ありふれた烙印で異世界再燃   作:黒霧 氷

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どうか、あなたの物語が見つかりますように。


※Library of ruinaのネタバレを含みます。ご容赦ください。





Ep.30 漆黒の竜/血人形

 

 

 

7m程度の巨躯を、漆黒の龍鱗で全身を覆い尽くした黒い影は……漆黒の竜だった。

背中からは大きな翼が生えていて、それが夜を象徴するように大きく広げられていて僕達に影を作っている。

しかも、何かの魔力がうっすらと見える。魔法が掛けられているように見えるが……何の魔法だ?

 

 

 

「(だが、問題は―――)」

 

 

 

そんな黄金の瞳が空よりハジメ君らを睥睨している中、僕はその漆黒の竜の上に乗る赤黒い血肉に包まれた人形を見つめる。

人形とすぐに分かったのは、ああいうデザインで人形という雑兵を作る〝残響楽団〟のメンバーを知っているから。

人形師〝ゼホン〟。かつて僕と共に図書館との最終決戦を挑んだねじれだ。

彼が作り出す人形は、元の素質には寄るが本人の戦闘力に限りなく力を発揮する。それが血を纏っている……これはプルートが言っていた血鬼である血染めの夜〝エレナ〟の力なのかもしれない。

だが一番に謎なのは……どうやって僕達の居場所を?ユエさんは血鬼の眷属じゃないから有り得ないし……水には恐怖してなかったし……

 

 

「(考えても仕方ない!)ファタールッ、リチャードッ!愛子先生達とテンマさんらを抱えて逃げろ!」

「分かった!」ザッ!

「承知しました!」

 

 

漆黒の竜の存在感とその視線で愛子先生達が硬直してしまっている。その隙を狩られては行けない、動けない愛子先生達とテンマ達に対してファタールとリチャードに叫び動かしてもらう。

そして僕がやれる事は……時間稼ぎ!

 

 

「ハジメ君、黒龍は任せたッ!」ダァッ!

「ああ!」ダンッ!

 

 

 

『ギュゥワァァアッ!!!』

『グ、ギギ……!』

 

 

明らかな異常音が太陽が落ち始める山間に広まり始め、僕はすぐにハジメ君と共に射線上になるであろう愛子先生達の方向に向かい、E.G.Oを発現させながら両翼の盾と〝金剛〟、ディアモンドの盾を前に出して完全防御の姿勢で地面に足を突き刺して歯を噛み締める。

 

 

 

「全員退避しろッ!」

 

 

 

ハジメ君が後ろの逃げていく愛子先生達に警告を発しながら、すぐに防御の姿勢を取りながら〝宝物庫〟から2m程の柩型の大盾を取り出し、義手を突き出して接続、魔力を流して大盾の下部から杭を出現させそれを勢いよく地面に突き刺す。

 

 

 

『ガァァァァァア!!!!!!!!!!』

 

 

 

―――瞬間、竜から極光の如き黒色の竜の息吹が一直線に放たれた。音すら置き去りにして一瞬で僕達に迫り来る光が、轟音と共に衝撃と熱波を撒き散らしながら地面や木々を融解させ貫かんと押し通してくる。

 

 

 

「ぐっ……!!」

「うぉぉぉっ……!!!!!」

 

 

 

気迫を込めた雄叫びを出しながら、ブレスの威力に抗う。流石にブレスを撃たせているのに夢中で血人形は動けない様だ。

〝金剛〟を使いながら、絶対にここを通させないという意志を強く込める。

この先を通せば、ファタール達や愛子先生達を巻き込んで全員が死ぬ。

それだけは、止めなければならない!

だからこそ絶対に……この先まで届かせない!

場を固定の為に足を突き刺したのが、段々と地面を融解させていくブレスで浮き始める。〝誓約〟でステータスを一時的に封じられた僕の身体能力では浮き上がってしまうが、僕はすぐさまナハトを自分の足に突き刺した。そして奥深くまで、地面にナハトを突き刺す。

痛みに絶叫が口から零れそうになっても、絶対に足から手を離さない。ハジメ君もスパイクを錬成して地面から離れない様にしている。

ブレスは未だに続いているし、周囲にあった川の流れる水は土や石も含めて蒸発、遠くのものでさえ吹き飛ばされている。ひどい有様であるのは間違いない。

そして……ブレスの直撃を受けて、暫くが経った瞬間だった。

 

 

「〝禍天〟」

「〝重力〟」

 

