どうか、あなたの物語が見つかりますように。
散々、愛子先生が怒りに任せて声を荒らげていたのでフォスによって他の客の目もあるので、とVIP席の方へ案内された僕達。
そこで、愛子先生やクラスメイト達から怒涛の質問を投げかけられまくる。ハジメ君は、目の前の今日限りというニルシッシル……異世界版カレーに夢中で食べている。その間ハジメ君が愛子先生に対して質問を投げ飛ばされるが、ハジメ君の答えは淡々なものだった。
「橋から落ちた後、どうなっていたんですか!?」
「超頑張って今生きてます」
「なんで白髪に染めてるんですか!?」
「超頑張ったせいで、白髪にならざるを得なかった」
「その目はどうしたんですかっ!?」
「超超頑張ったせいで、片目を失った」
「何で、直ぐに戻らなかったんですかっ!」
「戻る理由もないし、迷宮からは戻れなかった」
「ッ〜!!!真面目に答えなさい!」バァンッ!
頬を膨らませながら怒りの声をあげる愛子先生の怒りは全く迫力がないのが物悲しい姿であった。
ハジメ君は食事に集中しているのか、右から左へ受け流す様に目を合わせることもなく話を返している。
一方僕の方は、ニルシッシルを輝いた瞳で食べるリチャードと何かを思い出しているのか薄い微笑みを浮かべて舌鼓を打っているテンマさんと、僕とファタールが黙々と食べている。
もちろんちゃんと美味しいし頬が緩む。カレーに似ているからこそ、地球が恋しくなってきた。
そんな僕らの様子に怒りを表したのは、愛子先生の専属護衛騎士を名乗るデビッドという男だった。
愛する女性が蔑ろにされて、怒りに身を任せて拳をテーブルに叩きつけながら大声を上げてきた。
「おいお前!愛子が質問しているのだぞ!真面目に答えろ!」
その表情こと、烈火の如く怒りの赤に顔を染めていた。
ハジメ君はとデビッドを一瞥しながらはぁと溜息を吐いた。
呆れしか出てきていないように、僕も横目で見ているが……
「食事中ですよ。行儀よくしないと」
全く相手にされていないことが丸分かりだった。
護衛騎士の隊長という肩書きを持っているデビッドはハジメ君から舐められている態度から、我慢ならないという様子だった。
そして何を言っても言う気はないけど、と明確な答えを返さないハジメ君から矛先を変え、その視線がシアと何故かリチャードに向いた。
「ふんっ、行儀だと?その言葉、そっくりそのまま返してやる!
薄汚い獣風情共を我々人間と同じテーブルに着かせるなど、お前の方が礼儀がなってないな?
せめてその醜い耳と尾を切り落としたらどうだ、少しは人間らしくなるだろう!」
侮蔑を含んだ眼で睨まれたシアとリチャードはビクッと体を震わせた。ただしリチャードは、怒りで震わせている。
亜人に対して侮蔑的な視線を流すのはデビッドだけでなく、
チェイス達他の騎士達も同じような目でシアを見ている。
多分、聖教教会に近しい事柄か経歴を持っているんだろう。
聖教教会は亜人族に対する差別意識が強いと聞いている。
まぁその差別的価値観の発信源がその聖教教会と国なのだから、何とも言えない気持ちになる。
こういうのを地球でも、都市でも見てきたからこそ。
思わず愛子先生が注意をしようとしていたが、その前に僕とユエさんが絶対零度の視線をデビッドに向ける。
冷ややかな視線に対して、デビッドは一瞬たじろいだが、ユエさんにたじろいだ事に怒りを表してくる。
「何だその眼はっ!無礼だぞっ、神殿騎士に逆らうのか!?」
