ありふれた烙印で異世界再燃   作:黒霧 氷

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どうか、あなたの物語が見つかりますように。


※Library of ruinaのネタバレを含みます。ご容赦ください。





Ep.33 凱旋/一つの話

 

 

 

 

ウルの町は現在、つい昨夜までは存在しなかった〝外壁〟に囲まれて観光の街とは思えない程に異様な光景が広がっていた。

それもこれも、ハジメ君と僕の仕業である。

なんと巨大な城壁が建てられているのだから。

最も壁の高さは大体4m程だ。それなりに知性のある魔物が出てきた場合は簡単によじ登られて侵入されてしまうに違いない。

だからこそ、この壁にはトラップが仕掛けられている。それはファタールの『骨生成』。

骨は非常に硬く、しかも棘となって相手を貫く。街の人達にはそれを伝えてあるので遊び半分で貫かれるバカはいないと思う。

魔物が骨部分を触ったら、壁から飛び出して貫く形で魔物を倒すことが出来る。これで少しは安心出来るようになるだろう。

もちろん、唐突に起こった襲撃に対してウルの町の人間達は多いに困惑し、混乱し、そして恐怖に染め上がった。

しかしそこは〝豊穣の女神〟と呼ばれる愛子先生に場を収めてもらうことで反乱や揉め事は起こらなかった。流石、期待されているだけの事はある。愛子先生の言葉が武器になっている……オズワルドとは似て非なるものを感じる。

 

 

「(上手い形に陣営も分かれてきたな)」

 

 

ウルの町には二つの派閥が出来た。この町から離れて家族や恋人。自身の命を守る為にこの町から一時的に出払う避難組。そして、この町と共に魔物と立ち向かう事に決めた腕利きの冒険者や職員達を含めた居残り組。

〝豊穣の女神〟一行とハジメ君達、そして僕達と療養が完了した〝死の境界〟のメンバーを含めた居残り組ならきっと魔物も打ち勝てると信じているのだ。何とも、嬉しい限りで頼もしい限りだ。

今回に関しては、全力を解放する予定だ。エレナやセボンがやって来るかもしれない可能性を考えるに下手に出し惜しみしている場合ではない。

その為にも新たな技や能力の開発に勤しみつつもハジメ君に新たな武器の制作を頼んでいる。

今回の戦いで完成する訳ではないが、制作が速ければ僕の目の届かない所でも多くの人を守れる可能性は高くなる。

新たな戦略や、ファタールやリチャードの更なる鍛錬も必要になってくる。こういう時、サルヴァドール師匠がいればなと甘えてしまう。

だが、すぐにその思考は振り払って城壁の方から目を逸らして周りを見るとハジメ君の方に愛子先生やデビット……だったか。彼女を守る護衛騎士達が集まってきた。

ハジメ君、何か問題起こさないといいけど……

 

 

「アキラ君、で良かったか?」

 

「!」ザッ

 

 

背後から話しかけられる声に反応し、一瞬でナハトを抜剣して振り抜こうとした。

しかしそこにいたのは、包帯を頭に巻いて右手に大太刀を持った……〝死の境界〟のリーダー、ユジンその人だった。

 

 

 

「すまない。驚かせるつもりはなかった」

「いえ……僕の方こそ」

 

 

 

剣を抜いて警戒してしまった事を謝罪し、剣を納める。

フィクサーの時の警戒する様な動きが強くなってしまったせいか、ただ話しかけてきた人間に対しても剣を抜くようになってしまった。ハジメ君に対しては抜く事がないにしても、やはり驚いてしまう。

 

 

「君に礼を、そして話をするのが遅れたこと……詫びさせて欲しい。

私達を助けてくれて、ありがとう。そしてテンマの話を聞き入れてくれて感謝する」

 

 

ユジンさんはそう言いながら、冷たくも礼儀正しく一礼してくれた。

淡々としているように見えるが、そこにはしっかりと恩義がある。勘違いされやすい人なのかもしれないと感じた。

 

 