 

 

その魔法が詠唱された瞬間、黒竜の頭上に直径四メートル程の黒く渦巻く球体が現れ……見るだけで目を惹かれる暗黒色の球体は直後、落下した瞬間に血人形と黒竜を踏み潰さんと時点に叩き付けた。

 

 

 

『グゥォルルルルァァッ…!?』

『グギ……ガ……!?』

 

 

 

豪音と共に地べたに這い蹲らされた黒竜に対して、炎を纏った僕がすぐに回復をハジメ君に施す。

衝撃に悲鳴を上げながらブレスを中断した隙が、今の癒しの時間を与える。漆黒の球体が尚消えることなく、黒竜に凄絶な圧力をかけ地面に陥没させていく。

そしてそれは、血人形にも。崩れていく血人形の身体はより地面に沈み込む。

 

 

 

「アキラ!」

「!リチャード」

「足に剣刺さってる…無茶したね?」ザシュ

「すいません…止まる訳にはいかなかったので」

 

 

ファタールの魔法の精巧さと圧倒的魔力から放たれるユエさんの重力魔法。最早動ける他はないが……押し潰したところでこいつらが倒れるとは思えない。

地面に磔にされた黒竜が苦渋に悶えながら、四肢を踏ん張り何とか襲いかかる重力に対して逃れようと身体を動かした瞬間、直後天からウサミミと虎の尾をなびかせながら雄叫び上げるシアと、僕の横を過ぎ去ったリチャードによる攻撃がドリュッケンと共に降り落ちた。火薬の撃発の様な音と共に、重力魔法でより重くなった鉤爪と大鎚の一撃が黒竜の頭に……直撃する筈だった。

しかしドリュッケンは当たったものの、最後のトドメと言わんばかりに振り下ろされた鉤爪は鮮血の槍によって防がれた。血人形の槍だった。

 

 

 

『ギ……ギギ……!』

『グルルルァァァッ!』

 

 

 

黒竜の咆哮と共に、ドリュッケンの一撃に対抗しながら火炎弾を放ってきた。ユエさんが咄嗟に重力魔法で右に『落ちる』事で緊急回避。だが、代わりに重力球の魔法が解けて霧散したタイミングで、血人形もすぐさまリチャードに対して攻撃を仕掛けてくる。

その攻撃に対して、すぐさま僕の身体が〝縮地〟を使って血人形が振るわんとしていた血の槍を受け止める。

硬くて、何よりも重い。しかも……受け流すように力が流れていく。

 

 

 

「ぐっ……!」

『ギ……ググ……』ガァンッ!

「ハジメ、君!僕がこいつを倒すから、黒竜は任せ、たっ!」

「ああ!」

 

 

 

その声と共に、ファタールの展開した『転移魔法』で僕と血人形は山の向こうに向こうに飛ばされた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

すぐさま転移された瞬間に〝ニクス〟〝スティグマ〟の二刀流の攻撃がぶつかり合いながら、血人形は後ろに下がりながら僕に目のない視線を送ってくる。

……ゼホンさんの『人形』の事は僕もよく分かっていないが、プルートの記憶を辿る事でほんの少しだけ理解している。

人形は基本、生前に『人形』のベースになった存在の死体の特性を引き継ぐという事。

遠く離れていても、ゼホンの命令に従い攻撃してくる事。

 

 

 

「だからどうしたって話だが!〝禍剣〟!」ザンッ!

『ギ、ググッ……!』フォンッ!

 

 

血人形の鮮血の槍と、僕の二本の剣が金属音を鳴らしながら一気に鍔迫り合いを繰り広げた。しかしすぐさま、ニクスをぶつけながらスティグマを離し、何度も何度も打ち付けるように刀身を叩き付け―――血の槍が爆発した!

 

 

『ギギ…ガッ!?』

 

「(烙印の効果が血にも反応出来ることが知れたらそれでも美味しい!)〝禍剣〟〝水剣〟!」

 

 

重力を帯びて極限まで重量化されたニクスと、水を帯びたスティグマの剣戟を交互に血人形に振り抜く。特に、水剣に対して血人形は絶対に触れたくないのかとにかく避けまくる。重量化されたニクスに関してはあまり刺さっていない……決めれる時に使った方がいいな、これは。

 

 

『ギギ……ググッ!』バサッ!

 

 

しかし、攻撃の苛烈さが血人形の不利さを感じたのか血の翼を展開して空に逃げていく血人形。

 

 

「……そして、この激情と共に。

お前との戦いに、決着を付けてやる!」ゴォッ……!

