ありふれた烙印で異世界再燃   作:黒霧 氷

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どうか、あなたの物語が見つかりますように。






Ep.31 竜人族/立ち込める暗雲

 

 

 

 

〝ぬ……抜いてたもぉ……お尻のそれ抜いてたもぉ〜……〟

 

 

 

北の山脈地帯の川原エリアに、薙ぎ倒された木々と焼け焦げた地面の痕を残してくれた黒龍から……何とも情けない声が響いていた。おそらく声質は女性であった。ねじれ……かと思ったがそういうものではない。直接声を出している訳ではないのか口は痛そうにあぐあぐしていた。広範囲版の念話だろうか?それとも念話の上位系統のスキル……とか。

まぁ、龍が人の言葉を話すのは今はどうでもいいのだ。

トータスの一般的な認識でも、人の言語を解する魔物など唯一の例外を含めても極小数……というのも今はどうでもいいのだ。

 

 

「……もしかして、あの人竜人族なのかな?」

「恐らくですが……そこの所どうなんですが黒龍さん」

 

 

 〝むぉぉ……う、うむっ……いかにもじゃっ……。妾は誇り高き竜人族の一人なのじゃ。これでも偉いんじゃぞ?このナリで凄いんじゃぞ?だからその、いい加減妾のお尻のそれ抜いて欲しいんじゃが、というかそろそろ魔力が切れそうなのじゃ!この状態で元に戻ったら……大変なことになるのじゃ、妾のお尻と身体が〟

 

 

「本当だったのか、竜人族の話は……」

「結構驚きですよね。そんな誇り高き竜人族がなんでこんな所に?」

 

 

僕がまさかの出会いに頭の中で押し問答している間に、ハジメ君が黒龍に質問を始めた。多分ハジメ君としては知りたい事が別にあるだろう。

王宮の図書館で確認した内容だが、本来竜人族は古代の種族だ。地球で言う今も生きているオウムガイみたいな感じだ。 何百年も生きてきたユエさんや、恐らく先祖返りの可能性があるとハジメ君から聞いたシアさんも含めると色々考えられる可能性はあった。

ハジメ君が使った各武装にも耐え、更に烙印の爆撃も強いダメージになっていないとなれば高難易度の大迷宮から魔物が逃げ出したか、魔王軍の保有する最高戦力か、古代の種族の三つ巴のうちいずれかなのかはすぐに気付けただろう。

 

 

 

〝い、いやっそんなことよりお尻のそれを頼めんかっ、魔力残量がもうほとんど…ってアッや、止めるのじゃ!ツンツンはダメじゃぁっ!刺激がぁっ、刺激がぁっ~!〟

 

 

 

ハジメ君の質問を無視して自分の要望を伝える黒竜に、ハジメは「すいませーん、質問に答えていただきたいんですがー」と政治家に質問を大量に投げかける記者のような態度で黒龍の付け根にぶっ刺した杭を拳でガンガンとノックしている。直接体の内側に衝撃が伝わったのか、悲鳴を上げて身悶える黒龍の姿は出会った当初の死神、または死の概念の様な存在感を微塵も見受けられなくなっていた。

 

 

 

「文献では滅んでるって言われてる竜人族が一介の冒険者なんぞ襲っていたのかが謎なんですよね。本来ならこのまま尻から杭を脳天までぶち破ってやるつもりなんですけど、話を聞く間くらいは猶予を作ってあげてるんですよ?ささ、吐いてもらいましょう」ゴゴゴゴゴ……

「ハジメ君、君の後ろから修羅が見えるんだけど……」

「え?気の所為だと思うけど……」

「……疲れてるんだろうな」

 

 

こめかみに指を当てながらきっと幻覚だと割り切った。本気で見えたけど気のせいだったみたい。

それにしても、伝説の竜人族が文献と見合わない行動をしているのは本当だった。だからこそ、本来自分達の道を妨げる敵には一切容赦はしない僕達だからこそ少し猶予を持って話を聞き出そうとしている。

こうして杭をぐりぐると五臓六腑ごと掻き回そうとしているハジメ君はそろそろ答えてほしそうにしているが。

 

 

〝ああっ、くっ、ぐりぐりはらめなのじゃぁっ~!はっ、話すからぁっ!〟

 

「よろしい」スン

 