思わず立ち上がったデビッドを、副隊長のチェイスは諌めようと同じく立ち上がろうと腰を上げたがそれよりも早く、ユエさんの言葉が騒然とする程周囲に響き渡った。
「……小さい男」
吐き捨てる様に見える言い方で、そう言葉を残す。
たかが一種族の違い如きで喚き立て、自分に向けられた軽蔑の視線一つだけで怒りに頭を支配される器の小さい男に対しての軽蔑の言葉。
怒りで今にも我を失いそうな、いやもう失いかけていたデビットは遂にその言葉で怒りが爆発した。
「……異教徒が。そこの獣風情共と一緒に地獄へ送ってやる」
無表情で静かに呟き、傍らの剣に手をかけた瞬間。
僕の詠唱破棄の魔法とハジメ君の射撃音がデビットが、背後の壁に叩き付けられた。
まるで骨が折れてそうな鈍い音が〝水妖精の宿〟全体に響き渡る。
デビッドの方は、背後の壁に凄まじい音を立てながら気絶しているのか白目に向いドシャッと崩れ落ちた。
手から放り出されたデビッドの剣が煩い音を立てて床に転がった。そんなハジメ君のドンナーからは煙が昇っていた。
僕とハジメとパーティー以外、今起こった出来事を正しく認識できていないのか固まっていた。
白目を向いて倒れるデビッドに視線が向けられたまま、大きな破裂音に何事かと、フォスがカーテンを開けて飛び込んできた。
その行動が功を奏し、デビッドに向けられていた視線は、破裂音の源へと自然に引き寄せられた。
詳細は分からないが攻撃の主が僕とハジメであると察した騎士達が一斉に剣に手をかけて殺気を放つが、それを返す様に騎士達の殺気とは比べ物にならない凄絶な殺気が、振り下ろされた大槌の様に騎士達に注がれるとずこずこと騎士達は座った。
ハジメ君はドンナーをわざとらしくゴトッ、と音を立てながらテーブルの上に置く。威嚇と、この場所からでも早撃ちは出来るぞという事だろう。
「僕は別にあなた達に興味はありません。関わりたいとも、関わって欲しいとも思ってない。いちいち今までの事とかこれからの事を教えろ、なんて言われても無理です。
ここには依頼で来ただけで、終わればまた目的の為に旅に出ます。その時はさようなら、という事ですよ……
それまで互いに不干渉です。僕の知らない何処で何をしようと勝手ですけど……僕の邪魔だけはしないでくださいね。
今みたいに、僕の目的を邪魔するとなると本気で殺しかねない」
そう眼で問いかけるハジメ君に対して誰も何も言わなかった。
特に視線を向けられるチェイス達護衛騎士は、向けられる圧力に必死に耐えながら、僅かに頷くだけ。
ハジメ君は、続いて愛子先生達にも視線を転じる。
ハジメ君に対して愛子先生は何も言わない。威圧で喋れないのかな?と思ったが、逆に喋った時にハジメ君が何をするかも分からない。黙っておいた方がいいのは正解だろう。
僕とハジメ君がお互い見つめ合うと、もういいかと呟き肩を竦めながら〝威圧〟を解く。
威圧が解けた空気から、騎士達が安堵した様に息を吐き出しながら呼吸を再開した様子を見せている。
「リチャード、手を出さなくてよかったんですか?」
「いや……出そうとも思ったけど、アキラが速かっただけ」
「それはすいません。殴らせても良かったんですよ?」
「いや、今殴るのは戦士としては死体蹴りだから……そんな事はしない」
以前の自分ならやっていたかもしれない、と自嘲気味に乾いた笑みを浮かべるリチャードを見つめながら隣で惚気合うハジメ君を見つめながらリチャードの頭を何故か撫でていた。
……本当に何でだ!?