 

 

E.G.Oが変質し、ゆっくりと両翼から片翼に切り替わる。

しかし蜜蝋の翼ではなく、代わりにより己の身を守る鎧が凝固になる。

これは新しく覚えたスキルである『片翼之鎧』の能力であり、僕のE.G.Oを変質させるという新たな力。

スキルがこうして僕のE.G.Oに関与するのは、『翼之盾』の時からではあったが……まさかここまで影響を及ぼすとは。

しかも、片翼の姿では滑空は出来ても空は飛べない。

だが……

 

 

 

「〝禍歩〟」

 

 

 

ならば上に、()()()()()

ハジメ君も持っている〝天歩〟や〝空力〟を使えば飛べるがあれは魔力を消費してしまう……魔剣士にとって魔力は命だ、そう易々と使ってはいけない。

だが重力魔法は燃費がいい。落ちながら方向を変える時の魔力の消費は天歩や空力を使う時の差異ではない。

 

 

『ギギ……!?』

 

「〝煌燃剣〟!」ザンッ!

 

 

血人形に向かって高速で〝落ちていく〟僕に対して、すぐに対処できず肩に一撃を与える事が出来たがすぐに修復されていく。ただの水剣では上手くいかないらしい。

しかし僕も、ユエさんのような上級魔法をドンドン打ち込める訳ではない。だが魔法剣に関しては、ユエさんよりも素質も強さも持っている!

 

 

「〝水剣〟をより強化させ……流水へ!」

 

 

『!』

 

 

「〝煌燃剣〟っ、〝流水剣〟!」フォンッ!

 

 

血鬼に燃える炎が有効である事は分かる、邪魔な血は蒸発させてしまえばいいし……血しか操れないのなら余計な物を混ぜればいい!

片翼で滑空しながら、魔法剣の連撃を血人形の手足に撃ち込みながら斬り尽くす。

まだ、まだ……!

 

 

『ギ、ギギギギ……!』グググ……!

 

 

「(何かの予備動作か!)」サッ!

 

 

『ギィヤァァァァッッッッ!』バキィッ!

 

 

血人形が血の槍を放棄し、身体を掻きむしりながら叫び声の様な声を上げる。すると身体から、まるで生物のものとは思えない謎の牙か触手のようなものが生え出した。

その牙が、こちらを捉えて一気に迫り来る。更に血人形さえも。

 

 

「(これを動かしながら血人形も動かせるのか!?どんな操作能力をしているんだ!)くそっ!」

 

 

水の斬撃を放ちながら、距離を取るように着地する。間違いなく空中戦は360度を取られてしまう。完全に囲まれた時、それは僕自身の死を意味する……一回くらいは死ねるが無理はしない方がいい。

 

 

『ギ……グギギ……!』ゴォッ!!

 

 

「っ!?」ザッ!

 

 

着地の隙を刈り取るように迫り来る血人形の触手を〝瞬光〟で加速して数と方向を記憶しながらスティグマとナハトを振り払い触手を切り飛ばしながら前へと進んでいく。どうやら決定打には届かない。触手攻撃は時間稼ぎだ!

 

 

「〝茜示剣〟!」

『ギ……ィッ……!』

 

 

血人形が触手を一点に掻き集めた腕を〝茜示剣〟とぶつけ、それが『烙印付与』の効果で一瞬に灼熱の爆発に巻き込まれて蒸発した。

しかし血人形の再生能力は桁違いで、僕が攻撃を放ったとしても数十秒で再生させてしまった。

どうやら一撃かつ、『全体』で仕留めなければならないそうだ。

 

 

「そういう事か……」

 

 

そして、ガード主体の〝片翼之鎧〟から元の〝翔明の騎士〟の姿に戻る。

今度は守りの形態を捨て、攻めの形態に変える。

ハジメ君に教えてもらった『ファンネル』とやらを再現する時が来た。

 

 

「白光之剣」

 

 

攻めの形態では、蜜蝋の羽がまるで剣の様に翼から外れ、生まれ変わり空を駆け回る。

操作に難アリだが攻めの手数を増やすと同時に、飛行を〝禍歩〟に任せE.G.Oとしての性能を完全に攻めに押し出す形に生まれ変わった。

ハジメ君が『凄い!〇ンダム種の〇ラグーン・システムじゃん!』と言っていたけど……僕にはよく分からなかった。

だがハジメ君の説明で言うには、敵を感知して射撃攻撃や切断攻撃を放つという特徴……応用できると思った。

 

 

「来い、血鬼!」

 

『ギギギィッ!』

 

 

血人形の突撃と共に、スティグマとナハトを構えて一気に突撃する。血人形の攻撃の素振りの瞬間に、蜜蝋の羽が血人形の片腕を小型版『煌燃剣』を放ち片腕を蒸発させた。

 

 

『ギィッ……!?』

 

「一閃!」ザンッ!