〝わ、妾は操られておったのじゃ……信じて貰えぬかもしれんが、お主等を襲ったのも本意ではない。仮初の主……ある男にお主が助けていた青年と仲間達を見つけて殺せと命じられたのじゃ〟

 

「……」

 

 

そう述べる黒龍の視線は、今下山しているであろうウィルに向けられていた。竜人族の肉体能力であれば例え遠くに逃げようとも視認ができる事実に背中が少しゾッとするが、ハジメ君は更に話を促していく。

 

 

「どういうことですか?」

 

 

〝うむ、順番に話す。妾は……〟

 

 

 

そこから黒龍はそれなりにまぁ長い話をしてくれた。

 

 

この黒竜は、ある目的の為竜人族の隠れ里を飛び出して来たそうだ。その目的とは……僕達異世界からの来訪者について調べるというものだった。詳細は省かれた(恐らく話したくない、話せないのか話せばこのまま貫かれかねないのか)が、竜人族の中には魔力感知に優れた者がいるのか、数ヶ月前に大魔力の放出と何かがこの世界にやって来たことを感知したらしい。

確かに僕達はあのイシュタルが『我々の何十倍にも優れた魔力を持っている』と言っていたので、ここに来たばかりのハジメ君でもそこら辺の一般人よりかは超越した魔力を持っていたのだろう。しかもそれが一点に大量に存在するとなれば……確かに驚くのも無理はない。

 

竜人族は表舞台には関わらないという種族の掟があるらしく、この件が起こるまでは特に表舞台に関わることはなかった。

しかし、この未知の塊である僕達異世界の来訪者の件を何も知らないまま放置するのは竜人族にとっても不味いのではないかと議論の末、遂に調査の決定がなされた。

 

目の前の黒龍は、その調査の目的で集落から出てきた。

本来なら山脈を越えた後、人型で市井に紛れ込んで竜人族であることを隠して情報収集に励むつもりだった……そう、本来なら。

しかしここに来るのに体力を使ったのか、万が一に備えて到着前に一度しっかり休息を取るためにこの一つ目の山脈と二つ目の山脈の麓であるここで休んでいたらしい。もちろん周囲には魔物もいるので竜人族の代名詞たる固有魔法〝竜化〟というもので竜になってから。(この時初めて知ったが、どうやら僕が知ってる龍とこの世界で言う竜は姿形が違うらしい。ハジメ君が言うにはドラゴンと龍という違いだそうだ)

 

関係ない話を交えてしまったが、そんな休んでいた黒龍元い黒竜は睡眠状態に入った自身の前に一人の黒いローブを頭からすっぽりと被った男が現れたそうだ。その男は名前を名乗ることもなく、眠る黒竜に洗脳や暗示などの闇系魔法を多用して徐々にその思考と精神を侵食させていった。

 

当然そんな事をされれば起きて反撃するのが普通である。

だが、ここで竜人族の問題点が出てしまったそうだ。

ハジメ君が知っていた、諺の元にもなった「竜化して睡眠状態に入った竜人族はまず起きない」というもの。

それこそ尾……尻を蹴り飛ばされでもしない限り。

それでも、竜人族は精神力もそうだが肉体面も強靭なタフネスを誇るので、そう簡単に操られたりはしないという。

 

では、何故ああも完全に操られてしまったのか。

それは……

 

 

〝恐ろしい男じゃった……闇系統の魔法に関しては天才と言っていいレベルじゃろう。そんな男が妾一体に丸一日かけて間断なく魔法を行使されたのじゃ。

いくら妾と言えど、流石に耐えられんかった……〟

 

 

まるで「まさかここまでとは……」と言った感じで悲痛そうな声を上げる黒竜の姿は、確かに油断していたのもあるが圧倒的な相手の技量に負けた事に屈辱的な反応だった。

 

 

「理屈は分かりましたが、相手の姿や名前を見ていないのが悔やまれますね」

「確かにね。でもまぁ聞きたい事は聞けたかな…では、一応情報交換くらいはしておきましょう」

 

 

 

そうして、ハジメ君と僕は黒竜に対して諸々の事情を説明した。

すると黒竜が懺悔するように、声音に罪悪感を含ませながら己の言葉を紡いだ。

 

 

 

