそうなんですけど……」
サルヴァドールの発言を指摘したユナを、プルートは援護する様に言葉を入れて納得させる。
フィクサーのランクはあまり強さの基準にはならず、むしろこの様な都市の脅威度の方が強さの基準として分かりやすい例は多い。
実際それで舐められていたのは〝図書館〟も同じである。最初こそただ出現した謎の場所かつ、都市悪夢程度の脅威度ではあった。
それが残響楽団が突撃する頃には不純物クラスまでに格上げされるとは。最早危険度としては相当であった。
不純物に指定されることは相応な事件でもあり、もしそれにフィリップことアキラが任命されれば都市の重要機関でもある〝調律者〟〝爪〟も黙っていないはずである……残念ながらこの世界にはいない。
しかしアキラの強さは、元1級フィクサーから見ても都市の星の案件として扱わなければならない程こそ上がっていた。
「だからこそ……フィリップ君の成長はこれからも続くだろう。我々が見守っ「あんらまぁ!まさかアンコールですかぁ〜!」」
クソでかい大声が響き、サルヴァドールの耳がキンとしたが持ち前の保護2で耐える事が出来たのか、すぐに声の方向を見つめる。
そして、サルヴァドールがガダァッと椅子から転げ落ちる音と共にユナとプルートが声の方向に顔を向ける。そこにいたのは……
「アンコールいただいたフィリップ君!ありがとうございますぅ〜!私オズワルド、この空間を盛り上げていきますよぉ〜!」
「オズワルドだとぉ!?」
「はぁ!?」
「おや……やはり来ましたか」
オズワルドの登場に対して、夜明事務所の二人は驚愕の表情を浮かべているもののプルートは全く動じておらず……と言うかむしろ来て当然的な表情(?)でオズワルドを受け入れていた。
「お前ぇ!まさかここに来るなんて本当に都合がいいわよくもなぁ!」ガシッ
「落ち着けユナ君!こういう時は黎明の閃光で殺すから黙って見てなさい」
「あなたが一番落ち着いてないじゃないですか!」
煙戦争の前線で戦った老兵とは思えない発言をしながら、背中のツヴァイヘンダーを抜剣しようとするサルヴァドールを止めるユナを見事にスルーしながら新たな席を用意して座るオズワルド。
「さぁて!皆様何かお楽しみになりますかぁ?皆様のご要望なら何だって叶えてみせましょう!ええ!」
「オズワルド、黙っていてくれませんか。今いいとこなので」
「えぇ!?」
オズワルドがショックを受けたように口元に手を寄せて「ひょえぇえ〜」と言いながら悲しそう(?)な表情を浮かべているが、プルートは映り込む画面の方に視線を向けていた。
「はぁ、なんでこいつら増えていくんですかね……」
「元々は我々がフィリップを見守る会だったというのに……」
「フィリップ君は凄いですねぇ!全く関係ないあの世界にああも付け込めるなんて!」
「私達のフィリップを馬鹿にしないでもらおうか。彼はあれでも非常に頑張り屋でね……」
「ああ、はいはい。そこら辺は聞き飽きたので別の話でもしましょうかぁ!」
「おいこいつ殺していいかねユナ君?」
「落ち着け」
語りを阻害されて怒り心頭のサルヴァドールとそれを宥める無視してオズワルドは別の話を開始し始めた。
「皆様はフィリップさんと違って転生してないのですねぇ!」
「ああ、私達は図書館から戻ってきた後に任務でね……事務所も破壊されていた」
「あれの犯人が泣く子……フィリップなのは知ってますよ。ついでにあの子泣かせて怒らせたのがそこのバカピエロ野郎なのも知ってます」
「恨まれてますねぇ!いやぁ、皆様知りたいと思いませんかぁ?プルート君はともかく私達を転生させたエヒトについてぇ!」
その発言に、夜明事務所の二人の目が見開かれる。
実際エヒトの情報は全くないし、サルヴァドールやユナとしては他の都市の人間が来ていないか知りたい物が多い。
「まぁ、知りたい所はあるがね」
「あんたに喋ってもらうのはなんか……イラッとくる」
「うぇえん、酷いですねぇ。まぁ喋りますけどねぇ!
そもそも私、エヒト様に召喚されてからというものとにかく〝解放者〟達を上手い形に追い込めとしか言われなかったもので、私全国に対してサーカス団員をばらまいておりまして!