「あ、ごめん!……いや、わざとじゃなくて」
「……懐かしいな。悪くはないけど」
どうやら怒っている訳ではなかったので、何とか一安心したのも束の間。僕とハジメ君に対して嫉妬の視線が送られていた。
ついさっきまで、下手すれば全員皆殺しにされるのではと錯覚しそうな緊迫感が漂っていたのにも関わらず、男子生徒の一人がまるで抗議の様に呟いていた。
「あれ?不思議だなぁ、さっきまで南雲と相馬のことマジで怖かったんだけど今は殺意しか湧いてこないや……」
「お前もか。つーか、あの五人ヤバイくらい可愛いんですけど、どストライクなんですけど……なのに、目の前でよぉ……」
「南雲の言う通り、何をしていたか何て別にどうでもいい!だが、異世界の女の子と仲良くなる術だけは……聞き出したいよな!お前ら!」
「「へへっ、地獄に行く時は一緒だぞ淳史!」」
嫉妬の炎を滾らせながら、何かの熱い結託をしている男子組を女子生徒達は白々しい目で見ていたが僕はもう何も言わない事にした。突っ込む気力自体、さっきのデビットのせいで無くしかけている。
すると、警戒心と敵意を押し殺した表情で微笑を浮かばせながらハジメ君に問い掛けてきた。
「南雲君……でいいでしょうか?先程は我らの隊長が失礼しました。我々は愛子さんの護衛を務めておりまして、愛子さんに関することになると少々神経質になってしまうのです。もしお許しいただけるのなら、願いたい」
「神経質な性格から異端狩りなんて随分と底が知れてますね」
「……申し訳ない」
僕の発言に対して、頬と眉がピクッと少し反応したチェイスの表情はポーカーフェイスを帯びていた。冷静さはあるが発言に対して不服そうに感じている。
まぁトイチで悪いのは向こうだ、何かやれば次に飛んでくるのはドンナーかシュラークの早撃ちか僕の魔法だろう。
「そのアーティファクト、でしょうか?
その様な物は見た事がないのですが、相当強力な物とお見受けします……矢よりも速く鎧を穿つ程強力でありながら、魔法のように詠唱も陣も必要ないとは。
一体、何処で手に入れたのでしょう?」
どうやら銃に対して興味を持った様だ。確かに、都市の中でもその驚異性は頭も規制を付ける程だ……もしこれを魔人と人間の戦争で使う事が出来るのなら、多くの戦績と結果を残す事は間違いない。
しかしハジメ君の発言するより前に、男子生徒が興奮した様な物言いで発言した。
「そっ、そうだよ南雲!それ銃だろ!?何でそんなもん持ってんだよ!?」
「銃……?玉井はあれが何か知っているのですか?」
「え?ああ、そりゃあ知ってるよ。俺達の世界の武器だからな」
玉井という男子生徒の発言に対して、目を見開きながらハジメに対して目線を向けてくるチェイスの表情は獲物を見付けた様な獣の視線だった。
「ほぅ……つまり、この世界に元々あったアーティファクトではないと、とすると異世界人によって作成されたもの。
なら……作成者は当然」
「僕ですね」モグ
ハジメ君はあっさりと自分が創り出したと吐いた。
チェイスの表情を察するに、この武器の所出をあっさり認めたことに意外と思っている様だが。
「あっさり認めるのですね、南雲君。
その武器が持つ意味を理解しているのですか?それは……」
「この世界の戦争事情を一変させる……とかですか?
量産出来たらの話ですがね?大方言いたいことは作成方法を教えろとかでしょう?
当然、全部却下ですよ。諦めろ」
取り付く暇もないハジメ君の言葉に対して、チェイスは食い下がる。
「ですがそれ量産できればレベルの低い兵達も高い攻撃力を得ることが出来ますよね。そうすれば……いずれ来る戦争でも多くの者を生かし、勝率も大幅に上がることでしょう!
あなたが協力する事で、お友達や先生の助けにもなるのですよ?ならば」
「僕が先生と、クラスメイトだけの為に自分の武器を売ると思いますか?