 

『ギガッ……!』

 

 

すぐに再生していく肉体に後押しするように、蜜蝋の翼が再生部分を『煌燃剣』を放ち焼き払う。そして再生を別方向に誘導するように僕が剣でこいつの様々な部分を切り飛ばしていく。

最初こそ余裕だった再生が間に合わず、どんどんと崩壊していく血人形。

ここからが正念場だ。相手はエレナとゼホン、油断しちゃいけない!

 

 

『ギギャァッ!』バリィッ!

 

 

肉体から大量の触手を出して蜜蝋の羽を掴み壊そうとするも、蜜蝋の羽が『煌燃剣』を全身から放ちながら焼き払い関節部分を次々と肉体を穿ち斬っていく。

 

 

「……日の出を見る者の祈りと共に、雲に隠れよ」

 

 

『ギィッ……!?ギギャ……!』ゴワァッ!

 

 

詠唱をしている事を理解したのか、すぐさま詠唱を中断させようと触手を僕の方向に無数に飛ばして迫ってくるが全て蜜蝋の羽の攻撃によって阻害され、触手は僕の元に届くことはなかった。

 

 

「日没を見る者の言葉と共に、海から離れよ」

 

 

『ギィッ…………!』ダァッ!

 

そして、止められないと悟ったのかすぐに黒龍と合流しようと血人形は血の翼を生やして飛び立とうとした時……

蜜蝋の羽がその翼から『煌炎剣』を杭のように血人形に突き刺さって、血人形は母なる大地に戻ってきた。

 

 

『ギ……ギ…………』

 

 

「〝極情灼炎(グルートゲフェール)〟……!」

 

 

灼炎の光のような大剣を掴んだ僕を見つめてくる血人形に、無慈悲にも大剣を振り下ろした。

ブチッと何かが潰れるような音が聞こえたが、それも血を焼くような音と共に全て聞こえなくなり、土の焼け焦げた跡しか残らなかった。

 

 

 

「……よし、再生はしてこないな。念の為にもう少しだけ待ってハジメ君と合流しないと。。」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『ガァァァァッ!』

 

「くっ……!」

 

 

一方ハジメの方は、非常に危険な立ち回りを強いられていた。

一瞬だか首を動かして〝瞬光〟で確認する愛子先生達の様子を見ながら、そちらに攻撃を飛ばさせないように常に全身の毛を逆立たせて目立たせないといけないくらいには……いや、流石にそれは出来ないが。

 

 

 

『グルァァァァァア!!!!!!』

「うるさいんだよなぁその咆哮!とっととくだばってくれると嬉しいんだけど!」

 

 

 

ユエやシアは相手側の本命である愛子達につけてるし、更に保険としてファタールやリチャードもいる。

故に愛子達に危険はない……ない筈だが。

どうにもこの一件に、魔人とは別の『思惑』がある……そう直感が告げているのだ。

だからこそ油断出来ない。だからこそ……絶対に目を離せない。

 

 

「ふっ!」ドパァンッ!

 

『ガァァァァッ!?』

 

「もう一、回!」ドゴォッ!

 

 

アザンチウム性の拳でぶん殴り、思い切り吹っ飛んでいく黒龍。しかし吹っ飛んだ瞬間に口元の中に光が紛れている事を察知したハジメの直感が功を奏してすぐに回避行動を取ると、山々の木々を蹂躙するようにブレスが地面から天空まで薙ぎ払われた。

圧倒的な破壊力と、森の木々を灰燼にしてしまうその火力はかつて相対した『ヒュドラ』以上のものであった。

しかしこの恐ろしさを前にしても、ドンナーの弾丸をリロードして隙を伺う。

 

 

「(もう少し隙が出来れば、こいつをぶっ飛ばせるのに!)」

 

 

『ガァァァァッ!』ドガァッ!