〝操られていたとはいえ……妾が罪なき人々の尊き命を奪いかねなかったのは事実であるな。償えと言うのなら、妾が全てを背負おう。だが、その責任を負うのに今しばらく猶予をくれまいか。せめてあの危険な男を止めるまで、じゃ。

あの男は魔物の大群を作り、何かを企んでおる。竜人族は大陸の事件等には干渉しないという掟があるにしても、今回は妾が乗っ取られてしまうような事件が起きた。偶然が噛み合ったとはいえ、放置はできんのじゃ。

勝手は重々承知しておるが……どうかこの場は見逃してくれんか〟

 

 

 

黒竜の言葉を聞き、僕とハジメ君はお互いの思考を〝念話〟で飛ばしながら会話を始める。

 

 

「(どうする?ハジメ君)」

「(うーん、実際僕の邪魔をしたしこうして時間を取られたのは事実なんだよな……というか、こいつは例の血人形に対して特に何も言わなかったよね。それを加味しても怪し過ぎるし僕を……殺すという判断を取るつもりだけど)」

 

 

そうして、ハジメ君は黒竜の方に視線を向ける。

もしかして殺されてしまうのか?と思った黒竜は動揺して震え始めた。

 

 

〝ままま、待つのじゃー!お、お主、今の話の流れで問答無用に止めを刺すとかそんな訳じゃないじゃろうな!?!頼む、詫びなら必ずするから!事が終われば好きにしてくれて構わんから!だから今しばらくの猶予をぉ!後生じゃ!〟

 

 

黒竜の情けない声の本気の命乞いを聞くことになるとは思わなかった。そういえば、都市でも命乞いをするような人間がいるのは確かだがこういう相手に命乞いをすると大体失敗するのはよく理解している。

強者は自分の命が危うくなるような存在を活かしたりしない。最後の最後でも油断せずに芽を摘むだろう。

ハジメ君の視線はしっかりと黒竜の方の頭と心臓を捉えていた。だが……

 

 

「本当に、それでいいのかな」

 

 

僕が割って入った。

 

 

「え?いや、僕達の道を遮ったし殺そうとしてきたんだよ?目には目を、歯には歯をだよ」

「でも、敵じゃないと思うんだ。甘いって君は言うかもしれないけど、彼女は殺意も悪意も向けなかった。ただ向けてきたのは、操っていた男の目的であろうウィル達と死の境界のメンバー達を仕留めねばという強迫観念だよ」

 

 

確かにハジメ君は容赦がない。ハジメ君のこの世界の生き方というポリシーとしては「自分達の目的の為に道を阻む存在は例え敵味方関係なく殺す」というものだった。

思想が魔王じみていると言われてしまうかもしれないが、これでも温情である。

 

 

「……」

「それに、僕はこの竜を殺すべきではないと思っている。この黒竜クラスを使役出来るのなら、他の強い存在を使役出来てもおかしくない……

僕達が本気を出せば確かに、全て敵を倒せるかもしれないが味方が取り込まれた時は話が別になるだろう。

ならこの竜も、戦力に取り入れた方がいいと思うんだ。

黒竜の一方的な殺害で、竜の逆鱗に触れて多くの人を失う様な悲劇を作る前に」

「……!」

 

 

僕の発言に対して、ハジメ君がハッとした様な表情を浮かべながら黒竜の時の話を思い出し始める。

人間に化ける様な存在であり、しかも相手は僕達を相手しても普通に耐久自体が出来ていた相手。

そんな相手が竜人族の中で位が高いのか、低いのかなんて分からない。ハジメ君の一方的な考えで「この世界の人間を根絶やしにしてやる」と怒りを買われてもおかしくない。

つまりそれは―――僕との思想の決別を意味する。

僕はこの異世界の人達を、なるべく犠牲を出さずに『救いたい』。

そこに犠牲を生み出すような出来事がハジメ君から起こってしまえば、僕はきっとハジメ君とぶつかるだろう。

この異世界に来た上で、僕は元の世界に未練はない。だからこそこの異世界での神からの解放に手を貸している。

しかし異世界から元の世界に帰還する為にハジメ君があれやこれやと自分の目的を阻害する敵を撃ち殺してしまえば今度はハジメ君が第2の世界の敵になる可能性が高い。

だからこそ……僕は改めて『釘』を刺す。

ハジメ君が僕と対立し、お互いに前に立ち塞がらないように。

 

 

