1.学園長への直訴と、苛烈な論争の報告
レオンは、研究室での三人の理論家(カイト、リリアーナ、霍乱)による連日の苛烈な口論に耐えかね、直属の上司である学院長の元を訪れた。
「学院長。私の研究室の環境は、教育上、また私の安寧上、非常に悪化しています。生徒たちの理論の話し合いが、あまりにも苛烈すぎる。特に霍乱という交換留学生は、他の生徒を侮辱することでしか自己の理論を証明しようとしない。この状態を収束させていただきたい」
レオンは、普段は書類仕事すら嫌う自分が、学院長に直訴するという**「最大の労力」を割いていることに、内心で強い苛立ちを覚えていた。
2.学院長の嫌味と、強制参加の「魔法合戦」
学院長は、レオンの報告に顔色一つ変えず、優雅な笑みを浮かべた。
「ああ、あの天才たちの論争ですか。素晴らしいではないですか、レオン先生」
学院長は、レオンの訴えを一蹴し、代わりに最悪の通達を突きつけた。
「それなら、どちらが本当に正しいのか、正々堂々、争って貰えば良いでしょう。この学院で定期的に行われる『特級魔法大会』。その理論をぶつけ合う、正真正銘の魔法合戦ですよ」
学院長は、机の引き出しから一枚の羊皮紙を取り出し、レオンの目の前に突きつけた。
「勿論、レオン先生も参加申し込みにサインをしておりますよ。ちゃんと『特別講師枠』でね」
レオンは、自分の意志とは無関係に、既に大会への参加が決定づけられていた事実に、怒りを通り越して呆れた。
「私が…魔法合戦に?」
「ええ。貴方は、七年前の事件以来、実戦での評価が定まっていません。私が見込んだだけの『集中・拡散融合理論』の実力を証明して貰わないと、周りの評価が変わるでしょうからね。特に、特級学院での騒動の始末を付けた貴方が、この場所において本当に必要なのかどうか。結果次第では、その地位すら危うくなるかもしれませんよ?」
学院長は、レオンの首を賭けた勝負であることを、嫌味たっぷりに仄めかした。
3.優勝しないと首だろうな、という覚悟
レオンは、自室に戻り、頭を抱えて唸った。
「チッ、本当に面倒極まりない!生徒の論争を止めに行ったはずが、なぜ自分の首を賭けたトーナメントに強制参加させられるんだ…」
レオンは、机の上に広がる霍乱の「無限の論理」の論文、カイトの「拡散理論」の設計図、そしてアリオスから渡された「古代魔術炉」の地図を眺めた。
(レオン内心):「魔法合戦など、私の『最小の労力』という信条に真っ向から反する、最も非効率な戦いだ。だが、この学院での安寧を維持するためには、避けて通れない。この大会、優勝しないと首だろうな。そして、私の理論の全てを公開し、証明しなければならない。第三の英雄の挑発に、学院長の嫌味が加わった、最悪の強制イベントだ」
レオンは、冷めた紅茶を一気に飲み干し、鉄剣を強く握りしめた。彼の『魔法教師の不本意な英雄譚』は、「首を賭けた理論の証明」**という、新たな試練へと突入する。