「あそこまで本気で探して欲しい、そう覚悟を見せられてしまえば無下に出来ませんから。

結果として皆さんが生きていて、今も助かっています。治療して早々こんな戦いに身を投げ出す事になるのが本当に心苦しいですが……」

「いや、それに関しては問題ない。私達はそれよりも酷い環境で働いてきたからな……

寧ろ前よりかは楽だ。しっかり治療を受けて食事も食えている。目眩や動悸がするような肉体で暗殺の任務に行く必要がないのは以前よりも環境が良い所であると再認識させられる」

 

 

その言葉はきっと『都市』という場所で生きてきていた時の事を指すのだろう。

シ協会……それは暗殺を主とする依頼を受け付ける協会だ。

都市ではそれなりに値段はするものの、殺して欲しい人間がいることは多い。人も多ければトラブルも多い、とはよく言ったもので……

その為、ひっきりなしに依頼が舞い込んでくることから一番過労死しやすい協会として紹介されていた事も少なくはない。

それでも入ってくる人はいるそうで、何かとシ協会の人員も多い。だがそれでも人材不足な点はあり、東部シ協会の方から人事異動として他のメンバーを派遣させることもあったそうだ。

人の入れ替わりが激しい協会でもあった。

 

 

「……テンマさんから話は聞きましたか?」

「ああ、聞いたよ。君があの残響楽団のメンバーである事……そして、泣く子として人々を殺したことも」

「そうですか……隠すつもりはありませんが」

「そうだな。君はむしろ、それを嫌っている」

 

 

ユジンさんの言葉通りに「そうですね」と返しながらゆっくりと街中を見回す。

人が少なくなってしまい、いつもの街の活気はない。

代わりにあるのは、不安。

不安もそうだが、恐怖、死を目前に臆する感情。

それを酒に溺れて忘れようとする者もいるのは、間違いない。それは都市でも同じだ。

 

 

「アキラ君」

「はい?」

「死に責任を持つのはいい事だ」

「!」

「私達もそういう仕事をやってきた。死を看取り、死を与える職をやってきた。

この仕事が間違っているのか、果たしてこの仕事が正しいことなのか。

善悪では決めつけられない様な仕事をやってきたからこそ、死の責任に対してそれを背負うのは素晴らしい事だと私は思う」

 

 

しかし、ユジンさんは「だが」と付け加えて話を続ける。

 

 

「君は、背負い過ぎている」

「…………」

「私には、そう見える。

死の責任はあくまで君が人を殺した時に生まれるものだ。

その死の重さに対して君は多くの罪悪感や負の感情を抱いてきたのだろう。

君は想像を絶する人間を殺してきた。だから、死の責任を多大に背負っている。

だがそれは、果たして君だけにしか乗らないだろうか」

「……何が言いたいんですか?」

 

 

ユジンさんの話を遮るように、僕は少しだけ語気を強くして言い放つ。

 

 

「本当に、君だけの死の責任なのだろうか。

都市で多くの人間を殺したと聞いた。君がねじれ……という存在になって多くの人に手を掛けたのは間違いなく事実だ。

だがそれは君が要因で起きた訳じゃないだろう。君がねじれになった理由が存在する筈だ」

「……」

「私は子供がいない。結婚もしたことがない。だから子供を育てたことはないし、アキラ君の様な子供の頃の記憶も薄い。

だが……私としては、君の様な子供に死の責任を背負って欲しくないと思っている」

「!」

「私は大人だからな。君も大人だった頃の記憶があるとしても、だ。

今の君は『子供』だ。何ら違うことはないだろう」

 

 

ユジンさんはそう言いながら街並みに展開された城壁を見つめる。

 

 

「君達の様な子供が、本来任されるべきではない戦いに身を投じている。

致命傷を負う事も、そして命を失う事だってある。

何故こんな事をしなければならないのかと思う事もあるだろう、無理はない。

君達はそれを覚える事も、する事もない世界からやって来たのだから」

「……」

「子供は死の責任を感じないと言うが、違う。

子供では死の責任を感じれない、感じれるように出来ていないだけだ。

もちろん世界が廃れていれば話が違うかもしれない。私達が生きてきた都市の世界はその通りだ。

私達が出世する事を恨み、膨大な仕事を押し付けてくるような者もいれば……

危険な人物と手を組み、悪事を働く者もいる。

世界はそんな存在を放置することも、見放しにする時もある。

だからこそ私達の様な大人が、君達からそれらを守る。

そして絶対に、何があっても……死の責任は被せない」

「大人が、僕達を守る?面白いジョークですね」

 

