「ええと、改めてご紹介するのです、こちらがゴーストスイーパーの横島さんで、」
「……球磨型軽巡洋艦の4番艦、大井よ」
がるがると今にも牙をむき噛みつかんとする大井をなだめつつ双方に紹介を促す電。
「くっそ、このアマ……。なんちゅー馬鹿力してやがる」
一方の横島は盛大に顔を腫らしていた。調子に乗ってキスを迫った横島の横っ面に5500トン級のこぶしが炸裂したのである。
「誰がこのアマですって!?」
「ま、まぁまぁ二人とも」
一呼吸付いたところで電が大井に向けて簡単に先ほどまでのやり取りを説明する。
「別の世界から来たかもしれないですってぇ? うさんくさいにもほどがあるわね」
一応話を信じることにした電とは違い、ふんと鼻を鳴らす大井は横島の話を全く信用していないらしい。……初対面のひどさが九分九厘影響しているのは言うまでもない。
「俺だって信じらんねーわい! 文珠のストックは2個くらいはあるとして、どうやって帰りゃいいんだ」
いつぞや未来の自分がやってみせたように「時間移動」ではなく「時空転移」とでも文珠に刻めばいけるだろうか、……使用する文珠の数が膨大すぎてまるっきり成功するビジョンが見えない。
「そもそも、そのゴーストスイーパーってのはなんなの? アンタにそんな力あるように見えないんですけど」
「この世界には深海棲艦ってのは居ても悪霊みたいなのは居ないんだったな、よく見とけー」
右手に霊力を集中させると、
「なっ!?」「はわわ!」
驚く二人をよそに、更に霊波刀へと形を変えて見せる。
「いっとくけど手品じゃねーぞ」
魔神クラスならともかく、元の世界ではそこらの雑魚霊程度はたやすく切り裂ける技なのだ。
しばし霊波刀を出したり消したりしていると、電の表情がはっと変わる。
「大井さん、これってもしかして」
「……えぇ、もしかするわね」
ハテナを浮かべた横島を他所に、艦娘二人で何やら確信めいた会話をしている。
「横島さん、ご案内するので一緒に来てほしい所があるのです」
「ついて来なさい」
応接室を出ると階段を地下へと下っていく。
泊地の外観はお世辞にも綺麗とはいえず、ともすればボロっちい印象を受けていたのだが、階下に広がるその空間は元の世界の日本でも見たことがないほど電子的に洗練された空間だった。
「な、なんだこの地下室は?」
「ふふん、驚きなさい。上の施設はあくまで艦娘の保養施設、此処こそがパラオ泊地の心臓部よ」