もし力づくで奪うというのなら……お前の国と騎士団の明日はない」
ハジメ君の静かに送りつけられる、宣戦布告の様な言葉に全身を悪寒に襲われたチェイスはそれ以上の言葉を止めた。
そこへ愛子先生が場を取り持つ様に口を挟んできた。
「チェイスさん。南雲君には南雲君の考えがありますから、私の生徒に無理強いはしないで下さい。
南雲君も、あまり過激な事は言わないで下さい。
それと……南雲君は、本当に戻ってこないつもり何ですか?」
「戻るつもりはないですよ。仕事に出て依頼を果たしたら、早朝にそのままここを出ます」
「どうして……相馬君はっ」
「愛子先生、僕も同じくです。国に戻る気もありません」
そして、僕達はニルシッシルを食べ終えて引き止めようとする愛子先生の言葉を無視しながら席から立ち上がって各々解散となった。
――――――――――――――――――――――――
夜中、深夜を回ったタイミングで僕の目が覚める。
部屋の誰かが入ってきたせいで、フィクサーとしての勘が冴えてしまったのだろう。すぐに枕元にあるニクスを持って相手に対して目を瞑ったまま剣を振り抜く。
「あ、相馬―――君……」
「愛子先生……」チャキッ
僕の部屋に入ってきた侵入者は愛子先生だった。
護衛は何してるんだ?と思ったが、女子達とは部屋が別だったのでここに来れなくても仕方ないか、とため息をつきながら剣を収める。
「何の用ですか?」
「えっと……さっき、南雲君と話してきまして。それで、相馬君とも話をしなければ、いけないと思って」
きゅっ、と覚悟を決めた瞳で僕を見てくる愛子先生の様子を見て、また面倒くさくなると思ったがここで折れる人じゃないよな……と諦めて剣を枕元に置いてベットの余りスペースに愛子先生を座らせた。
「ハジメ君から、私は〝解放者〟の事と……狂った神様の話を聞きました」
「!」
ハジメ君、何してんだ……と心の中で呟きながら「それで?」と言葉を返す。だからなんだってんだ、という僕の意見に対して愛子先生は続ける様に語った。
エヒトと戦う事になる以上、生徒達の事はハジメ君から関わる気はないと言った。しかしもしも、何らかの理由で関わりに行くor関わりに行く人が出てくる時……生徒の為に冷静に判断できる人が必要だと考えた。
それが愛子先生だった。行動が生徒の為、と一貫している愛子先生なら任せてもいいと思ったそうだ。
まぁ生徒関係に任せるのは確かに愛子先生しかいないだろうが、わざわざ愛子先生を巻き込む必要があったのか。
「相馬君も……この世界から〝狂った神〟を何とかする為に、旅を?」
「3割合ってて7割違いますね」
「殆ど合ってないじゃないですか!それなら、何の為に……やっぱり、前世の事ですか!」
「ハジメ君……恨みますよ、流石に。そこまで聞いているのなら尚更聞きに来るあなたの行動に対して怒りを覚えます」
真剣に〝威圧〟を放ちながら、僕は枕元に置いた〝スティグマ〟を持って怒りを目線として送る。愛子先生は少したじろいだものの、まさかの僕に対して目線を逸らすことなく立ち向かってきた。
「先生を恨んでいるのなら、何だって恨んでください!
ですが教師として、一人の大人として相馬君の贖罪は間違っていると言わせてください!」
「……何故?」
「相馬君が人を殺したと聞きました。それも何人の人もです……それが衝動的だったのか、自衛の為なのかは分かりません。ですがっ、例えその様な非行な行為をしていたとしても私の生徒です!」
「だからどうしたんですか?」
それ以上の追求を許さぬ様に、僕が虱潰しに言葉を潰していく。
「相馬君の事を想っている人だっているんです……」
「だとしても、僕の目的は終わりませんし止まりませんよ。僕の命だけで助けられる人がいるのなら……幾らでも散らしますよ。人を救うのは大変なんですから」
「ですが、人を救う為に自分の命だけを散らすのは間違っています!命を散らす以外にも方法があります!」
「例えば、なんですか?」
「えっ……」
理想論だけは語れるだけ語れるだろう。だが、この世界は神の遊びで出来ている以上理想論を叶えさせれる程優しくはないし、都市の様に無慈悲に世界は僕達を淘汰していく。
狂った神から世界を救う為に、僕は自分の命を散らすと同時に僕の背中には多くの骸の山と僕自身の骸が並んでいるのだ。
「命を散らさず、この世界を支配する神と対抗する為に人を救う方法があるのなら……ご教授願いたいですね、愛子先生」
「っ……」