 

小馬鹿にしたように笑うが、ユジンさんは笑っていなかった。いや、笑っているように見えないだけかもしれないが。

 

 

「そうだな……実際、それが出来ていない事が多かった。

だからこそ、私は今がそれを果たすべきではないかと思っている。

私もこの異世界に来てから、何時から何処まで生きていけるか分からない。そう数年しかここで生きていないが、無理した体は祟るものだ。

全ての命を使い果たす時が来るのは、何時だろうか。

今まで疲れというものを感じてきたが、死に至る疲れまでは経験したことがない。

死の瀬戸際まで追い込まれた事はあったとしても、死そのものを体感した訳ではない。

だが君達を守れるというのなら、私は命を散らしてもいいと思っている。私達は本来そうするべきであったが、それが出来なかった場所にいただけだ」

「……」

 

 

ユジンさんはそう言いながら、僕を見つめてくる。

 

 

「この世界で、君は人を殺したか?」

「……殺しました」

「そうか……これからもきっと殺すのだろうな」

「ええ」

「そうか。なら、せめて言わせて欲しい。

どうか殺す事を目的を果たす手段として思わないで欲しい。

死を取り扱った私達だからこそ、殺す事を一つの方法として思わないで欲しい。

救いようがない人間がいる、それは都市でも同じだ。

だが救いがないから救われない人間もいるのだ」

「……!」

「救いを求める、安泰を求める、だから人を殺す様になってしまった者も少なくはない。

ならば人を殺すという事ではなく、別の救いの道も与えるべきではないかと思う。

私達が言えた立場ではないが、万人は生きていてもいいと思っているからな。

この世界は都市のように残酷ではないが、時折都市のような残酷さを垣間見る時がある。

本来なら、それから守ってやらねばならないのが私達の様な冒険者であり、大人だ。

君達の様な子供に、魔王を討伐せよなんて求める国がどうかしているし、おかしいと思う。

だからこそ……気を付けてくれ」

 

 

ユジンさんの言葉は、何か僕の心を動かす様な言葉であった。

死の責任を背負い過ぎるな、それだけではなく。

本来子供は大人が守るものであるという事。

だからこそ……頼って欲しい、任せて欲しいという事が言いたいのかもしれない。

久しぶりに、サルヴァドールさんやユナさん以外のフィクサーと話したかもしれないと少しだけ嬉しい様な気持ちになった。

死の責任を背負い過ぎているとは言われたが……

自分はそう感じなかった。寧ろ、まだ足りないとまで。

 

 

「それと……一つだけ頼みがあるんだが、いいか?」

「え?はい、いいですけど」

 

 

しかし、その場を離れようとした時にユジンさんに引き止められた。

 

 

「テンマと、会って話しをしてほしい。大切な話があるそうだ」

「……?分かりました」

 

そう言って、一旦その場を後にした。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

ユジンさんの勧めにより、宿屋にいるテンマさんと話すことになった。

何でも大事な話であるからこそ宿屋で聞いて欲しいと。

〝水妖精の宿〟に到着し、テンマさんがいるであろう部屋をノックすると「いいよ」という言葉が響き、失礼しますと告げながら入っていく。

そこにはテンマさんがベットに座りながら待っていた。

 

 

「お待たせしました。ユジンさんと話したらここに向かえと言われて……」

「うん、ありがとう…」

 

 

僕は宿に備えられた椅子を動かして座り、テンマさんと対面する。

この前の元気のない姿とは違って、今は少し活力を取り戻したような感じだ。

 

 

「まず、本当に……ありがとう。リーダー(ユジン)副リーダー(ヴァレンティノ)も、無事に生きて帰ってこれた。

依頼を引き受けてくれて、本当にっ……ありがとう……!」

 

 

テンマさんの感謝の言葉を「ありがとうございます。どういたしまして」と返す。

彼女にとって、一緒にこの異世界に来ていたメンバーだ。何故連れてこられたかは分かっていないし、分からないが……それでも家族の様な付き合いなのは間違いないだろう。

ユジンさんが一番上の姉に見えてもおかしくはない……が、本人に言ったら怒られそうなので、心の中に留めておくだけにしておこう。

 

 