〝な、なんじゃこの空気……妾はどうなってしまうのじゃ……〟

 

 

緊迫した空気の中、黒竜が困惑しながら身震いしている時……

木々を蹴るような音が聞こえ、すぐに僕が剣を抜剣して振り抜こうとした。

 

 

「アキラ!」

「リチャード!?」

 

 

そこには、息を切らした姿でこちらに来ていたリチャードだった。

 

 

「危ないじゃないか!それに、ファタールを置いてくるなんて……」

「嫌な予感がする!シアもそれを察知してたから、すぐに知らせなきゃって!」

「な…………分かった、だがちょっと待って欲しい」

「うん……」

 

 

ついカッとなってしまったが、一旦落ち着きを取り戻して合理的な返事を送るとリチャードさんも一呼吸おいて落ち着いた。

 

 

「らしいけど、黒竜に心当たりはある?」

 

〝うむ、本当に話さなきゃならぬのは間違いないのじゃが取り敢えずお尻の杭だけでも抜いてくれんかの?

このままでは妾、どっちにしろ死んでしまうのじゃ〟

 

「え?なんで?」

 

〝竜化状態で受けた様な状態は元の竜人の姿に戻ったとき、そのまま肉体に反映されるのじゃ。想像してみるのだ……女の尻にその杭が刺さっている光景を。妾が生きていられると思うかの?〟

 

「う、うわぁ……」

 

〝でじゃ、その竜化は魔力で維持しておるんじゃがもう魔力が尽きてしまう。あと一分ももたないかもしれぬ……新しい世界が開けたのは悪くないのじゃが、流石にそんな方法で死ぬのは許して欲しいのう……後生じゃから抜いてたもぉ!もう無理じゃあ!〟

 

 

ハジメ君は少しの考えの後、遠くにいるであろうユエ達の方向を見つめながら少しのため息のあと、空いている方の手で黒竜の尻に刺さっている杭を掴むと力を込めて引き抜いていく。

 

 

〝はぁあん!?ゆ、ゆっくり頼むのじゃ……まだ慣れておらっ、あふぅうん……やぁっ、激しいのじゃ!こんな、ああんっ!きちゃううっ、何かきちゃうのじゃ~!〟

 

 

「うるさいな……」キリキリ

 

 

本来なら脳天を貫く予定で刺したせいか、みっちり刺さっているので何度か捻りを加えたり上下左右に弄り回しながら力を相当込めて引き抜いていくと、何故か黒竜が物凄く艶のある声音で喘ぎ始める。どうしてこんなものを聞かなければならないのだろうか。

尚ハジメ君はその声の一切を無視して容赦なく抉るようにズボッと引き抜いた。

 

 

 

〝あひぃいっ〜〜〜!!?

す、すごいのじゃぁ……優しくってお願いしたのに、容赦のかけらもなかったのじゃぁ……こんなの初めて……っ〟

 

 

 

なんだか訳の分からない事を呟く黒竜の周りに直後、黒色の魔力で繭のように包み完全に体を覆い尽くした。その光景にリチャードは鉤爪を、僕も剣を構えたがその繭の大きさをスルスルと小さくなっていく。そして、いい感じに人が一人入るくらいの大きさに変わると繭を包み込んでいた魔力が霧散した。

そこにいたのは……両足を揃えて崩れ落ちた姿で、片手で体を支え、もう片手でお尻を押さえてうっとりと頬を染める黒髪金眼の美女がいた。

腰まである長く艶やかなストレートの黒髪は日本人を彷彿とさせているものの、薄らと紅く染まった頬、はぁはぁと荒い息を吐いて恍惚の表情を浮かべている姿は僕と同じ日本人に似て欲しくなかったという心境だ。

 

 

「はぁっ、はぁ……むぅ、助かったのじゃ。

まだお尻に違和感があるが、それより全身あちこち痛いのじゃ……まさかビリビリとくる痛みというものがここまで甘美なものとはっ」

 

「それはいいから」

 

「う、うむ……まず、面倒をかけた。本当に申し訳ない。妾の名はティオ・クラルス。最後の竜人族クラルス族の一人じゃ」

 

 

ティオ・クラルスさん……通称ティオさんが次に、黒ローブの男が魔物を洗脳して大群を作り出し町を襲う気であると語った。その数は、既に三千から四千に届く程の数だという。何でも、二つ目の山脈の向こう側から、魔物の群れの主にのみ洗脳を施すことで、効率よく群れを配下に置いているのだとか。