 

しかし、瞬光が切れてしまい思考加速が追い付かずに回避行動を取れないハジメ。

間違いなく吹き飛び、その内に愛子先生達が狙われてしまう……

 

 

「まず―――」

 

 

流石のハジメも、これまでかと思った瞬間だった。

 

 

「ハジメぇええええええええ!」ゴォッ!!

 

 

「アキラ!?」

 

 

〝片翼之鎧〟の状態で完全防御姿勢で黒龍のブレスを防ぎながら反動を〝ナハト〟〝スティグマ〟を地面に突き刺して耐え抜いた。

そして爆炎から生じる煙から出てきたのは、数々の蜜蝋の白い羽がまるで動く鳥の様に飛来してビームのような『魔法剣』を放ち黒龍に連撃を与えるアキラの姿だった。

 

 

『グォァァァァッ!』ガァッ!

 

「『煌燃剣』!」ガンッ!

 

 

黒龍の鉤爪と〝スティグマ〟がぶつかり合いながら乱撃で黒龍を切り刻んでいくアキラ。しかしアキラの体力も無限ではなく、ゆっくりと血人形戦の疲労が襲いに来る。

しかし……彼には最も頼れる相棒がいる。

 

 

「やっと隙を出してくれて、ありがとう!」ドパァンッ!

 

 

『!ガァァァァァァァア!?』ジュゥッ……

 

 

黒龍の両翼を赤黒い閃光が貫き、その主であるハジメはすぐさま自身の義腕の武装をパイルバンカーに変換させる。

この瞬間である。黒竜の背後を取れたハジメにとっての最高の絶好のタイミング。

背後を取られた事に気が付いた黒龍はすぐに、空に飛び上がろうと翼を再生させようとするが、アキラの蜜蝋の羽によって再生する翼の根元を直に『烙印』と『極炎』が焼き焦がしながら魔力切れ、E.G.O解除まで追い込まれるまで再生を阻害した。

そして飛ぼうと思っても飛べない黒竜はジャンプするも、超々遠距離から放たれるファタールの魔法によって地面に落とされていく。

そしてハジメは、落ちてくる黒龍の尾の付け根の部分にパイルバンカーに魔力を込めて完全に起動。杭はもう準備万端だった。

アキラが、ハジメのやろうとしている事を察したのか頬を引き攣らせていたが……こればかりは荒らしに荒らされたハジメが納得いっていない。これはもう逃げられなかった。

鱗を割り、肉を裂き、骨を砕いて命を絶ってやる!そう言わんばかりに……ハジメの容赦のなさにアキラ以が戦慄の表情を浮かべながら……思いっきり尾の付け根からパイルバンカーの杭が射出。奥深くまで突き刺さった。

 

 

 

 

〝ぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!なのじゃああああぁぁぁぁあッ!!!?〟

 

 

 

くわっと目を見開いた黒龍が悲痛な絶叫を上げて謎の女の声を上げながらジタバタと子供の様に悶えようとしていた。いや、悶えようとしていても悶えれなかった。何故ならもう半分くらい突き刺さったパイルバンカーの杭が更に奥深くまで到達しかねないからだ。

 

 

 

〝お尻がぁ……妾のお尻がぁ……!!!〟

 

 

 

黒龍の悲痛で切なそうな、それでいて何処か興奮したような声音にアキラに「えっ……な、なんだいこれ……?」と度肝を抜かれるもハジメは特に答えを出せず、黒竜を凝視したまま硬直していた。

 

 

 

どうやら、ただのドラゴンではない事だけがハジメの頭の中に浮かび上がっていた単語だった。

 

 

 






スキル解説/白光之剣


E.G.Oを変質させるスキル。〝片翼之鎧〟とは対比の攻めの型に移り変わる。
自身の蜜蝋の翼を羽の剣として相手に無意識下で攻撃することができる。意識すれば更に細かい攻撃も可能。
一度に五つしか操作できないが、鍛錬次第によっては12個を操作して軌道を乱雑にした魔法発動(もちろん詠唱破棄)を発動可能。
ハジメからその軌道っぷりを「ガンダムSEEDのドラグーン・システムじゃん!」と言われてしまい、その話を聞いて具体的な稼働案や攻撃方法を開発。アキラのスキルであるのにハジメが作った様になってしまった。


モチーフはもちろんガンダムSEEDのドラグーン・システム。もといビットことファンネル。



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フィリップ君のヒロイン、誰にするか?

  • 八重樫雫
  • 園部優花
  • その他原作組女子
  • 都市の女性組
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