「それで、感謝なら受け取りましたが……それだけの話ではないみたいですね」

「うん。実は……

〝死の境界〟、解散することにした」

「え……え、ほ、本気ですか!?」ガタッ

 

 

唐突な発言に椅子から立ち上がってしまい、テンマさんに肉薄する。

 

 

「あ……す、すいません」

「……う、ううん。大丈夫」

 

 

テンマさんが驚いた表情をしていて、驚かせて申し訳ないと思いながら話を聞く事にした。

 

 

「まず、リーダー……ユジンが肉体的にこれ以上の冒険者活動が限界に近いこと。副リーダー、ヴァレンティノもリーダーに任せて他のメンバーを募って新生〝死の境界〟をする案もあったけど、ヴァレンティノは荷が重いって……私がやっても良かったけど、リーダー達がいないと私もどうしていいか分からなくて…解散することになった」

 

 

言われてみれば、確かにあの時の会話でも『何時から何処まで生きていけるか分からない』という発言を考えてもユジンさんも肉体的に相当疲労しているのは間違いない。

ヴァレンティノさんもそれは間違いではないし、テンマさんも同じだろう。若手の二人の方が肉体的疲労は少ない方だが……

 

 

「解散は、良かったんですか?」

「うん。リーダーが決めた事だから、私は大丈夫。

リーダーも、ここに来て2年くらいかな……それまで私達を支えてくれた。

肉体を療養してたのもあるから、今は何とか活動できたけど黒龍との戦いで更に傷を負ったから……戦えるのは3、4回が限界だと思う。

それなら、いっそ新たな仕事を見つける為にも解散した方がいいって話になった」

 

 

そう語るテンマさんの表情は落ち着いていて、寧ろスッキリしていたような表情だった。

憑き物が落ちた…訳ではない。これでユジンさんが戦うことはないからなのか。

もちろんそれにヴァレンティノさんが含まれているかは知らないが、昔から世話になっている人には出来るだけ長生きして欲しいというのがテンマさんの思いなのだろう。

 

 

「テンマさんはこれからどうするの?」

「その話を、今からするつもりだった」

 

 

そう言いながら、テンマさんは一呼吸置いてから話を再開し始めた。しかも僕の方に真剣な眼差しで。

 

 

「リーダーから伝言を預かってる」

「ユジンさんから?」

「うん……『今回の件に関して、返せない程の恩義を貰った。

私の肉体的にも、君に何か恩義を返すとしても難しいだろう。

私もヴァレンティノも今は療養の身で、すぐに君に恩義を返すのは難しい。

もちろん、君が言っていた『アキラの味方になる』という点に関してはしっかりと果たさせてもらう。君に何かあった時、私やヴァレンティノ、テンマは君の味方になると誓う。

その際に、私達の連絡もそうだが君に何かあってでは遅いと感じた。私達はフューレンを拠点としているが、暫くはウルの待ちで世話になるかもしれない。それでは君に巡り会う事も難しいだろう。

だから、アキラ。元フィクサーであり、そしてサルヴァドールの弟子であった信頼できる君にテンマをパーティーメンバーとして受け入れて欲しい。

何かあった時の伝達役としても、君の命を守る為の死神すらも斬り伏せるシ協会の腕前を存分に振るわせる事を約束しよう。

君に助けられた私が頼むのも、億劫な事だが……テンマをよろしく頼む』…以上が、リーダーの伝言」

 

「なる……ほど」

 

 

そう来たか、とは思ったが特に驚くことはなかった。

ユジンさんもユジンさんなりに僕の事を心配しつつ、同じ都市の人間として信頼してくれているのだと理解した。

ユジンさんとしては、まだ若くして才能あるテンマさんは冒険者としてやっていけると見ているのかもしれない。

だが、気になる点はある。

なんで僕なのかという点と、テンマさんの本意は大丈夫なのかという所だ。

テンマさんはユジンさんの指示に従い過ぎている。だから僕じゃない人に任せてもいいはずだ。それこそハジメ君の方に渡せば強くなれるし、いずれ稼げるようになると思う。

更にテンマさんはユジンさんに頼まれていい気分なのかもしれないが、これから共に戦う仲間として続ける気はあるのかという所が気になる。

普通にユジンさんの言葉を忘れなければ、多分パーティーとしてやっていけるがユジンさんと比べられそうでなんだか怖い。

本意、という点に関しては…命令されたからやってるだけという可能性がある。

だから万が一ユジンさんに何かあった場合、普通にそっち優先で僕達の事を見捨てる可能性もある。

そこが怖い所だ。フィクサーも同じ事をしている場合もあるからこそ油断できない。

 