そのお陰で多くの情報が手に入り、その中で一番大変そうなミレディ・ライセンに目を付けたんですよぉ。
まぁ、彼女も中々しぶとかった……というより介入してきた人がいるから大変なんですけどねぇ」
「介入?」
「ええ!まぁ知らない方だったので私は覚えてませんがぁ……かなり強かったですねぇ?」
サルヴァドールは顎に手を当てて考える。オズワルドが強い、というのは推定都市の星から不純物の存在が厄介というのだ。相当な相手であり、ミレディ・ライセンがフィリップ達に巡り会えたのもその人物のおかげという事になる。
「しかし、何故エヒトは君らを?」
「あの方の思考は分かりませんからね」
「私はただの暇潰し、いや楽しみの為にやっているように見えましたがねぇ!」
「わけわかんない……それに、一つおかしい点はあるし」
「と言いますと」
「
「うぅむ、確かに悩ましいお話ですよねぇ!」
ユナの指摘はごもっともだった。
残響楽団のメンバーを全員こちらの世界に引き寄せているなら、フィリップも来ていてもおかしくない。
しかし彼は地球に降り立ち、相馬アキラとして生きていた。
フィリップの記憶を持ちながら、である。
更に本来フィリップで埋まる場所であった残りの残響楽団の枠はフィリップに恨みがある人間が入る事で埋められている。
フィリップがまるで
「しかしそこは、私分かりません!」
「使えねぇやつ」チッ
「ひぇえん、この方怖すぎませんかぁプルートさん!」
「しかし、私も気になっていますね」
「あれぇ無視ですかぁ!?」
「まぁ……今考えても仕方ない事ではあるがね。今は彼の成長を見守る他ないのだが」
「その通りです」
「お前が親面すんなよガイコツ顔面野郎」
「老いぼれの発言には思えませんね」ズズ
紅茶を飲みながら一切揺るがないプルートと、冷静と思ったら普通にキレているサルヴァドール。
「おや、画面の方は何か進展がありましたよ」
「む……?これは……」
――――――――――――――――――――――――
「―――君こそ、真の勇者に相応しい」
月光が周囲を照らしながら、その存在はとある人物に対して誘うように言葉を告げながら片手を差し出していた。
「っ、お……俺が……?」
周囲にとある人物が使役させている魔物達の姿があり、人物の言葉によってはこの場が戦場になるのも間違いなかった。
しかし人物の瞳は、まるで
人生の分岐点に立ち、まさしく魅力的な選択肢が目の前に現れているのだ。
ここまで来たのも、湖畔の街〝ウル〟にいる仲間達を一人置いて黄昏ていた時に、謎の人物がここにやってきたのだ。
その人物は、謎の仮面を被っていた。赤い光が灯るその仮面からはまるで多くの視線を送り込むような視線が、人物に当てられていた。
「ほ、本当に俺が……俺が勇者になれるのか!?後で裏切るとか言うんじゃないだろうな!」
「ええ。君が今までの全てを切り捨てて、我らが主の元に付いてくれるのなら……そして、我々の目的である〝豊穣の女神〟と、この街を破壊してくれると言うのなら。
君を〝真の勇者〟として迎え、我々は君を歓迎する。
君のその力は我々にとっては同胞の力そのもの。
「俺が、勇者に……真の勇者に、物語の主人公に…………!は、はは……!」
その人物は歓喜した。今まで自分の力が強いと確信していたのに、世界が持て囃すのはやれ勇者だ、治癒士だ、拳士だ、剣士だと。
何故元の世界でも目立つヤツばかりが視線を浴びるのか。
何故元の世界でも優秀だった奴だけが期待を受けるのか。
この世界に来て、優れた力を持つ自分が何故選ばれないのか。
それが不思議でならなかった、それがおかしかった。
しかし今の言葉で、人物は完全に理解した。
何故選ばれるのを待たなければならないのか。
選ばれるんじゃない、奴らに選ばせるのだ。
選ばなかったものが真の勇者である事の事実を突き付けるように……
奴らが勇者を捨て、自分に縋り付くその様を!
「いいさ、ああいいだろう……俺が、あんた達の勇者になってやるよ!」
その人物の表情は、醜く歪んでいた。
目には野望を抱く瞳を爛々と輝かせ……今あるものなどどうでもいいと、そんな強い意志が込められていた。
そして仮面を被ったものは表情こそ分からないものの、笑みを浮かべる様に近付き、人物が手を握ると共にその握手に応えた。
「それは良かった。これからよろしくお願いしますよ……我々の勇者様」
―――ああ、本当に馬鹿で操りやすくて助かるよ。
そんな本音の言葉を、心の中に隠しながら誘いをかけた存在は背後から現れる赤黒い翼を展開し降りてきた者と共に、人物と共に北の山脈地帯から移動を初めていったのだった。
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フィリップ君のヒロイン、誰にするか?
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