 

 

「そこまで魔物を扱いこなせるのなら、魔人側の仕業じゃないの?」

「いや、妾が見たのは黒髪黒目の人間族じゃ。まだ少年くらいの年齢の様に見えたからのう……それに、妾を配下に置いた時に『これで自分は勇者を越えた』とか言っておったのじゃ。恐らく勇者側の人間じゃろうな」

 

 

何とも愛子先生がショックを受けそうな情報であった。

確か闇術師で、黒髪黒目は間違いなく清水君だろう。

となれば魔人に唆されたというのが考えるオチだが……

何か違う気がする。魔人のバックボーンにゼホンとエレナがいると考えればいいのか?

エレナさんは血鬼としての衝動がある上、それを人間で収めなければならない都合上(同族同士の血は不味かったとユエさんに聞いた事が)、魔人に協力する理由としたらエヒトの『面白いから』という所か?

……もしそうなら、本当にイカれているとしか言えないが。

 

 

 

そんな時だった。ハジメ君が突如、遠くを見つめながら「おお、これはまた……」などと呟いていた。

 

 

「何か見つけた?」

「見つけたかも。魔物の集団……三、四千ってレベルじゃないね。桁が一つ追加されるレベルかも」

 

 

 

ハジメ君の報告に僕とリチャードが目を見開いた。

しかもどうやら既に進軍を開始していると……

方角は間違いなくウルの町がある方向で、愛子先生狙いなのが見えている。このまま侵攻していけば半日もしない内に山を下り、一日あれば町に到達するとハジメ君は見定めている。

 

 

「ファタールに伝える」

「頼むよ。それと……苦しいかもしれないが、ユジンさん達を戦いの場に出せるか聞いてくれないか?」

「分かった」ザッ!

 

 

 

事態の深刻さに、リチャードに迅速な行動と連絡を任せながら僕は消費した魔力を『治癒』でゆっくり癒していく。

リチャードの速度なら数十分程度でファタールの方に到着し、事情を説明するだろう。

問題は愛子先生くらいか……

 

 

「僕達の任務はもう終わったようなものだけど、アキラはどうするの?」

「寧ろ、やらない選択肢はないよ。

助けるさ」

「言うと思った……ま、もしかしたら残響楽団も関わってるし戦わないって選択肢はないよね」

 

 

 

ハジメ君は言うと思った、そんな事を理解しての発言だった。

彼ならきっと『ウィル・クデタをフューレンまで安全に届けること』を優先すると思って、最初から断る可能性があった。寧ろそう言うとまで思っていた。

だが僕一人を置いていくのは多分、ハジメ君はしないだろう。

 

 

 

「まぁ、ご主じ……ゴホンッ。

彼がそう言うのなら妾は止めん。ああ、妾も魔力が枯渇している以上、何とかしたくてもすぐには何とか出来んのじゃ。

まずは町に危急を知らせるのが最優先じゃろうな。妾も一日置けば大分回復するはずじゃし……」

「なんか今変な風に呼んでなかった?」

「呼んでおらんぞ!……じゃ」

 

 

 

ティオの「違いますけど?」的な発言にハジメ君がじとっとした目でティオさんを見ながら、魔力枯渇で動けないらしいティオさんの首根っこを掴みズルズルと引きずって向かっていく事になった。

僕達は背後に大群という暗雲を背負いながら、急ぎウルの町に戻る事にした。

 

 

 

 







技解説/『煌燃剣(グリッツェケル・シュヴェアート)』


『燃焼撃』から新たに派生した魔法剣技。
『燃焼撃』よりも一撃の威力は劣るが、燃え盛る炎の継続的な火力と硬い殻や肉でさえも『烙印付与』『極炎付与』の力で貫通しながら相手を焼き払う事が出来るようになった。
魔力消費もそこまで激しくなく、汎用的に使用が出来る技。
また『白光之剣』と併用する事で『蜜蝋之羽根』からビームのように魔法剣を飛ばして射撃攻撃も可能。
元ネタはLibrary of ruinaの『ギラギラ燃える剣』。


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フィリップ君のヒロイン、誰にするか?

  • 八重樫雫
  • 園部優花
  • その他原作組女子
  • 都市の女性組
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