 

「2つ聞いていいですか?」

「うん、いいよ」

「なんで僕なんですか?」

「リーダーが、ハジメよりもアキラに託したいって言ってた。彼は、なんだかんだいい人なのかもしれない…けど、危すぎるって……

アキラかユエがハジメを止めれる防波堤だって、言ってたから……アキラに託した」

「(危ういって、それは僕も一緒なような……)なるほど、納得しました。それで2つ目なんですが……」

 

 

ちょっと言うのは酷いかもしれないが、これは聞かなければならないんだと心に言い聞かせながら伝える。

 

 

「テンマさんの本意なんですか?」

「……?と、言うと」

「どうにもユジンさんに従いすぎているというか、従順すぎるというか。これじゃあ、もしユジンさんに何かあった時に僕達にも何かあったとして、どちらを取られるか分かりません。

フィクサーは信頼が大事です。だからこそユジンさんの頼みに従っているテンマさんを信用していいのか……という点です」

 

 

 

僕の言葉を受け止めたテンマさんは、少しだけ悩む素振りを見せながら何やら呟いていた。小声なのでよく分からなかった。

 

 

 

「そこまで、信用ない……?」

「まぁ、はい」

「ごめん……信用されてないのは、私がリーダーに頼り過ぎているだけかもしれない。

実の所、リーダーに私を連れて行かせるように、私が頼んだ」

「え!?」

 

 

唐突に宣告される事実に対して、驚愕を露わにしながら一旦落ち着く。

テンマさんが付いて行きたいって言ったのは中々に驚いたし、道理であんなに親の様に話してくれたのかと何となくユジンさんの性格が読めてきた。

とても仲間思いで義理人情が熱い人なのだろう。

世話になった人には最大限もてなすし、危うい人であれば説得や物怖じせずに言葉をぶつけてくれる。

……確かに、ヴァレンティノさんやテンマさんから好かれている理由も分からなくもない。

 

 

「私がくよくよしていた時も、リーダーが死んでるかもしれないって依頼を断られないか不安だった……だから、南雲ハジメが一方的に依頼の話を進めていく時、本当に……辛かった」

「うちのバカがすいません……」

「ううん、大丈夫……そこに声を掛けてくれて、個人的に受けてくれるって言ってくれたの、アキラだから。

同じ都市から来たのもあるし、私達の事も知ってるから下手に気を利かせる事もないし、フィクサー同士だから割り切れる。

それに……アキラは、見てて勇気付けられた」

「……それはどうも」

 

 

勇気付けられた、なんて言われてしまえば流石に断る理由なんてない。

彼女のついて行きたい気持ちはほぼ間違いなく、本物だ。

と恩義を感じているのもある。だが、彼女は僕の事が信頼できる人間であると感じてくれたみたいだ。

その思いを無下にする訳にはいかないし、そして彼女の期待には応えたい。

 

 

「僕で良ければ、もちろんですよ」

「……!ありがとう、アキラ」

「ええ。これから同じ仲間としてよろしくお願いしますね。

そして……共にこの戦いを乗り越えましょう」

 

 

外から何かの声が聞こえてくる。耳を澄まして聞いてみると、ハジメ君が街の人達を鼓舞している。

そろそろという事だろう。

 

 

「テンマさん、早速仕事みたいですよ。まぁ、ユジンさんも出ますから問題はないでしょう」

「テンマ」

「?」

「テンマでいいよ。アキラって私は呼ぶから、テンマでいい」

「成程。では……テンマ、行きましょうか」

「うん」

 

 

 

遂に始まるであろうウルの町と清水幸利の対決の火蓋が、切って落とされた。

 

 

 







あけましておめでとうございます。今年もこの作品をよろしくお願い致します。
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フィリップ君のヒロイン、誰にするか?

  • 八重樫雫
  • 園部優花
  • その他原作組女子
  • 都市の女性組
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