『横島クン、聞こえる?』
「美神さん!?」
突然のことに驚く横島、その声は脳内に直接響いてきたものだった。
「美神さん俺です、どこですか!?」
『座標が近いから聞こえてると思って続けるわ。霊波探知の結果、横島クンあなたは私たちのいた世界とは近しい異界に飛ばされたみたいなの。今はオープン無線みたいに増幅した思念波を飛ばして一方的に話しかけてるわ』
「こっちの声は聞こえてないのか……」
『ハワイ沖に大きな次元断層があることがわかったの、無茶を承知で言うけどそこまで来なさい』
「は!?」
『健闘を祈るわ』
「ちょっと!?ハワイ沖って……、どんだけ遠いと思ってんすか! 美神さぁーーん!?」
思念波が途切れてしまったのか、元々聞こえていないためか返答はなかった。
「横島さん! 凄いさけび声か聞こえたけど大丈夫なのです?」
司令部からここまで大した距離ではないとはいえ、余程大きな声が響いたのか心配した電が小走りに駆け寄ってくる。
「あ、あぁ。大丈夫といえば大丈夫だけど、大問題といえば大問題というか……、とにかくみんなの帰還を待って事情を説明する」
夕暮れ時。
「ハワイですって?」
「ここからは3300海里くらいかしら~?」
「行くだけなら行けない場所じゃないけど……」
「司令官を曳航しつつ深海棲艦の相手もしつつ、となるとちょっと無理くない?」
横島は昼間の出来事を話してみるが、やはり反応は芳しくない。
「でも、やっぱり横島さんは元の世界に帰してあげたいのです」
「ボクは賛成だな」
「私も~」
「となれば手は一つね。近海から少しずつ勢力を取り返してハワイまでの道を作りましょう」
大井の打ち出した作戦に思わず横島は声をあげる。
「助けてくれるのか?」
「……ま、私は命を助けてもらった恩があるしね」
少しだけ頬を赤くしながらそっぽを向く大井。
「えー! 何それ何それ、深雪さまにも詳しく教えてよ!」
「へぇ、意外とやるんだね司令官」
「大井さん、耳まで赤くなってきたわぁ~」
「うっさいわよ!」
きゃいきゃいと囃し立てる深雪と皐月、文月を睨みつける大井を余所に、真剣な表情で続ける龍田と叢雲。
「前線基地を作りながらの進軍となると~、基地施設の移設もできるといいわね~」
「その辺りに強そうな明石か夕張を迎えたいところね……」
「みんな、ありがとうな…っ、俺にできることと言ったらもう体で払うしかっっ!」
と服を脱いで襲い掛かれば夫婦漫才のように大井からの突っ込みが入る。
「それはいらんっつーの!」
「その代わり、アンタも海域に出て深海棲艦と戦ってもらうわよ」
「え゛」
「当然でしょ、道ができるまで司令部でぼさっとしてるなんて許さないわよ!」
ゲーム上であればどの鎮守府/泊地からでも、どこでも好きな海域に出かけられるのに
リアルに考えて書いてみるとかなり無理がある行程になりそう。
やれるのか自分…。