「答えられないという事は、分からないか見つからないだけです。時間をかければ見つかりますが、その時間を掛けている間にどれだけの犠牲が出ると思いますか?そんな時間を掛けている間にも、一人二人四人八人と倍々に犠牲は出ているんです。
その間に命が奪われている人は、きっと恨むでしょう。
僕を呪うと思いますよ。だからこそ、僕は自分の命を散らしてでも人を助けに行きますよ……この先呪われない様に、多くの人の命を神の遊び程度で取られてしまわない様に」
僕の行動を矯正させる為に、こうしてこの部屋に来てくれたのだろうが。
それは寧ろ僕を滾らせる。僕の心に巣食う炎を燃え上がらせるんだ。
「それで、それで……相馬君の人生が終わってしまってもいいんですか!もっと長く生きたいと思わないんですか!?」
「まぁ、思わない事はないですよ」
「それなら―――」
「もっと長く生きれば多くの人を救える機会が増えますよね」
「っ……!」
「残念ですが、先生の言葉では僕の目的は終わりません。ハジメ君に何を言わされたか知りませんが―――僕は説得で止まるような思考をしてないんですよ」
言葉だけで人が救えるのなら、多くを喋り語り合おう。
だがそれでは人を救える訳がない。行動しなければ、何も起きない。
行動しても無駄だったのは、それを良いと思わない者がいるのだ。
しかし行動して阻害された時、それが最も道や未来を切り開ける物であると理解するだろう。
それをされて困る者がいると同時に、人を動かしてしまう様な未来を作り上げている。
僕は犠牲を良しとする訳ではない。出来ればない方がいいし、僕の命も簡単に投げ打てる訳じゃない。
だが
結局動かなければならないのは自分だ、可能性を信じるや希望に縋るだけじゃ世界も人も変わらないんだ。
立ち上がり、恐怖を乗り越える。
それが最も人として生きる史上に大切な物だと思う。
争う事もない方がいい、手を取り合って自分達の得になるのなら幾らだって僕達は手を取り合うだろう。
そうはいかないのが世界だ。
それを上手くいかせないのが神や残響楽団な以上、僕は戦わなくてはならない。
そして〝残響楽団〟が過去からやってくる僕の罪であると言うのなら。
僕は命を懸けて戦おう。それが贖罪となるのなら、世界を救う為の一つの布石になるのなら何処までも何時までも。
「残響楽団の事は聞きましたね?」
「……はい」
「僕が残響楽団の元メンバーであると言う事も、聞きましたか?」
「……はい」
「なら尚更僕を止めないでください」
「止めますよっ!」
「話を聞かないですね……」
「当たり前じゃないですか!私は、相馬君の先生ですよ!?」
「たかが1年もない程共に生きてない人が僕の先生を語って欲しくないですね」
僕が皮肉の様に怒りをこぼす。
先生である、親である、大切な人であると多くの繋がりを引き合いに止めてくるでしょう。
だが……止まれない。いや、止まらない。
「相馬君っ!」
「先生、一つだけ言っておく事がありますね。
僕は例え先生に何と言われようと、この場にはいませんが……両親に何と言われようとも。
止まりません。そして後悔していません。
僕は、助けたいと思ったからその為に命を散らすし行動します。
残響楽団は全て打ち倒し、エヒトも倒す。全部やる訳になりますが……僕は後悔しません。後戻りだってしないですよ。
それで
僕は修羅にも鬼にも、怪物にだって成り果てましょう」
シン、と部屋が静寂に包まれる。
きっと僕のこの覚悟を人はおかしい、狂っていると言うだろう。
僕の考え方はおかしいと思うだろう。
だが、世界はそういうものだ。
信じるも縋るも、結局何もしなければ世界は何も動かない。
好き勝手に世界を動かす様な輩のお陰で、人の命は遊びの様に奪われていく。
世界を作った創世神だから、人の命を遊びで奪っていいのか?
いいや、まさか?
それが許される事はない。そしてそれを許す訳にもいかない。
人は今も生きている。遠くが見えない未来に恐怖を抱いて立ち向かっている。
それを良しとしない、面白くないという
神が、世界が間違いを犯し人を殺し続けるというのならその世界も神も終わらせてみせよう。
それで人が無駄に命を散らさず、多くの人が生きていける未来があるのであれば。
「この世界の神は間違っている、そして神に従える人も間違っているのなら―――神なんて最初からいない方がいい」
そう言い残して、僕は部屋から出ていくのだった。
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